そもそも代替エネルギー政策がうまくいっているか否か将来像のあり方を、裁判所が決めることではなく選挙・民意で決めることですから訴訟の争点にならないのは当たり前ですが・・。
要するに、民意を受けた政治が決めることです。
民主党政権の野田内閣が30年台という10年間の幅を持った閣議決定したことを紹介しましたが、これを「30年まで」と短縮して終わりを決めようとして昨年春ころに蓮舫執行部が民主党内で了承を得られなかったことがあります。
野田内閣当時の想定よりも「10年も早く代替エネルギー政策が進んだから」と言うのなら合理的ですが、根拠なく「今度選挙対策でこう言おう」というパフォーマンス狙いでは困ります。
日本は公害発生に触発されて結果的に公害防止技術が先行し、石油ショック→省エネ技術によって日本経済が世界で先行できたように、仮に再生エネ転換が進んで行った場合、日本がどういうメリットがあるかの将来展望・・どういう影響を及ぼすかの視点が重要です。
(公害の防除技術のように新規産業が育つならば良いですが・原発その他の多様なエネルギー源がある中でどの分野を伸ばしていくのが日本人の個性や風土に適しているか、国際競争に有理化など総合判断で選択していくべきです。
太陽光発電の場合、関連製品ではすでに成熟産業化→中国が巨大資本を投入して既に量産体制を確立している中国の独壇場ですから、この分野を伸ばしても日本企業が中国の及ばない高度技術で勝負できる段階が過ぎています。
量産技術確立後の家電製品等の商品ではいくら工夫しても意味がない・早くその分野から撤退して後進国に譲るしかないのが現在のシステムです。
原発事故後の新エネルギー源として量産技術の確立した分野を伸ばすのでは、人件費の安い中国等の新興・後進国の追い上げに負ける一方でしょう。
それでも他の電源より安いならば仕方ないですが、年間(ということは毎年のことですから、10年で何十兆の補助金です)何兆円も補助金をつぎ込んでまで国外企業の誘致に骨折るようなものではないでしょう。
ソーラーパネル製造でいえば中国からの安値輸入が席巻して国内産業発展どころか壊滅させてしまうのを放置して電源的には原発の穴埋めになっている・・だから原発停止させても大丈夫という説明では困ります。
日本は明治維新時の開国によって先進技術を自分のものにする能力があったので独立を守れたのですがその能力なく、単に消費するにとどまった国は国内産業が廃れて皆植民地化されていきました。
インドのイギリス植民地化の原因は、当時インド綿製品が東南アジア地域の支配商品であったのに、産業革命によって生産合理化に成功したイギリス製品進出によって、文字通り「死屍累々」白骨街道と言われる状態になった結果でした。
この辺は川勝平太氏の著書の受け売りで15年ほど前に書いたことがあります。
「どんどん高額補助金を出してそのお金でどんなに中国からの輸入が増えてもかまわない、結果国内産業は壊滅しても構わない・・電気の供給さえあればいいじゃやないか」というのでは無責任です。
他にも選択肢があるか否か、ここは身長ん原発は本当に今日明日にもやめなければいけないほど危険かどうか?日本の得意分野を伸ばす方向で新電源開発の工夫すべきでしょう。
・・アジア諸国の地場産業・インドの繊維産業が死滅し植民地化していったことの繰り返し?のように日本政府の年間2兆円以上もの補助金で中国製のパネル、モジュール、セル等が席巻してしまう政策をそのまま進めて良いかの総合判断をすべきです。
自由な競争に負けるのは仕方がないというのも一理があるように見えますが、他のエネルギーとの自由競争で勝てないから、国家として年間2兆円以上も補助金を出す(その他市町村ごとの補助金や工場等の立地優遇策もある・・農地転用の特例もあったような記憶です)のですから、太陽光発電業界が自由競争で勝っているのでありません。
そしてその業界内競争では中国製が市場支配力を持っているのですから、中国企業へ補助金を出しているような結果です。
国内産業保護のために関税政策があるように・・この後に紹介するようにトランプ政権は太陽光発電でセーフガードを発動しています・・日本の場合輸入制限の逆張り・・補助金を与えて輸入拡大を図るとは「奇怪」な政策です。
比喩的に言えば、大型乗用車を国内で作っていない・アメリカだけのときに、大型車だけ一台500万円の補助金を出すような政策の結果、中小型専門の国産車の売れ行きが3割減った場合、アメ車が自由競争の結果シェアーを伸ばしたというでしょうか?
中国製だけの補助金ではないですが、結果的に果実(国民の税金)が中国にわたる仕組みになっているとはおかしな政策でした。
インドがイギリスの紡績業に負けて植民地化したと言っても、イギリス製紡績品の輸入に補助金を出して輸入していたわけではありません。
太陽光発電設備に対して民主党政権が決めた補助金を見ておきましょう。
再生可能エネルギーを全量固定価格で買い取る FIT が民主党政権(現・民進党)で始まり、国民の負担が年々上昇していると NHK がついに報じました。
導入当初から予見されていたことですが、ようやく取り上げたと言えるでしょう。
年間2兆円が電気代として上乗せされていることが現状であり、将来的にはさらに負担が増すことが確定的なのです。
5年前の7月1日、太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まってから、私たち電気の利用者が負担するようになりました。
再生可能エネルギーを普及させようと始まったこの制度。国は、電力会社に太陽光などで発電した電気をすべて買い取るよう義務づけました。その代わり、買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せすることを認めました。」
上記文脈言えば2兆円は電気料金に転嫁した分だけのようですが、「買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せ」と書いているので100%料金転嫁を認めた訳ではないので、電力会社の自己負担分がこれではわかりません。
例えば30%の価格転嫁を認めているとした場合に、30%が2兆円というのであれば、電力業界の負担分7割が電力業界の財務悪化、配当や設備投資や賃金抑制その他で結果的に国内負担になるので、その3、3倍の7兆円前後になります。
一部というだけでは、業界への転嫁比率がわかりませんが、転嫁比率によって国民負担額が大幅に変わります。
ですから上記「2兆円」全体の何%か内容精査しないと意味不明ですが、最低2兆円の負担がはっきりしてきたということです。
そこで資源エネルギー庁のデータに入ってみますと以下の通りでした。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienecost.html
コストの高さは、国民負担に影響を与えます。FITによる買取費用の一部は、賦課金というかたちで国民が広く負担していますが、2017年度の買取費用は約2兆7000億円、賦課金は約2兆1000億円となっています。
エネルギーミックスが想定する2030年の再エネ買い取り費用は、3兆7000億円から4兆円です。
再エネのコストをできるだけ低減させ、国民の負担を抑制しつつ、再エネ普及を図る取り組みが必要となっています。
17年に消費者の負担する電気料金アップは2兆1000億ですが、全体の賦課金は2兆7000億円と分かりました。
これがどんどん増えていく計画で30年の買取費用は約4兆円が予定されています。
ということは20年から30年の10年間合計で30兆円分を負担することになります。
10年間で30兆円もの負担増が妥当かどうかでしょう。