李氏朝鮮時代の貨幣経済未発達と日本の土倉2

昨日の引用の続きです。
「李氏朝鮮後期の貨幣
1678年に許積・権大運などの建議によって戸曹・常平庁・賑恤庁・訓練都監に命じて常平通宝を鋳造するようにした。この貨幣は朝鮮末に新式貨幣が鋳造されるまでおよそ2世紀にわたって鋳造発行されたが、その間に鋳銭行政が紊乱したし、朝廷でも各官庁の財政窮乏を救済するために鋳造を許容したので、文武の各官庁でこれを鋳造した。
1866年に興宣大院君は景福宮改築のために当百銭を鋳造した。しかし当百銭は財政難を打開することができず、むしろ物価上昇と大院君の執権体制の危機をもたらした。結局1868年5月に崔益鉉の上疏で当百銭は通用が禁止された。1883年には開化政策に対する費用に充当する目的で当五銭を鋳造し、乱れた通貨政策を整備する目的で常設造弊機関である典圜局を設置した。しかし当五銭もまた名目貨幣価値が実際の流通価値より低かったし、物価も暴騰させた。そして1895年に当五銭もまた通用が禁止された。」
上記のとおり諸外国並みに貨幣発行を試みても社会実態が伴っていないのでその都度挫折していました。
貨幣がマトモニ利用されない社会・・現物しか信用出来ない社会では、紙幣など紙くず扱いでしかなかったでしょう。
1895年時点でさえも折角発行した貨幣を廃止するしかないような状態でしたから、紙幣発行などは夢のまた夢でした・・紙幣は日韓併合前に日本の第一銀行が進出して紙幣を発行したのが始まりです。
こうして見ると日韓併合前から事実上日本の制度がドンドン入っていたことが分ります。
このときからイキナリ近代的紙幣制度が入って行きます。
紙幣発行については以下のとおりです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%9C%9D%E9%AE%AE#.E6.A6.82.E8.A6.81
「日韓併合以前から、日本の国立銀行である第一銀行韓国総支店が、朝鮮での通貨として1902年から第一銀行券を流通させていた。大韓帝国時代の1909年には第一銀行にかわって中央銀行の韓国銀行が設立され、のち1911年に朝鮮銀行となった」
昨日の引用に戻ります。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E6%B0%8F%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88
商業
李氏朝鮮の商業活動は日常生活の必需品を物々交換する程度の経済体制が中心で、広汎な貨幣経済の発達は限定的であった。民間では一般的に場市(市場)を通じて商業活動が行われた。場市は、普通5日ごとに1回ずつ開かれ、農民・漁夫たちが集まって来て品物を交換した。このように期日を定めて市場が開かれたのは、各地方の商業的な発達がなかったためだ。」
「市での取引は、主に生産者と消費者との直接的な接触で成り立ったが、負褓商などの行商人も重要な役目を引き受けていた。これらは、その地方の産物以外の商品を樽が無いので重い甕などに商品を入れ、車が無いため背負子で背負って、苦労して各場市を歩き回りながら売り、同業者たちは中世ヨーロッパのギルド的な性格の同業組合を成していた。」
開化期の経済
「このように前近代的な社会・経済的秩序の中で日朝修好条規(江華島条約)を締結して資本主義各国に門戸を開放しなければならなくなると、すぐに彼らの商品市場・原料供給地に転落することにより、今までの封建的な経済体制は崩壊し、続いて社会に大きな混乱が起きて、次第に植民地への道を踏み出すようになった。」
これを救ったのが日本でした・・もしも日本が介入しなかったら、欧米による東南アジア並みの完全植民地支配下に転落していたでしょう。
ちなみに日韓併合前の朝鮮の産業構造は以下のとおりでした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%9C%9D%E9%AE%AE#.E6.A6.82.E8.A6.81
「ハーバード大学教授で朝鮮史が専門のカーター・J・エッカートは、研究の結果、李氏朝鮮時代の経済規模は同時代の日本や中国と比べて小さく、当時の商人と後の時代の資本家とのつながりがほとんど無いため、資本主義の萌芽が李氏朝鮮時代には存在せず、日韓併合による日本の政策によって生まれ、特に戦後の韓国の資本主義や工業化は、上記のような日本の朝鮮半島での近代化政策を模したものであると発表している」
上記長々と引用しましたが、李氏朝鮮時代には何らの経済発展もなく、むしろ当初よりも退化して行った歴史のように見えます。
秦帝国成立には、燕が進出しその後方支配地になっていたようですが、その燕が秦に滅ぼされ、漢王朝成立後はその直轄支配を受けた外、中国王朝が代わる都度次々と支配されていましたが、その後高句麗が成立しこれが元の支配下に入った後に李氏朝鮮が成立(1392年)以来、初めて(外部の直接支配を受けない)安定長期支配が始まりました。
この結果、外部刺激の極小化による退化が始まったようです。
子供の頃に遊んだ記憶では、磁石にくっついた釘が次の釘を吸い付ける力があるのを見ると自分で磁力を持ったかのように見えるのと同じで、元の本当の磁力のあるものがなくなるとたちまち磁力をなくして行く社会です。
昨日も書きましたが、自分固有の文化力がないので、いつも外部刺激に頼るしかない・・外部刺激がなくなると元の原始社会に戻るしかないので、いつも支配者が欲しい社会です。
戦後アメリカ支配下になると直ぐにキリスト教徒が爆発的に増える・・今でも英語学習が全盛で自国を棄ててアメリカ移住が最大の願望社会になっていますし・・新支配層にオモネて前支配層をあしざまに罵る社会で節操・信義と言うものが育っていません。
日本の場合、白村江の敗戦・大化の改新以来の鎖国化によって独自文化発展を見たのですが、朝鮮では逆の現象が起きたようです。
この退化し切ったときに西洋文化が怒濤のように押し寄せたので、ワケが分らなくなっていたと見るのが妥当でしょう。
平安時代には既に源平の組織化された武士団がいましたし、鎌倉末期の文永の役(1274年)、2度目の弘安の役(1281年)の蒙古襲来時には国をあげて戦うべき武士がいましたが、その武士すらもまだ生まれていない状態を想像して下さい・・。
高句麗は世界通商国家であるモンゴルに征服されていましたので、日本より早く貨幣が入っていた筈ですが、日本では貨幣が入るとこれを利用した土倉〜金融業として経験を積み、社会全体が信用取引社会に発展していったのに対して、朝鮮ではモンゴル支配から脱すると先祖帰りを始めて・・退化して行く一方だったことになります。
日本にはモンゴル撃退・外敵と戦うべき兵力があっただけではなく、実務に携わる合理的実務家が既にいろんな分野で生まれていたのに対して、朝鮮半島ではまだこう言う実務家が生まれていなかった点が大きな違いです・・。
この差が拡大する一方で朝鮮族は明治維新の開化時代を迎えたので、右往左往するばかりでマトモに欧米列強に対応することが出来なかったのです。

李氏朝鮮時代の貨幣経済と日本の土倉

現在中国のバブル政策を見ておきます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-24/ONAUYG6TTDSU01
「人民銀の北京支部は24日の声明で、離婚後1年に満たない北京の住宅購入者が住宅ローンを申請する際は2次取得者と見なすと発表した。また、レバレッジがかかった金融商品を使って頭金を捻出する購入者に対しては、住宅ローンを提供することを銀行に禁じる。
北京市は先週、住宅の2次取得者に対する頭金比率を10ポイント引き上げ60-80%としたばかり。人民銀北京支部は市政府との共同声明で、頭金の支払いを減らすため、離婚して独身の1次取得者として住宅ローンを申し込むカップルもいたとした上で、「政策で講じた制限の効果を損ねる」と説明した。」
中国人の場合、保有資産だけではなくレバレッジがかかった投機的金融商品で購入資金調達手法が発達しているようですが・・。
中国人の歴史は三皇五帝の神話時代から実在しそうな古代王朝の始まりとされる夏王朝は、文字どおり夏=賈(商取引を意味する漢字)の謂いであって、商業集団が始まりであったことを示していますし、次の時代を我が国では「殷」と言いますが中国では、これを「商「の時代と区分しています。
このように中国社会の歴史は商人の集落から始まっていて商業民族系・・「いわゆる三度の飯よりも投機好き」の民族ですから、日韓とは違って国民の多くが金融商品に対してはプロ級の能力があるかも知れません。
狩猟・漁労→農→工→商→金融→AIへの発展段階があるとすれば、日本は縄文土器以来の「工」に特性があって(「工」が発展すれば自然に交換経済が発展します)その前後の「農と商」もかなりやれるが、中国人には「商→金融→AI」に関する能力が高い民度がある・・この特徴を生かしたのが華僑の世界進出であり、地域的成功例が香港・シンガポールですし、国内的には、鄧小平の発案による特区制度・・上海や深圳などの大成功でしょう。
秦以来の歴代王朝は、農業社会化に合わせて面としての領域支配をしていましたが、支配の本質は中央の任命した官吏・長官の駐在する県城を点々と連ねた点の支配でした。
言わば県城内の市民が守るべき仲間で、城外に住む者はいつ攻めて来るか知れない異民族と言う仕組みで(鶏鳴狗盗の故事のとおりに夜は城門を堅く閉ざしてしまう)やって来たのです。
この点が日韓や欧米先進国社会の成り立ち(・・西欧の城は日本同様に市民を中に引き込む関係ではありません)とは違うように見えます。
インド人はゼロの発見に象徴される数学的才能・・優れた点はコンピュー系・・AI特化型でしょうか?
日本人も含めて韓国民はとてもこんな芸当(マンション投機のためには離婚偽装も厭わない・・)は出来ない・特に韓国人の場合、払えなくなると高利貸しに借金して四苦八苦するのが関の山でしょう。
韓国では何故高利貸しのイメ−ジが強いかですが、これは発展段階・・社会の基礎レベルの低さに関係する可能性があります。
日本では鎌倉時代に物流業発展の外「土倉」(金融業者)が発達しましたが、日韓併合前の韓国社会の発展段階としては、まだその前段階にあったのではないでしょうか?
李氏朝鮮では、良く知られているように「曲げ物」が発達しなかった結果、物資を入れる容器・たるや桶その他の容器や運搬用荷車の発達がなかったので明治維新の頃まで物流自体が成り立っていませんでした。
「工」の生産品ないと交換経済が成り立たない・・物流のないところに日本同様に中国から貨幣が入っても、無用の長物で次第に貨幣が枯れ果ててしまったのです。
日本では、唐の文化が入るとこの刺激で和歌や大和心・・大和絵が起こり宋で南画が起こるとその影響で水墨画が発展し育って行ったのと違い、受け皿の木基礎能力がない社会では、絶えざる供給が途絶えると外来文化は根がつかずにたちまち枯れてしまいます。
日本の土倉(金融業)は平安末に宋銭が入ってから貨幣経済に必要なものとして発生し数世紀以上の発展段階を経て力をつけて行ったものが鎌倉時代に名を知られるようになった土倉であり、江戸時代を通じて、手形取引その他高度な金融業として発展したものです。
金融取引の発展が日本人に根強い信用大事・・「約束を守るべし」とする商習慣が根付いた原因です。
ところが、朝鮮では、物流がない結果商取り引きが発展しない・・長年の貨幣経済の経験もなく明治維新直後から、貨幣経済がイキナリ入って来て単に高利で貸す・・消費者金融中心になりますし、信用が発達していないので約束を守る精神が育っていないから任意支払が期待出来ないので、回収に当たっても乱暴な取り立てしか知らない・ヤクザ稼業と紙一重になります。
約束を守るかどうかの基準は相手が自分より腕力が強いかどうかだけの事大主義の基礎がここに胚胎します。
慰安婦の合意等の国際約束は相手が弱ければ(アメリカ等の支援次第で)いくらでも無視すると言う国民性ですし、ヤクザの取り立てが発達した原因でしょう。
李氏朝鮮時代の産業構造は以下のとおりです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E6%B0%8F%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88
李氏朝鮮の貨幣
概要
李氏朝鮮の経済体制は、専売制対象品である塩との交換が布や米、雑穀に限定され、自給自足である物々交換の領域を脱け出すことができなかったので、貨幣の流通量も少なかった。李氏朝鮮初期には楮貨という一種の紙幣と銅銭が発行・鋳造されたが、十分には普及しなかった。特に楮貨は時代が経つほどその価値が暴落し、貨幣としての信用と安全性を持つことができなかった。有力な流通手段は依然として米・麻布・綿布であった。楮貨は中期になって自然消滅した。」
上記のとおり日本と同時期に宋から入って来た貨幣は、古代的物々交換に競り負けて朝鮮社会に根付かずに廃れてしまっていたのです。
このように物々交換に戻って行く・・退化して行く社会って、世界史上希有な例ではないでしょうか?
朝鮮半島の居住民は、周辺社会に比べて著しく劣っていたので周辺文化が入って来ても文化を吸収出来ずに、ついて行けなかったと言うことでしょう。
幼稚園児に高校生レベルの礼儀作法を強制しても意味不明でただ真似しているだけですから、指導者(植民地支配者)がいなくなると幼稚園児の行動に戻るようなものです。
引用を続けます。
「李氏朝鮮初期の貨幣
李氏朝鮮初期の自給自足的経済の中で、貨幣経済の発達は緩慢であり、専売品の塩との交換品が布や米、雑穀に限定されていたこともあり、麻布・綿布・米などの現物貨幣が取引され、布貨の使用が認められた。
1401年に河崙などが主張して紙を原料とした楮貨を発行して国幣にして通用を奨励したが、一般庶民は使いたがらず、ただ俸禄の支払などに混用されたから、京城付近でだけ通用して広く普及しなかった。
1423年には朝鮮通宝という銅銭が、そして1464年には箭幣が作られたが、これらは主として国家の収税に用いる目的で使われ、一般の社会的要求に応じるものではなかった。」

中韓・・中進国の罠8(個人金融資産)

中国がバブルを繰り返すための軍資金がどこから出ているかの疑問ですが、中国の個人資産は以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20160825_00320160825|
2016年 08月 25日 11:11 11:13JST 国民の個人資産、中国は世界2位に
「調査会社ニュー・ワールド・ウェルスが発表した最新リポートで、中国国民の個人資産(不動産や現金、預金、ビジネス資産)が17兆4000億米ドル(約1757兆4000億円)となり、世界2位となっていると報告した。
中国は直近15年で個人資産が最も速いスピードで膨らんでいると指摘されている。現時点では個人資産がトップになっているのは米国(48兆9000億米ドル)、3位は日本(15兆1000億米ドル)。10位入り国は英国(9兆2000億米ドル)、ドイツ(9兆1000億米ドル)、フランス(6兆6000億米ドル)、インド(5兆6000億米ドル)、カナダ(4兆7000億米ドル)、オーストラリア(4兆5000億米ドル)、イタリア(4兆4000億米ドル)となった」。
不動産を含めた数字なので金融資産の統計ではありませんし、広大な中国奥地の土地などをどのように評価集計したのかも不明です。
金融資産でないと本当の実力が分りません。
特定商品の場合、統制や政策的に高値維持で歪めていても(実勢と差がつくとヤミ流通が起きて)一定期間経過で国際相場の影響を受けますが、輸出入代替性のない不動産を資産に加えると国策による歪み(中韓のように政策的に不動産バブルを煽っていると不動産が突出して高くなる)が大き過ぎて実力が見えません。
金融資産については以下のとおりです。
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2016-10/02/content_39416377.htm 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月2日
世界の個人金融資産が155兆ユーロに達した。ドイツの経済紙は25日、アリアンツ・グループがこのほど発表した2016年度『世界資産報告』によると、世界の個人金融資産は前年より約5%増加したと報じた。個人金融資産が多い国・地域のランキングでは、スイスが17万590ユーロで1位となった。                  
2位は米国で16万950ユーロ、3位はイギリスで9万5600ユーロ。4位から10位は順にスウェーデン(8万9940ユーロ)、ベルギー(8万5030ユーロ)、日本(8万3890ユーロ)、デンマーク(8万1290ユーロ)、中国台湾(8万1240ユーロ)、オランダ(8万180ユーロ)、シンガポール(7万9260ユーロ)。             
中国は1万1469ユーロで28位、韓国は2万7371ユーロで21位、インドは1096ユーロで48位。ランキングの最下位はカザフスタンで、1人あたりの金融資産は613ユーロ。          
上記は一人当たり資産らしいですが、金融資産については中国の場合まだ未開地も多く含まれているので、一人当たりにすると実際の実力が見えません。
韓国の場合、財閥オーナー親族とその他の格差が何%程度の差ではなく何十〜何百倍の差でしょうし、労働者でも大手企業の非正規職員の方が、中小企業の正規職員よりも給与が高いなどの格差社会ですから、この場合は正規非正規の区別は意味をなさない・・大手企業従業員かどうかの方が大きな格差基準です。
現代自動車労組の横暴が知られていますが、労使共に下請けにしわ寄せして働き以上の収入を得ている・・そこに勤務する非正規もその分け前を貰っている構図が見えます。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170606.htmlに引用されている朝鮮日報社説によれば以下のとおりらしいです。
『朝鮮日報』(5月29日付)は、「韓国の非正規社員、95%は中小企業なのになぜ財閥が反省?」と題する社説
「大企業における正社員の賃金を100とした場合、大企業の非正規社員は62.7、中小企業の正社員は52.7、中小企業の非正規社員は37.4だ。つまり大企業の非正規社員の賃金は中小企業の正社員よりも多いのだ。」
韓国の場合強ければ・勝てば何をしても良いと言う社会意識がこう言う結果になっているのであって正規か非正規かの違いではありません。
他方でシンガポールのような人口小国では、村上ファンドのように大儲けした人を一定数税優遇で誘致して個人金融資産家を加えて行くと平均値が上がります。
メデイアは既成概念がスキですから、人口比で言えば飛び切り少数でしかない裸官をテーマにしたがりますが、数億円ためられる裸官が5人〜10人・・仮に百人いたとしても彼らの億単位の収賄など14億人総計した統計数字的は大したことにならないでしょう。
中国の場合には、一般的な階層間格差よりは地域格差が大きい点に注意する必要があります。
アジア人の一人当たり収入や労働生産性を見ても日本の実力が分らないように、中国としてひとくくりするのは「小さなアジア」平均を言うのと同じで実態が分らなくなる・・中国国内の地域・民族・・連合体として区分けして経済力を見た方が合理的です。
例えば観光客や資源相場などの国際経済に対する影響力を見るには、世界経済に参加している沿海地域の人口や企業を母体にして一人当たり資産や生産力を見ないと中国の本当の影響力が見えないでしょう。
中国の実力・例えば海外旅行者の消費力を見るには、14億の平均値で見ると理解不能でしょう・・沿海地域人口の中間層数千万を基準に見れば分りよいと思います。                      
後進国では先進技術や文化もローテク技術も一斉に入って来るので、北国の春のように、人材層は同時的に花咲く傾向があると書いて来ましたが、中国の場合その人材の層が人口に比例して分厚い点も考慮する必要があります。             
全体としてみれば後進国でありながら金融やスマホを日常的に操る人だけで何千万といますし、資金のプロも先進的な小さな国よりも多くいるし、海外旅行者数でも目立ちます。                    
13日に紹介した記事にあるように中国では、マンションバブルを煽るだけ煽っておいて、過熱し過ぎたと言って引き締めるものの、(この段階でかなり損をした人がいる筈ですが・・)不景気になると再びマンションバブルを煽るとこれにまた食いつく富裕層?がいるのですから(どこから沸いて来るのか?)不思議ですが、層が厚い可能性があります。
レバレッジがかかった投機的金融商品で購入資金調達手法が発達しているようですが・・。
やはり層が厚い・・毎回のバブルに参加していない人が多く2〜3回めのバブルに手を出す人がまだいくらでも残っていると見るのが正しいのでしょうか?
韓国バブルで12〜13日に少し書きましたが、中国でも成長期待がある限り簡単に手じまい・・投げ売りしない・・相場上昇が止まってもそのまま次の値上がり待ちで、持ちこたえる努力をする人が多い・・実際待っていると政府がまたマンション相場を仕掛けてくれた・・この信頼感があるようです。
そう言う見方によれば、中国の成長期待=先高期待感がしぼむと売りが売りを呼び大暴落になる可能性があります。
中国共産党政権には正統性がないから成長持続が必須と言いますが、成長が止まると政権が不安定になるのはどの国で同じです。
成長率も中国全土で見ても仕方がない・・不動産こそは地域差が大きいので、上海等の大都市別の成長率が重要です。
中国全体の景況感よりは、上海に住む人は、上海の景況感で動きます。

中韓・・中進国の罠7(バブルの誘惑→債務膨張2)

韓国の負債増加が異常なので国際的に注目されるほどになった・・過熱気味になったので、16年初期にローン貸し出し審査規制を掛けたらしいのですが、既に遅かったようです。
・・ローン融資規制したところローンを払うためか?第2金融権(日本で言うノンバンク系?)融資が増えて結果的に債務増加に歯止めがかからなくなってしまったことが以下の記事で明らかになります。
http://japanese.joins.com/article/058/226058.html
韓国の家計負債が過去最高…悪性の借金が急増(1)
2017年02月22日11時18分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
昨年末の家計負債総額が1344兆3000億ウォン(約133兆7600億円)と集計されたことを受けて上がっている懸念の声だ。昨年2月に政府が首都圏を中心に融資を強化する与信審査ガイドラインを施行したが、家計負債の増加を封じることはできなかった。 」
・・・相対的に金利が高い第2金融圏の融資が増えたということは、それだけ借金の質が悪くなったという意味だ。金利が本格的に上がればこれに耐えられなくなる家計が増える」
韓国の場合、昨日紹介したように元々ほぼ一文無しの国民が金利次第で借りられるだけ借りる傾向・・アメリカ国民と似ていて金利動向次第で動く・・底の浅さがあります。
その代わり目先の借金をどうする?と言う関心ばかりですから、徳政令等で借金さえ何とかしてやれば不動産の投げ売り・・バブル崩壊の大規模不況には繋がらないメリットがあります。
派手に破裂しないメリットと言うか、逆から見ればマンション価格高値維持のママですから長期的に経済に無理が来ます。
韓国では漢江の奇跡以来過去に何回かマンションバブルとその調整がありましたが、その都度徳政令(借金棒引き政策)で誤摩化して来た結果価格調整を(投げ売りによる相場下落)しなかったので、高値に縛られた個々人でギリギリの生活を強いられて来た原因になります。
徳政令の対象にならない中堅サラリーマンはそのまま払い続けるしかないので金融資産がマイナス僅か3000円しか持っていない結果です。
朴政権で徳政令の対象にならなかったギリギリの人たちの怨嗟の声が大きいことを理由に、文新大統領が徳政令を実施する場合の線引きが注目を集めているのは、(夜逃げするほどの借金でもない)線引きのちょっと上の層が地獄を見るからです。
※デフォルトするとマンション価格が暴落するのでこの防止のためにデフォルト予備軍だけ棒引きする・・100万までの人までが借金棒引きならば、101万以上の人たちはそのまま払い続けるしかないので大変なことになります・・この政策の結果不景気が来る都度中堅層にしわ寄せ・・厳しい生活を強いられて来たのです。
昨日紹介した記事ではキャッシュ保有が日本円で平均3000円ですから、財閥系親族は一人何億円も持っているでしょうから、庶民だけの平均にすれば、もっと悲惨・・多分マイナス家計が殆どでしょう。
これを我慢出来たのは、塩漬けにして置いて無理してローンを払っていてももう一度バブルが来れば先に買っておいた者が得すると言う成長期待だったでしょうが、人口減が始まり成長率を2%を維持出来るどうかになって来ると、この期待に無理が出て来ます。
昨日の記事にあるように成長率期待がしぼんで来た点を無視出来ません。
これが中国より20年早く成長離陸していたにしては、個人金融資産の厚みがない・・しょっ中ヒステリーを起こさないといられない原因でしょう。
この辺が中国人民とは違う・・世界に根を張っている人民が何故か資金を持っていて政府が如何にこれを吸い上げるかのせめぎ合いが(上に政策あれば下に対策ありと言われる)中国です。
政府に煽られて株式に手を出して損をしても自己責任で手仕舞するかの判断であって、高利に手を出してまでローンを維持する(余計首を絞めるので非合理な行動です)方向にはあまり行かない傾向です。
16年中に高利金融が急激に増えている実情が、ワケの分らない急激な感情の爆発・・朴クネ大統領弾劾→新大統領就任による徳政令期待が高まって来た背景の1つでもあるでしょう。
中国の場合、個人がしたたかで地方政府や企業が困って(主として個人事業主等の個人が出資している)シャドーバンキングに頼っているのですが、韓国の場合には個人の経済基盤が弱くて投機的処理に慣れていない・・損切りする勇気がないので、高利借入に移行するので直ちに不動産評価が下がりませんが、高利借金の取り立てに苦しんで売春や自殺が増える仕組みです。
今回の中進国の罠シリーズを通観して言えることは、後から追いついて来た中国と韓国が造船や鉄鋼等その他重厚長大系産業が同時的にダメになって来ていることが分ります。
両国共に中進国の罠を逃れようとして不動産バブルを煽った結果、その後始末の段階に突入しかけている・・ほぼ同時的進行になっているが、中国の方が最先端産業(フィインテックその他高度AI系では元々商業民族系のインドや中国の方が適応力が高いので)で芽を出しかけているなど適応力があるのに対して先行していた筈の韓国が息切れキミで中国に追い抜かれている姿です。
韓国のバブルに戻りますと、マンション価格が既にバブルの天井圏に入っていることは・・融資審査を厳しくしてブレーキをかけたのでしょうが・・以下の相場から分ります。
http://n-seikei.jp/2016/10/post-40192.htmlからの一部引用です。
「2016年7月の報道では、ソウル市内の6月の平均住宅価格が5億ウォン(約4450万円)を超えたことが7月4日、KB国民銀行の住宅価格動向資料で明らかになった。
同行が関連調査を始めた2008年12月以来最高で、5億ウォンの大台を上回るのは初めて。
調査によると、6月のソウルの住宅売買価格は平均で5億198万ウォンとなり、前月比で294万ウォン上がった。
昨年1月の住宅売買価格は4億4,000万ウォンだったが、不動産市場の好調により、1年半で14%上昇、6,000万ウォン近く値上がりした。平均しての値であり、場所によってはバブルに陥っていることを表している。
建て替えが進んでいる江南地域が上昇を主導。同地域の6月の住宅売買価格は5億9,161万ウォンとなり、下半期中に6億ウォンを超えるとみられる。
「 韓国経済は、依存率№1の中国経済が低迷したことを受け、自国経済も低迷、景気対策に金利を引き下げたことによるものだが、住宅需要の増勢から建設産業や住宅関連産業の景気を押し上げているのも事実、金利を上げれば需要が萎み、長い間、景気を主導してきた輸出産業が停滞する中、景気を悪化させるというジレンマに陥っている。
輸出で景気を主導してきた中国とも似ている。中国では、あまりにも不動産バブルが高じて規制強化を図ったものの景気低迷に陥り、金利を低下させたうえ、再び規制緩和へ動き、1年も経たずして、不動産新築価格が前年同月比20~30%超と暴騰、今月に入り、すでに20都市以上で不動産購入の再規制を実施している。」
中国の方がこの道では大先輩で、バブルになって引き締めて、景気が悪くなるとまたバブル再燃させる・・出たとこ勝負の素人運営とも言えるし、圧したり引いたり自由自在の巧みさとも言えます。
この繰り返しが使えるのは、韓国と違い(一旦バブルが弾けても塩漬けにして待っていればまた上がる・・中国の場合地域差がありますが)上海等ではまだまだ成長が続いている実態があるからです。

中韓・・中進国の罠6(バブルの誘惑→債務膨張)

町金融関係のテーマになったところで、再び韓国の原状に戻ります。
韓国では現在個人債務の急膨張が危険ラインに達していると言われているので、国内景気維持のための内需拡大はこれ以上は無理そうなイメージです。
内需=消費拡大は消費者の経済力が限界を画します。
貿易黒字には「良い黒字と悪い黒字がある」と言われますが、この後で紹介するように韓国中国の場合、輸出額が減っているのに輸入がそれ上に減っために黒字になっている関係で、いわゆる悪い黒字です。
中国の出血輸出のカラクリを説明したことがありますが、原価割れ販売の出血輸出では、先ずその企業がその内仕入れ出来なくなる・・輸入が減って行きますが、蛸足配当のようなもので従業員に節約を求めているうちに、国民一般にも及ぶ・・国民の消費を節約して輸出に励んでいれば、国民窮乏化が進みます。
食堂で言えば従業員の食事分を削ってお客に出しているようなものです。
しかも韓国の場合、貿易収支の黒字分・・儲けが、外国資本の収益になって国外に出て行き国民福利とあまり関係がないと言われている国情ですからなおさらです。
サムスンで言えば、54%が外資と言われています。
ただしサムスンは税引き前利益に対する株主配当率が低いから、利益率が低いのに高率配当している日本企業よりも絶対額としての国外流出分は少ないと言う反論もあるようです。
その場面だけでは理屈があっていますが、内部留保されている結果将来吐き出すときには株主に行くしかない点・・いつ払うかの違いでしかないのですから、国民に行かない点は同じですから、国民に行くか外資に行くかの議論を誤摩化すための的外れな反論です。
外資率が高い・多額の負債があると言うことは、内弁慶でなく国際市場で評価されていると言う逆の意味もあるようですが・・。
サムスンに限定すればこの辺は当たっている面があるでしょうが、この種のメデイアの議論のおかしさは借金が多いのは信用されているからで、借金のないお金持ちは信用されてないなどと批判しているのに似てどこか倒錯しています。
日本国債の自国内保有が多い・・だから借金としても国内でのやり取りに過ぎず、次世代に借金だけが残る訳ではない・・国債保有者の債権も相続すると言う主張封じのためにか?外国人投資家に人気がないのはおかしいと言うイキナリ変な方向から矢が飛んで来ます。
借金したい・・資金繰りの苦しい者同士の比較で言えば、借金したいときに貸してもらえる企業や人の方が信用が上ですが、自己資金豊富で借りなくとも旅行したり家屋敷を買える・・あるいは店舗の模様替えを出来る人や企業を相手に・・「俺は50万まで直ぐに借りられる」と自慢してもそれは貧乏人同士の自慢でしかない・・恥ずかしいだけの関係であることに気が付かないおかしさです。
韓国では労働分配率が低い所為か?個人負債が急膨張して国際的指摘を受けるまでになっています。
韓国の家計負債の現状に関する以下の記事は約1年前のものですから、その後1年で家計債務が更に拡大しているのですが、原因の分析もあって分りよいので少し長いですが、紹介しておきます。
http://www.data-max.co.jp/280712_ry_02/
2016年07月11日 15:19国際
韓国経済ウォッチ~膨らみ続ける家計負債(前)韓国経済ウォッチ
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「・・・韓国経済にも低成長が定着し、わずか2%くらいの成長しか期待できなくなっている。また、造船などで一時期活況を呈していた蔚山(ウルサン)などは、深刻な不景気に悩まされている。
・・・韓国の家計負債は膨らみ続け、世界各国の主要機関も韓国の家計負債に警鐘を鳴らしている。」
「・・・負債を返済できる能力を評価するときに、よく使われている可処分所得に占める家計負債の比率というのがある。韓国の可処分所得に対する家計負債の比率は、去年すでに163%を超えている。負債の多いアメリカの113%と比較しても、もっと高いのが韓国の家計負債である。」
韓国政府が政府が如何にして不動産バブルを中国同様に誘導して来たかが、以下の記事で分ります。
「・・・韓国家計負債の74%を占めているのは、実は住宅ローンである。韓国の住宅ローンの特徴は、元金を払わず、利子だけを払うという点である。利子だけを払うことになっているので、まだ問題が顕在化していないが、満期が集中している2019年には元金をも払わないといけないので、大きな問題になるという指摘がある。
 住宅ローンのもう1つの特徴は、集団ローンと言う制度である。この集団ローンは、建設会社が金融機関と交渉をして入居者に用意するローンであり、個人への個別審査はない。」
「・・・もう1つの要因は、韓国の住宅制度そのものにある。
・・「全貰(ジョンセ)」という制度があるが、今、その全貰と言う制度が崩れつつある。大家は家を貸すときにテナントから保証金を預かり、その保証金を運用する。ところが、低金利時代が到来することにより、大家は資金を運用するところがなくなっている。運用先を失った大家は、これまでの全貰から、毎月家賃をもらうことができる「月貰(ウォルセ)」に切り替えている。
・・毎月家賃を払うことに負担を感じるようになった若い層は、これを機に少し無理をしてでも住宅を購入しようということになる。金融機関も住宅ローンは、担保があって一番安全だし、住宅ローンは良いビジネスになるので、積極的に住宅ローンを販売する。
 ・・・住宅を買う側も金利が安いので、この時期に住宅を購入しようという心理が働いて銀行の融資が増えていき、それによって家計負債は膨らみ続けている。」
もう1つの原因は、韓国の不景気である。韓国の40代、50代の平均資産額は3億4,000万ウォンくらいだという統計がある。資産と言っても、キャッシュは3万ウォン前後で、後は不動産などで所有している。だが、景気が低迷しているので、足りない収入を金融機関から借りたお金で賄っているのが現状であろう。」
「アメリカの金利上げ、不動産バブルの崩壊、さらなる景気悪化など、不安材料はいくらでもある。ある専門家のシミュレーションによると、不動産価格の下落より、金利上げのほうが家計負債への影響が大きいようだ。」
2%台の低成長に入った韓国が不景気対策としての金利下げ→マンション景気へ誘導→建設関連の裾野の広い内需拡大を目指したことが、マンションブームを引き起こしたことが、上記記事で分ります。
資産と言っても不動産に特化していて4〜50台の中堅世代が「キャッシュは3万ウオン前後」・日本円で僅か約3000円しか持っていないと言うのですから驚きです。
もしかしたら一けたか二けた(マルが二つくらい抜けてしまった)誤記かも知れませんが、それにしても不動産に資産構成が特化している様子が見えます。
中国のように転売目的比率が高くないとすれば、相場下落はそれほどの痛手にはならないとしても過大な借金による分・・金利動向が死命を制します。
借金だらけの実情を明日紹介しますが、本当に手持ち金ゼロ・・ギリギリその日の買い物に必要な限度でサラ金から借りて買い物をしているのかも知れません。
金利が少し上がれば、支払に窮するようになる・・住宅ローン支払に困って高利に手を出す段階です。

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私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

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また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。