名誉毀損とは結果から見れば社会的地位を落とすことですが、基地反対運動が正義の為の運動とすると基地反対運動の資金的黒幕・スポンサーと名指しされると不名誉なこと・名誉毀損になるというのはおかしな印象ですから、理解困難でしたが、決定概要を昨日初めて見てようやくスッキリしました。
決定概要によれば、反対闘争の黒幕・スポンサーであるとの表現が問題視されたのではなく、「違法行為を繰り返している集団の黒幕・スポンサー」という点が問題になったのであれば、事実の有無次第で「名誉毀損」被害事件になるのはもっともです。
「朝鮮人等が基地反対闘争に首を突っ込んでいるとニュースで言ったら、ヘイト騒動になって関係者が降格された」という一方的拡散しか知りませんでしたが、今回決定概要に直截当たれたので、MX・ニュース女子擁護者は批判された理由を正確に伝えていなかった・・自分の都合の良いように脚色して支持者が拡散していたことになります
ただし、違法行為を繰り返した企業のトップあるいはスポンサーあるいは応援者が、直接違法行為(例えばデータ改ざんなど)をそそのかしていなくとも大事件があると社会的責任を問われるのが、社会通念ではないでしょうか?
広告に名を出していたなどの有名人が大規模消費者被害などで陳謝したり政治の表舞台の活動を自粛するなど日常的です。
このような事件直後の説明会で、「社長は知らなかったで済むのか!」「社長が命じたに決まっている」と誰かが言った場合、事件の陳謝をそっちのけにして、名誉毀損だとか刑事告訴するような逆襲をする企業があるでしょうか?
正確には民事上の使用者責任や監督責任があることと、個人が命じた「事実」とは別ですが一般人にはその区別がつかないことから、言い過ぎがあっても大目に見られているのです。
ニュース女子の報道自体知らないのですが、「違法行為の黒幕」とまでの厳格な区別がなく、「反対運動のスポンサーであれば相応の責任がないのか?」という意味の流れ「舌足らず表現」だった場合もあり得ますが、この辺については、BPOできっちり事実認定した結果責任があるとしたのでしょう。
あるいは、印象操作中心のメデイア報道に慣れている・・・逆からいえば、私を含めて消費者はイメージ操作に簡単に引っかかる・思わせぶり報道のタイトルだけで、事実報道のように意識の奥に染み込ませてしまうのに慣れさせられています。
私の例を何回も書いていますが、忙しい出勤前や帰宅してからの合間にちらっとニュースその他のタイトルしか見ない大多数の人にとっては、週刊誌等のタイトルだけで、こんなことが今話題になっているのか!と脳の奥にすりこまれていくのが普通です。
この結果、だいぶ時間が経つと内容を読んだ上の知識か、見出しを見ただけの知識かの区別も不明になり、既定の事実と印象表現に過ぎなかったかの区別がつかなくなります。
送り手のメデイア側では見出しをセンセーショナルにしても中身では堅実な事実解説にしているなど、通常の注意力を持って読めばわかるという基準をクリアーするために周到に事実主張を避けて印象操作にしているのですが、イメージ操作される素人はそのまま事実報道と受け止めている人が多いでしょう。
(これこそが印象操作に走る効能であり、メデイアにとっては世論操作して政治方向を事実上決めていく醍醐味です)
視聴者の方は、無意識に断定報道を聞いたかのような理解をする習慣化・イメージと結論の直結に慣らされています。
一般人・報道の素人がネットを通じて論争に参戦すると、疑問で終わらせるべき意見と結論を一体化して過激な主張・・断定的主張が許されるような気分にななりがちです。
MX事件は、沖縄デモには外国人や県外からの応援が多いことや違法行為が多いということを報道する本来の目的を逸脱して、余計なことを強調しすぎたような事件でしょうか。
MXテレビ発言者が注意深く発言・・「辛さんはどういう関係なのでしょうかね?」程度で結論は視聴者の想像に任せておけば、メデイア界一般に行われている印象操作範囲のようですが、そういう巧妙な表現技術が身についていなかったのかと思っていたのですが、決定概要に「テロップと総合すると」と書いているところを見ると、出演者各人は慎重な表現をしたがMXの方で、「彼女に決まっている」という意味のヤジのようなテロップを流していたように見えます。
これでは単なるミスではなく、MX側が、終始一貫した意図的企画であったとなりそうです。
そうとすれば、ミスではないので、きちんとした取材が必要とするBPOの決定内容は相当ですし、辛淑玉氏の申し立ては的を射ていたことになります。
ところで、この事件を知ったのは「実質亡命」の主張の一環として出てきたので「聞いたことのある事件だな・・と思ってついでにどういう事件かが気になって、横道に逸れましたが、なぜ亡命という言葉を使う必要があるかの疑問に戻ります。
BPO決定概要を見ても、名誉毀損しか書いていないし、辛淑玉氏の申し立て理由を再引用しますが、「社会から排除されるべき標的とされる」→社会的地位低下=名誉毀損を主張しているに過ぎず、ここから「テロの標的にされるリスク」が迫っている・・「亡命を決意しなければならない」というのは飛躍がありそうです。
「申立人がテロ行為、犯罪行為の『黒幕』であるとの誤った情報を視聴者に故意に摘示した。『テロリスト』『犯罪者』といわれた人間は、当然のごとく社会から排除されるべき標的とされる。本放送によって〈排除する敵〉とされた申立人は平穏な社会生活を奪われたのである」
あらゆる名誉毀損行為は社会的地位低下をもたらすものですが、地位低下・・業務で言えばあちこちでお呼びがかかりにくくなることもその通りですが、それをいかにも居場所をなくすかのような「排除される」と表現し、さらにテロに結びつけようとしているのですが、言葉の意味を徐々に怖い被害がありそうな言葉にズラして行くのですが、それでも関連が遠すぎる印象です。
基地反対闘争に関して「違法行為をしている集団の黒幕」と言われただけで、「テロリストと言われた」という主張自体も言語的に飛躍がありすぎるように見えますし、違法行為者に生活費等を渡していても違法行為の共犯にならな方が多い・・共犯というには違法行為の共謀関係が別に必要なことから分かるように、スポンサーであれば直ちに犯罪者になるものでもありません。
黒幕とかスポンサーと名指しされたことと「テロリストや犯罪者と言われた」ほとんど関係がありません。
さらに、仮に「犯罪者と名指しされた」としても、犯罪者であればテロの対象になりやすいという統計的関係も全くないでしょう。
違法行為にもいろいろあり・・道交法違反に始まり脱税や各種規則違反もあり、名誉毀損も犯罪になる場合があるなど・・違法行為者・例えば「泥棒」と言われたらテロ被害に遭いやすいということ自体非論理的主張です。
テロ被害→強度の反感による場合が多いとすれば、有名人が基地反対闘争者と一緒に写真に写っている場合、その人が黒幕だろうと応援に入ったであろうと基地推進派にとっては反感を持つ相手である点では大差ないのではないでしょうか?
まして本件では日当を配ったことや黒幕であることがBBPOで否定されたのですから・・いわば危険が去ったわけです。