IPO投資の逆回転2と世界経済1

ソフトバンクグループは何兆円の投資資金を動かせるでしょうが、裏から言えばほぼ同額の借金(法的には借金でないとしても投資家から集めた資金)王でもあるのですから、歯グルマの逆回転が始まると大変な事態になります。
ソフトバンクグループだけの問題ではなく色んな(実態のない?)有望株の暴落が同時に始まるでしょうから、世界中の市場で連鎖暴落が始まるとどうなるかが心配です。
リーマンショックの時と違い、震源が一つでないので手の打ちようがない大問題に発展しないか、素人の杞憂です。
プロの世界では相応の対策を策定しているのでしょうが・・。
リーマンショックの時には、サブプライムローン=金融機関が結節点でしたので、リンパ球のごとき役割・・戦国時代で言えば防衛拠点・・金融機関に資金供給して連鎖的波及を食い止めれば何とかなりましたが、今回はそういう結節点がどこにあるのか(私には)不明です。
まして、投資ファンドは何かあると、せっかくの緊急融資に動いても「禿鷲ファンド」などと悪し様に言われる傾向があって、投資ファンドの公的役割に関する議論が煮詰まっていないから、ファンドへの資金注入は金融機関救済よりもっと揉めるように思われます。
もしかしてバブル崩壊時より国民の理解度が進んだでしょうか?
日本のバブル崩壊時に崩壊処理が進行していく中で、リンパ節のような役割を果たしている金融機関の債権処理を解決しないとどうにもならないことが判明していたのです。当時金融機関システムには公的インフラ機能があるのは誰もが承認するものでしたが、民間かどうかの違いだけで、公的資金投入必要性に対して「国民が納得しない」という反対論・・国民の声を僭称するメデイアではバブル崩壊対策を合理的に進めるのを何故か阻止する意見が横行していました。
結果的に公的資金注入が遅れに遅れてしまい、これが日本のバブル崩壊処理がぐず付き回復が遅れた原因でしょう。
国民生活の必須インフラを担っているかどうかの基準で、民間か国公営かを決めているのではありません。
区別の要素は一元的ではありませんが、大きな基準は市場原理に委ねて自立できる産業は自立させた方が良いというのが自由主義諸国のコンセンサスではないでしょうか?
左翼系マスメデイアは中国をお手本にして?形式的な国公営か、民間企業かで、公的資金注入の区別に用いようとしていたのです。
半導体も製鉄も教育システムも鉄道も電力もガスも携帯スマホもなくてはならないものですから、台風で途絶すれば民間だから自衛隊や自治体は放っておけば良いのではなく、自衛隊出動や自治体の予備電力備蓄その他必死の応援が期待されているのです。
要は危機時に国民生活を守るために救済の必要があるかどうかです。
ファンド救済の困難さに加えて一旦収束に成功しても、その後の底割れ防止のためにどこかが資金を出す必要があります。
緊急手術で出血をとりあえず止めてもその後の療養手当の準備がどうなっているかです。
戦後の荒廃に対しては米国がマーシャルプラン等でその役割を担い世界覇権確立の基礎となりましたし、リーマンショック時には中国が40兆円規模の内需拡大資金を出して世界経済の底割れを防ぎ発言力を強めたのは周知の通りです。
今中国の台頭をとやかく言いますが、危機時に巨額資金を出した国にヘゲモニーが移るのは歴史の教訓です。
ただし、中国は身の丈に合わない資金拠出したので息切れしてきた段階のように見えます。
今回は中国自身が、世界恐慌の引き金を引く恐れで警戒されてきた瀕死の?病人・・バブル崩壊の先送りを繰り返してきたのですから、自分が資金流出を防ぐのに必死ですから、もう一度大金を出すどころの余力はないでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49167580Z20C19A8MM8000/

中国、資金流出を警戒 急激な元安回避へ新規制
2019/8/29 23:00
日本経済新聞 電子版
【上海=張勇祥】中国政府が海外への資金流出を抑制する新規制を導入した。
資金流出が加速した場合、海外送金や外貨売却が多い銀行の評価を引き下げる新ルールを適用する。
不動産会社には借り換え目的以外の外債発行を禁じた。米中貿易戦争が長期化するなか、人民元相場で11年ぶりとなる1ドル=7元を突破し、当局は当面この水準を容認しているが、元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えだ。

中国や韓国では外貨流出→巨大な外貨(ドル建て)債務の支払い不能になるのを防止すことが最優先課題に陥っているのを上記記事が表しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672470W9A001C1FF8000/

中国外貨準備、7カ月ぶり低水準 9月末
債券安・ドル高で 2019/10/6 21:16

※・・稲垣意見
表向き中国当局の主張・・ドル高により、ユーロ円建て国債等の債権評価減が主たる原因という表題ですが、内容を見るとそうとばかりは言えないようです
以下上記日経記事の続きです。

ただ、今夏の人民元安で資本流出の圧力が再び強まっていることは見逃せない。銀行口座を通した資金の流出入をみると、8月は流出が流入を243億ドル上回り、純流出額は昨年9月以来11カ月ぶりの高水準だった。
国家外貨管理局によると、6月末の中国の対外債務は1兆9980億ドルと昨年末より328億ドル増えている。米国との貿易戦争が激化するなか、中国の外貨準備は増加傾向が続いてきたが、対外債務を差し引くと実際にはそれほど増えていない可能性がある。

対外債務を増やして外貨準備を増やしているのでは、企業で言えば借金して手元資金が潤沢と自慢しているようなものです。

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