新型コロナウイルス対応の巧拙3(医療崩壊の有無1)

医師の過剰労働時間が社会問題になっている現状で分かるように医療機関は日常業務で手いっぱいが普通で、余剰人員を抱えている医療機関は滅多にないでしょう。
この状態で日常業務を中止して検査業務にかり出しっぱなし(1〜2日の休日返上でなく1ヶ月規模の連続業務になると)にすると、日常的に行ってきた病人に対するケアがおろそかになる・一般病人の死亡率が上がるマイナスとの兼ね合いです。
グランドプリンセス乗員4000人弱の一斉検査に際しては、緊急に全国から検査要員を集めたのですが、船内閉鎖空間での長期担当は検査担当者の受感染リスクが高まるので2〜3日での交代ローテーションにしていたらしいのですが、担当終了後2週間の隔離期間を置かないと元の医療機関に復職できないので、感染学会からの各医療機関への人員提供呼びかけにほとんどの医療機関が(病院業務がその間維持できないので)応じられなかったという裏話が出てきました。
限られた医療資源有効活用のためには、クラスターになりそうな大型イベントあるいは中小の集まりを縮小してもらう一方で、個別対策としては濃厚接触者その他一定の疑いのある限定者に対する具体的必要に応じた検査に限定すべきで、根拠なく全国民一律に行うのは医療システム破壊リスクの方が大きくなります。
大規模災害時におけるトリアージ原則再確認の必要性です。
もともと大量の負傷者がいる場合、その場で重軽傷等の分類し限られた医療資源投入の優先順位を決める思想です。
食料も洋服や移動手段、教育のコースやエンターテーメントなどなど多様な要望に応じてどれだけきめ細かく用意できるかが豊かさの指標とすれば、これを災害現場に持ち込んだともいえるでしょう。
災害現場への食料寝具等の供給も、老人子供女子その他多様な避難者に応じたきめ細かい配布が要望されるようになっているように、細かなニーズ無視でどーんとトラック何百台分同じものを送ればいいものではありません。
きめ細かく運用するのがこの20年前後注目されるようになった傾向です。
地震/災害時に一斉に車が道路に殺到すると道路が渋滞してパンク状態になって、結局みんな逃げ損ねることや、みんなが一斉に不要不急の携帯発信するとその地域の通信機能がパンクしてしまいます。
検査して陽性になってもこれといった治療ができるわけでなくただ隔離して他への感染拡大防止程度の効能しかない程度の水際作戦→国内感染者がいない初期段階での入国者全員検査なら意味ありますが、国内で経路不明の感染者が散発的に増えてくると、やみくもに全員検査するのは医療資源の無駄遣いです。
警備担当者が、特定警備敷地内に入ろうとするものを入り口で全員チェックするのは合理的ですが、やみくもに通行人全員〜半径数キロの通行人全員の職務質問に駆り出してしまい、肝腎の門番や敷地内の衛兵がいなくなるようなものです。
入室前の手洗いや自分で機器に手をかざす程度に検査機器が簡便化して自動判定できて数十秒で入室できるようにすれば検査精度が低くても合理的ですが、専門機関に出向いて検査を受け結果が出るまで1週間かかるのが2〜3日〜数時間に短縮する程度では不便過ぎて意味がありませんし、検査判定に動員される人的資源の無駄→日常医療業務麻痺になり通常の病人が治療を受けられなくなるリスクが起きます。
大量検査よりクラスターになりそうなイベント縮小の方が、患者を急激増加させない効果が大きいでしょう。
アメリカでは50人以上の集会禁止〜10人以上になり今朝の日経新聞朝刊では、今朝の日経新聞朝刊では、イタリア全土で12日から、生活必需品のスーパーが開いているが、小売店喫茶店など全面営業禁止が報じられ、続いてフランスも同様の措置に入ったようです。
検査しても治療法がない以上は、全面的体制としては人の移動制限が伝染阻止に有効でしょう。
検査動員で医療従事者が疲弊してしまい医師看護師など要員の病欠等を増やす・・いわゆる医療崩壊を起こすよりも、濃厚接触の疑いのある人・感染症と確定している人の同居人だけ検査し、全面移動制限できない社会では、ある程度熱があっても大した負担のない元気な人は、出歩かないで自宅に止まるなどの協力お願いが合理的か?という問題です。
今回の新型コロナ型ウイルス騒動以前・・ちょっとした風邪をひいたかな?と思った場合、早めに帰るなど負荷をかけないで様子を見る・・4〜5日経過で早めに寝る程度では治りそうもないと思ってからクリニックに行くのが普通でした。
今回の新型コロナ型ウイルスの場合も、無症状で終わる人については統計の取りようがないので不明ですが、症状の軽い人は風邪ひき程度の症状で終わる人が8割(高齢者や病人を除けばほぼ100%?)というのですから、普通の風邪気味同様に周りに感染させないように気をつける程度のマナーをより厳重にする程度の対応が合理的でしょう。
マスク着用や外出後入室前に入り口で必ず手洗いするなど、できる程度のことをして自分を守るより周囲の人に自分が感染させない目的のマナー遵守が重要です。
普通の風邪の場合仕事を休まない程度の軽い症状でも(自分の健康を守る目的だけなら無理して出勤を続けるかどうかは自己判断ですが)今回は蔓延を防ぐための観点が重要ですのでちょっとでも疑わしいと思ったら早めに仕事を休むなど・・「企業も風邪によるお休みを取り易くしましょう」という程度のことではないでしょうか?
濃厚接触の心配のない人でもいつ濃厚接触したか不明なために、(クラスターとなった市川市のフィットネスクラブ〜さっぽろ雪まつりや大阪のライブなどもともと元気な人が集まったもので、当時その中に無症状の?感染者がいるとは知らなかったでしょう)そういうリスクを減らすための大規模イベントや学校などの閉鎖空間での集団で長時間一緒になるのを自粛してくださいとなったようです。
日本国民は冷静(政府・地域共同体への信頼性が高いということでしょう)ですので、大震災や津波その他非常事態が起きてもパニックになりにくい社会です。日韓は対中人的交流が大量且つ密ですが、いきなりの全面出入国禁止をしなかったのは、相応の対応力をもっているから制御可能という対応だったのですが、韓国の場合大邱での大規模発生を受けて、擬似的先進国?である韓国民の本性が吹き出してパニック化したようです。
政府は大邱の特定宗教団体をスケープゴートのした上でパニックを抑えるために無駄な大規模検査実施に踏み切るしかなかったのではないでしょうか?
以下のとおり急激な政府批判の噴火がおきていました。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200228/for2002280004-n1.html

韓国・文大統領“弾劾”請願に120万人超が賛同 新型コロナの1日の感染者数「世界で最も多い国」に
2020.2.28

アメリカも大災害があると軍隊がまず展開する必要のある民度です。
トランプ氏は非常事態宣言をしたり、大量検査システムが整っていると政府発表していますが、合理的に行動できる国民レベルでない弱点を表しているにすぎません。
これと言った防疫能力のない国では、大量の軍動員による中国の武漢の物理的封鎖に倣ってロシアに始まりモンゴルや北朝鮮・フィリッピン等は直ちに対中全面国境閉鎖しましたが、これしかない国はこれが最良の対処策と言うことでしょう。
国境閉鎖どころか、国内でも特定地域を閉鎖して孤立させる強制力行使が一般的ですが、こうした乱暴な施策を必要とする国は本来の民度レベルに比例していることになります。
いわゆる独裁国家や民主国家といっても乱暴な政治をするしかない社会は、相応の社会実態が背景にあるのであって、政府がきめ細かい対応をするには国民もこれに見合った相応のレベルが必要です。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC