上皇の生活費を内廷費で賄う疑問1

当時藤原氏も天皇家の権力利用のメリットがあったので中宮を送り込む代わりに経済支援する蜜月関係が続いたのです。
藤原氏が衰微しても、いつの時代にも次の権力者・・経済力のある勢力が勃興するのですが、平安末期以降天皇家の外戚になるメリットが次第に薄れていき、次々と現れる実力者たちは、
外戚にならない→女御〜中宮実家による財政支援がなくなっていた完成期が、戦国時代末期の姿であったことになります。
秀忠が外戚になることを一時考えたのですが、後水尾天皇との確執でこれがご破算になり、家光の時に完全に天皇家無視の政策が確立してしまうのです。
今の大手企業オーナーにとっては外戚になるメリットが何もないのに、政治攻撃の対象になるデメリットの方が大きいので、現在の財界成功者で莫大な資金を垂れ流してまで外戚になりたい人は皆無になっていると言えるでしょう。
政財界実力者が外戚になりたく思わなくなった時代=天皇に政治権力がなくなったこと・象徴機能しかなくなる方向へ進み始め、完全消滅したのが戦国末期と言えるでしょうか?
禁中並公家諸法度で・・天皇の政治権力を公式に否定され、行事主催・象徴機能だけ認められて以降、外戚になりたい新興勢力が公式にもいなくなったことになります。
この完成期になっている現在・皇太子妃や皇后実家の経済力に頼るのは無理になっています。
それにもかかわらず、こういう時代遅れの習慣・結局は権力のないところに資金が寄り付くはずがないという冷厳な事実を無視しても意味がない・天皇家の井蛙kyかウヒ亜hかいのはてんそがしるdけすs、妻の実家による非合理な支えによるのではなく、堂々たる国家予算で賄うべき時代が来ています。
現在の皇室予算は、天皇とその子供世代の一体設計になっているようですが、生前退位すれば上皇一家と天皇一家とは別の経済体になるとすれば、戦後民間で一般化している2世代型家族関係・核家族化の外形がついに皇室に及んだ?という点で合理的変化です。
そこで生前退位によって皇室予算の仕組みが(まだ予算案ですが・・)どうなったかを見ると
「天皇の退位等に関する特例法」を見てもその辺の変化を書いていません。
昨日紹介した皇室関係次年度予算に関する宮内庁のネットで見ても、皇族費や内廷費がほぼ従前通りで上皇になったときの内廷費や皇族費が(ほぼ前年度予算通りで変化なく)どう変わるかが見当たりません。
内廷費の中で天皇一家と上皇の生活費は別に予算計上すべき・・核家族ではない上皇の生活は、内廷とは思えませんし、一般宮家よりも格式が高いので特別項目化するのが合理的ではないでしょうか?
簡単化すれば、現行内廷費と皇族費の2分類から上皇費を加えた3分類にすべきではないかの私見です。
5〜60台で死亡していく時代から人生100年時代になってくると、親子といっても幼児期の親子のようにいつまでも一体化した未分化集団ではなくなって行きます。
5〜60台の夫婦子供の家庭と8〜90台の老夫婦家庭とは、経済の一体性(価値観も変化している)がなくなっているのが普通・原則でしょう。
皇室も高齢化している点は変わりがない以上、2世代分の独立の皇室予算が必要だったのにその改革を長年怠っていた・今回改革のチャンスだったことがはっきりしたと思われますが、せっかくの機会を活かさずに今回は手付かずで終わったようです。
今国会提出の次年度予算案で、皇室費の分類が変わったかの検討です。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/kunaicho/pdf/yosangaiyo-h31.pdf
平成30年12月  宮 内 庁
平成31年度歳出予算 政府案の概要について

上記によれば、従来通りの区分け・内廷費と皇族費のほか宮廷費の3分類があるだけです。
しかもお手元金に関する内廷費は前年同様で皇族費が何故か減っています。
これでは天皇が退位して上皇になるとお金の面から何が変わるのかサッパリ不明です。
https://mainichi.jp/articles/20180307/k00/00m/010/054000c

毎日新聞2018年3月6日 18時58分
政府は6日、天皇陛下が退位される際に「退位の礼」を行うとする政令を閣議決定した。天皇、皇后両陛下が退位後に上皇と上皇后に就いた後の関連規定も整理した。
法的には皇室は、「天皇」とそれ以外の「皇族」に区分されてきたが、明治以降で初めてとなる上皇は、基本的に天皇と同等と位置付けた。
・・・上皇、上皇后は、天皇家と生計を同じくする「内廷皇族」とし、生活費は内廷費(年3億2400万円)から…

上記解説によると、上皇になっても内廷費総額を変えない.・・結局従来どおり内廷費にごっちゃにしたままにするようです。
従前の東宮御所の生活費を上皇御所生活費に入れ替えれば簡単という考えのようです。
次年度予算案が昨年と全く変わっていない所以です。
ただ旧式の家督(古くは「氏の長者」)観念で言えば、現天皇が隠居した以降は、家督権者による内廷費分配権は、(家督を継いだ)次期天皇に移ると見るべきでしょうか?
内廷費の分配は家庭内のことだから法が関与しないという政府の考えとすれば、それはそれでいいのですが、それは同一世帯・核家族を前提にした考え方であって、親世代と子世代が別居していれば一つの世帯と言わない・世帯が違えば家計主体も別というのが現在普通の考えではないでしょうか?

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