インフルエンザ特措法と私権制限3

要請に従うように指示した場合の公表の書きぶりを見ると、懲罰としての公表でなく政府指示の妥当性を国民批判に晒す目的のような書き方です。
日本国民税金を使った国際交渉を経て政府チャーター機で帰国しながら、入国時に検査拒否して帰ってしまった人の個人名公表どころか検査拒否者住所が間接的にも判明すると個人情報保護法違反になるので公表できない・・・住所番地どころか、〇〇市も禁止?地域名程度に抑えているようです。
最近では日々新たに判明した国内感染者数の発表がありますが、高知県の・・という程度の公表が限界でどの市町村で発生したかすら個人特定になりかねないという配慮から個別同意がないと公表できない不自由さです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

濃厚接触者2人が感染-神奈川県平塚・鎌倉両管内/ar-BB10ZhmA
20代女性は、3月6日に平塚保健福祉事務所管内(平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町、二宮町)で陽性が確認された80代男性と同居の孫。濃厚接触者として9日にPCR検査を受け、陽性が判明した。20代男性は、2月27日に鎌倉県福祉事務所管内(鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)で陽性が判明した70代女性の孫で、陽性判明に鎌倉市内のホットヨガを受講していた50代女性の子。

上記のような数市町にまたがるアバウトな地域表現がメデイア界のルールのようです。
記事によっては同意が得られないため性別記載できないとか、国籍を書けないという断り書き付きの記事もあります。
こういう人でも犯罪にならない限り、個人特定情報は報道できないようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200313/k10012329681000.html

「ウイルスうつす」と飲食店へ 従業員感染で警察が確認進める

新型コロナウイルスに感染し自宅待機を求められていた愛知県蒲郡市の男性が「ウイルスをうつす」などと家族に話したうえで飲食店に立ち寄っていたことが、関係者への取材でわかりました。その後、店の従業員の感染が確認されていて、警察は、業務の妨害にあたる可能性もあるとみて、店の関係者などから話を聞いて詳しい状況を確認しています。

店の業務妨害罪になれば犯罪者としての逮捕情報・氏名公表されるでしょうが、そこまで藩財政の立証がなくともこういう「不埒な」人の個人情報保護の方が重要なのでしょうか?
いずれにせよ個々人を隔離したり医療機関への受診強制や入院強制する仕組みがないらしいので、個人への強制関係は従来からある感染法の守備範囲という住み分けのようです。
感染症法は罹患した患者個人に対する対処法とすれば、インフルエンザ特措法は感染が広がらないように学校やイベントなどの興行停止要請などの権限を付与する・・物資の保管を命じるなど(マスクの買い占め禁止など?)環境設定のための法律ということでしょうか?
3月10日のニュースでは以下の通りです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/politics/
新型コロナ特措法案を閣議決定-「緊急事態宣言」可能に/ar-BB10XLZS

政府は10日の閣議で、さらなる新型コロナウイルスの感染拡大に備え「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を決定した。政府は同日中に国会に提出。自民、立憲民主両党の合意により、改正案は13日の成立が確実な情勢だ。改正法成立後、緊急事態宣言が発令されれば、私権が制約される可能性がある。

ニュースだけでは従来に比べて改正法の条文がどのように変わって緊急事態宣言が容易になったか皆目見えませんが、過去の法律では私権制限を過度に忌避する傾向が強すぎたことが浮き彫りです。
ニュースの見出し自体、この緊急事態下でも正式な緊急事態宣言を「私権制限の悪」という図式で危機感を言外に強調した表現です。
実際に立憲民主党の山尾氏が、緊急事態宣言には国会の事前承認を条件にすべきという立場で、立憲民主党執行部方針に噛み付いた記事が出ています。
緊急事態かどうかの緊急判断を国会の党利党略による引き伸ばし戦術の対象にしていたのでは言語矛盾です。
緊急事態宣言を簡易迅速にする代わりに、決断した者が結果責任を負うことにしないと、緊急事態には間に合いません。
判断をスムースにできるようにしたいという改正論争なのに(党執行部の事前国会報告で妥協することに対する追及論)事前承認制でないとダメという原則論で反対しているようです。
山尾氏の反対論自体は執行部説明の揚げ足取りのような論法で悦に入っているようですが、要は「宣言をし易くする」のに反対のようです。
https://www.asahi.com/articles/ASN3D5DKKN3DUTFK00R.html

山尾氏が造反表明 緊急宣言の承認、党執行部を痛烈批判
新型肺炎・コロナウイルス2020年3月12日 16時32分
立憲の安住淳国会対策委員長は11日、賛成に回る理由として、少数である野党に法案をひっくり返す力がない以上、賛否を採決する「事前承認」も、ただ報告するのみの「事前報告」も事実上同じだという趣旨の発言をしている。
山尾氏は、枝野幸男代表や安住氏を前に「承認があってもひっくり返せないというなら、私たちはほとんどの法案でひっくり返せることはない」と指摘。さらに「それでも真摯(しんし)に質疑に立って、必要があれば与党を説得し、頑張って修正を勝ち取ろうと努力する。その結果がおかしければ、反対することで問題点をいまと未来に残す。それが野党の大事な仕事だ」と訴えた。
そのうえで「野党議員が承認に加わってもどうせ覆らないと言ったら、野党議員のいる意味はない」と痛烈に執行部の対応を批判した。党の法案審議のあり方についても「民主的だとは思わない」と語った。

上記を部分的に読めば正論・/論旨明快ですが、大局から見れば今回のような事態でも緊急宣言が事実上できないような仕組みを、もっとスムースにできるように変えようというのが大方の方向性・・民意と見て、共産党を除く他野党も共同提案?か賛同になったのでしょうから、その価値判断自体に対する正面からの論争・反対をしていない点が姑息です。

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