半官半民と第三セクター2

第三セクター・・・「官民挙げての〇〇事業」と銘打った大規模国策事業・・「官」という表現の強い順に事業体の行き詰まりが顕著・・例えばジャパンデイスプレーは惨憺たる状態です。
第三セクターというのかどうか不明ですが、官の色彩が強すぎた失敗例の代表として以下紹介するジャパンディスプレイの場合は株式会社に政府が大口出資した形態のようです。
本日現在のウイキペデイアの解説記事です。

概要
2012年に発足、2013年に各社の統合が完了して「株式会社ジャパンディスプレイ」となり、2014年上場。
韓国・台湾勢との競争による液晶パネルの価格下落で、赤字が続いていた日本の各電機メーカーのディスプレイ事業のうち、スマホ向けに利益が見込める中小型液晶パネル事業のみを、日本政府系の投資ファンドである産業革新機構の主導で再編した会社である。これによって、中小型液晶パネルで世界シェア1位(2013年当時)の「日の丸液晶」パネルメーカーが誕生した。
沿革
設産業革新機構の主導で、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合されて誕生し、2012年4月1日に事業活動を開始した[2]。
設立当初より赤字が続き、設立から5年となる2017年に構造改革が行われた。事実上の「国策企業」であるため、経営方針がトップダウン式に決定される競合他社とは違って全ての経営計画において経済産業省と産業革新機構の承認が必要という意思決定の遅さがあり、また解雇がそのままアベノミクスの失敗を想起させるため、シャープ以外の日本のディスプレイメーカーのうち、大半の人員と工場を丸抱えしているにもかかわらず、リストラができないという「負の遺産」があるとの危機意識が、2017年の時点で存在した[4]。
2018年9月25日、産業革新機構を改編して産業革新投資機構(INCJ)が発足したが、ジャパンディスプレイ以外にもルネサスエレクトロニクスの経営不振の会社への投資を強いられる産業革新投資機構の取締役陣と、経済産業省の対立が表面化し、2018年12月10日、産業革新投資機構の民間出身の取締役全員が辞職。辞職した元産業革新投資機構・社外取締役の星岳雄が「ゾンビ企業の救済機関」[21]と批判した革新機構は、ついに機能を停止した。同日、2014年の上場時の公募価格が900円で始まったジャパンディスプレイの株価が、ついに50円台となった[22]。
2019年4月11日、中国最大の投資ファンド嘉実基金管理(ハーベスト・ファンド・マネジメント)系の投資会社であるハーベスト・テック、台湾の電子部品メーカー宸鴻光電科技(TPK)、台湾の金融大手富邦金控(Fubon Financial Holding)グループの創始者である蔡一族(中国語版)による、投資ファンドの3社で構成される中台企業連合「Suwaコンソーシアム」はジャパンディスプレイに対して800億円の金融支援を行い、それまでの筆頭株主であった産業革新投資機構に代わり、議決権の49.8%を持つ筆頭株主になることでジャパンディスプレイと合意した[23][24]。

能力があるがたまたま出遅れているような場合には助走エンジンとしての補助・・助走公的資金投入が合理的です。
スポーツ選手でも学問でも、伸びそうな若者にコーチをつければ将来がありますが、トップを極めた横綱や世界チャンピオンあるいは各界のトップ企業の力が落ちてきたからとコーチや経営者(の場合事業変更などの果断な決断力によって企業が蘇生する場合がありますが、事業変更しない前提で)を変えても99%うまくいかないでしょう。
長島やイチローが年齢で成績が落ちてきた場合、コーチを変えるより転身を図るのが普通です。
世界先端を走っていた日本の産業部門が、追いつかれ追い抜かれるようになってきて、民間企業が本体事業から切り離すしかないと判断している理由は、資金不足を理由にするのではありません。
日本の世界企業・あるいは日本の資本市場は世界一資金潤沢ですが、日本のディスプレイ業界はこれ以上資金を注ぎ込んでも見込みがないから、自己資金を別の成長分野につぎ込んだ方が良いという判断で切り離し・・リストラの判断になったものです。
一方でその買い手がない・民間投資家(ファンド)が買わないということは資本市場はこれ以上資金をつぎ込むのは意味がないという判断を示していたことになります。
市場判断をバカにして?民間に任せられないからと政府資金をつぎ込み、民間的思考に任せられないと官僚的思考で再建を目指すなどという発想自体今ドキの価値観からいえばドンキホーテ的です。
過去の栄光の遺物として博物館建設資金の投入ならば分かりますが、資本市場で相手にされない事業に国家資金を投入し、しかも運営に関しては官僚どころか政治家の介入その他国営事業のマイナス点ばかり強化していく・・いわば「市場原理に棹差し」て官僚や政治家の優秀性を証明するつもりだったのかもしれませんが、短期間に頓挫して(革新機構が機能不全に陥っていることは上記の通りです)満天下に、恥を晒しました。
世上(戦前の臣に代えて)「官」という場合、公僕精神不要?(明治初年の薩摩系巡邏「おいこら」が有名ですが)おいこら式の監督官庁イメージが強くなりいわゆる上から目線強調・・民より偉そうに振る舞える場合に使っているようです。
例えば民間企業への就職活動に出てくる面接担当者をメデイアはしきりに「面接官」と表現しますが、明治時代でも官ですらなかった民間企業の末端?一採用担当者を「面接官」と表現するようになったのは、就職希望者に対する圧倒的な優越性を表現するものとして定着してきたものでしょう。
100%公営でもなく民営でもない事業体が必要なことはわかりますが、あるいは民間が始めるをの待ってると先行国の草刈り場になってしまうので明治維新当時の国営の製鉄所や、鉄道などのように離陸するまで国策として一定の産業育成が必要な場合もあります。
老人ホームなどの資金補助や太陽光発電などへの補助金などもその1種でしょうが、民間事業の株を少し買うくらいならばまだマシですが、国が具体的に経営指針を定め、個別計画にまで口を出す仕組みになったのでは、明治の官営製鉄事業より市場原理無視度合いが過ぎるでしょう。
資本主義か共産主義かの単純2択ではなく国家的視点で新産業を育成するための資金注入が必要なことも事実でしょうが、(原子力発電等)それは産業育成への助成程度で止めるべきでその製品の国際競争力をどうやって発揮すべきかの具体的経営方針にまで口出しをするならば始めっから国営〜公営でやるべきです。

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