継続契約保障と社会変化1(借地借家法立法1)

今になれば夢のような昔のことになりましたが、私は昭和30年代に高校〜大学と池袋東口に住んでいましたが、(生まれたのは戦時中でしたので戸籍謄本では「東京都」ではなく「東京市」豊島区池袋〇〇で出生となっています)昭和35〜6年頃に木造の豊島区役所が4階建てのビルになったのが地元に住む高校生としては誇りに思っていたものでした。
そのころに池袋付近にあったビルと言えるのは、西武、三越、丸物(その後パルコに)百貨店、西口の3階建ての東横(その後東武デパート)百貨店くらいでその他集積していた映画館も皆木造の時代でした。
その後急激にマンションやオフイスビルが建つようになり、いつの間にか巣鴨の拘置所がなくなり、跡地にサンシャン60ができるなど東京中がビル化のラッシュになりました。
余談ですが3年ほど前にサンシャイン60に用があって行ったついでにサンシャイン60の展望台に登り、見渡すとその自慢の区役所の老朽化手狭のせいか?新庁舎が雑司が谷のあたり(上から見たので地名はわかりません)に新築中で移転予定だったのに気付いて(高校時代の記憶がいきなり蘇って)まだあったのか?と驚きました。
区役所は明治通りからちょっと入ったところにあったので、池袋に住まなくなってから池袋に行っても路地の奥まで用がないから行ったことがなかったのです。
このブログを書くために念のために豊島区役所旧庁舎の写真をネットで見ると昭和30年代に出来たばかりの頃に目に焼き付いている建物の写真が出ていました。
上記の通りで、昭和30年代末ころにはまだ木造家屋中心であった都内の繁華街・・渋谷、新宿、池袋周辺では中高層ビル化が始まり、古い建物のトリ壊しが必要な時代が来ました。
都市の大変革が始まると、長期契約の代表例であり都市再開発のインフラである借地法、借家法分野での改正議論が昭和60年から公式に始まりました。
借地・借家法分野の改正機運が起きて、平成の初めになってようやく定期借地権などの契約が公認される新法が成立しました。
借地法&借家法分野での改正議論の経緯については、現在の最高裁長官が中堅判事のころに書いた論文が見つかりましたので以下紹介します。
借地借家法の制定経緯を以下の引用により紹介します。
http://seitojiyu.com/wp-content/uploads/2015/10/acade166cdf0cadbfc1e4f0aa7a55f8a.pdf

借家法の運用と実務判例タイムスNo.785 (I992 7 20)
新「借地借家法」の概要 寺田逸郎
・・・・その後は、今日に至るまで借地・借家法の改正はなく、基本的には、存続保障として、昭和一六年改正による正当事由がなければ契約は更新されていく」という枠組みが維持されている
2 借地・借家法制の見直し
我が国の経済は、今日までに戦前とは比べものにならない進展をとげ、これに応じて社会も著しく複雑化した。それに伴って、不動産の利用形態、特に土地の利用形態が多様化してきている。このような変化を前にして、現行の借地・借家法が当事者聞の
利益の調務のために適当であるとしてとっている方策と現実の要請との聞にずれが生じてきている面があるのでないか・・・中略・・なお、昭和五0年代後半からは、土地の供給促進の観点から法制度としての借地・借家法の見直しが主張されてきた・・
全面的な見直しをはかることは、難しい情勢にあった。
しかし、高度成長期を経て経済規模が拡大し、都市化がすすむと、借地・借家法が画一的な規制をしていることによる弊害が一層明らかになってくるようになった。
戦前・戦後の住宅難の時代には重要な役割を果たしたと評価されているが、その後は、むしろ現状維持に働きすぎ、社会・経済情勢の変化に対応せず、硬直的になっているとの批判もみられるようになっているのである。このことは、このことは、特に借地において顕著で、借地権の新たな利用は、目にみえて減少していることが、ひとつの裏書きとなっている・・・・・以下略。
法改正に至る経過
法制審議会の民法部会(加藤一郎部会長)は、以上のような問題意識から、昭和六O年一O月に現行法制についての見直しを開始する決定をした。具体的な・・・・・以下略

上記によれば私が抱いている関心の通り・・・継続関係の保護→現状維持政策では社会変化に適応出来なくなると言う私の意見同様の立法経過であったことが分かります。
いわゆる日支事変以降(軍需産業拡大に伴う人口の都市集中により)空前の住宅不足が生じ賃料高騰したことから、家主が期間満了を理由におい出すような事態が頻発した実情を受けて昭和16年改正で正当事由がない限り契約満了しても更新拒絶できないという法改正ができています。
この辺の経緯については、昭和16年2月3日の貴族院での議事録を読むと(急激な都市集中により6畳一間に8人が交代で寝起きするなどのすさまじい)当時の社会実態が如実に出ています。
借地借家で借主借地人保護の運用が支持されたのは、戦時中〜戦後焼け野が原で始まり住む家が絶対的に不足している時代を背景にすれば借家を追いだされれば野宿するしかない状態であれば「余程のことがない限り、家主の都合で追い出されない」という運用も合理的だったでしょう。
しかし昭和50年頃から住宅事情が緩和されて空き家が目立つようになって来たし、日本の国力復活に合わせて都市再改造が必須になってきたのですが、借地人等への過保護?が都市改造や新規工場立地などに支障を支障をきたすようになってきました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/uhs1993/1993/4/1993_30/_pdfによると、以下の通りのせめぎ合いがあったことわかります。

借地借家法改正と土地の有効利用―賃貸住宅政策における意義ついて―大阪市立大
学法学部生熊長幸
2 借地借家法制定の経緯と概観
・・・・市街地再開発のあり方の問題およびそれに関係する業界の利害と深く結びついていた点にあった(水本浩「都市再開発と借地・借家法ジュリスト851号13頁)。1985年7月に公表された臨時行政改革推進審議会の「行政改革の推進方策に関する答申」は、新規借地・借家の供給促進とともに、都市再開発のための既存借地・借家契約の解消も企図したものであった。
・・・・問題は、正当事由の内容において旧法と新法とで実質的変化が見られるかである。
・・・中曾根内閣の公的規制緩和・民間活力導入路線のもとで、「借地・借家法改正に関する点」は、「土地の有効利用の必要性及び相当性」を正当事由の要素とすべきかを問うた。
これに対しては、民間ディベロッパーや不動産業界の意に沿うものであり、私人間の権利関係の調整を図るべき借地借家法の範囲を超えることになるといった批判が強かった。
中曾根内閣の公的規制緩和・民間活力導入路線のもとで、「借地・借家法改正に関する問題点は、「土地の有効利用の必要性及び相当性」を正当事由の要素とすべきかを問うた。
これに対しては、民間ディベロッパーや不動産業界の意に沿うものであり、私人間の権利関係の調整を図るべき借地借家法の範囲を超えることになるといった批判が強かった。
・・・・このような経緯を経て、新法6条が成立した。
・・・・(2)国会審議において繰り返し強調されたように、借地借家法6条の正当事由の内容は従来の判例を整理して法文化したにすぎないのであって、従来の正当事由の内容と変わらない。
・・・・(4)補完的要素は、限定的に列挙されているのであり、これ以外の「土地の効利用」、「市街地再開発の要請」などは、補完的要素に入らない(広中編・注釈借地借家法§61皿〔内田〕)。もっとも、立案担当者は、これらも「土地の利用状況」背景になる事情として考慮されるとされる。
(5)本条は、新法施行前に設定された借地権の契約更新に関しては適用されない(付則6条)。

政治の世界では社会党が、理論面では主に日弁連が反対意見の論陣を張っていたように記憶しますが、今になるとネットで意見書などが発見できないので、事実はよく分かりません。
以上の結果、正当事由に関しては新法制定前の契約に適用がないばかりか、新法制定後の契約でも実質的改正をしない方向で決着がついたとされています。

正規・非正規の分類と社会保障

非正規雇用が世界的に急激に広がった原因・・社会の需要とこれによって引き起こされた社会矛盾の解決・・労働の細分化による人間性喪失・・様々な懸案解決に必要な線引き・基準として何が有用か、待遇改善を急ぐべき基準で考えれば、正規と非正規の区別基準は自ずから明らかです。
私の法的アプローチでは、期間が来ても更新が原則か否か・終身的かどうかで社会の基本システムに違いが出るのであって、1週間とか1ヶ月の労働時間だけで区別して保護すべきかどうかを決めるのは、ほとんど意味がないように思えます。
仮に2〜3ヶ月間でも期間満了で自動的に雇用が終わる関係では、労働者の生活が安定しないことは同じですし、企業もすぐにやめていく予定の労働者の技能アップや健康管理に関心が低くなるし同僚間でも親しくする気持ちが起きにくいでしょう。
非正規雇用増加が社会問題になっている理由は、雇用条件劣悪・技術訓練のチャンスがない結果最低収入から抜け出せない・・年齢上昇しても収入が増えない結果、(年齢に比例して昇級する年功性社会を前提にすればの話です)結婚できないし子供を育てられないなど・社会の持続性に問題が起きているからです。
従来型年功(終身雇用的)モデル社会が崩壊しつつあると言えます。
この大規模な変化を放置できなくなって社会問題になり、問題解決のために統計等の必要性が出ているのですから、この問題意識によって非正規雇用とは何かの分類すべきでしょう。
非正規雇用が広がった原因を見ると根本は解雇制限による企業の機動性が失われたことによるのですから、この例外にあたる雇用形式か否かで分類すべきです。
非正規が急増した背景は、雇用調整ができない不都合解決の必要に迫られて発達したものですが、・・短期・臨時的雇用付随的要素として熟練不要=低賃金化できる・・短期入れ替えが多い面から(手作業時代に始まっているので)源泉徴収等の煩雑さを免除していることから、保険年金制度からの除外・・企業負担がないなど雇用者側にとって、コストメリットが大きかった点が特徴です。
勘ぐれば、非正規雇用を増やすための一種の優遇策だったことになります。
本来国際競争が激烈になって、技術陳腐化・サイクルが早まったことへの対応力強化目的だけで見れば、解雇規制柔軟化に対応できる「期間の定めのある契約」(解雇規制除外雇用の拡大)だけで良いはずでそれ以上の付随的マイナス処遇は不要のはずす。
労働者からいえば、上記付随的要素は不必要・不合理な差別ですからIT化進展によって事務作業の煩雑さが解消されればこの種の差別がなくなるべきです。
IT化の進展に合わせて、源泉徴収、保険、年金等の履歴作成や給与天引き等の事務作業が容易になっているのですから、いつまでも短期労働者からの各種天引き事務が煩雑だという理由で各種天引きシステムに加入させない差別は無くしていくべきです。
この数年政府がいわゆる非正規職種への公的保険・年金加入を認める方向へ舵を切っているのは、合理的方向性というべきでしょう。
このように見ていくと各種保険等に加入できるかどうかは正規非正規の派生した結果に過ぎないから、これらの有無で分類するのではなく、本質的理由・・解雇規制が及ぶかどうか・及ぼすべきかどうかで分類すべきです。
例えば週30時間以内の労働であろうと何十年も勤続した人を合理的根拠なく雇い止めにするのは解雇権の乱用になるべきであって、非正規に分類されているか否かは関係がありません。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

厚労省  改正労働契約法のポイント
有期労働契約(※)の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました。
※有期労働契約・・・1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある労働契約のことをいいます。
有期労働契約であれば、パート、アルバイト、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、対象となります。
「労働契約法の一部を改正する法律」が平成24年8月10日に公布されました。今回の改正では、有期労働契約について、下記の3つのルールを規定しています。
1  無期労働契約への転換
有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことをいいます。
パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、有期労働契約で働く人であれば、新しいルールの対象となります。
無期労働契約への転換
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
II  雇止め法理」の法定化
最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。
一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。
III 不合理な労働条件の禁止
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働
条件の相違を設けることを禁止するルールです。

上記の通り判例では契約期間の長短は一つの要素ではあるものの、契約の実質・実態から見て、雇い止めがないものと期待されている就労形態かどうかで解雇の正当事由を見ています。
期間制限がなければ終身雇用的になりやすいし、(後で労働法の判例を紹介しますが、半年でも1年でも期間の長短はそれほど意味がありません・正当事由がないと簡単に雇い止めしにくい判例が定着しているからです)希望の党が定義していないものの同党いう「正社員」という呼称にも近いか?という印象でした。
小池氏は流行語であるダイバーシテイ化を強調しながら、他方で正社員就労支援というのですから何を考えているのか?流行語を追いかけているだけではなかったかとの疑問が生じます。
非正規雇用者の生活を何とかしたいならば、非正規雇用の待遇改善の主張・・解雇規制や社内教育の需実・各種社会保障制度の見直し・職業訓練のあり方等々について与党との違いを示すことではないでしょうか。
ところで継続的契約関係では、3年続けば5年続くと思うし10年続けば20年続くような期待が相互に生まれるのが人情です。
ただこれも生活維持に必須の関係でこそ永続性が(法的保護)期待されるのであって、友達や趣味その他稽古事ではいつの間にか疎遠になって行くのを誰も不思議に思いません。
生活維持必須性に基礎をおく関係については、永続性(生活基盤保障・弱者保護)重視のために判例では継続関係断ち切りには慎重な方向で解釈運用されてきました。
長期関係を打ち切るには打ち切らざるを得ないような「正当事由が必要」という法理論が判例上いろんな分野で徐々に形成されてきたのは社会的必要性があったからです。
ところが、弱者救済の精神で始まった正当事由を要求する判例がかたまってくると今度は社会の硬直化を招く弊害の方が目立ってきました。
このような硬直的な制度構築が日本社会の隅々にまでいきわたってくると硬直化を避けるための国民の知恵というか、労働分野では非正規が増えてきたのではないかの視点で書いています。
これらの判例法にはそれなりの合理性があったのですが、まず借地法借家法で見ると高度成長に伴う都市の拡大その他の社会変化に対応できない・硬直化を招く弊害が目立ってきました。

正社員の定義2

このブログは学者の論文でないのでいつも書くように思いつきですが、正社員か否かの区別は職業柄私の慣れ親しんだ法的視点限定で・・分類すれば、期間の定めのある・更新予定のない雇用か否かの違いのようです。(12月1日にもちょっと書きました)
社会学的関心では、規格社会を前提にしてその社会にもっとも適した働き方をしている人を正社員といい、規格外で働く人を非正規労働者と定義していることになるのでしょうか?
希望の党の公約である正社員就労支援とは「一人でも多く規格人間にします」という規格社会のさらなる拡大を目指す主張になりそうです。
人間に正式の人と正式でない人がいないのと同様に、労働者にも正式の労働者と非正規の労働者(違法就労でない限り)いるハズがないのです。
「規格外」と思われる人を必要以上に差別するから、(このシリーズの最初に書きましたが、パートもバイトも違法労働ではありません)非正規という半端な概念が生まれるしそういう区分けが必要になってくるのでしょう。
政治が目指すべきは「規格外の烙印」を押されると生き難い社会を前提にして規格適合者・正社員適合人材を増やすのでは意味がないでしょう。
結婚していない、子供がいない人も生活が普通にできるし、子供がいたり、障害等で1日に数時間しか働けない人や労働能力が規格外の人間・多様な個性を持つ人材が多様な個性に合わせて多様な生き方のできる社会ではないでしょうか?
従来女性の成功者として出てくる有名人の多くはいわゆる男まさりの猛烈型中心で紹介される傾向があった・・・男性でさえはみ出てしまうことの多い厳格な男性の理想的労働規格に女性が適合できた稀な場合ですから、こういう成功例を煽っても仕方がないという苦言を10年ほど前に書いたことがありました。
最近少し傾向が変わって来た・烈女でない普通に生きている女性が、普通に働けている姿が紹介されるようになりつつあるのは良いことだと思います。
男女や体力、方向性の違いを前提にそれぞれの生き方を尊重する社会であるべきです。
ただし、子育て中は外で働けないのは当たり前だと思考停止すべきではなく、働けるような受け皿整備、保育所の充実や職場のIT化により現場系労働でも腕力不要化し、衛生環境・トイレや更衣室設置など・・向上により女性が働き易くするなどの企業努力も重要です。

素人の私が正規・非正規雇用とは何かの意見を書くばかりではなく、専門家の意見をみておきましょう。
http://www.huffingtonpost.jp/nissei-kisokenkyujyo/temporary-work_b_11190746.htmlには、非正規と正規の定義が出ています。

2016年07月27日 16時17分 JST | 更新 2017年07月27日 18時12分 JST
ニッセイ基礎研究所
非正規雇用労働者の実態を国際比較する際に重要なのが非正規雇用労働者を区分する定義であるものの、その定義は国によって異なっており、必ずしも収斂していない。
まず、日本の労働力調査では、非正規雇用労働者を「労働契約期間、以下、従業上の地位」と「勤め先での呼称、以下、雇用形態」により区分している。http://images.huffingtonpost.com/2016-07-26-1469508110-8404116-letter16071911_2.jpg

私が素人的発想・終身雇用的関係にあるのを正社員という考え方でこれまで書いてきたのは、上記のうち期間制限に着目した分類になりますが、週35時間以上かどうかの形式区別ではなく、(週30時間内労働でも・大学教授など週30時間も拘束されていないでしょう))雇用関係が終身的安定か否かで書いてきました。
労働時間で分けると期間が時間単位〜一日〜週単位〜1ヶ月以上を含まないかなど、基準次第で総数が違ってきます。
一般常識ではパートで働いている人が週35時間超えて働いても非正規就労と思っているでしょうから、水色のグラフは社会イメージに合っていないことがわかります。
また水色の基準区分けで済むならば、社会問題になりません。

責任政党とは?3(正社員の定義1)

人手不足で困っていて就職難で困っていない日本で、メデイアの支援を受ける小池氏がなぜ韓国の政策の受け売りをするのか不明です。
小池氏が都知事になってから都政の重要事項について公式会議の手順を踏んで行う方式を無視して密室で決める独断が目立ちますが、そうなるといわゆる14人のブレーンの影響力・彼らの思想根拠が重視されます。
たとえば、築地市場者での座長をしている小島氏の経歴によれば、元々原発反対と築地移転反対論者であったと報じられています。
内部留保課税に関しては、安東氏の言い訳・・・内部留保課税するといえば企業の配当や雇用が増えるからという韓国の経験を下敷きにした意見が出ていますので、彼の意見が参考にされたのでしょう。
日本のメデイアでは、4〜5十年前までには何かあるとテレビ新聞等で「欧米では・・・」と知ったかぶりで講釈する人が多かったのですが、今では韓国事情を紹介する人がメデイア界では幅を利かしているかのような実態が伝わってくる印象です。
11月25日に希望の党のその他の主張?公約の下位に来る具体化主張を紹介しましたが、26日から手元資金問題に流れて期間が空いてしまったのでもう一度再掲します。
特集:2017衆院選

「3本柱」のほかの柱は「議員定数・議員報酬の削減」「ポスト・アベノミクスの経済政策」「ダイバーシティー(多様性)社会の実現」など。柱のほかに「『希望への道』しるべ 12のゼロ」をスローガンに掲げ、隠蔽(いんぺい)ゼロ、受動喫煙ゼロ、花粉症ゼロ――などを打ち出した。」

というのですが、何となくメデイア受けしそうな流行語を羅列したような印象を受けるのは私だけでしょうか?
上記ダイバーシテイー社会の実現と正社員化応援(正社員を増やしていく政策)とどのように整合するのか全く不明です。
幼稚園児が「おまわりさんになりたい」などいうのは微笑ましいものですが、政党の公約でスローガンだけ掲げて何をどう実現するのか不明では政治になりません。
終身雇用意識全盛の戦後高度成長期でも現場労働者や、小規模商店で働く店員等は身分保障がありませんでした。
終身雇用社会といっても一定の社会状況で中心的雇用形態になっていた、あるいは理想的就職先と観念されていたに過ぎません。
現在〜将来にかけて終身雇用維持どころかこれを拡大させる必要性があるか?という基礎的議論が必要でしょう。
いわば人を商品のごとく働き盛りの男性を規格品とし、それ以外は男性を含めて女性全てを規格外商品・キズ物として必要以上に不利益に扱い、自立しづらい社会・・ギュウギュウ詰めの満員電車その他全て規格適合(48時間戦えますか!)の男性向けにつくられていた社会でした。
人の一生も一定の型が理想とされ、結婚して1人前といい、子供がいないと肩身が狭いなど何もかも画一基準社会でした。
規格にはまった人間以外はダメという社会では期待される能力がオールラウンド型が有利になりがちですが、規格外で良いとなれば、できない部分が多くても部分的に秀でた人が生きやすい社会になります。
ゆとり社会が始まると少しくらい規格外(ハンデイがあっても)でも働ける労働環境が整備され、いまでは女性が外で働くのが普通になり、子育て中でもやめなくてもいいし男女を問わずガン治療中の人でも職場復帰できるようになってきました。
宅配や訪問介護等が介護が充実していけば、子供のいない老後(単身のまま老いて)もそれほど気になりません。
通勤手段もエスカレーターなど整備され歩行弱者も気軽に外出できるようになっています。
非正規労働だけが問題ではなく正社員という「規格」外でも自立して生きていける社会にして行こうとする動きを肯定的に見ていく気持ちがあるか?でしょう。
労働者にとって意味があるのは、正社員・終身雇用(嫌なことがあってもやめられない)そのものに意味があるのではなく、生活の不安定・・病気や何かの事情では働けなくなる時の備えあるいは、きちんとした年金や保険制度加入の恩恵があるかどうか、失業すると再就職困難な社会を前提に終身雇用を理想として来たにすぎません。
「正社員」就労を支援するよりも、事情があって一旦仕事から遠ざかりその後再就職したい場合でもいろんな受け皿のある社会にした方が合理的です。
相応の生活できる見込みさえあれば、大企業の社長等に登り詰める自信がない限りサラリーマンよりは自営業者・脱サラ・独立を夢みる人が多いのと基礎は同じで人は自由を求めているのです。
働き方の違いに応じて年俸ではなく月給になり週休日給になってもいいのですが、それと保険や年金制度から切り離す必要がないということです。
正社員にこだわる意見は正社員?規格適合者とその他条件で働きたい人とで関連条件格差を前提にしています。
保険や年金あるいは日々の収入の確保・・起業・再就職のしやすい社会・・生活の安定をどうやって保障していくかに意味がある・・職を転々しても相応に生活できれば、終身縛られない方がいいと思う人が多いでしょう。
繁華街のように無数の商店があれば、お金さえあれば晩御飯を食べたりもの買ったりするのに困らない・・何もかも数ヶ月分も自宅に備蓄する必要がないし、老後生活も介護関連が充実すればあくまで子世帯と同居する必要がありません。
労働環境も受け皿や社会保障制度の問題であって、再就職環境が整っていて転職者にとって非合理な格差がなければ、終身雇用にこだわる必要がありません。
パート等に対する社会保障等の支援が充実して行けば、さらに正社員希望が減って行くのではないでしょうか?
社会が必要としているのは、正社員就職支援ではなく不定期就労したい(いろんな規格の)人の要望を受け容れながら、必要な待遇改善の問題であることがわかります。
転職した人の年金の継続を図るなど不便さの解消・・目の悪い人や足腰の弱い人の労働能力が健常者(規格人)とに比べて2割劣っていても、給与が2割低いだけの差が合理的であって、1〜2割劣っていると就職できないで無収入になるとか、保険制度に入れないなどの差がつくのは不合理です。
ここの価値としてはその通りですが、商品供給側の企業としては2割の欠陥商品では2割引でも売れません。
個々人を部品のように切り分けられれば、ある人が根気がなくて3時間もするとミスが出るとしたら3時間前に交替させればいいことです。
あるいはABCDの要素・・組み立ては得意だが色つけが下手とすればその工程を別人にやらせたらいいことで、この程度の(蒔絵の工程や浮世絵の版元〜刷り師、絵描きなど)分業は江戸時代からやっています。
これをもっと細分化すれば・耳の悪い人でも手作業に支障がない・絵は描けるなど・・良いことです。何もかも平均的オールラウンド型能力を要求する規格社会(教育制度ではオールラウンド型国立大学出身の支配的社会?)は窮屈すぎるほか、必要以上の偏見を生むようになります。

責任政党とは?2

政治権力ではどうにもならない分野で政治が公約に掲げても、正規社員総数が同じ場合、塾業者が儲かり、難関突破で正式社員になれた人のエリート意識をいや増し、国民間の格差拡大を助長するだけです。
韓国の就職塾盛況状況は以下の通りです。
http://toyokeizai.net/articles/-/178127

韓国の若者がこぞって「公務員」を目指す事
「希望」を失いつつある若者世代の閉塞感午前中の授業が終わると、塾の建物から生徒がどっとあふれ出てきた。韓国で通称「公試族」と呼ばれる、公務員試験を目指す受験生(公務員試験準備生)たちだ。
「族」という言葉が表すように公務員人気は絶大だ。2016年の韓国の就業準備生(65万8000人)のうち一般職公務員を目指す受験生は、全体の39.3%(25万6200人)にも上る(韓国・統計庁のデータ)。
韓国新政権は、深刻な就職難を変えられるか
文在寅大統領も力を入れるのがこの若年層における就職難の解決で、5月10日に就任して早々、矢継ぎ早に政策を繰り出している。
就任初日に真っ先に指示したのも「働き口委員会」の設置で、これは公約の第1号である公共部門での「81万個の働き口創出」に基づくもの。その後の5月末にも、警察官や消防員などの分野での公務員採用枠を今年の下半期(7月)から合わせて1万2000人増やすと発表した。
続いて6月末には、公務員試験では2005年から導入されている採用試験での「ブラインド採用」(面接試験で年齢、出身、学歴などを記載しない)について、電力公社や鉄道公社などの公共企業でも下半期から始めることを決定し、さらには、公共企業で働く非正規職員をすべて正職員にする「非正規ゼロ」を宣言。公共企業を突破口にして、雇用状態の改善を一般企業にも広げていく狙いがあるとみられている。

希望の党の公約を見ると韓国の切迫した就職状況・公務員を増やすしかない状況を日本社会にそのまま持ってきてそのまま日本語に翻訳して公約にしたイメージが広がります。
内部留保課税に関して11月30日に韓国経済と日本経済をごっちゃにしているのじゃやないか?と書きましが、希望の党がメデイア受けするように「正社員就労支援」を打ち出す知恵袋?メデイア系ブレーンは正規雇用を増やすには、韓国文大統領的解決・・「公務員採用を増やせば正規雇用が増える」と言う発想の受け売りをしたのかもしれません。
希望の党のブレーン・・築地移転問題も小池氏の都政は官僚機構の公式協議を経ないで独裁的に決めていく・・ブレーンとの協議で決めていく密室政治と言われています。
https://mainichi.jp/articles/20170805/k00/00m/010/137000c

毎日新聞2017年8月5日 07時00分(最終更新 8月5日 15時49分)
東京都の市場移転問題で、小池百合子知事が公表した豊洲市場(江東区)と築地市場(中央区)の双方に機能を残す「豊洲移転・築地再開発」の方針について、財源や運営費などを検討した記録が残っていないことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。都職員は「知事が外部有識者でブレーンの都顧問らと協議をしたため記録がない」と説明。数千億円規模の巨大プロジェクトの最終判断が「密室」で下され、その資料も存在していないという。知事が改革の「一丁目一番地」とする情報公開も軽視された形だ。

http://blogos.com/article/244468/

やながせ裕文 東京都議会議員
2017年09月06日 08:35
小池知事は語らず。都議会は追及せず。市場問題はカオスに。
本日(9月5日)、都議会の臨時会が終了しました。この臨時会は、豊洲移転の準備経費、築地再開発の調査費用を盛り込んだ補正予算を審議するために招集されたもの。都議会議員選挙後、初めて質疑のできる場であり、謎が謎をよんでいた「豊洲は活かす、築地は守る」という知事の基本方針の詳細(内実)が明らかになるはずでした。しかし、どれだけ質疑を重ねても、「豊洲に移転する」ことは理解できたのですが、「築地をどう守るのか?」は全く明らかにされず。小池知事は基本方針を策定するにあたって、何を検証したのか?これが謎なんです。決断したのは知事ですから、「なぜ決断にいたったのか」その経緯・思い・構想を都民に語る責務があります。しかし、残念ながら、なにひとつ明らかにされなかった。これでは「ブラックボックス」の都政を継続していくと宣言しているようなものです。

記者会見で豊洲と築地双方利用の決定理由を聞かれても、AIで決めたとバカにしたような回答だったと報道されています。
都議会で多数派を握った途端に密室独裁的政治を実行している小池氏が政府の透明性を求めて国政進出するというのではギャグそのものです.
元のテーマ・・正規雇用を重視し大手への就職競争をあおりすぎると振り落とされた方の劣等感・敗北感がどうなるか?と言うテーマに戻ります。
japanese.joins.com/article/820/223820.html

2016年12月22日10時32分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
韓経:「サムスン班」「現代車班」…韓国の青年、就活塾にまで

超格差社会の実態についてはいろいろな記事が出ていますが、下記は具体的で参考になりますが長文ですので引用を控えますが、関心のある方は以下に入ってください。
https://books.google.co.jp/books?id=-_EkDwAAQBAJ&pg=PT37&lpg=PT37&dq=韓国就職塾 超格差社会&source=bl&ots=269lZ-7oXa&sig=pbSzjzp0URp4mbI4WSLjAEwbkYc&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjQs
サムスン等のエリート社員になり損ねた学生の多くを海外就職による国外脱出を政府が応援して国内不満のガス抜きを図っているのが韓国の現状です。
最近韓国外務省による日本企業に対する就職依頼が話題になっていますが(11月30日に紹介しました)、以下によると4〜5年前からこういう政策が進んでいたようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140318/261352/によると以下の通りです

韓国政府が若者の海外就職を積極支援
20~30代の7割以上が海外就職に興味あり
2014年3月19日(水)
韓国の場合、語学研修のような短期留学を含めると、約24万人の大学生が海外留学している(韓国統計庁、2012年時点)。この統計庁の資料によると、留学目的で6カ月以上海外に滞在している小中高校生も約1万3000人いる。これは、親と一緒に生活するため海外に行った生徒・学生を除いた数字だ。
青年委員会は19~39歳を青年と定義し、青年が望むことを国家政策に反映するために活動する委員会である。青年委員会は青年の雇用促進を重視していて、海外就職の拡大にも力を入れている。2014年から駐日韓国大使館と協力し、韓国の若者がより多く日本企業に就職できるよう後押している。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

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また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。