https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000910/?P=4
怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか
2018年12月11日(火)
米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、その実効性が疑問視されている。マクロン大統領はそのトランプ大統領の説得役を買って出ているのだ。
「私は絶対に諦めない。それが自分の使命だと思う」とまで話している。皮肉なことにそのマクロン大統領のお膝元であるパリで、温暖化対策のための燃料税に反対するデモが広がり、パリ協定の存在が揺らいでしまっている。
マクロン大統領は温暖化対策だけでなく、様々な改革を進めてきた。
特に力を入れてきたのが、フランスの構造改革だ。フランスは他の先進諸国に比べて公務員の比率が高く労働組合が強い。そのため雇用の流動性に乏しく、低成長の状況が続いている。
こうしたフランスの積年の課題にメスを入れたのがマクロン大統領だった。
公務員を削減し、労働者を解雇しやすくする法改正を実施する一方、法人税を減税し、社会保障費の負担を高めた。
経済成長などの成果が出ていたら、改革に対する不満はさほど顕在化しなかったかもしれない。
しかし、成果が出るまでの時間がかかっている間に、低所得者などの不満のマグマがたまり、これが今回の燃料税の引き上げで、爆発した。
国内の痛みを伴う矢継ぎ早の改革だけでも国民の限界が来ているのに、地球温暖化対策のために、(国民には痛みを強いるだけで・・悪く言えばマクロン氏の格好つけだけ?・・なんら恩恵がない燃料税アップの追い討ちは、我慢の限界に火をつけるに格好の標的だったでしょう。
http://news.livedoor.com/article/detail/15717313/
トランプ大統領の投稿にフランス外相が不快感「口を出さないで」
2018年12月10日 10時32
燃料税の増税を巡るフランスのデモについて、トランプ米大統領が言及した
Twitterに「パリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻すときだ」と書き込み
フランスの外相は9日、テレビ番組で「口を出さないでほしい」と語った
フランスでは環境に配慮した経済への移行を目指し、燃料税を引き上げることを巡ってデモが続いています。アメリカのトランプ大統領は、ツイッターに「馬鹿馬鹿しいパリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻す時だ」と書き込みました。フランス政府を批判し、地球温暖化対策に取り組むパリ協定からの離脱を表明したトランプ政権の決定を正当化する狙いがあります。これに対してフランスのルドリアン外相は9日、テレビ番組で「我々はアメリカ国内の問題に口を出していない。アメリカも口を出さないでほしい」と不快感を示しました。
何か“滑稽な”やりとりになるのがフランス流というべきでしょうか?
原油高→ガソリン値上げで庶民が困っているところで、温暖化対策のために燃料税をあげるというのは我慢の限界に来ている点にきづかなかった・・センスが悪すぎますが、(功を焦ったのかな?)これが発火点になったところで、1年間の矢継ぎ早の改革はどちらかといえば富裕層に対する優遇措置が多く低所得層に厳しい内容でしたから、これに対する不満が吹き出して、燃料税アップの中止だけではすまなくなってきたようです。
11日のニュースでは、最低賃金引き上げも発表するなど、過去1年間の改革の巻き戻しになってきました。
富裕層に対する不満の強いフランスではゴーン氏の日本での「高額所得隠し検挙」を好意的見ている人の方が多いというネット評論があったようですが、今回の騒動によって高額所得者優遇改革に対するフランス国民の反発の強さを見ると、意外にそのようなネット指摘が当っていたのかな?と感心しています。
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/ゴーン被告の支援、仏政府動かず-エリート主義の印象払拭に躍起/ar-BBQRyhT#page=2
Ania Nussbaum
2018/12/13 03:59
「黄色いベスト運動」のデモが吹き荒れるフランスで、ゴーン被告の窮状という問題は脇へ追いやられている。デモ参加者が訴えているのは富の不平等に対する憤りであり、エリート主義に対する強烈な嫌悪だ。
ノッティンガム・トレント大学でフランス研究を専門とするクリス・レイノルズ教授は、「ある意味、カルロス・ゴーン氏は黄色いベストの参加者が嫌悪する全てを体現している」と指摘。「所得上位1%に入るゴーン氏は、経済改革に必要との名目で政府が強いるあらゆる犠牲から完全に保護されている」と述べた。
ゴーン被告の支援に動かないのはフランスの政治家だけではなく、幅広い層からも同情が見られない。
ハッシュタグ「#FreeCarlos(ゴーン氏を自由に)」のツイッターは全く広がらず、著名な実業界幹部や業界団体もほぼ口をつぐんだままだ。
ルノーの筆頭株主として、ゴーン被告の苦境に最大の経済的利害を持つのはフランス政府だ。だがマクロン大統領は、同被告について直接コメントすることを控えている。ルメール財務相はゴーン被告が推定無罪であり不正の証拠を要求するなどと主張してはいるものの、言及は最小限にとどめている。
このような国内情勢ではゴーン氏の逮捕に対して、フラン政府も日本に対して表向き異を唱えられない半端な状態になっていることがわかります。
燃料税アップ以外はやっていることは真っ当な感じですが、国民の方はこの真っ当すぎる荒療治に耐えられず暴発しているということでしょうか?
病人の体力が弱り過ぎた時に大規模な手術をしたら、却って病人の命を縮めることがあります。
フランス経済は長年の社会主義的政策による弊害に慣れすぎて・・治療開始が遅すぎて、すでに不治の病いにかかっているかのようにも見えます。