サムスン頼りで良いか?3

「漁夫の利」期待によるサムスン電子株価復活に関する解説記事です。
bpress.ismedia.jp/articles/-/56515?page=2

瀕死のサムスンに「ファーウェイ排除」で吹いた神風
漂流する東アジアを撃つ(第13回)
2019.5.25(土) 右田 早希
ひとまず遠のいたサムスン電子「株価4万ウォン割れ」の懸念
サムスン電子株は、1年前の昨年5月25日は、5万2700ウォンをつけていた。それがこの1年で落ち続け、1カ月前の4月25日は4万4650ウォンまで下落。その後もさらに落ち続け、今週初めの5月20日の初値は、4万1650ウォンだった。
それが今週の終値(5月24日・・稲垣注)は、4万2800ウォンと、見事に持ち直したのである。
世界のスマホ業界関係者の間では、早ければいまの第2四半期にも「中韓逆転」が起こると予想されていたのだ。もし第2四半期に逆転しなくても、ファーウェイは、今年通年の出荷台数を2億6000万台と見込んでおり、今年通年の逆転は必至の状態というのが、業界関係者の共通認識になっていたのだ。
「5Gスマホ」に関しても、サムスンはファーウェイに較べて、大いに見劣りしている。
業界関係者の間では、「両社の5Gスマホは、ファーウェイとサムスンの勢いの差を象徴しており、長かったサムスン時代も終わりを告げる」という見方が強かった。
こんな状況下で、今週サムスンに、まさに「神風」が吹いたのである。
なぜサムスンは突然、復調したのか? 今週、何か目新しい新製品を発表したわけでもなければ、トップの李在鎔副会長が前向きの発言をしたわけでもない。あの文在寅政権の経済政策も変わっていない。

と、24日の週末株価下げどまり傾向は、追い上げてくるライバル失速による「漁夫の利」期待効果によることを解説しています。
自己革新によらず「漁夫の利に頼っている」だけでは、他の競争相手の出現に脅かされるので一時しのぎに過ぎないでしょう。
漁夫の利を得て時間を得た間に、新技術革新に成功できるか次第でしょう。
スポーツは実力社会なので分かりよいですが、能力差が開いているとライバルが何かの失格行為や怪我等で半年〜1年出場停止になってその間に本来2〜3位の能力しかない選手が1位になれてもライバルが復帰したり次世代が台頭してくるとその追い上げにまたついていけなくなります。
競争予備軍は無数にいるものです。
中韓両国は、プラザ合意以降鮮明になった欧米による日本パッシング政策に呼応する形で日本の技術摂取に勤めて高度成長路線に入りましたが、日本はこの10年前後技術移転を絞り、中韓以外の東南アジアやメキシコへの生産(技術移転とセット)移転を加速するようになりました。
この10年ほどは日韓の技術移転は細る一方になっていたのです。
これが今まで見てきたように韓国各分野の業績不信・構造的生産力低下に繋がっていると見るべきでしょう。
技術移転が減ってきたので、もう日本の世話になる必要が無いと言うの(間違った意識)が韓国の反日運動の原動力でしょうが、実は技術移転が細っても韓国が次世代技術を自前で再生産していけるようになったかは別問題です。
韓国が中進国の罠にすぐ陥らなかったのは、それまで中進国の罠におちいった国々は、欧米の援助で中進国になった国々ばかりですが、欧米は人種差別意識が強くまともな技術移転をしなかった・・・安い労働力を利用するだけだったことによります。
日本の場合は、誠心誠意中韓の人々が自分たちでいろんなものが作れるように教えこんできた違いがあります。
欧米の植民地では、現地人は読み書きできないままに・欧米人との教育格差拡大を通じて「自分たちは欧米人にかなわない」という無力感を植え付ける支配に徹してきました。
日本は朝鮮や台湾で日本本土同様に義務教育制度や大学も設置して現地人の能力アップに努力したのとの本質的違いです。
上記のように日本は現地進出した場合、同胞並みに熱心に教えてきた実績があるので、技術移転が細ってもまだその余韻というか磁石効果が残っている関係が大違いです。
これがすぐに中進国の罠に陥らなかった違いです。
子供の頃磁石にクギをぶら下げて遊んだ記憶を例にすれば、本物の磁石を切り離してもある程度そのクギに磁力が残っていてまだ別の釘をくっつける磁力が残っているのを見た記憶でした。
中韓が、残った磁力効果を利用して自分で新技術を生み出せるのか?移転してもらった磁力がなくなればおしまいかの問題はこれからの結果次第です。
10年以上経過してようやく磁石が切れる段階がきて、さあどうなるか?お手並み拝見という段階での日韓公式?手切れ間近です。
中国は反日暴動をして見たものの公害環境技術やエネ技術等まだ日本の協力がいると分かって数年前から日本への擦り寄りを始めたところで米中対決になったので、味方をふやす必要もあって、猛烈な日本擦り寄りが始まりました。
韓国だけが国内事情で辞められない?からかまだ反日で邁進中ですが、肝腎の米国が中韓を利用してのジャパンパッシングをやめて、今度は日米蜜月→中国敵視政策に切り替えたので、韓国の立場は二階に上がって梯子を外された状態です。
プラザ合意以降、欧米一丸となった反日攻勢(いわゆるジャパンパッシング)に便乗して、韓国中国が文字通り漁夫の利を得ていた30年に及ぶ世界反日環境がオセロゲームのように白黒反転してしまったのです。
この環境激変対応力がないために、韓国の首を締め始めたということでしょう。
中国が台頭に連れて中国自身がおおっぴらに米国の「鼎の軽重を問う」動きを始めました。
この辺は、習近平氏が太平洋二分論をオバマに持ちかけたときにその意味をこのコラムで書いたことがあります。
その後尖閣諸島への信仰姿勢を見せたり南シナ海の公海で実力埋め立て強行→軍事基地工事を進め、既成事実化するなど、実力行使が目立ってきたので、ついに不公正貿易慣行という側面からのアメリカ国民一丸的な対中対決ムードが高まったものです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC