現行法の紹介です。
法律名が長くて(ヘイト規制法など)簡略な名称化の難しい法律名です。
それだけにヘイト規制の難しさが反映されていると思われます。
そもそも「規制」という単語すらありません。
論争が決まっていないことから歯切れの悪い条文となっていますので、条文全部みないと、この法律で何が事実上規制されるようになったかがはっきりしないので、引用が多すぎる嫌いがありますが、大方の条文を紹介しておきます。
私の理解では、これまで書いてきたように、「差別的言動は良くない」ことを宣言した意味がその限度で大きな効果があり、(公的施設使用拒否の根拠法となる?→さらにはデモの許可基準にも発展する?)一方で道義心向上に取り組む教育必要性を宣言したような法律です。
ヘイト禁止を推進してきた革新系は長年道徳教育反対論ですが、結果的に少数民族(在日)保護のために特化した「道徳教育?」が必要として道徳教育を推進することになったようにみえます。
これまでの思想の自由市場論の例外として「地域からの排除目的の表現」は市場原理に委ねない分野とし、規制対象となる能登同様に教育現場でも「地域からの排除論に限定した道徳教育」を求めるようになったことは確かでしょう。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=428AC1000000068
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年6月3日法律第68号)
前文
我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽せん 動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。
もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。
ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。
第一章 総則
第一条 この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。
(基本理念)
第三条 国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責務を有する。
2 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
第二章 基本的施策
(相談体制の整備)
第五条 略
(教育の充実等)
第六条 略
(啓発活動等)
第七条 略
一般に言われるヘイトスピーチ規制法の定義は人によって幅があるとしても、この法律では「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消に向けた取り組み推進に関する法律です。
そして、差別的言動の対象を本邦外出身者に絞った上で、「不当な差別的言動」の定義を見ると「差別」自体の国民合意ががはっきりしないので差別「的」言動として逃げてしまい、地域排除等の目的から絞るものの、厳しい規制には無理があるので、解消に向けた人権啓発・教育に「取り組み推進」する程度となっています。
(1) 対象を「適法に居住する・・本邦外出身者」に対する差別的言動に限定し
(2)「差別的言動」とは
① 目的による絞り
「本邦外出身者に対する差別的「意識」を助長し又は誘発する「目的」に限定
② 方法・態様の絞り
a「公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は 本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、」
b 本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」
となっていて判り難い定義ですが、上記ab 間には「など、」となっているので前段を例示として(「などにより」)「排除することを扇動する不当な差別的言動」と一体的解釈することになるのでしょうか?
それともabで独立の要件なのか人によって解釈が違うかもしれません。
独立要件であれば、aだけでbの「扇動」しなくとも該当しますが、一体であれば、侮辱的言動等があっても扇動しなければ良いように読めます。
実際的にも、個人的争いでたまたま罵ったとしても、地域排除の扇動でなければ一般的な名誉毀損や脅迫等に該当するときの処理で足りるでしょう。
普通の喧嘩まで外国人に限って特別保護する必要がありません。
bは「差別的言動」の定義規定の中に「・・を扇動する不当な差別的言動」というのですから、「差別的言動」自体の意味解説がなく、その定義は国語的に決まっている?前提で・・・家柄、身長体重、性別、人種、学歴その他さまざまな差別的言動がある中で「地域社会から排除することを扇動する」(ような)「不当な差別的言動」に限定すると読むべきでしょうか?
以上のように読むと、かなり要件が絞られていて、在日系批判が網羅的にマイナス評価されている訳ではなさそうです。