習近平氏の出方待ちのイメージで就任後抑制していた米海軍の航行の自由作戦を南沙諸島で再開しました。
5月〜7月2日の短期間で連続ですからかなりボルテージが上がってきました。
その上、電話会談予定の数時間前というのですから、これにぶっつけたことは明らかです。
http://www.bbc.com/japanese/40477371 2017年07月3日
「米海軍は2日、南シナ海で中国とベトナム、台湾が領有権をめぐって対立する島々の付近の海域を通過する「航行の自由作戦」を実施した。
米海軍の駆逐艦「ステザム」は西沙(英語名パラセル)諸島のトリトン島から12カイリ以内の海域に入った。
中国はこれを受け、「深刻な政治的かつ軍事的挑発」だと批判し、「国家主権と安全を守るためにあらゆる手段」を取ると述べた。
作戦が実施された数時間後には、事前から準備されていたドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との電話会談が行われた。
トランプ大統領が就任した今年1月以降で、「航行の自由作戦」が実施されるのは2回目。5月には駆逐艦「デューイ」が南沙諸島(英語名スプラトリー)で中国が建設した人工島から12カイリ以内の海域を通過した。
ジェームズ・マティス国防長官は数日後、中国が人工島を軍事化するのを米国は容認しないと述べた。」
トランプ氏は台湾への武器売却もセットで発表しています。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6245219
【ワシントン、北京時事】ロイター通信によると、中国の崔天凱駐米大使は29日、トランプ米政権による台湾への武器売却と、北朝鮮問題で中国企業を制裁対象としたことについて、「そうしたすべての行為、とりわけ台湾への武器売却は、相互の信頼を損ない、(4月に)フロリダ州で行われた中米首脳会談の精神に逆行するものだ」と批判を展開した。(時事通信)
4月の会談で習近平氏は口先だけで何らの内容もなかった点を・・会談直後にトランプ氏は「まだ何も結果を得ていない」(約束だけだ)と繰り返していた記憶です・・「いつまで待たせるのだ!」というトランプ氏の怒りについて習近平は頬っかむりのままです。
最近ではついに中国に対する不公正貿易国認定の調査命令に署名したとも報道されています。https://mainichi.jp/articles/20170813/k00/00m/020/151000c
対中制裁へ通商法301条調査 北朝鮮対応迫る
「・・・米企業が保有する知的財産権の侵害や、中国進出時の技術移転の強制について調べ、「不公正行為」があると判断すれば、中国製品に高関税を課すなどの制裁措置を発動する方針。制裁に向けた手続きを進めることで、中国に北朝鮮への圧力強化を迫る狙いもあるとみられる。」
中韓共に約束を守る気持ちなどテンでない民族であることをトランプ氏も知っているから//騙されたことで余計腹が立つのでしょう。
日本にとっては、米中の取引がうまくいっているよりは、関係がギクシャクしている方がありがたいのですが・・。
それにしても、トランプ政権がもうちょっとしっかりしてほしい気持ちの人が多いのではないでしょうか?
トランプ氏の要求は先が見え透いているから分かり良すぎる・却っていつドンデン返しがあるか知れない・・先が読めない不安定さの基礎です。
目先で動く人はその場の損得で動くので中長期的動きを読めない・・幼児のご機嫌をとるのは簡単ですが、その代わり半年先の約束が成り立たないのと同じです。
取引外交では、その場その場での相手との取引で、従来の日本との過去の約束を破っても、目先の取引を進めた方が得と思えば目先の有利な交渉に乗ってしまうとすれば、アメリカとのどんな約束も意味がなくなります。
アメリカにとって日本が何の利用価値もなければ黙って日本にこれと言った要求をせずに、日本素通りの米中結託になりかねないので・・信用がないと言うに帰しますが・・それが一番日本にとって困ったことです。
トランプ氏に対するこのような不安は米国に頼ってきた諸外国が抱いている不安です。
アメリカ相手の外交では強力・無茶な要求があったときには国難と捉えるべきではなく、交渉解決出来るチャンスと見るべきでしょう。
企業で言えば狙い撃ちされたときにこれを後ろ向き・危機と捉えずに,懐に入って成功する事例が多いことも外交の基本として参考になります。
昔からアメリカの鼻息を窺う外交が世界の主流でしたが、今後4年あるいはトランプ氏失脚がない限り鼻息を窺う度合いが高まる・・世界中とアメリカの関係が専制君主に対するような露骨な変な関係になると、中国政治家の方が専制君主に対する対応と権謀術数では経験豊富ですから今後有利になる可能性があります。
現在トランプ政権とロシア関連がメデイアで報道されていますが、メデイアへのロシアの食い込みが半端だから騒がれているだけで中国の方が幅広く浸透している可能性さえあります。
ちなみに戦前戦後を通じてロビー活動(資金をつぎ込んで食い込むアメリカ的表現)等で食い込んで来た結果、(例えば蒋介石の妻宋美齢のルーズベルトとの関係はよく知られている通りです)日本は痛い目に遭いましたが、戦後も成功体験を踏襲しているのが中韓政府です。
近年の慰安婦像設置等宣伝活動資金も(韓国政府自体が資金を出せません・・民間活動だから言論の自由という立場ですから多段階資金洗浄しているでしょうが、実質資金比率は中国系の豊富な裏資金が基礎になっていると言われています・・南京大虐殺などはもちろん中国資金です・・これからは従来以上にもっと中国に有利な時代が来るかも知れません。
何しろトランプ氏には正義の基準がなく、その場その場でより有利な条件を出す方に飛びつく単純論理ですから、勢い裏資金の跋扈が激しくなる宿命です。
日本が愚直に正義の基準だけに頼っているとルーズベルトによって日米戦争に引きずり込まれたように再び大変なことになるリスクがります。
日本はこの点では痛い目にあった経験済みですから、この2の舞だけは避ける知恵・・これが安倍総理がイの一番にトランプ新大統領と面会した動機ですが、企業利益の基準を併せ持つしたたかさが必要です。
上記はアメリカが今後も世界の覇者であり続ける場合のことであって、これまで書いてきたようにトランプ氏の出現はこの地位を転げ落ちるきっかけになる可能性が高い・・アメリカの本来の民度レベルに戻るだけのことですが、・・・過去の実力に見合った格式を維持するのが難しくなったことの始まりでしょう。
トランプ氏就任後半年以上経過で、彼が実現しそうな政策として何が残っているかですが、最大のテーマであったオバマケアの改廃はほとんど絶望的になってきましたし、北朝鮮政策も何を生み出しどう言う結果を導くつもりなのかよくわかりません。
確かにこれまでの微温的政策は北朝鮮を増長させるだけでしたが、それは他に取るべき方法がないからそうなっていたのですから大統領が変わっても取るべき方法がない点が変わることはありません。
日本で言えば、普天間基地移設先は多種多様な選択肢の中からもっとも被害の少ない現実的な場所として決まってきた経緯があるのであって、その対案を示さないまま「少なくとも県外へ!」と言うスローガンで政権を取ってみたら県外移設への下準備もなにもしていなかった・・八ッ場ダム工事中止とその後の撤回も同様です・・いろんな分野で野党時代の主張は根拠のないものであった結果・・ほとんど何も出来なかった鳩山政権と似ています。
この辺は五輪準備を約1年間先送りした結果に終わった小池都知事の築地市場移転見直し騒動も同類に評価されるべきでしょう。
(今はメデイアが小池劇場を煽る方向性が激しいのでその種の批判・マイナス意見は表に出ませんが・・何を報道するかは編集権だというでしょうが・・)