地域格差と地方交付金制度1

地方税収と地方交付金比率等の現状紹介です。
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/30data/2018data/30czb01-03.html

3 地方財源の状況
平成28年度における租税収入及び租税負担の状況並びに地方歳入の状況は、次のとおりである。
ア 地方税
地方税の決算額は39兆3,924億円で、前年度と比べると0.8%増(前年度6.3%増)となっている。
地方税収入額の62.0%を占める住民税、事業税及び地方消費税の収入状況は、第14表のとおりである。
イウは省略
エ 地方交付税[資料編:第21表、第129表]
地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するための地方の固有財源である。また、その目的は、地方公共団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を損なわずに、その財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方公共団体の独立性を強化することである。
地方交付税の決算額は、17兆2,390億円で、前年度と比べると0.9%減(前年度0.2%減)となっている。また、歳入総額に占める割合は17.0%(前年度17.1%)となっている。

上記の通り、地方税決算額約39兆円に対して約17兆の交付金ですから、格差是正用資金比率が大きい・・昨日2割と仮定して書きましたが、約3割であることがわかります。
本社の集中する東京都の税収が大きいままでは格差が広がり過ぎます。
地域格差是正のためには国税比率を上げて、格差調整資金として使うことになりますが、自治体の自主性との兼ね合いです。
シンガポールやモナコは、日本の地方交付金に当たる資金負担しないで周辺から吸い上げるばかりでうまいことをしていることになります。
古来から都市国家にした方がいいとこ取りで効率がよく、現在のシンガポールや香港などが突出的に一人当たりGDPが高くなっている所以です。
これに似た例がドイツと南欧諸国との関係です。
EUがなくドイツ単独通貨であれば、輸出黒字の積み上がりはドイツ通貨マルク高となり、輸出価格上がり輸出が減り、輸入品価格が下がるので国民が輸入品を安く買えるようになり貿易黒字にブレーキがかかるのが為替制度の仕組みです。
EUの通貨統合によりEU全体の貿易収支平均でユーロ相場が決まるためにEU全体で貿易収支が均衡していれば、ドイツ1国がいくら貿易黒字を積み上げてもユーロ相場が同じのままなのでドイツは為替相場による修正がなく国力以下の安い通貨のままで際限ない黒字を続けられ、EU域内の恒常的赤字国にとってはいくら赤字が続いても為替相場の下落がないので、赤字が自動的に修正されないまま・・弱小国・南欧諸国にとっては、競争力以上の割高通貨を強制される損な関係です。
この関係は日本でも地域や業種によって輸出競争力差があるのに車や各種工業品など競争力のある業界の大幅黒字の結果、円高になると弱い産業を抱える地域がもしも別の国であれば通貨が下がるはずのところ、同じ国に属しているために国際競争力の弱い地方農産品も車等工業製品の競争力を基準にした通貨との平均価格=日本全体の貿易収支によって決まる円相場で輸入品と競うことになります。
競争力の弱い農業しかない地域の通貨相場が下がるどころか、自分らに関係ない車の輸出が増えると逆に円相場が上がる関係になります。
このように見ると通貨単位は小さければ小さいほどその地域の実情に応じた国際交渉可能なので実は有利なことがわかります。
この後続けて都市国家の有利性を書きますがこの原理によります。

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