独仏の原子力政策と環境条件2

http://www.de-info.net/kiso/atomdata03.html
ドイツのエネルギー関係データ
ドイツの電力輸出入
「柔軟性の低い大型発電所
需要の変動に対応し、再生可能エネルギーによる供給の変動を補完するのは従来型発電であるが、恒常的な需要、いわゆるベースロードをカバーする原子力発電や褐炭・石炭発電は常に一定量の発電を続け、容易に出力を落とせない。
いったん落とせば再稼働のためのウオーミングアップに膨大なコストがかかるからだ。とくに、国産の褐炭による発電は競争力が強く、高水準の発電が続いている。これに対して、臨機応変の稼働が可能なガス発電はコスト的に採算が合わず、設備の増強は進んでいない。
外国に引き取ってもらうことも
この結果、電力供給が国内需要を上回る状態が続いている。電力利用の効率化や景気の不振で需要が低下傾向にあるのも要因だ。
このため、電力取引所における価格は低下をたどっており、2015年はメガワットアワーあたり31.6ユーロとヨーロッパでも2番目に低いレベルにある。そのため、オランダなど価格水準が高い国や供給力が弱い国は有利な価格で調達することができる。
昨日紹介したところによると、最も電力料金の高いドイツが輸出超過国になっているカラクリには、上記事情・・過剰生産(不採算による差額を政府による高額買取制度で))を物ともせずにどんどん再生エネルギー生産をして、その分を市場相場で成り行きによって輸出していることによるようです。
いわば国内需要を超えた過剰生産させて余剰分を輸出に回させる・・その差額損失を政府が持つ(高額買取制度)のですから、中国が国有企業に採算無視の過剰鉄鋼生産させて国際市場にダンピング輸出させる・・企業赤字は国が面倒を見ているダンピング輸出と同じ構図ではないでしょうか?
ドイツでは原子力発電縮小が続いてもうまく行っているという日本の報道そのものはそのとおり・虚偽ではありませんが、近隣国疲弊政策とセットになっている点を合わせて報道すべきでしょう。
その上ドイツはもともと原子力に頼らずとも豊富な褐炭等の国内資源でかなり間に合っていたことを無視できません。
褐炭で間に合ってはいるものの先端技術であり将来の核兵器転用技術を確保しておきたい思惑から原子力にちょっと頭を突っ込んでおこうとしていただけだったから、原子力の将来性がないと分かれば危険を冒してまで研究開発する必要がない・「今後は再生エネルギーだ」と方向を極端に切り替えた単純性のように見えます。
韓国のように戦後はアメリカが覇者とならばアメリカ一辺倒(いきなりキリスト教徒が増えます)、今後は中国となれば、中国一辺倒という乱暴な政治です・・とあっさりと縮小方向へ舵を切ったように見えます。
日本同様の無資源国フランスでは電力用資源の輸入代金負担が大変ですから、日本の事故後でもやはり原子力の方がいいかという点では事故直後でさえ賛否が揺れていたようです。
揺れながら時間をかけて(得心を得て)方向を修正して行く方が社会の安定性があるように見えます。
以下は前オランド政権誕生ころ・約5年前?・・民主党政権が討論型世論調査を実施した時期とだいたい合っている・・かなり古い論文ですが、それでも以下の通りです。
http://www.chuden.co.jp/resource/corporate/catalog_05_ba_vol6_07.pdfによるとドイツの赤字輸出の構造は以下のとおりです。
「東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年経った2012年5月に実施されたフランス大統領選挙では、原子力推進路線を維持することの妥当性を主張する保守政党のサルコジ氏と「減原発」を主張する社会党のオランド氏が争うことになった。
決選投票にもつれ込んだ結果オランド氏が僅差でサルコジ氏を破って大統領に選出されたが、これで原子力政策が抜本的に転換するわけではなさそうだ・・さらに、オランド大統領は原子力政策審議会に先立つ9月14日に、フェッセンハイム原子力発電所を閉鎖する条件として「立地地域の電力供給が保証され、発電所跡地の再転換や雇用が確保される」ことが前提であると述べている。
このような情勢を踏まえると、オランド大統領の在任中に従来からの原子力政策が大きく転換する可能性は低い。
では、フランス国民の原子力に対する意識は変わったのか。環境・持続可能開発・エネルギー省は12年8月に「フランス人とエネルギー」と題するフランスの原子力発電に関する世論調査を発表した。
この調査では「フランスの電源構成の4分の3を原子力が占めていることは、全ての点を考慮して、どちらかと言えば利益か、不都合か」という設問形式となっており、福島原発事故直後の11年7月には、「どちらかと言えば不都合」を選ぶ割合が50%に急上昇したものの、12年1月には再び「どちらかと言えば利益」を選択する割合が47%に上昇した。ここ10年間は「どちらかと言えば利益」とする割合は40%後半から50%前半で推移しており、福島第一原子力発電所事故の心理的な影響は一時的であったことがうかがえる・・・」
国益との兼ね合いで反原発のオランド政権でさえ実務に着くと大幅縮小をできなかったことが紹介されています。
ただしドイツの再生エネルギーの安値攻勢によって電力輸入国に転じた経緯はどう論文の続きによれば、以下の通りです。
「ドイツの脱原発と再エネ増加による影響
「前述の通り、フランスは原子力開発を積極的に進めた結果、英国、ドイツ、イタリアといった周辺国に国際連系線を介して余剰電力を大量に輸出する国となった。しかしながら、ドイツやスペインで風力発電設備等の自然変動電源が大量導入されるようになった00年代以降、国際的な電力輸出入の状況は変わりつつある。
例えば、ドイツの固定価格買取制度では系統運用者が再生可能エネルギーを全量買い取って、電力取引所に安い価格であっても成り行きで売却する。
その結果、需要が少ない夜間・休日には大量の余剰電力がドイツから周辺国に流れ込むことがある。このような場合、フランスでは火力発電に加えて原子力発電までが出力低下運転を行い、周辺国からの再生可能エネルギー電力をフランス国内で消費している。このため、周辺国への輸出電力量は年々減少している状況であった・・・」
上記を日本に当てはめれば、大手電力相場の2倍(分かりよい数字にしているだけで実際に2倍ではありません)の高価格で太陽光電力などを買いとっている場合に、その差額負担を電力会社だけではなく、消費者に求める問題が起きてきていますが、高価格で買い取った電力をドイツは電力会社や国民の電気料金に反映せずに・・日本と違い国際送電網が発達しているので・・市況のまま・・上記例で言えば、買取価格の半額で国外に売っている仕組みです。
「市況で売却する」といえば正常価格のようで聞こえがいいですが、ドイツが成り行きで大量に売れば市況自体が下がります・・中国の鉄鋼ダンピング輸出だって市場相場で売っているのですが、寝さgrウィおものとsメイズに売り込めば正常な市場価格が下がって行きますので世界が困っているのと同じです。
市場原理制度は適正コストまで下がるとそれ以下の売りがなくなる・・短期的には倒産寸での資金欲しさのバッタ売りがあってもそれは続かないのでそのうちに適正相場で落ち着く仕組みです。
中国のようにいくらでも国家資本で補助して際限のない低価格・コスト以下の販売競争を挑んでくると正常企業の方が資金負けしてしまいます。
だからこそ世界中で中国の鉄鋼製品赤字輸出を問題視してきたのです。
これが各国国内法・・独禁法で規制している不当廉売禁止の法原理です。

独仏の原子力政策と環境条件1

まずは、日本同様に電力資源の大方を輸入に頼っているフランスがどうしているかを見て行きましょう。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
先月17日のIEA(国際エネルギー機関)の発表では、
「フランスは、IEA加盟国の中でも低炭素エネルギー構成を実現している先進国。2015年でのエネルギー全体に占める化石燃料比率は47%に過ぎないが、エネルギー全体に占める原子力比率は46%(資料1)、電力分野での原子力比率は78%(資料2、資料3)となっている。」
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
「電力量当たりのCO2排出量の推移(資料10)やGDP当たりの化石燃料由来CO2排出量の推移(資料11)を見ると、原子力大国フランスが常に低位安定であることがわかる。
日本で2011年以降に上昇しているのは、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で日本国内の原子力発電が、一部では再稼働し始めているものの、実質的にほぼ全面停止状態に置かれているからである。」
上記を見るとフランスでは今でも原発依存度が78%もあり、原発比率の低いドイツでは電気コストが高くなっていることがわかります。
ところが、安いはずのフランスが電力輸入国でありドイツが輸出超過になっているのですから分かりにくいのは、西欧のほとんどが加入している送電線共通システムによって、電力の市場売買が成立している結果によると思われます。
http://www.renewable-ei.org/column_g/column_20150907.php
ドイツなしには成り立たないフランスの電力
2015年9月7日 林佑志 在独コンサル会社 欧州環境政策調査員
「ドイツの再エネが拡大し、脱原発も順調に進んでいると聞けば必ず出てくるのが「でもドイツはフランスの電力を輸入しており、原発の電力を使っているではないか」という反論だ。
フランスとの関係を見る前にドイツだけを見れば、物理的な電力フローではドイツは35.7TWhの輸出超過であり 、発電容量もピーク時をゆうに上回る設備を抱えており、あえてフランスから電力を輸入する必要はない。」
フランスの高圧送電系統の運営会社RTEが公表しているデータでは、実際の商業取引ベースで見た場合、2014年にはフランスはドイツから13.2TWhの電力を輸入している一方、輸出はわずかに7.3TWhであり、純粋な電力輸入国となっている ⅲ 。」
http://www.de-info.net/kiso/atomdata16.html
ドイツのエネルギー関係データ
ドイツにおける2015年の褐炭
産出量は約1億7,800万トンで、中国を上回り、世界第1位である。
産出量の約90%が国内の発電および地域暖房に消費される。それ以外は産業内自家消費およびブリケットに加工して販売される
巨大な掘削機で採掘された褐炭はそのまま近接する大型発電所に送られ、微粉化されて高効率の発電がおこなわれる。
褐炭による発電量は1,550億KWhで、全体の約23%を占める(2015年)。CO2排出量が多いこともあって、削減される方向にある。」
「ドイツのエネルギー資源 - 自給率、輸入依存度、輸入先
「ドイツのエネルギー自給率は原子力をゼロとしても約30%で、比較的高い。
一次エネルギー消費の12%を占める褐炭および11%余りを占める再生可能エネルギーが100%国内産であるほか、石炭や天然ガスも国内産が10%を超える。」

下の2つのグラフのうち、上はそれぞれの国との国境を通過した物理的電力量、下はそれぞれの国との間の商業的取引量である。
  データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値

 

5. 追 記
ドイツではエネルギー転換に伴ってさまざま問題も生じている。しかし、それらの問題は長期的な目標を達成していく過程でのことである。目標とは輸入燃料に依存しない、確実で安定したエネルギー供給、安全で安心、環境にやさしいエネルギー供給であり、ドイツを世界で最もエネルギー効率の高い、豊かな国のひとつとすることである(エネルギー・コンセプト)。再生可能エネルギーへの転換に伴うさまざまな問題を克服するために、発電、蓄電、エネルギー効率、環境などの面で技術開発やノーハウ蓄積が進められているが、それは将来にわたってドイツの国際競争力の維持・拡大にも寄与していくとみられている。(参考:「エネルギー転換に関するドイツ産業界の基本的考え方」)

上記の通り、ドイツと日本とではエネルギー資源・・基礎的体力条件が違うのですから、日本の場合、輸入代金の急拡大にどう備える事が可能かの研究・議論の蓄積先行が不可欠です。
ちなみにドイツは総合的に見て電力輸出超の国らしいです。
日本のように1国閉鎖電力社会の場合、最大需要期が(夜間電力も休日も同じ)ほぼ同時的ですから、設備を最大需要に合わせるしかないのですが、西欧諸国では送電網が行き渡っているのでドイツは冬に暖房用需要期が最大であるのに対し、夏は電力不需要期・・南欧諸国は最大需要期になっているなど、欧州の電力相互供給体制は合理化されているようです。
ただ、ドイツの電力が国際競争力があるのか?というとそうではなくてドイツは自国資源である褐炭などの自国資源利用中心のために、(一旦止めると再稼働に膨大なエネルギーが必要)需給に合わせて稼働率調整できない無理があるから、不需要期に赤字輸出している事が原因らしいです。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
に戻ります。
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
電気料金の高いドイツからの電力輸出がなぜ多く・輸出超になるのでしょうか?
これには一種のダンピング輸出のカラクリがあるようです。

フェイクニュース7(データの正確さ)

現在の世論調査の方法は、戸別訪問しないで一定の乱数表に基づいて選んだ電話番号に・・せいぜい数千人規模・・自動的に電話をかけるシステムを構築していて、かける電話も録音内容を機械的に流すだけで大したコストもかからないし簡単に出来るようになっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%AB%96%E8%AA%BF%E6%9F%BBによると以下の通りです。
標本数を算出するための公式がある(式は省略)。無限に数が多い母集団(「無限母集団」という。日本国における実際の母集団の数は約1億3000万)を対象に、信頼水準を95%として、標本誤差を5%以下とするために必要な人数を、高校で習う公式に当てはめて算出すると、「384人」と算出できる[3]。つまり、世論調査の標本数が384人以上なら、その調査は信頼できるということである。標本のサイズが大きいほど誤差が小さく、数千人の標本数だと、標本誤差は±3%以下になる。1万人を超える標本調査だと誤差を±1%以下にまで抑えられるが、標本のサイズが大きいほどコストが大きくなるので、世論調査にかかるコストと、誤差のバランスを考慮して、日本の世論調査ではだいたい数千人くらいの標本調査で妥協している。」
固定電話だけだと年齢層に偏りがでる批判から、最近携帯を利用した調査を併用する調査が増えているようです。
アメリカ大統領選での討論があってその翌日あたりにはどちらのポイントがいくつ上がったとか下がっとかの数字がすぐに出るのは簡単な調査方法によっているからです。
我が国でも、内閣改造があると数日後には世論調査内容が発表される訳です。
こうした世論調査の安易性を前提にすると「国家百年の計」ともいうべき原発政策に関して多数あるメデイアがこの5年間全く世論調査しなかったとすれば(私が探しきれないだけかも知れませんが)・・それ自体が異常・意図的な疑いが起きます。
堂々と討論できる出席者だけの意見とサイレントマジョリテイーが多く含まれる世論とでは、大幅に異なるのが普通であることについては、マンションや大規模工場などの新規立地説明会出席者の意見が全住民の意見比率とは大幅に異なることを例にして20日に書きました。
5年前の原発ゼロの是非に関する「討論型」調査結果47%を現在の世論であると主張することも、仮りに直近で世論調査していないとすれば、形式的な虚偽報道でないとしても単なる編集権の問題ではなく事実調査を意図的に回避している・・メデイアにとって不都合な予測がある時には5年間も調査をしないのか?という疑いが起きます。
国民関心の低い分野についてしょっちゅう世論調査する必要がないでしょうが、前々回の都知事戦の時に原発廃止を主張する細川元総理が立候補したこともありましたし、この後で紹介する現在の民進党の党首選挙戦でも大きなテーマになっています。
メデイがしょっちゅう話題にしながら、ムードを煽るばかりで「世論調査を全くしないのは奇異」としか言いようがありません。
そもそも東北大地震は11年3月ですから、それから今まで6年間以上の長期にわたってメデイアは原発の怖さを煽るばかりで、12年夏に民主党が長年主張してきた反原発運動に都合の良い結果が出るように政府主催で「討論型調査」だけして満足し(これが自民党政権ならば、政府調査の仕方を批判し平行調査していたでしょう)、民間で平行調査する気持ちもなかった・・討論型調査の前後を通じて国民意識調査を全くしなかったこと自体が異常です。
せっかく民主党政権が47%反対の公式記録を残したのに、新たに調査すると朝日新聞やメデイアの意図する方向と反対世論結果が出るの防ぐためにメデイアはこぞってその後一切の世論調査をしていないままにしている疑いが濃厚です。
そこで、「30年まで原発ゼロ政策に関する世論調査」で20日現在でネット検索すると12年の「討論型調査結果」を紹介する日経新聞と2012年8月21日ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)「日本のエネルギー政策に関する国際世論調査」で「世界は7割が原発ゼロを支持」の2件シカ第一次的に出て来ません。
(次々の検索をすれば出るのかも知れませんが、そんな暇がありません・・5年前の記事が真っ先に出て来ることやその後の新しい大手メデイアの世論調査の結果が出る順位が下位になっていること自体不思議ですから普通に考えれば全くやってないか、やっていても不利だから?公表していないということでしょうか)
上記の2件の内、編集権の問題とは言え国際社会では「7割」という誘導的報道の影響力の大きさです。
内容を見ると政府など責任ある意見ではなく、ネットで理想的な「希望」を聞いたに過ぎないことが分かります。
「それぞれの回答を選んだ理由について、ゼロシナリオを選択した回答者のうち、「原発は事故のリスクが大きすぎる」(ゼロシナリオを選択した回答者の36%)「人類は核廃棄物を管理できない」(同17%)と、原発のリスクや核廃棄物の危険性を挙げた回答が最も多く、同シナリオ選択理由の53%を占めた。また、「日本が世界に規範を示すことを期待して」(同10%)のほか、「再生可能エネルギーをもっと増やせば実現可能」(8%)「省エネやエネルギー効率化で実現可能」(5%)と再生可能エネルギーへの期待や、エネルギー消費の見直しを求める意見が見られた。」
今朝の日経新聞朝刊3pに民進党代表選候補者双方の主張を表にしていますが、原発政策「30年代ゼロ目標」に関しては枝野氏が「どうすれば原発ゼロにできるか工程表を示し年内にも法案提出したい」前原氏は「30年代ゼロを目指してあらゆる政策資源を投入。工程表もしっかり作る」というものです。
これによれば、党内で「30年までにゼロにする」という主張自体を表明できる勢力がないことが明らかで、蓮舫党首が党内意見を全く無視していた・党首として党内運営能力さえなかったことが明らかです。
30年までゼロではなく、「30年代」という漠然とした目標にランクを落としてさえ、両代表共まだ工程表すら準備がなく、子供の夢みたいな主張にとどまっています。
そもそも主張というのは、こういうことで実現できるからこの案でどうでしょうかと提案するものであって、できるかどうかわからないが、まず主張するというのでは責任ある・大人の意見と言えるのでしょうか?
「何時までにどこそこへ行きたいがどのコースがいいか」という場合、,A案ならばどこそこ経由で10分前に着く、B案ならば2回乗り替えで15分前に着くというように物事は具体的です。
「行けるかどうかわかりませんが、C案はどうでしょう」と言ったら笑われます。
子供の夢は・・根拠なくパイロットになりたいとかノーベル賞を取りたいというのは「夢があっていいね」ということですが、・・政策発表は、具体的な実現可能性を前提にすべきことです。
実現準備のない「少なくとも県外へ」八ッ場ダムその他の実現性のないスローガンに自己陶酔していた鳩山政権=結果的に民主党が自滅したのですが、いまだにこの程度です。
ま、今回は工程表を作るというだけマシですが、政策発表をする以上は「こうやって実現する」という工程表があってから発表すべきではないでしょうか?
「国民を今より豊かにする」「好景気にする」「平和を守る」と言うスローガンだけなら誰でも言えます・・どうやって実現するかの道筋の提示があってこそ国民が選択出来るのです。
国家の原発政策としてドイツが原発全面廃止を決めたと原発事故当時〜以降大々的に報道されていましたが、それには資源国のドイツが元々原発に頼る比率が低かった現実を前提に資源のない日本との比較が不可欠です
その上で日本がどうやって実現すべきかということです。
環境条件の違うよその真似だけ主張してもどうなるものではありません。
広大な農地の広がるアメリカの真似をして飛行機で種まきをするのが正しい農法だと言っても意味がないように、おかれた環境に応じた生き方・産業があるのです。
以下原子力発電大国フランスから安く電力供給を受けられる関係をネット等で報道されていましたが、その虚実あるいは、環境条件などを探って見ましょう。

フェイクニュース6(根拠なき世論断定)

数十年来の原発拡大政策について東北大震災後に始まった見直し→縮小廃止に関する世論動向変化について続けます。
ここから8月12日まで連載してきた「メデイア誘導・フェイクニュースの限界5(NHK報道から2)」の続きになります。
     http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44879
 再生可能エネルギー政策の抜本的見直しが始まる
2030年に向けて制度改正、事業者は生き残れるか
2015.10.05(月)「経済産業省で再生可能エネルギー政策の抜本的な見直しに関する議論が始まっている。固定価格買取制度が始まったのは2012年、この3年間で再生可能エネルギーを囲む環境は大きく変化しつつある。
 主な点を上げると、想定以上の太陽光発電の大量導入による消費者への価格転嫁、電力系統の逼迫、原発の再稼働、電力自由化の進展、長期エネルギー見通し(エネルギーミックス)の確定といったところであろう。・・以下詳細省略」
今は原発事故後6年も経過していて事故後のパニック的状況がかなり薄らいで落ち着いた状況ですから、この辺で原発稼動に関する冷静な国民意識を探る必要があります。
もしも現時点〜1〜2年前の世論調査をしないまま、5年前の活動家中心?の意見調査に基づいて「世論がこうだ」と大手新聞が断定しているとしたら乱暴でしょう。
メデイアのフェイク傾向?の続きを書いていきます。

蓮舫辞任の朝に朝日新聞が出したお詫びの記事


蓮舫辞任の朝に朝日新聞が出したお詫びの記事
「民進党の蓮舫代表が辞任した。昨年8月29日に「夕刊フジ」とネットメディア「アゴラ」で「蓮舫にまさかの二重国籍疑惑」という本格的な追及を始めてから、11か月でひとつの決着が付いた。
この問題の発端から、ほとんどのマスメディアは、ほとんどこの問題を報じなかった。それは現在でも続いており、テレビ番組でそれには言及しないようにいわれたり、原稿でもその部分をカットされたりすることは日常茶飯事だ。」
それどころか、蓮舫辞任の日の朝日新聞朝刊は、「訂正しておわびします」というコーナーで、二重国籍について、国籍法が努力規定であると間違えて記述した。正確には国籍法では国籍選択は国籍法14条で 選択義務があり、努力規定は選択した後の外国国籍の離脱についてが努力規定だけだった、とした。」
「そもそも、二重国籍はそれを認めている米国ですら、好ましいものでないとしている。
まして、世界中で、①その国の法律で許されない国籍のあり方だとか、②国籍についての経緯を公開しないとか、③うそをつく−−のどれかでもしたら政治家をやめるのが常識だ。それがすぐに実現しなかったのは、必要なしという国際感覚ゼロの自称リベラル知識人やマスコミの擁護があったからだと思う。
彼らは、二重国籍を糾弾することが人権侵害などといったが、インドネシアでもオーストラリアでも二重国籍の大臣や議員が辞任に追い込まれているのをどう説明するのか。」
以上のネット意見によると、朝日新聞始めメデイアは二重国籍解消は努力義務だから法令違反していないと(擁護)報道し、この基礎報道を前提にこれを問題にするのは、ヘイトスピーチの一種だという論調を左翼系文化人やメデイアは繰り広げてきました。
朝日新聞はこの論調の基礎になっていた重要な法令解釈を(故意に?枉げて)報道してきた部分だけ訂正するという記事です。
なぜ故意にマゲていた疑いがあるかというと、「努力義務かどうか」はちょっと文献に当たったり専門家に聞けば数分〜10分で分かる簡単なことを人材の揃った大手メデイアがあえて?サボっていたのは不自然すぎるからです。
専門家に聞かなくとも法務省のホームページをちょっと見ても「必要があります」と義務性を書いています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html
「日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は,一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります(国籍法第14条第1項)。」
国籍法を見ても14条は義務であり、努力義務の場合16条のようにはっきりと書き分けています。
国籍法
第十四条  外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
2  日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法 の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。
第十五条  法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
2  前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
3  前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
第十六条  選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。」

上記条文を見れば14条と16文言形式の違いから見て14条の義務性が明らかであるほか、これに反した時には日本国籍喪失の手続き→相応の法効果が用意されています。
努力義務ならば不利益な法効果があり得ないことになります。
条文に書いている義務の中に「努力義務か法律上の義務か」の区別があること自体を知っている素人は滅多にいませんので、(このコラム読者でもそんな区別で条文を見ていた人は滅多にいないでしょう)朝日新聞が「努力義務に過ぎない」と報道した時点で、相応の法律知識のある人のアドバイスがあったことは想像に難くありません。
蓮舫氏の二重国籍問題を蓮舫氏有利に展開する意図・・ちょっと調べたら分かることをあえて調べないで、努力義務に過ぎないのになぜ非難するのか?→ヘイトスピーチの一種に誘導することによって政治問題の決着が着いてから、あとで「間違ってました」で済ませば良いとした魂胆が疑われます。
慰安婦騒動も虚偽事実が世界に流布してしまってから、「事実の裏取り調査が不十分でした」で終りでした。
二重国籍の人が総理や国会議員になるのが適切かどうかの肝心の政治上の論点についても、人権問題にすり替えて偏った報道をしていた点についての謝罪・反省がありません。
リベラル派やマスメデイアは何か自己主張を有利にするために(中韓の色付けによる)国連報告などを援用してきましたが、都合の悪いことになると国際基準を一切明らかにしないことを秘密保護法案や共謀罪法案の頃に書いて置きました。
諸外国で許されていない二重国籍を野党党首が長年放置しているのは、努力義務違反か法令違反かの法解釈の問題でなく、国家主権・・ひいては国民の政治意見で決めるべき問題なのにこれをあえて(誤った)法的問題に矮小化努力してきたのです。
仮に努力義務かどうかが重要であるとしても、ちょっと調べればスグ判明するのにあえてこれをしないで「努力義務」→なんの違法性もない?→国籍を騒ぐのは人権問題だとすり替えて報道していた挙句、蓮舫氏が辞任表明したと同時にもはや彼女を擁護する必要がなくなった途端に訂正記事を出すなんて時期的にも政治的・偏向が過ぎる印象を受けます。
なぜ蓮舫氏辞任表明まで訂正しなかったのか?朝日新聞が「どの時点で努力義務ではないと知ったか」内部調査報告すべき重大な問題です。

政党の存在意義(政策論争=対案の重要性)1

旧社会党の弱点として「対案を出さないで反対ばかりの政党」という問題点があって事実上党勢消滅に至っている訳ですが、政党がしっかりした対案を出せないで反対ばかりでは国民は支持しようがない・・消滅する方向しかありません。
19日現在のウイキペデイアの記事からです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A_%28%E6%97%A5%E6%9C%AC_1996-%29
「1996年1月に日本社会党が改称して発足し、継続して自社さ連立政権に参加したが、1998年5月に連立離脱。2009年に民社国連立政権に参加したが、2010年に離脱。歴代党首は、村山富市、土井たか子、福島瑞穂、吉田忠智。機関紙は『社会新報』(週刊)、『社会民主』(月刊)[6]。国際組織の社会主義インターナショナルに加盟しており、前党首の福島が副議長を務めている。」
「2013年7月21日の第23回参議院議員選挙では、先の衆院選時における新党・第三極ブームは収まったものの、与党が圧勝し、参議院でのねじれ解消という展開となった。その中でも共産党や日本維新の会・みんなの党といった中堅野党勢力はそれぞれの反与党票を確保し比較的堅調な戦いを見せ、公示前より勢力を拡大させた。一方の社民党は民主党や生活の党などと共に、反与党票の受け皿とはなり得ず、逆に公示前より勢力を減らした。同選挙では選挙区に5人、比例区に4人擁立したが、比例で1議席(又市征治)を獲得するに留まった[注 3]。この選挙でもかろうじて得票率が2%を越え、国会に議席が存在する限り2019年まで政党要件喪失を回避する結果とはなったものの、退潮傾向に歯止めがかからないことに変わりはなく、選挙結果を受けて党首の福島瑞穂は引責辞任を表明した[36]」
上記によると社民党だけではなく、実現可能な対案を出さない批判だけの旧社会党系議員を多く抱える民進党も大幅退潮したことも触れています。
民進党党首蓮舫氏によるロードーマップの準備のない唐突な30年までの原発全面廃止宣言も、支持基盤の動揺を誘発して撤回に追い込まれましたが、いまだに実現可能性を無視したアッピールに頼る体質を引きずっているからこそ撤回表明に追い込まれました。
民進党の脱原発政策発表についての朝日新聞の記事からです。http://www.asahi.com/articles/ASK2X4JCNK2XUTFK00C.html
「民進党の蓮舫代表が「2030年原発ゼロ」方針について、3月12日の党大会での表明を断念した。脱原発を求める世論よりも支持母体の連合を優先したことに対し、さっそく党内の脱原発派や共闘を組む野党から批判の声が上がった。蓮舫執行部は国会での重要法案の判断や東京都議選を控え、危機に瀕(ひん)している。」
ここで朝日新聞らしく「脱原発を求める世論よりも・・」とテーマをすり変えて朝日新聞が勝手に「世論」を断定して報道をしています。
原発を長期的にゼロにすべきという意見が仮に多数としても、これと30年までに完全ゼロにするという意見とは同じではありません・・「30年までゼロ」にするべきかどうかが争点となって連坊氏が党内支持すらも得られず撤回に追い込まれたのですから、民進党内部でさえ多数意見でないから党の方針表明の撤回になったと解すべきです。
にも関わらず上記では「脱原発を求める世論よりも支持母体の連合を優先した・・」となっていて、如何にも30年までの原発ゼロが党内どころか「全国民の世論」であるかのような表現です。
いろんな利害調整の結果30年まで原発ゼロにすることに党内反対の方が多いならば、それが少なくとも党内「世論」ではないでしょうか?
党として政策表明すらできなかったのは、現時点の世論の支持を受けられない=世論ではないという意見が党内多数だったからでしょう。
以下によると事故1年後の12年の民主党政権時代に行われた討論型世論調査がありますが、現時点での世論調査はネットで見つかりません。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC22005_S2A820C1MM0000/
政府は22日、中長期のエネルギー政策を巡って実施した「討論型世論調査」の結果を公表した。
原発ゼロ支持、参加後47%に増加 討論型世論調査 2012/8/22 11:29 (2012/8/22 13:22更新)」
上記によると討論している内に47%支持に上がったというのですから(会場での資料提供の仕方や司会者の意見のもって行き方にも大きく左右されますので)これを国民世論というにはちょっと無理があります。
その上、一般の世論調査と違い公聴会など人を集める形式の場合、参加者は意識の高い?運動家中心になりがちです。
原発事故前の新規原発立地の事前公聴会での意見分布を見ればわかると思いますが、いつも反対論が次々と出て、反対一色のような展開で終わっていたとしても、それが国民世論ではありません。
マンション建設説明会でも賛成者はもともとほとんど行きません。
民主党政権は特定意図を持って、あえてインチキっぽい「討論型調査をやった」と見るべきでしょう。
メデイアもしょっちゅう世論調査をしているのに原発政策に限っては、平行した世論調査をしないで政府のやる調査を見守った印象(メデイアと民主党政権は親密)です。
だからこそ元々反原発でやってきた民主党政権でさえもこれを「世論」だというには無理がありすぎるので(30年までゼロではなく)30年代ゼロ目標を採用するしかなかったのでしょう。
https://judainews.jp/2015/11/25/350には上記世論調査結果詳細が出ていますが、
「この討論型世論調査の結果を受けて、2012年9月14日に野田政権は、「2030年代の原発稼働ゼロ」を目指すエネルギー戦略を打ち出します。
しかし、この方針を打ち出したすぐ後の9月19日に、野田政権は以下の文言を閣議決定したのです。
今後のエネルギー・環境政策については、「革新的エネルギー・環境戦略」(平成 24年9月14日エネルギー・環境会議決定)を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する。(2012年9月19日の閣議決定より)
この表現では、「2030年代の原発ゼロ」を掲げたエネルギー戦略を、政権として採用したのか、参考扱いにしかすぎないのか、どちらとも読める玉虫色の閣議決定だと批判されました。」
とあります。
普天間基地移転問題同様にゼロの実現には、原発エネルギーに代わるエネルギー源の開発が必要ですが、これと関係なく感情で原発禁止しても・・代替エネルギー開発の時間軸に関係なく30年にゼロにした場合エネルギー不足の生活を強制するのは無理がありますから物事は実現準備の環境整備との時間調整が必須です。
普天間基地移転の失敗同様に環境調整の見通しもなしに(ともかく)「30年」と設定してもまたもや空理空論の政党となってしまうのを恐れて蓮舫執行部も断念するしかなかったのです。
※ちなみに蓮舫氏は「30年ゼロ」を党の方針にできなかった後に未練がましく国会で同様の主張を前提にした質問をして、データが間違っていると指摘されて恥をかいていますが、これはあとで紹介します。
仮に上記討論型調査が公平に民意を反映しているとしても、ゼロ支持増加といっても47%ですから過半数に達しないものを「世論」というのは無理があります。
朝日新聞が30年までの原発ゼロ政策の賛否に絞ってその後世論調査したのでしょうか?
当時は太陽光発電や風力発電の夢が強調されていましたが、ここ4〜5年では・・民主党政権の後先考えない高額買取制度による電気代の上昇圧力・民生に響くだけではなく、国際競争力にも関係します・・などをどうするかの問題に直面しています。

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