国内格差2と対外自信(中国)

昨日28日の日経新聞朝刊27p経済教室「外国人労働者に配慮を!」の欄には、日本の外国人労働者数は166万人(19年10月時点)で、そのうち約半分が中国人とベトナム人であると紹介されています。
技能実習生であれ留学生であれ彼らの立場は脆弱であることを前提により、一層の配慮が必要とする論旨で
「先日ベトナム人が三百人帰国した」
と紹介されていますが、これがローテーションで帰ったのか、コロナによる失業で帰ったのかは別として、この逆バージョンでは、中国やベトナムから日本で就労目的で留学等を準備していた新規入国予定者が入国できず国内滞留していることが想定されます。
こういう視点で見れば、中国はインド等と同様に出稼ぎ労働者送出国でもあるわけです。
日本の地方圏で地元大卒、高卒の大都会への就職ができず地元農村に未就職で滞留し他方で数年〜5〜6前に地方を出た若者が地方の親元に舞い戻ってくる・・昭和大恐慌時のような状態になっているのがインドや中国内の現状でしょうか?
コロナ禍発症の地である中国は統計上完全収束状態のようですが、国内格差はどうなっているのでしょう?
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00217/?P=2

露呈した中国社会保障の現実  2020年5月14日
新型コロナ危機で失業者が急増しているのはどの国も同じだが、中国の失業給付の少なさが際立つ。かつてイデオロギー的に失業というものを認めていなかったこともあり、社会の安全網が不十分なのだ。都市に働きに出てきていた労働者は、最終的に出身地の農村に頼るしかないのが実情となっている
米国は国民に対する失業給付額を劇的に増やした。連邦の経済対策として失業者1人当たり週600ドル(約6万4000円)上乗せしたのだ。平均すれば失った所得を100%埋め合わせられるだけの額である。一方、中国政府は生活困窮者向けの給付を1週間当たり12元(約180円)増やしたところだ。1日当たりに換算するとおわん1杯分の麺が食べられる金額でしかない。
立派なインフラ設備とのギャップ
新型コロナウイルス感染症がもたらした経済的な痛みは、中国のみならず他の多くの国も経験している。だが、中国が特異なのは、世界最長の高速鉄道網に代表される国際水準のインフラ設備を持ちながら、社会のセーフティーネットがあまりにも脆弱であることだ。中国の社会保障制度は、中国よりもはるかに貧しい国々の水準に近い。
失業者の中で政府から何らかの支援を受けている人数の少なさだ。中国の人力資源・社会保障省によると、失業手当の受給者は230万人にすぎない。見方を変えれば、何の給付も受けていない失業者が7800万人ほどいるということになる。
中国政府が発表する失業率(現在は5.9%で昨年より微増)はフルタイム雇用の都市住民だけを対象としているため、こうした貧しい人々が置かれている境遇を正確に捉えていない。
金融大手、スイスのUBSと仏ソシエテ・ジェネラルのエコノミストによると、3月中に失業した中国の労働者は大きく見積もれば8000万人にも上るという。都市労働人口の20%に近い。
しかし、それ以上に目に付くのは、失業者の中で政府から何らかの支援を受けている人数の少なさだ。中国の人力資源・社会保障省によると、失業手当の受給者は230万人にすぎない。見方を変えれば、何の給付も受けていない失業者が7800万人ほどいるということになる。
失業保険の給付条件に該当しない場合は、「低保」と呼ばれる最低保障所得を申請できる。だがその額は失業保険よりもさらに少なく、平均で月に600元(約9000円)ほどだ。

先進国に対しては出稼ぎ国であるとともに、国内に貧困国(内陸)と新興国(沿海部)を抱えているような国です。
米国が不景気になると中南米からの出稼ぎを中南米に返すように、上海深圳等は内陸からの出稼ぎ労働者を需給調整に使っている実態が見えます。
8000万人もの失業者を輩出している習政権は、必死だから国内向けに「中国はうまくいってる他国(米国)はもっと大変だ」と宣伝せざるを得ないので、これがトランプ氏の怒りを買って格好の標的にされているのでしょうか。
これに加えて不満のガス抜きに国威発揚もしなければならない・・尖閣諸島海域では日本の領海であるのに日本漁船を中国公船が追い回したり、南シナ海の埋め立て強行した地を新たな行政区域に指定して米国になにかやれるものならやってみろと言わんかのごとき挑戦をしたかと思えば、香港に対する国家安全法可決など強行突破の正攻法?に出てきました。
中国にしてみれば自国はコロナ禍から逸早く脱して生産も回復軌道に乗ってきたが、欧米はコロナ禍からの立ち直りが容易でなく泥沼にもがいているので敵の弱みに付け込むべきチャンスという単純戦略でしょうか。

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