(フェイク?)報道と信用失墜3(国連特別報告2)

これまでザッと書いてきた朝日新聞の現状では、慰安婦報道のミスでは内心何も悪いことをしていない・うるさすぎるので仕方なしに謝罪会見したのかな?程度の意識で今も社内運営している実態が出ています。
その後何かいうとすぐにネット批判が飛んできて肩身がせまいのが納得出来ない・・実質賃金や労働分配率低下の記事でいえばすぐにネットが噛み付いてきて何もいえない・・「言論の自由度が下がった」と苦情を国外に宣伝したい気持ちがわかります。
メデイア界による市場独占の時には「自由市場だ」規制はおかしいと嘯いていたのに、メデイアの独占発信が崩れイェ批判に晒されるようになると言論の自由度が下がったとかオポチュニスト論などが幅を利かすようになりました。
6月14日に書き始めていた国連特別報告者派遣問題の続きですが、それを日本批判に利用したい外国がすぐに取り上げる連携プレーのようです。
日本政府は実態無視の勧告は受け入れられない態度です。
https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00m/030/056000c

「報道の自由」勧告拒否 日本政府
【ジュネーブ共同】国連人権理事会による日本の人権状況の審査について、日本政府は7日までに、特定秘密保護法などで萎縮が指摘される「報道の自由」に関する勧告を拒否…
会員限定有料記事 毎日新聞2018年3月8日 10時26分(最終更新 3月8日 10時45分
昨年11月の作業部会で各国から出された217項目の勧告を受諾するかどうか項目ごとに見解を公表した。145項目を受け入れたが、死刑廃止要求など34項目を拒否、38項目は一部受け入れや留意と…以下有料
5〜6日前にアメリカ国連人権委員会を脱退宣言を出して、大ニュースになっていました・・。
国連人権理事会
米国脱退に人権団体など懸念や遺憾
【ニューヨーク國枝すみれ】トランプ米政権が国連人権理事会(本部スイス・ジュネーブ)からの脱退を19日発表した。国際機関や国際協定に背を向け、孤立主義をさらに強…
(2018年06月20日 19:14

アメリカの不満はイスラエル関係の不満で日本とは違いますが、それとは別に国連は賄賂等にまみれている疑いが強く正義の場でなくなっている現実を直視する必要があるでしょう。
再審事件に戻りますと、朝日新聞や文化人(という自称も不思議ですが)は人権擁護目的さえ標榜すれば、どのようなこじつけ報道も許されるかのような思い上がりがあるのではないでしょうか?
どんどん国民レベルが上がってくるとメデイアが思う方向へ簡単に誤導できない・・そこで難解そうな熟語を持ってきてイメージ操作する誘惑が高まったのでしょう。
(実質賃金や労働分配率とか・直感的な語感とは違う熟語があるとこれを探し出して大規模報道する・・「好景気というが実質賃金が下がっている」「労働分配率が下がっている」「百貨店売上報道では高額ブランド品の売れ行きや外国人の爆買いばかりの報道・・・庶民には関係がない」というイメージ報道があると、俺の収入は上がったが全体統計では下がっているのか?と誤解する熟語の解説なしの大規模報道.・・説明がないと漢字だけ見ると、結果的に国民が誤解する・・実質賃金下落も労働分配率低下も虚偽ではないですが、国民の多くが受ける意味が違うのを利用する意図が濃厚です。
そもそも「好景気を実感できない庶民」「株価上昇→高額ブランド品売り上げ増加」という主張をあちこちに散りばめた上で、実質賃金や労働分配率下落の統計発表を毎月のようにすれば、いかにも誤解させたい報道意図が濃厚です。
ブランド品や5〜6千万円の車販売が伸びているのが事実であっても、これに対応する庶民向け汎用品消費が減っているか横ばいかのペアの報道がない・.そちらも伸びている事実報道がない→特定イメージを広げる報道姿勢が強いのが最近のパターンです。
再審事件報道に戻りますと、人権保障は重要ですが、被害者の人権を無視した被告人の利益ばかりに重きを置いている印象です。
社会ある限り、人権といっても限界がある・・社会有る限り人権はお互いに譲り合うしかないのですが、その辺の理解が難しい人が一定数いるように見えます。
理解できないというよりは、A人権とB人権の衝突・その利害調整が政治ですが、それも1対1の調整ではなく、ABCDE対FGHIの入り乱れた利害調整になってくると単純思考レベルの人にはお手上げです。
そこで「あちら立てればこちら立たずの」複雑な利害調整のいらない単純な「世界平和主義」とか「人権を守れ」とか、なんでも「政府批判」をしている方が安全・・破綻しないと言うことでしょう。
普通の人にいちゃもんばかりつけているといつ反撃されるか怖いですが、政府や大企業批判の場合、反撃されないので安全地帯で騒ぐ印象です。
ロシアや中国で政府批判するには勇気がいりますが、民主国家ではストレス発散先として政府や大企業・強者に対するクレーマーになるのが最も安全なストレス発散相手になります。
何か言うときにいつも「我々庶民には・」と弱者ぶって・「弱いものいじめするな!」と騒いでいれば、自分は安全地帯に居られる仕組みです。
刑事罰に触れる行為(殺人・傷害窃盗行為その他)が処罰される刑事制度は、一方に被害者がいる=人権被害を減らすための人権擁護目的の制度です。
道路交通法も金融商品取引法もすべての法は、対等な人権と人権の調整のためのルールです。
各種取引規制法は、消費者や国民の安全を守るためにあるのですし、いろんな規制法規は全てなんらかの人権保護の目的があります。
例えば6月18日の高槻市の地震でブロック塀が倒れて小学生が死亡しましたが、ブロック塀などの設置規制でさえ人命・人権を守るためにあることが実感できたでしょう。
このブロック設置に法令違反であったとして、その処罰や責任追求の段階を今の袴田再審事件に当てはめればわかりますが、朝日新聞的主張によれば、死亡した児童の人権を忘れて違反者の人権の方が重要として「市民感覚が許さない」と言って検察批判を繰り広げるのでしょうか?
被告人の人権保護は本当に犯人か、違法行為をしたのかの事実を厳密な究明をすることであって、事実の有無にかかわらず被告人を無罪にすることではありません。
事実確認の合理性チェックをないがしろにして、先ずは「無罪にしろ」と言わんばかりの大合唱では刑事制度は成り立ちません。
刑事制度が成り立たなければ、弱者の刑事被害・人権侵害が増える一方になります。
刑事制度は法を守らない人(強者)による弱者に対する人権被害が起きないための制度です。
朝日新聞や革新系野党あるいは人権派は、この辺の「複雑系の理」が理解できないか、理解できるが、そんなことは苦手というグループ・一方の人権だけ理解可能な一定率の支持者に支えられているように見えます。
平和主義といっていれば平和がくるような思考と似ています。
目の前の被告人が「何をしたか」?「何をしたという証拠の有無に関わらず」処罰するはかわいそう・無罪放免されることが人権擁護になるという立場(刑事制度否定論かな?)で一方的な報道をしたければ、中立的な立場を装わずに特定思想集団の立場での主張であると明らかにすべきです。
刑事制度否定論は無政府主義につながるし、非武装平和論にも繋がりやすいような印象ですが、それはそれで一つの主張です。
こうした意見の亜流が加害者側だけの人道論に立脚した死刑廃止論でしょうか?

メデイアの事実理解能力3

事務所にきた人に事実関係を聞くときに「意見ではなく事実を教えて欲しい」と言っても、なかなか事実を説明できないので、こちらから一問一答的な質問をすることがあります。
質問に事実ではなく意見・・自分なりに理解した熟語を言いたがるので、生の事実がさっぱり出てこないので別の角度から聞きなおすことがよくあります。
この数日間でも給与差押え→債務整理事件の相談で、事件の推移からして債権者の同意が無理そうな話のために「給与再生手続き」しかできないかも?と(相談者もその希望できたので)方向が決まった結果、職種(今何をしているのか?」)を聞いたところを「正社員です」というので支給総額年収の説明を基準に大雑把な手取りを推定して給与再生の場合の支払い総額(可処分所得の2年分基準)について大まかな想定を説明していたところ、翌日紹介者からの説明では保険外交員で別に確定申告しているという情報を得て驚いたばかりです。
それならば、源泉徴収票基準でなく、確定申告の収入(経費を引いた課税対象額)が基準になるので可処分所得が大幅に減ることになってまるで違ってくるし、収入の変動率が重要になるなど検討課題・出してもらう資料がまるで違ってきます。
例えば、いろんな事件で何をしているのかを聞くと会社員、役員、自営などと言い切ってしまう人が結構います。
具体的事件では、統計上の区分は意味がない・・会社員や公務員でも現場系もあれば、大手のホワイトカラーもあるし、役員といっても5〜6人の従業員の不動産屋や蕎麦屋も、数人の土木会社、蕎麦屋もあるなど・・これでは離婚事件等で必要な具体的な仕事や生活状況がさっぱり不明ですが、その単語が今相談しようとしている事件状況説明に意味のある単語かどうかの区分けが出来ないというよりは、(実態を知られたくない?)格好つけたい心理の方が強い印象です。
メデイアが平均賃金と言わずに「実質賃金」と言ったり、労働分配率が下がったと言って誤ったイメージを刷り込もうとしているのと同じ傾向です。
メデイアの場合イメージだけ振り撒けばその方向に刷り込み可能なレベルの人だけでも信じ込んでくれれば、(低レベル裾野の方が人口が多いので)政治的影響力としてはそれで成功です。
個々人でもちょっとした挨拶ならば「当たり障りのない」自己紹介で良いのですが、特定事件の弁護士相談の場合に、当たり障りのない=意味のない事実?「会社員です」と説明されても時間の無駄です。
要するにTPOが分からないということでしょう。
債務整理の場合には、全部関連資料を持って来てもらい、こちらで資料・事実記載を直接見て質問した方が効率が良いのですが、これを持ってこないで半端に格好つけて説明しようとする人は、間違いのまま途中まで進んでしまって途中で修正するなどのリスクが高まります。
医療でいえば、医師の直接診断や検査を受けないで自分の知っている知識で状況説明して、どういう手術が必要かどうかの診断を求める患者のようです。
統計レベルの大雑把なくくりでは正規か非正規かの区別で良いのですが、給与再生相談であれば、収入の安定性と支払額を決める基準として可処分所得が重要なのでその関係の分類が重要になります。
相談者としては、給与所得者再生手続きのために「正社員扱い」だという点を強調したかったのでしょうが、一方で可処分所得計算上会社からの支給額で計算すると債務全額払う結果になるのと、どうしてそんな巨額の可処分所得のある人が「いま一文無し」というのか不自然なので事件をやるには債務発生原因をじっくり聞く必要があるとは思っていました。
相談者は「全額払ってもいい」と言うのですが何か裏がありそうで、もうちょっと資料を見ないと「分からない」個人再生、給与再生どちらをやるにしても「その方向の準備はほぼ共通です」ということでその日は終わったら、翌日の電話で保険外交員とわかったので、たちまち表向きの年収とは違い苦しい実態が理解できたのです。
そうなると源泉徴収票も必要としてもまずは確定申告控えの方が先決的に必須です。
同じ単語でも使う場面によって違います/事案解決に必要な概念は「正社員」=「会社から払われる名目の金額」ではなく、経費自分持ちの「保険外交員」という具体的職種であり税務申告上の所得だったのです。
債務整理に必須の家計収支の具体的記載を出してもらえば、自ずから経費自分持ちの実態も見えてくる・医師ならば、患者のいう独自病名より検査すればすぐにわかるのですが、こうした資料を見てもらう段階に入る前に結論を知りたいというせっかちな意識がこうさせるのでしょうか。
事件によって、何が必要な事実か不明のまま、自己判断の定義(上記例で「正社員で源泉徴収票もあります。」で質問されると、(熟語には内容に幅があるので話す人によって使う意味が違います)処理が却って複雑になります。
今でもこういう例がなくなったわけではありませんが、平成に入ってからは国民のレベルが上がったらしく、言語能力の低い人がグッと減ってきました。
特に40台以下(私の子供世代)では人種が変わったかのように優秀というか、論理説明できるし理解能力もよくなってきました。
朝日新聞と日経の比較については、昭和61年に購読を切り替えた頃の感想を6月20日に書きましたが・・それから30年以上経過で今では日経新聞も一般人のレベルアップについていけない・・事実分析能力あるいは語彙の定義ではイマイチになってきたようです。
日経のレベルが下がったというよりは、国民の経済情報に求めるレベルが上がっているのに、いまだに半端な熟語(を知ったかぶり)で煽れば読者をごまかせると思い込んでいる点が不信感を煽るようになった原因です。
報道は事実報道に徹して国民を誤魔化そうとしなければ良いことですが、悪意で曲げて報道しているのではなく、もしかしたら昭和年代の生き残り?の事実把握能力の低い人たちが、メデイア界の主流になっているのではないか?の疑問で書いています。
理解力レベルの低い人たちがメデイア界に就職する時代が続き社会のレベルアップについて行けていない印象です。
ただし文化欄は専門家が直接執筆しているらしく、レベルが高く、家族みんなで気に入っています・念のため・・。
(ただし、今のところ、私のレベルが低くてちょうど日経の編集者のレベルにマッチして満足しているだけのことですから・・数年すれば同じレベルの繰り返しでは満足しなくなるでしょう)
袴田再審事件に関してメデイア報道と6月17日引用した郷原氏のhttp://agora-web.jp/archives/2033195.htmlの紹介との比較に戻ります。
筆者は自己紹介によると権力寄りというよりは、これまで数々の冤罪事件を手がけてきた反権力?弁護士による解説らしいです。
※ただし、ウイキペデイアで見ると元検察官で弁護士になってからも政府の委員などになっているらしいですので念のため・・。
こういう人権派?弁護士からまで、無茶なこじつけ?結論と批判を受けるようになったのでは、朝日新聞も終わりに近くなった印象です。
こういう無理なこじつけに酔っている人は、社会の中で(社民党支持層プラス立憲民主支持層レベル?)10%あるかないかでしょうから、これでは全国紙としての役を果たせなくなる日が近いでしょう。

メデイアの事実報道能力4(労働分配率)

好景気なってからいきなりこういう意味のない統計を毎月のように大規模報道するようになったのは、好景気というが庶民に恩恵がないとか、庶民は実感しないという政権批判意図としか見えません。
合理的根拠のある政権批判は必要ですが、意味のない指標を持ち出すのは、国家をより良くするための批判報道ではなく、批判のための批判・なんでも反対の業界になってしまっているように見えます。
私だけでなくいろんな人がこの種の反論をしているうちに、日経は流石に恥ずかしくなったのか大規模主張・・この種の意見記事はなくなりましたが、ネットで見るとまだ実質賃金が下がったことが、いかにも重要指標であるかのような報道が続いているようです。
例えば今でも以下の通り毎月のように報道しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30261420Z00C18A5EE8000/

実質賃金4カ月ぶりプラス 3月、人手不足で一時金増
経済2018/5/9 20:00

https://www.asahi.com/articles/ASL6562PCL65ULFA02Q.html

4月の名目賃金、0、8%上昇 実質賃金は横ばい
2018年6月6日10時27分

以下は
上記の通り、未だに続く実質賃金低下報道に対する批判意見です。

いまだに「実質賃金ガー」って言っている人いるんですね

いまだに「実質賃金ガー」って言っている人いるんですね
厚生労働省が発表した2017年の実質賃金の統計が、前年比でマイナス0.2%となり、案の定「アベノミクス失敗」というつぶやきがいたる所で見られます。
ですが、実質賃金とはどのような性質を持っているのか。それをきちんと理解していれば↓の様な批判は無くなるんじゃないかなと思います。
実際には国民の所得は増えていますからね。
”実質賃金が2年ぶり下落 「アベノミクスっていつ結果出るの?」という声が相次ぐ
2018/2/8 キャリコネニュース

https://news.careerconnection.jp/?p=49834

『厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査によると、2017年の実質賃金は16年に比べて0.2%減少し、2年ぶりのマイナスになった。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増加したものの、物価の伸びに賃金の伸びが追い付いていない状況だ。
この報道を受け、「アベノミクス失敗」「私が死ぬまでにアベノミクスって結果出るの?」と経済政策の見直しを求める声が相次いでいる。(後略)』
実質賃金が低下=国民が貧しくなっている”
実質賃金を強調する人はそう主張しているわけなのですが、これらの方々には実質賃金が平均賃金であるという認識がゴッソリと抜け落ちている感じがします。
例えば、この場合 (月収です)
Aさん、Bさんがそれぞれ月収40万円、30万円で働いていました。この時の平均の賃金は35万円です。
そこに翌年、新たにCさんが月収20万円で雇用された場合、この三人の平均賃金は30万円と、Cさんが新規に雇用される以前に比べて5万円も減ってしまいました。
さてこの場合、Aさん、Bさん、Cさんは平均賃金が下がったことにより、貧しくなったのでしょうか?」

上記意見は4〜5年前から私が書いてきた主張と同意見というか事例の上げ方までほぼ同じです。
景気が良くなって失業者や無職待機中の主婦や学生が15〜20万前後の非正規に就職すると、全労働者の平均賃金(平均年収400万前後とすれば)が下がるのはあたりまえのことです。
家庭でいえば、夫一人の月収50万の所帯で無職専業主婦が月20万でも働くようになれば、夫婦2人の平均月収は35万に下がりますが、家庭の合計収入は50万から70万に増えるのでその家計としては格段に豊かになります。
まして非正規で夫の月収30万前後しかない子育て中家庭にとっては、保育所に預けて妻が1日の半分でも働いて月収10〜15万円前後を稼げれば生活水準アップの恩恵は桁違いです。
こいう簡単な仕組みを無視して「実質賃金」と意味深そうな語彙を利用して「 専門家が研究した統計だろう」と国民を思考停止に追い込み・「実質的賃金が下がっているのか?」と国民不満を煽ろうとしているように見えます。
完全雇用になっても更にに好景気が続くと非正規等の賃金相場があがるが(生産性があがったのではないどころか、半人前でも採用するしかない企業が出てくる結果)運賃や居酒屋等物価も上がるので、実質購買力はプラマイゼロが理論数値でしょう。
例えば、半人前の人が失業状態でゼロ収入から月収10数万円になれば彼にとっては、物価が1割上がっても実質賃金は前年比大幅増ですから、人や職種によって短期的には若干の凸凹が起きます。
雇用者増が止まる→人件費アップ→コストアップ→物価上昇=ここ1年〜半年前後の単価アップでも、超短期非正規雇用に頼る業種・例えば居酒屋やコンビニ等と、工場の期間工のような中期的業種とは効果の出る時期が違いますが、いつかは物価に追いつかれます。
1年半後に物価が追いついた時にその年も賃金アップしていれば別ですが、その時には賃上げが終わっていると、同時期の賃金と比較すると賃金は昨年からアップしておらず、物価だけ何%アップですから物価調整後の実質賃金下落と表現されます。
こうして「好景気なのに庶民には実感がない」(「市民感覚があ〜」とメデイアの一方的断定報道の潜在的した支えをしているのです。
街角景気・・千葉の繁華街を歩くと多くの現場系若者が街に出て元気に楽しんでいます。
実質賃金低下論が私のようなネット批判によって(メデイアの言論市場独占支配が破れた結果)化けの皮が剥がれてくると、労働分配率が下がりつづけていると主張が始まりました。
実質賃金低下論は、好景気の恩恵が庶民に行き渡っていない根拠として?始まったのですが、化けの皮が剥がれてきたので次に始まったのが労働分配率低下論です。
労働分配率は資本収益回収額と人件費の比率のような語感ですが、これも実質賃金論同様に実は違うのです。
労働分配率とは付加価値に占める人件費比率ですから、省力化投資あるいは補助器具等で弱者も働けるようなロボット等の装備が増えると付加価値に占める人件費率が下がります。
設備投資をすればするほど労働分配率が下がる(就労率アップが限界になってきた→人件比率アップ→価格転嫁を避けたい企業努力としての「工程短縮」等の投資ですから)のは当たり前すぎることです。
この辺の説明はJune 26, 2017「労働分配率の指標性低下2(省力化投資と海外収益増加)」で書いています。
このように朝日よりマシとはいえ、日経新聞も経済統計の意味を誤解しているのか、意図的に国民に不満を持たそうとしているのか不明ですが、(国民が貧しくて苦しんでいるという主張をさすがにしなくなりましたが、)厚労省の毎月の発表という形の大規模報道を続けて変な方向への誘導が目立ちます。

メデイアの事実報道能力5(実質賃金低下論のマヤかし3)

ついでに、物価変動について書きますと、高額ブランド品の価格変動は景気動向の末端現象としては意味があるでしょうが、中間層以下の生活感指数としてごっちゃに報道する意味がないでしょう。
庶民には・・・という視点で報道するならば、そんな論説の垂れ流しよりは、コンビニ単価やコンビニバイト時給単価の変動率、保育士や介護士の時給・・業種別推移などを具体的に報道した方が合理的です。
低賃金者の新規参入が止まり平均賃金が下げ止まり、生産性向上以上の賃上げ後→その分物価上昇の場合には、論理的にはプラマイゼロですが、賃上げが前年で終わったのに、物価上昇が翌年以降になるとそのタイムラグで次年度以降は賃上げなき物価上昇になり実質賃金マイナスになります。
タイムラグ・業種間で景気変動の影響を受ける時期がずれるのと同様に、個人でも生産性以上の賃金をもらえるようになる時期が違います。
好景気初期には8〜6〜4割しか役立たない人でも1人前の人と同じ時給で雇用されるのは(一人前の能力者にとっては逆差別ですらからその是正圧力が賃上げ圧力へ)、それ自体論理的には商品サービス単価の値上がり要因(レストラン等の客にとっては、サービスレベル低下で同じ料金)ですが、非効率による損害は初期には企業負担→値上げやサービス縮小に走る順序も企業体力差によります。
賃上げ分だけの物価上昇の場合には論理的には双方のアップ率は同率ですが、好景気敏感反応業種=非正規雇用の多い職種と公務員やホワイトカラー層では影響の速度が違います。
同じ飲食関連でも、高級料亭では非正規人件費の比重が低いので、パート人件費相場が1割上がっても数万円以上の単価への(食材等の値上がりなど間接的)その影響が遅れます。
非正規の時給が2割上がって、その影響を受けやすい居酒屋牛丼店等日用品分野で1割単価が上がった場合、その階層レベルでは実質賃金低下がありませんが、年収数千万のサラリーマンや公務員の人件費が簡単に2割も上がらないので日本総平均賃上げ率としては微々たるものとなり、総平均ではマイナス化し易いように思われます。
高額所得者にとっては、コンビニ等の単価が1割あがっても生活費が1割上がるわけでありません。
このように職種業種によるばらつきが大きいのですから、コンピューターの発達した現在、手書きそろばん方式時代の日本中の総平均で平均賃金を出す大雑把な発表方式を改めるべきです。
業種職種別統計を政府がだしているかもしれませんが、メデイアが新聞等に印刷しきれないとすれば、ネット等で業種別データへのアクセス方法を紹介すべきでしょう。
物価上昇の結果、実質賃金が低下した場合には、黒田日銀総裁の物価上昇を目指す金融政策が徐々に効果が出始めたという意味であり、政策効果がない・・(私はインフレ期待論には組みしていませんが)無能だと批判すべき記事にはなりません。
しかも実質賃金変化による購買力影響力は、高額所得者よりは、中底辺層に大きな影響力があるので、実質賃金と言う大括りの概念比率では意味不明になります。
例えば夫月収40万の家庭で月収ゼロの専業主婦が働きに出て月収20万家計収入が増えると家計収入では5割増ですが、(ただし、昨日書いたように月収2000万クラスと合算平均すると家計収入平均アップ率も大きく低下しますのでどの階層と合算平均するかは重要です)平均賃金となるとこの家計だけでも平均賃金=実質賃金では月収30万→25%低下します。
好景気1〜2年経過で時給単価や年収2000万の夫の収入が1割上がって、2〜3年後にコンビニ商品単価等が1割上がっても高額収入者はびくともしません。
高額所得者は不景気でも給与削減がない代わりに好景気でもすぐには給与が上がりませんし、重役の奥さまが居酒屋のバイトに出ることもなく物価上昇の圧力だけ受けますが、その代わり投資収益アップで賄う人が多いでしょう。
メデイは政府におもねるばかりは困りますが、政府に落ち度のないことまで落ち度のように批判するのも困ります。
政権に中立で社会の実態を報道する心がけならば、非正規や高齢就労が増えて平均賃金が下がったと言えば良いのですが、それでは当たり前すぎてニュース価値がない上に、「なんでも政府批判」の特定立場を活かせないから実質賃金が下がっていると言い出したような印象を受けます。
「実質賃金が下がり続けているとか横ばい」などの批判的イメージ報道であれば事実であり、虚偽報道にはならないのでギリギリセーフ!・・これは便利だと飛びついたように見えます。
ギリギリセーフの報道ばかり続くと信用をなくします。
単純に平均賃金が下がっているといえばスッキリするものを、如何にも専門用語らしく「実質賃金」という言い換えて、愚昧な国民を誤魔化せば良いという思い上がりもあったでしょうか。
学術・難解用語→「立憲主義違反」「近代法の法理を守れ」「平和憲法を守れ」とかのスローガンを掲げて読者・・私レベルの思考停止を誘う傾向と根が同じです。
あたりまえのことをそのまま報道しないで難しい言葉に置き換えてあたかも意味ありそうにメデイアは連載していたのです。
メデイアが実質賃金の定義を虚偽解説したことはないし、厚労省の発表も事実ですが、前後の文脈で誤解するようなイメージを流布していたのが問題です。
これについては4〜5年前に書いた記憶ですがどこに書いたか忘れましたが、最近では2017/12/14/にも、数年前のこととして再論したことがあります。
好景気になれば企業はまず非正規や新人採用から雇用をふやすのが普通です(人手不足で失業者や主婦、高齢者雇用すれば平均賃金が下がる)から、労働人口をトータルして指数化すれば実質賃金(平均賃金)が下がるのは好景気の証です。
逆に不景気になれば期間工や非正規からへらし、新人採用を絞るので社員の年齢構成が上がる→高給取りの比率が上がり平均賃金が上がる仕組みです。
不景気になれば腕の悪い職人から仕事がなくなり、役立つ人材が企業に残ります。
好景気の最初は残業手当が増えるがその次には収入ゼロだった人が1日4〜5時間の仕事に付けるようになり、フルタイム非正規などの労働チャンスが広がり最後は正規雇用採用が増える順序です。
今は、まさに新卒採用を最大化(新卒の就職率99%?報道されています)、非正規の正規雇用化が進み始め単価上昇がはじまった段階でしょう。
この段階で正規雇用者だけの平均賃金を持ち出すと(中高年中心だった企業に給与の低い新卒が一人でも入ると)正規雇用の平均賃金が5年前に比べて大幅低下となります。
高級官僚や部課長クラスは景気が悪くても給与は減りもしないし好景気で(残業手当がない)もそれほど上がらないので平均賃金に影響がありません。
好景気の影響は庶民が真っ先に恩恵を受ける関係ですから、(ゼロ収入が15〜20万に増えるのは生活に与える比率が大きい)庶民に実感がないというのは、根拠なく「市民感覚が〜」というのと同じ決めつけです。
実質賃金は名目平均賃金をインフレ率で調整するものですから、インフレ昂進時に給与所得者の購買力の変動率を見る必要があってできた指標ですが、いまのように物価が上がらずに困っている・日銀がインフレ率2%の目標を掲げねならないほどの時代には、社会の現状を見るのに有用な概念ではありません。
社会の変化に合わせて、旧来の指標を廃止し新たな指標開発が必須であるとこのコラムで書き始めていたのですが、途中話題が横道にそれて先送りになっていますが、時代に合わせた指標廃止・開発が必要な一例です。

メデイアの事実報道能力4(実質賃金低下論のマヤかし2)

全国平均という数字もよく出ますが、都道府県ごとの平均数字を出してそれを合計して都道府県の数で割って平均を出しているのか?
これでは人口百万の県と1100万の東京都と同じ1単位になって全国の趨勢をあらわしません。
全国平均というからには、各県のナマの数字を単純合計して総人口で割るのが簡明ですが、過疎地と大都会を合わせた(神戸市と丹波地方のように)平均を出してもあまり意味がないので、交通事故数や医療機関・医師数で言えば、地域ごとの人口10万あたりの比率などで出す方が合理的です。
それも平均ではなく10万人あたり医師数の最大地域の医師数は何人でどこそこで、最小の地域の人数は何人でここ」などと具体的に書いた方が分かりよい感じです。
平均というのはどのように何を平均したのかの定義自体が、実施主体によって不明瞭なことが多い印象です。
マンション販売では最多価格帯という表示がありますが、商売ですから客に分かり良くする努力が現れます。
賃金動向や国民の総消費能力を見るには、総就労者数の増減と総収入の前年比を見るのが単純・可視化できて分かり良いでしょう。
とは言うものの、NHKは平均年収が1100万円前後と言われますので、1500〜2500万の人(が一杯いるということでしょうが管理職等には残業手当がない)あるいは公務員は、原則景気変動に関係ないのが普通です。
仮に人口の2割の人の給与総額が全体の半分を占めていて人口比で2〜3割の中間層の公務員や団体職員等も岩盤のように景気によって動かない社会で、半分以上を占める庶民層で給与総額が2割上がっても、あるいは最下位層の月15万前後しか仕事のなかった人が毎日仕事が出来て2倍の30万になったとしても、全給与総額の平均値で見ればその上がり方は微々たるもの・本来の景気動向を表していないばかりか、そもそもなんの平均かすらわかりません。
まして新規参入は最低賃金層層が圧倒的多数ですから、これを頭割りに入れれる平均値がぐっと下がります。
各階層別平均ならわかりよいのですが、月収18〜20万の枠の人がアップして22万になった場合、その枠から出てしまうのでそれでは各人の追跡調査が必要ですから、複雑すぎます。
簡明化するには、月収2万きざみの枠をABCDEF〜等と区分し各区分の就労者数をデータ化し、その推移を(グラフ等で)発表すれば時間経過でCD前後の各クラスの人口が上下いずれに移動しているかがわかります。
ネット検索すると「実質」と言うもののなんら難しいことをやっているわけでなく、全企業の総支給額を就労人口で単純に割った平均賃金を名目賃金と言い、これに毎年毎月の物価変動率で調整したものと言うことがわかりました。
「実質」とは言うものの単純平均したものを物価変動率で修正したに過ぎないものを「実質」といかにも難しい計算をしたかのように銘打っていただけでした。
景気の循環と実質賃金の前提たる平均賃金を見ると現実の賃金支給総額を就労人口でわる単純平均が基礎数字ですから、物価変動率のブレが殆どないこの10〜20年単位でいえば実質賃金と平均賃金はほぼ同じですから、単に「平均賃金の推移」といえば国民にわかり良いのですが、「就労の裾野が広がれば平均賃金では下がるのが当たり前」すぎて政府批判トーンにならないので「実質賃金が下がっている」という報道が横行するようになったように見えます。
ちなみに(私の思い付きですが)好景気と平均賃金の関係を時間軸で見ると以下のようになると思われます。
① 景気が良くなる→社内失業者のフル稼働→残業でしのぐ
(この間、末端労働者の残業代が増えますが、彼らへの支給額が1割増えても全労働者・・製品出荷が1割増えても事務系の労働時間が1割増えないので売り上げが1割増えた1企業内だけ見ても支給額全体でストレートに1割あがりませんし、好景気の影響を早く受ける業種とすぐに受けない業種が混在するほか、公務員系あるいは業界団体などの事務局員は好景気で残業が増える関係でもありません。
就労者全体では景気の影響度はかなり緩和された数字になります)
② → 低賃金のパートなど非正規を増やす→正規職員の残業増に比べて(ゼロ収入→20万前後新規収入発生は)桁違いの影響力です。
③ →(正規雇用中の最低賃金層である)新卒採用を増やす(高給の部課長や重役から増やす企業はないでしょう)

a  企業の省力化投資+目や腕の力の弱い人腰に弱った人でもできる補助器具の開発などが並行して進む
b →戦力外だった高齢者雇用や子育て中の主婦の短時間労働参加が広がりさらに低賃金(高齢者は週3日、半日勤務などで月7〜8万でも満足な人がいる)就労人口が増える
⑤ 就労者数の増加限界(高齢者で対応できない若手必須分野の逼迫)→若手労働者の奪い合い→時給アップが始まる→製品価格やサービス価格への転嫁開始→物価アップ→実質賃金アップ
上記②〜④の間は低賃金労働者の就労人口増→頭割り平均であれば平均賃金が下がっていくのは当然です。
実質賃金とは「課長になって残業代が減った」り、年収2000万の人の給与がそのままで時給800円のバイト時給が1000円になった場合どのように修正して平均を出すかではなく、上記の通り単純合計で平均賃金を算出してこれが物価変動でどうなったか?だけですから、物価が一定であるときには平均賃金の変動率とピタリ同じですから、実質賃金も下がり続けます。
実質賃金の概念統計は、持続的インフレ下にあった高度成長期には毎年のベースアップがあっても同時にインフレ進行中でしたので、実質的購買力がどうなのかを知るために有用な概念でした。
しかし中国の改革開放以来日本は、物価下落に苦しんでいてリーマンショック以降は世界中の先進国が異次元緩和・・いかに物価を引きあげるかに奔走しているときに物価変動率による修正の必要性は乏しく、実質賃金を持ち出す意味がなくなっています。
今は・・ストレートに平均賃金動向をありのまま報道すればすぐわかることです。
上記1〜4を見れば、平均賃金が上がるときとは、完全雇用になって新人や非正規の就労率がこれ以上上がらない→採用時給与引き上げ競争に入った瞬間=平均賃金の下げ止まり・・就労率アップの限界・完全雇用状態で非正規等の末端人件費が上がり始めたときに生じるものです。
比喩的に言えば、不景気の時に10点の人材でも何割か失業していたのに好景気が続くと、10点の人の補充が終わってもまだ人手不足が続くと8点〜6点4点と次第に人材能力低下させるしかないのに、同じ時間給で募集しなければならないこと自体が生産性低下ですから、従来基準の10点の1人前人材を確保しようとすれば、競合他社より時間給アップして多数応募者確保→選別権確保のために人件費を上げるしかなくなる段階で初めて(物価変動がないときには)実質賃金=平均賃金がアップします。
生産性アップに関係ない(どころか半人前でも採用するしかなく、生産性低下に直面しているにも関わらず)賃金単価上昇は、1年前後のタイムラグで商品単価への転嫁が始まる・物価上昇するので、物価調整後の実質賃金は、再び下落に転じます。
実質賃金下落は、好景気前期の末端週労者増加による平均賃金下落による場合と(これ以上就労率増加見込めない)好景気後期の物価上昇による場合の二種類があるので、この分析なしに上位概念の「実質賃金が・・」と大規模連続報道する社会的意味がありません。

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