ロヒンギャ問題2(日英の恩讐1)

ミャンマーに関する18年9月3日現在ウイキペデイアの引用です。

ロヒンギャ問題
2016年ミャンマー国軍によるイスラム教徒の虐殺、民族浄化が続いており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)により非難されている[17]。2016年以降、軍部によるロヒンギャ虐殺の被害者数が6千人以上の月もあったことが報道されている[18]。
2017年8月25日には、反政府武装組織アラカン・ロヒンギャ救世軍がラカイン州内の治安組織を襲撃。軍の大規模な反撃を契機に、数十万人規模の難民がバングラディシュ側へ流出した
ロヒンギャのテーマで出てくるウイキペデイアの記事からです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%92%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%A3
現在も、ラカイン州では仏教徒であるアラカン人(ラカイン人)とイスラーム教徒であるロヒンギャの間で死者の出る衝突[25][26]が頻発しているが、次代を期待されるアウンサンスーチーはこの問題についての解答を留保しているため、ロヒンギャ側は不満を露わにしている[27]。そして、アウンサンスーチー率いる国民民主連盟が政権を取っても状況は変わらず、国連調査団の入国不許可を表明した[28]。
アラカン人は「仏教の守護者」を自認している。ミャンマーの支配勢力であるビルマ人と対立する一方[29]、ムスリムであるロヒンギャへの敵意は非常に強く、アラカン人の民族政党・上座部仏教政党であるアラカン国民党(ANP)は、「ベンガル人」追放を公約している[30]。以前に認められていた国籍や参政権などの諸権利も、アラカン人には不法に与えられたものと認識されている
※日本の在日特権に対する在特会支持者の関心同様です。

「ビルマ人の歴史学者によれば、アラカン王国を形成していた人々[注釈 2]が代々継承してきた農地が、英領時代に植民地政策のひとつである「ザミーンダール(またはザミーンダーリー)制度」によって奪われ、チッタゴンからのベンガル系イスラーム教徒の労働移民にあてがわれたという。この頃より、「アラカン仏教徒」対「移民イスラーム教徒」という対立構造が、この国境地帯で熟成していったと説明している。
日本軍の進軍によって英領行政が破綻すると、失地回復したアラカン人はビルマ軍に協力し、ロヒンギャの迫害と追放を開始[注釈 3]した。1982年の市民権法でロヒンギャは正式に非国民であるとし、国籍が剥奪された。
そのため、ロヒンギャの多くは無国籍者である。市民権法はロヒンギャに限らず、1948年1月の独立時点で、ビルマ国内に居住していない、あるいは居住が確認されていないとした者の国籍を全て剥奪した法律だった[38]。
現在のミャンマーは、新規の帰化についても原則として政府の認めた135民族に限っているため[39][40][注釈 4]、ロヒンギャが改めてミャンマーへの帰化を申請しても、認められることは無い」

ロヒンギャ問題は英国とビルマ両国の緩衝地帯であったアラカン王国の争奪戦に始まるようです。
まず、アラカン王国が1784年ビルマに征服されて、英国とビルマの直接対決になり、英緬戦争敗北で、ビルマが元アラカン王国地域を英国に割譲させられ、この結果元アラカン王国地域はこの時インド帝国の一部に編入されました。
編入後新植民地統治のために英国はイスラム系を利用したらしく、英国はアラカン人から土地を取り上げて少数派のイスラム教徒に与えたということらしいです。
アラカン王国当時少しずつ流入していたベンガル地域からの移住者であるイスラム教徒と仏教徒とは平和裡に共存していたらしい(と言いますが、実際には新参者は苦しい立場にあったからこそ英国に利用されたのでしょうが・・)のですが、農耕社会定着以降の流入民・流入民は100年単位では農地を持てないのが普通でしょう・・・・。
わが国でも衰退産業と言われる現在でも、在日で農民になった人は滅多にないのではないでしょうか?
イギリスはビルマから割譲を受けて新たに入手した元アラカン王国地域支配の道具として、アラカン人の土地を奪って?(流入民も土地を持てるようにしただけかも・正確な実体が私には不明・ネット情報をちらっと見ただけの知識です)流入民に引き渡したことが仏教徒=アラカン人との深刻な対立の起源・原因らしいです。
アラカン王国の民にとっては、外敵に協力ししかも自分たちの先祖伝来の土地を奪った恨み骨髄の歴史というネット情報です。
日本軍が英国軍を追い払うと(日本軍の第一次〜第二次アキャブ作戦のことか?)アラカン族はこれに協力しますが、ロヒンギャはイギリス・インド連合軍軍側についたことが恨みに火がついた直接の原因らしいです。
この戦争でラカイン人が「2万人以上も殺された」というのが過激な襲撃が始まった直接の理由になっているようです。
上記引用の続きです。

また第二次世界大戦中、日本軍が英軍を放逐しビルマを占領すると、日本軍はラカイン人仏教徒の一部に対する武装化を行い、仏教徒の一部がラカイン奪還を目指す英軍との戦いに参加することになった。これに対して英軍もベンガルに避難したムスリムの一部を武装化するとラカインに侵入させ、日本軍との戦闘に利用しようとした。しかし、現実の戦闘はムスリムと仏教徒が血で血を洗う宗教戦争の状態となり、ラカインにおける両教徒の対立は取り返しのつかない地点にまで至る[35]。特に、ビルマの戦いにおける1942年の戦闘では、英軍側のムスリムによって2万人以上のラカイン人が殺されたといわれ、今日に至るまで、ミャンマー国内における反ロヒンギャの強い動機となっている[36][37]。

1988年、ロヒンギャがアウンサンスーチーらの民主化運動を支持したため、軍事政権はアラカン州(現ラカイン州)のマユ国境地帯に軍隊を派遣し、財産は差し押さえられ、インフラ建設の強制労働に従事させるなど、ロヒンギャに対して強烈な弾圧を行った。ネウィン政権下では「ナーガミン作戦」が決行され、約30万人のロヒンギャが難民としてバングラデシュ領に亡命したが、国際的な救援活動が届かず1万人ものロヒンギャが死亡したとされる。結果、1991年 – 1992年と1996年 – 1997年の二度、大規模な数のロヒンギャが再び国境を超えてバングラデシュへ流出して難民化したが、同国政府はこれを歓迎せず、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の仲介事業によってミャンマーに再帰還させられている。
2012年以降の現状
2012年6月、ロヒンギャ・ムスリムとアラカン・仏教徒の大規模な衝突が起き、・中略
ミャンマーの軍総司令官は、ロヒンギャはミャンマーの民族ではなくバングラデシュからの不法移民であると表明[50]する一方、バングラデシュでも難民や不法移民と扱われている[51]。また、タイやマレーシアなどの周辺諸国はロヒンギャを経済移民視しており、難民認定しないことで一致している。このため、母国での迫害を逃れて、国外へと脱出するロヒンギャの人々は周辺国でも不法入国者として罰せられることが多い。
2015年には、ミャンマーから海路で流出するロヒンギャが激増したため、アメリカ国務省は周辺諸国に受け入れを呼びかけている[57]。しかし、バングラデシュ、マレーシア、インドネシア、タイなどの周辺国は、前述のとおり経済移民であるという立場を崩さず、受入を拒んでいる[58]
5月14日にはミャンマー国会で産児制限法が成立し、事実上ロヒンギャ・ムスリムを標的とした法制化が行われた[62]
こうした国際的な孤立から、ロヒンギャにはイスラーム過激派組織による勧誘に応じる者が少なくないとみられている。

「不法滞在は信号無視程度」か?2(ロヒンギャ問題1)

運用面で見ると、不法滞在では、信号無視のように不起訴等の選択肢がなく摘発と同時に入管による強制収用が同時進行で始まり、最後は強制送還という実力行使が待っています。
辛淑玉氏の言う不法滞在というのは刑事手続き並行進行のない単純な場合を言うのでしょうが、この場合には検挙と同時に入管当局への身柄拘束が始まります。
このように法定刑では不退去罪とある程度パラレルな関係ですが、信号無視とはいろんな待遇でパラレルではありません。
単なる犯罪の場合、国外退去の強制(死刑はその1種でしょうか?それ以外に)はありません。
刑務所で1〜2〜10年以上年服役してもまたシャバに戻れる期待・希望がありますが、不法滞在で退去強制されると次の入国は以下に紹介する通り制限が生じます。
(5年以内は絶対ダメというだけであって、5年過ぎても簡単にビザが出ないリスクがります)
いわば二度と日本の国に来られないかも知れない・生活の基盤が日本に出来ている場合、(特に妻子が日本にいる場合など)5年以上再入国できないと死活問題になります。
他方、信号無視は、最高で3ヶ月以下の懲役でしかない上に、実務上1回の信号無視で実刑を受けることはありません。
全く車の来ない時に、赤信号無視で渡り始める人が多くいますが、その程度では罰金さえ取られない運用の実態を示しています。
信号やスピード規制、通行区分、飲酒運転禁止その他交通法規の多くは、その行為自体が生命身体を侵害する行為ではなく、侵害の抽象的または具体的危険のある場合をあらかじめ規制しておこうとして技術的に定められた「危険犯」にすぎません。
ですから、危険行為をした結果、実際に事故・実害が起きた時に処罰されるのが原則・・スピード、飲酒運転その他違反の多くは減点(行政処分が先行します)先行で、信号無視等の結果、交通事故のような実害を起こすと刑事手続が始まるのが普通です。
不法滞在は、それ自体で領土主権侵害行為そのものであり、一歩手前で規制する取締法規とは性質が違うので、不法滞在だけで・・特にその他の違法行為がなくとも即身柄拘束が始まるなどの対応の重さ・実質が信号無視とはまるで違っています。
この違いは何によるのでしょうか?
上記のように交通法規違反行為は、実際の侵害の前に危険性の多い行為をあらかじめ規制しているに過ぎないのに対し、住居侵入や不退去罪では、何も盗んでいなくとも侵入行為自体が、住居の平穏を害する侵害行為が発生しているのとの違いです。
住居侵入を伴う窃盗は、住居の平穏と財物窃取との2個の実害が生じているのですが、信号無視の結果起きた事故では、起きた実害は事故による致死傷・物損だけです。
刑事裁判では、拘留期間が最高20日しかなくその後保釈制度がありますが、入管に収容され不服申立てなどの手続きをしても保釈のような権利としての制度がなく、審査手続きが終わると実際の強制送還がいつか不明のまま、半永久的に?収容所に収容されたまま(仮放免制度がありますが保釈のように無味の推定に基づく保釈のような権利性がありません)です。
服役の予定が決まっている刑罰と違い、本人の全く関与できないところで(アジア系の場合、大村収容所のアキが出る都度大村に送られて、)帰国の船や飛行機が決まるとある日いきなり飛行機や船に乗せられてしまう仕組みです。
いわば俊寛僧都が赦免船がいつ来るか待つような環境です。
俊寛の場合、赦免船が来るのは夢だったでしょうが、強制退去の場合には、その直前まで家族の面会ができるので逆の関係です。
ただし平家ものがたりの筋とは違い、俊寛僧都の家人(その当時何と表現したか忘れました)が流刑された主人を案じて訪ねた時に、俊寛はその地の生活に馴染んでいて都への帰京を望まなかったという筋のストーリーを何かの書物(創作か研究成果かも忘れました)で読んだ記憶です。
最近の不法滞在者は国に帰れる喜びよりも、現地生活に馴染んだ環境からの剥離のほうが辛くなるのではないでしょうか?
これがオバマ大統領による、少なくとも親に連れて来られた子供(入国時16歳以下だったかな?)に限定して適法化する法制定になったのだと思われます。
どういう理由で不法入国したかは別として、ロヒンギャ問題もあまりにも長期間住んでしまった以上、今更故国に追い帰されても生きていけません・・同じ人道的配慮要求が欧米諸国の背後にあります。
ただアメリカの場合、アメリカ社会に溶け込み良きアメリカ人である移民の現状をトランプ氏が無視しているのに対して、ロヒンギャの場合歴史が違います。
仏教徒の国ミャンマー侵略後の支配道具として、イギリスがイスラム教徒を優遇し分断政治に利用した歴史があるロヒンギャの場合、単なる人道問題とするのは無理がありそうです。
(米軍政時の在日の暴動・違法行為などが言われますが、同様?)
ロヒンギャの場合、ミャンマー独立後地元アラカン族と同化・融和を拒むどころか?反政府運動に精出して来た・・・事実かどうか不明ですが、今回の騒動は反政府軍の警察署等襲撃に始まるとされています・・を無視できません。
今朝の日経新聞2pにもロヒンギャ問題の記事が出ています。
6〜70万人もの避難民が押し寄せたバングラでも自国民でないから、早くミャンマーに帰れ・・職を奪われる「迷惑だ」という不法入国扱い・・どこの国の保護も受けない漂流状態らしいです。
済州島から6〜70万もの難民が日本に押しかけた後の日韓交渉の時に、韓国は自国で引き受けたがらなかった(難民が戻るとその生活支援や地元雇用問題に波及するからです)結果、かわいそうだということで日本が、永住権付与で決着したものです。
日本の場合、敗戦後どんなに苦しくとも、何百万と言う日本人の故国引き上げを拒まないどころか、ソ連につれさられた抑留者に限らず、その他の中国残留孤児など帰還を強く訴えてきたし、異国で亡くなった人の遺骨収集作業や慰霊作業が今も続いています。
天皇皇后両陛下が2015年にパラオで深く深くお辞儀する慰霊式典の映像を記憶している人も多いでしょう。
https://www.sankei.com/life/news/150409/lif1504090022-n1.html
2015.4.9 22:49
https://hinomoto.wiki.fc2.com/wiki/%E4%B8%A1%E9%99%9B%E4%B8%8B%E3%83%91%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%81%94%E8%A8%AA%E5%95%8F

平成27年4月8日(水)
パラオご訪問ご出発に当たっての天皇陛下のおことば(東京国際空港)
本年は戦後70年に当たります。先の戦争では,太平洋の各地においても激しい戦闘が行われ,
数知れぬ人命が失われました。祖国を守るべく戦地に赴き,帰らぬ身となった人々のことが深く偲(しの)ばれます。
私どもはこの節目の年に当たり,戦陣に倒れた幾多の人々の上を思いつつ,パラオ共和国を訪問いたします。
以下中略
私どもは,この機会に,この地域で亡くなった日米の死者を追悼するとともに,パラオ国の人々が,厳しい戦禍を体験したにもかかわらず,戦後に,慰霊碑や墓地の清掃,遺骨の収集などに尽力されてきたことに対し,大統領閣下始めパラオ国民に,心から謝意を表したいと思っております。
この訪問に際し,ミクロネシア連邦及びマーシャル諸島共和国の大統領御夫妻が私どものパラオ国訪問に合わせて御来島になり,パラオ国大統領御夫妻と共に,ペリリュー島にも同行してくださることを深く感謝しております。
以下略

「不法滞在は信号無視程度」か?1

新淑玉氏の発言?に関するウイキペデイア紹介記事の続きです。

「不法滞在と言うのは凶悪犯罪ではない。信号無視程度の人」[41]

これも意味の違う言葉をすり替えるだけではなく、法道徳無視の看過しがたい意見です。
「信号無視程度の人」とは、「法が守ろうとしている法益・性質の違い」を問題にしない乱暴さがある上に、処罰の重さだけに着目した意見です。
「信号無視の処罰を受ける程度の軽いものだ」という意味でしょうか?
しかし、結果だけで見ても、同程度ではない・・実定法の刑罰の重さでは大違いです。
法制度のありようが国民の健全な法意識を表しています。
先ず、道交法(信号無視は懲役3月または罰金5万円以下)、出入国管理難民認定法(3年以下懲役or禁錮または300万円以下)を紹介します。
道路交通法

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第四条(公安委員会の交通規制)第一項後段に規定する警察官の現場における指示又は第六条(警察官等の交通規制)第四項の規定による警察官の禁止若しくは制限に従わなかつた車両等の運転者
一の二 第七条(信号機の信号等に従う義務)、第八条(通行の禁止等)第一項又は第九条(歩行者用道路を通行する車両の義務)の規定に違反した車両等の運転者

出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)

(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
九 次のイからニまでに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの
イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から一年
ロ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で、その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年
ハ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から十年

(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる
二の二 第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者
二の三 第二十二条の四第一項(第五号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第七項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)
二の四 第二十二条の四第七項本文(第六十一条の二の八第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

   第九章 罰則
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
三 第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者で本邦に残留するもの
三の二 第二十二条の四第一項(第五号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第七項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)で本邦に残留するもの
三の三 第二十二条の四第七項本文(第六十一条の二の八第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
四 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者
五 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第五項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者

上記の通り、刑罰の重さでは信号無視は最高刑でも懲役3ヶ月にすぎませんし、罰金5万円から起訴猶予まで幅広い対応が予定されていますが、不法滞在は懲役・禁固3年以下で最高刑が約32倍も重く罰金では、5万対300万でまるで違っています。
不法滞在では多くは執行猶予ですが、その代わり判決言い渡し直後に入管に収容されて国外強制送還になります。
一般事件・外国人の不法滞在者の強盗や窃盗事件の刑事裁判が先行している場合には、その判決言い渡し時に入管職員が法廷に待機していて執行猶予判決言い渡し、即身柄拘束が解かれるとその場で、入管当局が強制収用するシステム運用になっています。
例えば以下の8月30日現在のニュースを参考にしてください。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national

外国人:借金返せず不法残留 留学生の過酷な現実
2018/08/30 09:52
ベトナム人の女子留学生(25)が先月19日、奈良地裁で出入国管理法違反罪(不法残留など)で懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受け、1週間後に母国に強制送還された。

最高刑懲役3年以下は刑法の住居不退去罪と同じです。
刑法

第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

「なんの保護もない奴隷」?2(辛淑玉氏発言録から3)

とりわけ在日は、在日特権と言われるように出入国管理及び難民認定法の例外扱いになっています。

平成三年法律第七十一号
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法

第十七条 特別永住者は、法務大臣が交付し、又は市町村の長が返還する特別永住者証明書を受領しなければならない。
2 特別永住者は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員が、その職務の執行に当たり、特別永住者証明書の提示を求めたときは、これを提示しなければならない。
3 前項に規定する職員は、特別永住者証明書の提示を求める場合には、その身分を示す証票を携帯し、請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 特別永住者については、入管法第二十三条第一項本文の規定(これに係る罰則を含む。)は、適用しない。

(退去強制の特例)
第二十二条 特別永住者については、入管法第二十四条の規定による退去強制は、その者が次の各号のいずれかに該当する場合に限って、することができる。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第二章又は第三章に規定する罪により禁錮以上の刑に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び同法第七十七条第一項第三号の罪により刑に処せられた者を除く。
二 刑法第二編第四章に規定する罪により禁錮以上の刑に処せられた者
三 外国の元首、外交使節又はその公館に対する犯罪行為により禁錮以上の刑に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定したもの
四 無期又は七年を超える懲役又は禁錮に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により日本国の重大な利益が害されたと認定したもの
2 法務大臣は、前項第三号の認定をしようとするときは、あらかじめ外務大臣と協議しなければならない。

一般外国人の場合は、以下の通り、ほとんどの一般刑事事件で強制退去事由該当です。
在日の場合、刑事処罰を受けても上記の通り「第2篇第2章内乱、3章外患、第4章国交の罪に関する罪」のみで一般犯罪の場合には国外追放になりません。
そもそも戦後このような罪で有罪判決になった事件はないでしょうから、ほとんど日本国民と変わりません。

出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)

(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる
1〜4の1省略
四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

仮に国籍がないことによって一定の不自由があったとしても「なんの保護もない」ということにはならないでしょう。
電車やタクシーに乗り電話やネットを使えるのも、みな、法で保障された権利です。
何ら特別意識すらなく、空気を吸うように生きていられるのは、全て目に見えない法で守られている・国家の後ろ盾で守られているからです。
在日だからと言って乗車拒否したりレストラン等で入店拒否する権利はありません。
これらはすべて日本の国法で守られている権利であり外国人も同様です。
国家という後ろ盾がなくなればどんなに辛いものか?
このありがたみを知らないから、外国が攻めて来たら戦わずに逃げれば良い、逃げられなければ降伏すれば良いというような無責任な議論をする人がいるのでしょう。
病気して健康の有り難みが初めてわかるようなものです。
「何の保護もない」というのは、その有り難みを押し付けられないと、気がつかないレベルの低い人のことです。
本当にありがたい人は、恩着せがましく一々自慢して、感謝の言葉を強制するものではありません。
このような社会の仕組みは、普通の日本の大人であれば皆知っている常識ですが、朝鮮人は毎日感謝しろと、強制されないと分からないのでしょうか?
この状況で「なんの保護もない『奴隷』なんですよ」というのって、事実無視・虚偽主張そのものではないでしょうか?
出典を見ると「注40^ 東京新聞2005年3月6日」となっています。
このような間違った主張を恰も立派な意見のように報道したのか、批判対象として報道したか不明ですが、同氏が有名人になっているらしいですから、こうした無茶な主張を褒めそやすメデイアが多かったからでしょう。
(私が辛淑玉という人物をネット知ったのは、たまたまヘイト規制問題から「今後双方ともに過剰表現者は居場所をなくすのではないか?」の関心で、検索して見たら、ニュース女子事件を書いている記事があって、そこで辛淑玉という人が主役になっている事件を知ったのがきっかけです。
その人物を知るためにウイキペデイアをのぞいてウイキペデイアに掲載されるほどの有名人だと知っただけ・・その過剰表現はどのようなものであったかをウイキペデイアの引用で辛淑玉氏の表現を参考例示・こういう過剰表現が巷に流布している代表例として紹介しているだけです。
もしも東京新聞が共感して報道していたとすれば、フェイク報道の責任を感じないのでしょうか?

「なんの保護もない奴隷」?1(辛淑玉氏発言録から2)

昨日紹介した
「われわれマイノリティーは今、なんの保護もない「奴隷」なんですよ」40

と言うのも、根拠ない言い切りです。
奴隷とは一般的に以下のように定義されているようです。
本日現在のウイキペデイアです。

奴隷(どれい)とは、人間でありながら所有の客体即ち所有物とされる者を言う。人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人。所有者の全的支配に服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた[1]。奴隷を許容する社会制度を特に奴隷制という。
1948年に国連で採択された世界人権宣言では、次のような宣言がある。
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。(第4条)

一般常識的に理解されている日本語の意味から言っても、日本にいる在日朝鮮人は「奴隷」と言えるでしょうか?
そもそも売り買いの対象でしょうか?
彼女が自分勝手に奴隷を定義して言うならば、「ここではこう言う意味で使っています」と言う定義を限定してから言う必要があります。
「特別な定義の断り」なしに「日本では在日が奴隷になっている」と言うのは「虚偽主張」ではないでしょうか?
自分は「家に入った人を泥棒ということにした」からという理由で、ある日家に来た人を「泥棒と名指し」すれば、事実無根の虚偽主張による名誉毀損となるでしょう。
虚偽主張とは、言い換えれば「自分勝手な定義によって、ある事実を一般とは違う表現をすること」ではないでしょうか?
明白な嘘を言う人「白を黒という」と言いますが、要は「勝手な定義を主張する人」のことです。
ある人が「みかんを今後柿ということに自分で決めた」としても、それを知らない相手に従来のみかんのつもりで「柿をトラック1台ください」といえば相手は柿を送るでしょう。
柿が着いてから、「自分はそんな物を発注していない」・・・「10日前からみかんを柿ということに変えたのだ・だから5日前に発注したのは10日前までみかんと言っていたもののことだ」という主張が通るでしょうか?
言葉は社会での約束ごとですから、勝手に変更した意味で主張するのは約束違反・虚偽主張です。
犬も豚も四つ足という点では同じですが、でも犬と豚は違うから別の名称があります。
特定の特徴を基準にすれば、「共通項がある点では、同じだ」という言い方が普通にあります。
人間という意味では、日本人もフランス人も同じですが、昨日来たのは日本人なのに、「昨日フランス人が来た」と言えば嘘になります。
辛淑玉氏独自の定義で「奴隷」と言っているとすれば、「ここではこういう意味で使っています」という説明なしに一般用語のように言うのでは嘘と変わりません。
この点では、一般用語違う意味で慰安婦を性奴隷と定義した戸塚弁護士同様です。
「なんの保護もない」
ということ自体、「度のすぎた」言い過ぎ(過剰表現)を超えた故意による虚偽主張と評価すべきでしょう。
また「われわれマイノリティーは」と言い、在日限定ではなくもっと広い「我々マイノリテイー」という枠を設定しているようですが、「「われわれマイノリティー」の範囲がはっきりしません。
従来の主張を読んだ記憶では、沖縄県民やアイヌなどを仲間に引き込んで戦う姿勢を示していたように見えますから、彼らを含むことは間違いないでしょうが、その他マイノリテイー・たとえばLGBTその他範囲が見えません。
見方によれば、障害者も母子家庭も、認知症患者も、前科者も、皆マイノリテイーに入るようなイメージです。
ちなみにマイノリテイーをネット検索すると以下の通りです。
https://www.weblio.jp/content

社会的少数者(しゃかいてきしょうすうしゃ)または社会的少数集団(しゃかいてきしょうすうしゅうだん)、社会的少数派(しゃかいてきしょうすうは)とは、その社会の権力関係において、その属性が少数派に位置する者の立場やその集団を指す。 欧米の「マイノリティグループ」(英語: minority group)の考え方を輸入したものであるが、日本語では単に「マイノリティ」と呼ばれることもある。

上記のように立場によって、いくらでも広がる言語ですが、革新系立場の人は「近代法の法理を守れ、」「憲法を守れ」など一般人には、意味不明言語に置き換えて相手をケムに巻く傾向が強いことを書いてきましたがこれもその一種どころか拡大版です。
いずれにせよ、「われわれマイノリティーは」のなかに在日が入っていることは間違いないでしょう。
沖縄県民やアイヌ系、LGBTが「なんの保護もない『奴隷』・・人身売買が合法化されている「奴隷」というのでしょうか?
少数者とは、なんの保護もない奴隷という意味ではなく、健常者向け画一的制度のままでは少数者が不便なので、少数者にも生きやすい制度やシステムにしようという運動ではないでしょうか?
わかりやすく言えば、経済レベルに応じて、最大多数の利用分野から便利化し安全化する・利用数の多い駅から順次エレベーター・エスカレーターや、ホームドアを設置する・・この発展段階をどこまで及ぼすかの問題です。
教育制度もまず低レベルでも全国普及が最初で、一定の普及が終われば、専門学校や画一教育についていけない児童に対する養護学級制度や順次個性的教育を標榜する各種学校や私立が発達するようになる・・洋服などの身の回り品もまず国民一般に普及して初めて通勤着とカジョアルの区別など多様なファッション製品が普及するものです。
豊かになればこれに比例して多様なファッションひいては多様な生き方を許容する社会になっていくのであって、政治運動すれば一定の弾みになるでしょうが、結局は、経済力を追い越すことはありません。
部落民や母子家庭、障害者・アイヌ族らの生活水準底上げのために、画一処理に委ねずに平均以上の支援などのゆとりが出て来るのでしょう。
外国人にも刑訴法の人権保障の枠組みが保障されるし、(外国人被告の場合証拠がいらないという特例がありません)表現の自由があるなど一般の人権保障の対象になっている・・日本国憲法で原則日本人同様の保護があります。
(憲法論を持ち出さなくとも)辛淑玉氏は名誉毀損でニュース女子の報道をBPOに審査申し立てしたり、名誉毀損で訴訟提起すると主張していたことが、このシリーズの関心の始まりです。
外国人でも代金を払えば商品やサービスを受ける権利もあり、犯罪を犯しても裁判を受ける権利が保障されています。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。