GDP指標の意味2

今の国家や企業運営に置き換えれば、アナリストや統計学者が採用するサンプル対象数字だけを追う経営・・試験問題だけ特化して勉強して好成績を取っている秀才みたいです。
過去問集が市場に出回っていますが、これはそっくり同じ問題が得るという意味ではなく、その問題で求めている論点・思考回路を理解しましょうという意味である程度合理的ですが、そっくり同じ問題を5年も10年も出題すれば、意味不明なまま丸暗記してきた受験生が好成績になり、本来の実力を測れません。
例えば日経平均採用銘柄(ダウも上海総合も皆同じ)中心に買いを入れる、あるいは売り浴びせる偏った運用などがあるとその指標が信用できないのに似ています。
私の子供の頃には、品質を見るために米俵(当時は藁を編んだものでしたので先を尖らせた篠竹を簡単に刺し込めました)のに細い篠竹を差し込んでコメを抜き取って検査する方法がありましたが、これは出荷した大量の米俵のどの部分に検査官がいきなり差し込むか不明なので、結果的に均一化が図られる仕組みでした。
国土防衛が重要なのは領内の住民の生活が、夷狄に荒らされないこと・・いわば強盗から守るこことが目的であって、侵略軍=強盗との戦いに勝って侵攻軍を追い返せば住民を守ったことで英雄ですが、侵略してこない相手に攻撃して勝った場合・どんな戦争でも戦争に勝てば英雄という意味ではなかったはずです。
いつの間にか支配者の自己満足のための戦争でも戦争に勝てば英雄となってしまったように思われます。
こういう政治や企業運営では国民や社員その他ステークホルダーが困ります。
一家の稼ぎ柱のお父さんが猛烈に働くのはありがたいけれども、4〜50歳で倒れてしまうのでは家族が困るでしょう。
アレクサンダーや漢の武帝、ナポレオン等の遠征に次ぐ遠征成功は彼らの名声には寄与したでしょうが、戦役に駆り出される人民にとっては負担が増える(租庸調等人民負担の中でも兵役の義務は最悪でしょう)ばかりで「いい加減にしてよ!」というところで何の意味もなかったでしょう。
アレクサンダー大王は終わりの頃には武将から反対されてインドから引き返したとなっています。
アレキサンダー大王に関するウイキペデイアの記事から一部引用です。

紀元前356年にペラで生まれ、20歳で父であるピリッポス2世の王位を継承した。その治世の多くをアジアや北アフリカにおける類を見ない戦役(東方遠征)に費やし、30歳までにギリシャからインド北西にまたがる大帝国を建設した。戦いでは敗れたことがなく、歴史上において最も成功した軍事指揮官であると広く考えられている。
・・紀元前326年、「世界の果て」に到達するべくインドに侵攻し、ヒュダスペス河畔の戦いでパウラヴァ族に勝利する。しかし、多くの部下の要求により結局引き返すこととなった。
紀元前323年、アラビアへの侵攻を始めとする新たな遠征を果たせないまま、首都にする計画だったバビロンで熱病にかかり32歳で死んだ。その死後、彼の帝国は内戦(ディアドコイ戦争)のよって分裂し、マケドニア人の後継者(ディアドコイ)によって分割支配されることとなった。

その結果中東地域にギリシャ文化が広まった功績・・・ナポレオンの大侵略戦争によりフランス革命の成果が欧州に広まった功績があるとしても、それによってマケドニアの地元民やフランス国民にとって何かメリットがあったのか不明です。
フランスもナポレオンも当初亜h防衛線sのであたtでしょうが次第に防衛の枠を踏み越えて支配欲獲得の動物的欲望に転化していったので、国力を消耗し尽くした結果、次の時代・19世紀英仏の世界規模の覇権争いに負けてしまった・特に北米にせっかく進出していたフランス植民地をほぼ失った原因になったように思われます。
戦国時代のように国内の乱れを統一するのは、戦乱で困っている国民には朗報・・戦乱で逃げまわらなくとも安心して学問や製造販売に打ち込めるなど朗報ですが、外国との戦いでは、負けて異民族支配され略奪されるのは困るというマイナスを防ぐ程度で十分であって、自分から遠征に参加して略奪者の仲間になりたい国民は滅多にいません。
十字軍遠征は、戦利品目的のファンドが組まれたとすら言われますが、そういうことを楽しみにして遠征団に自発的応募する人は、一般国民ではなくもともと生きている意味がない自暴自棄的無頼集団がいっぱい居たというべきでしょう。
まともな生活をしている人が、自分の生命をかけてまで出かけていって掠奪暴行したい人がいるでしょうか?
上記の通り外国との戦争で勝って国王の統治範囲が広がっても、一般人にはほとんどメリットがありません。
例えば、同じ生活水準の国同士で言えば、商人にとっては合体による市場規模の利益があるようですが、これは今でいう関税障壁がなくなるということになります。
負けた国の商人も勝った方の国でも相互商売(スーパーやコンビニ展開)できるので、本当のメリットは関税障壁のない状態の自由競争・・FTA締結したのとほとんど変わりません。
旧相手国が合体した結果相手国に進出して商売に勝てるかは、商人間(バックの製造業・製品レベル)競争で勝つ自信がない限り自国のテリトリーが広がるメリットはありません。
民力の差がないのに軍事力だけ磨いて勝っても、市場一体化後商工業レベルの競争で勝てない限りかえって自国産業が損をします。
アメリカトランプ氏の言動は、米国が国際競争に負け始めたのでグローバル化・経済一体化は損だと気付いて従来標榜していた自由貿易を制限したくなったのを素直(日米繊維交渉に始まり米国はもともとそういう国でした)に言いだしたものです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC