USA=領土拡張と人口吸収政策の限界1

米国に戻ります。
国際競争優位が米国団結・UNITEDのメリットであり、その果実を得る手段としてグローバリズム推進だったのが、対中競争で優位性を失っていくと留学生に始まり上位層の流入と底辺労働者双方の流入が縮小します。
トランプ氏の移民制限はランク分けして技能労働者優遇政策ですが、国力の将来性がなくなってからのランク分け流入期待は(移民の方も選ぶ権利があるので)現場労働力でさえ二流人材3流人材化していきます。
連合UNITEDの本質・利益がある限度で連合を組むものですから、言わば現金な関係です。
国の成り立ちは国家構成員同士の絆の成り立ちでもあります。
メリットで集まった人間関係は利に聡く脆弱です。
日本の縄文時代あるいは伝統的国家は、地元にない特殊品だけの例外的交易によって地域を運営してきた社会ですので、いわゆる鎖国制度はどうってことのない社会ですが、アメリカの場合建国当初から地元にないものの交易でなく、人の移動を含めたグローバル展開によって経済が回ってきた社会・・国内の需要以上のものを生産しないと回っていかない社会です。
アメリカンファーストというのは「外国から物品を買ってやらないぞ!という脅しにはなりますが、本当に鎖国競争になると米国の方が中国よりも国内基盤が脆弱です。
1929年大恐慌からの脱却は、TVAで知られるニューデイール政策によったかのようにアメリカは宣伝していて、高校時代の英語教科書英文でこれを賛美するような英文を授業で習った記憶でしたが、実は対日戦争開始成功による戦時経済化によってようやく経済下降を食い止め、日欧に対する戦後復興援助(輸出増)によってプラス成長になったものでした。
ナチスが軍需産業化によって経済成長下のと似ていませんか?
大恐慌に関するウイキペディアの記事からです。

1936-38年にはGDP比5.5%の財政赤字を解消した。しかしこの1937年の財政支出大幅削減予算により1938年は不況になり、実質GDPは11%下がり失業率は4%上昇し[35]、「ルーズベルト不況」と呼ばれることになる。
アメリカのGDPは1936年に恐慌前の水準に回復したものの37年不況により再び34年の水準まで逆戻りして、1941年まで恐慌前の水準に回復することができなかった[36]。ニューディール期間中財政支出赤字の対GNP比が10%を超えた年は2度である。アメリカ経済の本格的な回復はその後の第二次世界大戦参戦による莫大な軍需景気を待つこととなる。
太平洋戦争が起こり、連邦政府はようやく見境のない財政支出を開始し、また国民も戦費国債の購入で積極財政を強力に支援した。1943年には赤字が30%を超えたが失業率は41年の9.1%から44年には1.2%に下がった[37]。しかしダウ平均株価は1954年11月まで1929年の水準に戻らなかった。

戦後世界の工場が壊滅したが、戦禍を免れた米国だけが工業製品や食料・資源供給国になって突出した国力を誇れたのです。
戦前の大恐慌対策は世界中がブロック経済化による国際貿易量の急激縮小でしたが、トランプ氏のアメリカンファースト政策は米国だけの孤立化政策です。
モンロー宣言の時代にはまだ米国の規模が小さく南北アメリカ内で交流すれば孤立しても成り立ったでしょうが、今は中南米も世界経済に参加していて、米国と一緒の経済圏に止まる保証はありません。
(中国ソ連が孤立しても70年間も頑張れたのは交易経済にそれほど頼っていなかったからですし、国土の狭い北朝鮮も同様で、領土の広さではありません。)
トランプ氏はアメリカンファーストと言ってモンロー主義の再来をイメージしているようですが、中南米は棍棒外交で米国に散々苦しめられてきたので米国と心中する気持ちはありません。
TPPの創立的メンバーがカナダ、メキシコを含め太平洋沿岸の中南米で、米国が脱退してもそのまま進める方向・ついに米国抜きで発効してしまいました。
米国が無茶すれば足元の南北大陸内でも孤立する方向が確定し、モンロー主義の再来どころではありません。
日本はTPPのほか日欧FTAや東アジア地域包括的経済連携RCEPなどをドシドシ進めて行く方向なので、戦前のような孤立化はしないと思われますが、自国の力に恃みすぎる米国の方が長期的に孤立化が進むように見えます。
一見米国べったりに見える安倍外交は、巧みに上記各経済協定を推し進めているほか、中国にも恩を着せているので、米中対決がどうなろうとも米国の顔を立てながら、米国の国際経済仲間入り・復帰の筋道を立ててやる重要な役割を担うことになりそうです。
安倍総理が習近平の国賓待遇招待に踏み切るかのような姿勢を示していたことに対して右翼の安倍離れを起こしていますが、日韓慰安婦合意が後で役に立ったように、同様に政治というものは後々の効果も考えて複々線の行動が必要です。
NITED・連合とは、主として利によって一時的に結びつく関係を言いますが、成長期待がなくなれば米国留学希望が減るように、北米大陸内の連合を維持するご利益がなくなれば、軍事連合など組む意味がない・United Statesである必要があるか?と思う米国民が増えるでしょう。
ここで米国が独立後破竹の勢いで拡張を続けられた要因を見ておきましょう。
独立時の東部13州が今の領域になるまでの目覚ましい領土拡張によって、豊かな資源を入手したもののこれら資源を利用しきれない少ない人口・・労働力不足に困る状態が続いていました。
国土急拡張に人口が追いつかなかったのです。
低廉な労働力導入政策・・移民受け入れ国として世界に門戸を開くイメージアップに成功し、一方で人口の急拡大で国力増大・白人の生活レベルが飛躍的に上がり続けた満足感を国民に提供することによって、国家運営がスムースに進んだからではないでしょうか。

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