政党支持率と内閣支持率(安倍内閣の改憲を許さないとは?)

いまの内閣を信用してもすぐに変わっていくが(日本では平均数年です)自民党の体質は簡単に変わらないから「この内閣の提案は信用できるが母体の政党が信用できないので、反対」という方が意味が通るキャンペインですが、憲法改正や政策に反対するチラシなどでは、逆に「安倍内閣だから〇〇反対」という運動が目立ちました。
選挙で勝敗(信任)が決まった直後に、国会周辺に数万前後を動員して「自民党の提案に反対しているのは国民大多数の意見」というのは無理があるので「自民党支持と内閣支持は違う」国民は内閣を支持した訳ではない・・というすり替えイメージ流布に努めている印象でした。
このような選挙結果無視の運動が正しいとすれば、議院内閣制を否定し大統領制に憲法を改正するしかありません。
何がなんでも憲法を守れという護憲勢力としては矛盾した主張です。
民意無視の専制国家モデルでは、「人民は敵ではないが、支配者は敵」と分離する発想は合理的ですが、日本のようにボトムアップ型・同胞社会では人民と支配者の分離工作は無理があります。
政治の世界でも同じで「与党に文句ないが与党の選んだ内閣は敵」という運動には意味不明の印象を受ける人の方が多いでしょう。
これがぴったりだと思うのは、専制支配を理想とする精神構造の人たちのグループだけはないでしょうか?
本質は反対のための反対なのでいうことがなくなったのではないか?というイメージです。
これに呼応するかのように大手メデイアは「安倍一強」に問題があるかのように、自民党内の風通しが悪くなり自由な議論ができなくなっているなどのムード宣伝が続きました。
最近では政高党低という熟語を宣伝して、内閣が自民党から如何に遊離しているか党内不満が鬱積しているかのようなイメージ作りに励んでいます。
内閣を支持していないが地元与党政治家を支持しているから結果的に与党に投票しているという人もいるでしょうし、逆に自分の選挙区の与党立候補者の人物はもう一つと思っているが、内閣を支持しているので与党候補が落ちて内閣が弱体化すると政策実現能力が下がるので、仕方なく与党候補に投票している・・内閣の人気にブラ下がって立候補当選している政治家もいます。
このどちらが多いかを表すのは内閣支持率と与党支持率の較差でしょう。
昨日紹介した世論調査を見ると、どこの調査でも内閣支持率が自民党支持率よりも高いのですから、地元自民党立候補者への信任より内閣への信任の結果・・仕方なしに地元自民党候補に投票している人の方が多いことを表しています。
こういう状態で自民党は好きだが内閣のやることには反対・・これが国民大多数の声というキャンペインは無理があることが明らかです。
立憲民主に対する総選挙後の支持率の変化を見ると、国民の多くが原理論というか?観念論で反対ばかりする政党を必要としていないことは明らです。
昨夏の衆院解散に対して「大義のない解散」という声・・解散批判論がメデイアを中心に大きかったですが、選挙があれば、少なくとも一定の高齢者がこの機会に引退することで政治家の世代交代が進むことと、民意の反映が進むメリットがあることが明らです。
メデイアの応援頼りで実際に国民支持のない民進党が選挙という国民審判の本番を前に外見をそのまま持ちこたえられずに解体するしかなかったこと・・希望の党や立憲民主党ができたことで、メデイアによる実態不明の世論調査ではなく、メデイアの煽る森友問題などを国民が本音でどう見ているかの審判が下されるようになったことは、大きなメリットでしょう。
メデイアはしきりに解散がいかにもよくないかのようなイメージづくりをしていましたが、要は「森かけばかりが国会の仕事ではないという)民意を証明されるのが怖かったからでないか?という結果に終わりました。

司法と政治の棲み分け2(対外約束と司法審査)

徴用工訴訟の論理構造がもう一つ不明なので、(情報不足が、感情論を拡幅する構造の一例)私自身憶測感情論に陥ったままですがこれを前提に書いていくと、古来から中国からいろんな文物が入ってきても、その基本原理を咀嚼できない民度がここに現れたように思われます。
我が国の場合、古代に律令制を入れても換骨奪胎して行き、硬直しそうになりがちな科挙の制度自体を入れませんでした。
これに対して朝鮮族の場合、中世に勃興した李氏朝鮮は、専制支配体制と科挙制を丸ごと導入して硬直的教条主義的民d属性の骨格を作ってしまい発展から取り残されてしまったのですが、戦後でいえば、北朝鮮は共産主義政権とは言うものの独裁・恐怖政治の副作用のみを取り入れている状態です。
そういう傾向の人も我が国にも一定割合でいますが、我が国の「何でも憲法違反」と言い募る勢力も同じ批判を受けるようになるでしょうが、今のところ思想界もこぞって小児病的傾向ですから、みんなで自己陶酔しているばかりのようで、当面救いがありません。
多分戦後教育で洗脳されて育った我々世代がこの世から卒業して、世代交代が進まない限り現実無視の「立憲」にこだわる古色蒼然たる傾向は変わらないと思われます。
ただ若手弁護士でも平和主義=非武装と図式的に信じ込んでいる人が一定数いるのに驚きますが、よほど育ちが良かったのでしょう。
民進党から希望の党への合流を弾かれそうになった枝野氏を中心にして結成した新党名が古色蒼然たる「立憲民主党」と言うのですから、「憲法違反を許すな」と言いさえすればなんとかなると信じている衆議院政治家がまだ約50名もいることになります。
選挙の洗礼でどのくらい伸びるか、生き残るかで、今の日本の思想状況がわかります。
この辺の原稿は昨年秋の総選挙直前頃に書いておいたものですが、昨秋には選挙結果が出て、さらにその後の支持率変動調査も出ています。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/09260640/?all=1
2018年9月26日掲載
・・・下落率が極めて激しいのは、ANN(テレビ朝日系列)・「報道ステーション」の世論調査だろう。立憲民主党は2017年の10月3日に結党されたが、11月4・5日の調査で支持率は19.9%に達した。
18年7月では13.1%を保持していたのだが、翌8月18・19日の調査で10.7%と1桁台転落の“崖っぷち”となる。その後も踏ん張れず、9月15・16日の調査では一気に4%を失い、6.7%と最低値を記録してしまった。
安定して12〜10%台をキープしてきた共同通信の世論調査でも、8月25・26日実施で8.8%と1桁台に突入。ちなみに7月は12.4%の支持率だったため、こちらもマイナス3.6%と激しい下落だった。
各社の世論調査で、軒並み急落を示している背景は何か、政治アナリストの伊藤惇夫氏(70)に訊いた。

「立憲民主党が失速した理由に、悪い意味でのリベラル臭が強くなってきたことが挙げられるでしょう。かつての自民党保守本流に存在したような良質なリベラリズムではなく、要するに社会党臭なんですね。立憲民主党には国会議員でも党スタッフでも旧社会党の関係者が散見されます。『民主党の失敗を超えられる新しい政党かと期待していたら、要するに昔の社会党じゃないか』と有権者が失望した可能性はあると思います」(同・伊藤氏)

11月分については以下の通りです。
毎月行っているNHKの世論調査結果です。
http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

11月9日(金)~11日(日)実施
自民党 37.4  立憲民主党 6.2  国民民主党 1.5  公明党 3.7  共産党 2.9 日本維新の会 0.4  自由党 0.4  希望の党 0.1  社民党 0.7

野党あわせても合計10%前後しかありません。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-support-politicalparty

【図解・政治】政党支持率の推移

政党支持率の推移

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20181125-OYT1T50099.html

内閣支持率、4ポイント上昇53percent…読売調査/ar-BBQ4n3m読売新聞社が23~25日に実施した全国世論調査で、安倍内閣の支持率は53%となり、前回10月26~28日調査の49%から4ポイント上昇した。不支持率は36%(前回41%)。政党支持率は自民党41%(前回37%)、立憲民主党7%(同5%)などの順。無党派層は42%(同46%)となった

調査機関によって支持率が大幅に違っていますが、自民党と立憲民主の比率で見ると概ね6対1で同じです。
読売に限らず、NHKでも内閣支持率と自民党支持率を比較すると概ね内閣支持率が上回っているようです。(上記の通りNHKでも自民党支持率は37%ですから、)
http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/
2018年11月(11月13日更新)
安倍内閣 支持46% 不支持37%(NHK世論調査)

そうすると、日頃から喧伝されている法案や政策に対する世論調査?で、「法案や政策に反対ではないが、安倍内閣が嫌いだから・・信用できないから」とか、「安倍内閣での改憲反対」とかいう意味不明の報道が実態無視であったことがわかります。

 

司法と政治の棲み分け1・徴用工判決

韓国では、徴用工問題で日韓条約無視の判決が相次ぎ(29日に三菱重工を被告とする判決がある)そうですが、政治の世界で決めたことを司法権が蒸し返しを認めること自体が西洋法の原理に反した行為です。
今朝のMSNニュースからの引用です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/

韓国・文政権の目に余る「背信行為」で米韓に亀裂/ar-BBQagqE#page=2
古森 義久 2018/11/28 06:00
(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
トランプ政権にきわめて近い国際戦略問題の権威のエドワード・ルトワック氏は筆者のインタビューに応じた際、韓国の安全保障政策における一貫性の欠如を取り上げて「無責任国家」と断じた。
韓国が日本に対して慰安婦問題での外相合意を反故にしたり、徴用工問題で本来、政府同士で解決済みの補償要求をまた持ち出してくることを、「情緒的な未成熟民主主義」(米外交雑誌『フォーリン・ポリシー』のエリアス・グラル記者)と酷評する向きもある。

日本司法界は最高裁まで行くと三権分立の基本原理・・常識範囲にとどまって来たのに対して、韓国の裁判所は小賢しい法解釈は出来るものの基本法原理を理解できない・・この限度を弁えないと言うことでしょうか。
もちろん立場によって、韓国の判決を擁護する意見もありますから私の意見は一つの立場です。
一見国と国の協定無視のように見えますが、国と国の協定によって個々の国民の損害賠償請求権がなくなるわけがないという論理もあるでしょうし、その他の色な論理がありうるのでしょう。例えば原発訴訟のように設置運営基準にはしてるかどうかの裁判が許されるのと同じで立場によれば、考え方が違います。
結局法の裁きと言っても、その当時の国際システムがあっているかどうかです。
戦乱等による人的物的被害に対して個々人が相手国に請求すればいいといっても、実際上無理があるので、戦争終了時の条約で賠償金等で解決するのが普通でした。
賠償金等を得た資金を政府が国内還流して間接的に国民が潤う関係・・ファジーな関係で解決してきた歴史でした。
負けた方は被害に遭いっぱなしで泣き寝入りですが、それでも仕方ないという国際常識でやってきました。
国と国の協定は個人に関係がないと言えるならば、日本人も韓国や中国での投資金の返還請求や損害賠償あるいは、米国の空襲等によって殺された大量の人々が損害賠償請求できるようになりそうです。
そもそも徴用工問題で不思議なのは、日本でも学徒勤労動員で知られるように多くが無償または低賃金で?強制的に労働参加してきました。
(無償だったかどうかも具体的に知りませんし、徴用工訴訟が、賃金が安すぎたという訴訟かすら知りません。)
学徒勤労動員に関するウイキペデイアの記事を以下に部分紹介しますが、賃金の記述がありません。

1938年(昭和13年)国家総動員法が制定された
翌1939年(昭和14年)に国民徴用令が制定された。
1941年8月には学校報国隊が結成された[1]。10月16日、勅令で大学・高等学校・専門学校の修業年限の短縮が通達され、文部省は省令「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和十六年度臨時短縮ニ関スル件」を公布し、大学・専門学校・実業専門学校の修業年限を三か月短縮した。。[1]。
1943年(昭和18年)6月に東条内閣は「学徒戦時動員体制確立要綱」を閣議決定し、学校報国隊を強化し、戦技・特技・防空訓練を図り、女子は救護訓練を行った[1]。
1944年(昭和19年)1月、政府は「緊急国民勤労動員方策要綱」と「緊急学徒勤労動員方策要綱」を閣議決定した[1]
4月には全国学徒は軍需工場へ動員された[1]。文部省は「学徒勤労動員実施要領ニ関スル件」を発令した[1]。
1945年(昭和20年)8月15日の終戦の詔勅を聞いた動員学徒は340万人であった[1]。

以下は女子挺身隊に関するウイキペデイアの記事からです

1944年8月8日、内地に限定されていた国民徴用令が免除されていた外地の朝鮮の男子にも適用するとする「半島人労務者ノ移入ニ関スル件」の閣議決定がなされた[31]。

賃金という名目があろうとなかろうと労働者.兵士が生きていくには、生活費が必要です。
アメリカの奴隷制が崩壊したのは、「丸抱えの奴隷(働けない子供も病人も仕事のない時も養っていなければならない)よりは、労賃を払う労働者形態の方が安上がりであったからだ」・・現在流に言えば終身雇用よりも非正規の方がお互い合理的というのに通じる面があるようです・・という意見があります。
朝鮮人も当時日本国民であり日本の法に従って徴用された(法的根拠があり違法ではない)のに、朝鮮人だけ何故損害賠償請求できるか不明です。
日本人を後回しにして朝鮮人だけ優先徴用されたのではなく、上記によれば朝鮮人の方が最後まで徴用されなかったようです。
強制=奴隷労働・人権侵害だから実質違法というのであれば、当時の世界水準で判断すべきであって、現在の法基準で賃金が安すぎると言うのでは無理があります。
当時ほとんどの国民は衣食住でほぼ使い切ってしまうのが普通の時代に、現在の生活水準で手取り可処分所得が少なすぎると言う基準であれば極端でしょう。
賃金ではなく強制性が強いといえば徴兵の方が死に直面する過酷強制ですが、徴兵されたことに対して世界中で徴兵制が憲法違反だと過去に遡って国家相手に賠償請求しないのが普通ですが、工場労働だけなぜ賠償請求できるかも不明です。
新日鉄その他企業は、無償又は低廉な学徒動員による代わりに、政府に軍需品を低廉な価格で納入していたとすれば、今になって賠償請求されるとその差額の損害を国に請求できるのでしょうか?
日本人も損害賠償請求すれば良いのにしないだけのことと言うのでしょうか?
日本の場合ソ連軍による女子暴行・朝鮮に残してきた資産の横領など相手の特定ができないこととが多いので、泣き寝入りしているだけとも言えます。
韓国人だって新日鉄や三菱など企業だけ相手にするしかない点では同じというのかもしれません。
いろいろと素人としての疑問を書き連ねましたが、みんな頭の整理がつかない結果、不当な国だという感情論だけが渦巻くしかないのでしょう。
大手メデイアが意味もなく韓国の肩を持つ洗脳教育するのは困りますが、客観的説明はすべきでしょう・・こういう時こそ韓国の論理を整理して報道する義務があるのではないでしょうか?
徴用工訴訟の論理構造がもう一つ不明なので、憶測感情論に陥ったままですがこれを前提に書いていくと、古来から中国からいろんな文物が入ってきても、その基本原理を咀嚼できない民度がここに現れたように思われます。
戦後でいえば、北朝鮮は共産主義政権とは言うものの独裁・恐怖政治の副作用のみを取り入れているのと同じです。
そういう傾向の人も我が国にも一定割合でいますが、我が国の「何でも憲法違反」と言い募る勢力も同じ批判を受けるようになるでしょうが、今のところ思想界もこぞって小児病的傾向ですから、みんなで自己陶酔しているばかりのようで、当面救いがありません。
多分戦後教育で洗脳されて育った我々世代がこの世から卒業して、世代交代が進まない限り現実無視の「立憲」にこだわる古色蒼然たる傾向は変わらないと思われます。
ただ若手弁護士でも平和主義=非武装と図式的に信じ込んでいる人が一定数いるのに驚きますが、よほど育ちが良かったのでしょう。

スラップ訴訟の法原理6

日本では砂川事件大法廷判決でアメリカで発達していた統治行為理論が採用されたことが知られていましたが、この統治行為論自体・・憲法分野でも司法の限界をきっちり議論していたことになります。
日本では裁判を受ける権利があると言えば一般的には天下御免の印象ですが、これにも司法権に内在する限界があるのです。
砂川事件後50年ほども経過した今、アメリカ式の厳格な司法の限界論「戒律」的理解・・統治行為論があやふやになってきた印象です。
労働事件で顕著なように「管理職」にすれば労働法の規制適用対象外になるのではなく、具体的な業務内容によるので「本質は細部に宿る」時代です。
部分社会論は、司法審査の限界をいうのに初期的には便利な概念でしたが、今や具体的争訟内容によって司法審査の及ぶ範囲を決めていくべき時代に入っているのでしょう。
日本では社会常識的・・政治的に支持を受けられない少数者が「訴訟に訴えれば何とかなる」というか、ともかく納得していない意思表明のための願望的訴訟が伝統的に行われてきた傾向があります。
現在の「違憲の安保法を許すな1」と言う大合唱も同じ流れの印象です。
社会全体がそうなのなか、そういう(往生際の悪い)人は極く少数なのに反体制派が極く少数者を炊きつけて訴訟を起こして来ただけか分かりませんが・イサギ良くない・印象・・いわば甘えの構造です。
一神教原理の厳しい社会構造のアメリカでは、政治は政治の場で争うべきであって、政治の場で負けた以上は潔くすべきであって、訴訟の場で蒸し返し的争いは許さない価値観がはっきりしているようです。
潔いと言えば、大統領選挙で息子のブッシュに負けたゴア元副大統領が選挙開票作業の不正?がとり沙汰されていましたが、勝敗が決まるとこれを争わず潔よい姿に感銘を受けた記憶があります。
16年の大統領選の敗者クリントン氏も、ロシアの選挙介入疑惑について自らは一切発言しないのはアメリカのこうした価値観を踏まえたものです。
また日本に対して歴史修正主義ということがよく聞かれましたが、アメリカにすれば戦争の勝敗が決まった以上、(日本人は嘘で固められた東京裁判は許せないという気持ちですが)それを蒸し返すのは狡いという意味でしょう。
日本政府も蒸し返すのではなく、勝負がつき降伏した以上は潔く敗者に甘んじてきました。
数年前の日韓合意にアメリカを立会人と決めたのは、安倍総理がアメリカのこうした性格・価値観を利用したものと見るべきでしょう。
「権利の乱用は許されない」という当然の限界が、日本では忘れられていろんな分野で権利だけあえて強調されている印象が最近強くなっています。
クレーマーやモンスター保護者も同じで、客である以上は何を言っても食い下がってもいいという乱用形態がこの10数年以上一般化してきました。
「裁判を受ける権利」という名で政治分野で勝負がついた問題の蒸し返し的訴訟をしょっちゅう行っている訴訟マニアっぽい行動形式もこれに似ていますが、これは昨日まで紹介したアメリカ式ルールによればスラップ訴訟にかなり近いことが分かります。
韓国では一旦被害者になるととてつもなく横暴になる傾向があり、弱者ビジネスという言われ方もされていますが、日本でも被害者ビジネス・・古くは同和を名乗りさえすればなんでも通る時代がありました。
今では生活保護受給者などの窓口で「弱者をバカにしている」などと騒げばなんとかなる・・クレーマーやモンスター保護者というのはこの範疇です。
韓国のニュースを見る限り一旦弱者になるとその強引さ驚きますが、権利があることとその限界を弁えない点で、原理が同じです。
訴訟での蒸し返しと言う点では意外に日本左翼系の訴訟好き(ただし個人相手の場合にはスラップ訴訟として日本でも賠償金支払いを命じられることが多くなっていますが政府相手ならば、乱用しても良いというイメージです)と似ていてその共通項は「権利」主張という言葉に陶酔している点でしょうか。
昨日紹介した通り、スラップ訴訟の対象は強者が個人を訴える類型ですが、原発や行政訴訟は弱い個人が損をするものではないですが、(全国一斉原発訴訟などを見ると)大手企業だって訴訟対応コストは大変なものですし、あるいは政府もむやみに訴訟されると国民の税金で訴訟対応しなければならないのですから、一般国民の立場としてもいい加減にしてくれという声が起きてくるでしょう。
ただし反原発の政治闘争をしているという一般的イメージ理解とは違い、個別具体的危険性・・許可基準に違反していないかの争いとすれば全国各地別々に訴訟するしかないので、嫌がらせ訴訟とはいえません・・念のため
何故政治闘争というイメージが広がっているのかですが、弁護団などが「裁判闘争」と名打つからではないでしょうか?
裁判闘争に触発されて左翼とは逆の立場による昨年から発生しているのが、各地弁護士会宛の大量の懲戒請求・・乱用行為でしょうか?
左翼の各地原発訴訟やいろんな反対のための裁判闘争は?一応大義がありますが、右翼系による大量懲戒申し立ては、主義主張に反するという一種の業務妨害目的性が顕著な印象です。
公的団体である弁護士会としては損害賠償請求までは政治的判断(大阪弁護士会の橋下弁護士に関する最高裁判決で厳しく制限されています)で?出来ませんが、今回対象にされた個人弁護士の一部は、損害賠償請求の訴え提起したと報道されています。
11月24日現在のウイキペデイアの懲戒請求に関する記事からです。

特定の弁護士への大量懲戒請求
「ネット右翼#インターネットのデマ」も参照
東京弁護士会が2016年4月に出した「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」に賛同したとみなされた複数の弁護士(佐々木亮や嶋崎量など朝鮮学校の訴訟に対し関わっていない弁護士もデマでターゲットにされた[13])に対し、2017年以降約13万件の懲戒請求があったことが明らかになっている。
・・・この大量懲戒請求に対して神奈川弁護士会所属の神原元ら二人の弁護士[20][21][22]、東京弁護士会の弁護士一人が訴訟を起こした[23][24]。
大量懲戒請求がメディアに取り上げられた発端の佐々木亮、北周人は900人を超える請求者に対して訴訟を起こすことを決めた。
東京弁護士会に所属する在日コリアンの弁護士が起こした裁判では原告側の主張が認められ人種差別的な理由による懲戒は違法であるとの判決が出され、33万円の慰謝料の支払いが命じられた。またこの裁判には被告となった男性は欠席、答弁書を提出しなかった[25]。
懲戒請求を行った者の年齢は1番若くて43歳であり40代後半から50代後半が多く60代、70代もいるという[26]。NHKの調査では懲戒請求した人物の平均年齢は55歳で6割が男性という。

高齢者が、ネット弱者=左翼系マスメデイアの支持者と言われていたのですが、上記NHKの調査によれば実態は違っているようで驚きました。
ただし、弁護士会が懲戒請求者のプライバシー(氏名等)を開示するとは思えない上に、誰かがリークしたとしても懲戒請求には生年月日記載不要(例えば千葉県の弁護士会会規を見ると生年月日を記載するとあるのですが、請求書に生年月日を書いてくる人がいないのですが、うるさいことを言わずにそのま受理していることが多い)ですから、リークする前提資料がないのでNHKがどうやって13万件に及ぶ請求者の年齢調査できたのか、根拠・客観性不明です。
NHKが根拠ない記事を発表しているのか、NHKが報道していないのにウイキペデイアの憶測記事かも不明です。

スラップ訴訟の法原理5

スラップ訴訟については、「ネット炎上とスラップ訴訟・言論封じ2」で16年4月26日に書き初めていましたが、そのまネット炎上に戻ったママになっています。
スラップ訴訟に関する本日現在のウイキペデイアの記事を紹介しておきます。
ウイキペデイア

スラップは、社会的地位や経済的な余裕のある比較強者が原告となり、比較弱者を被告とすることで恫喝的に訴訟を提起することが多い。
実際に比較強者が訴訟を提起した場合、被告側たる比較弱者には、法廷準備費用や時間的拘束[2]などの負担を強いられるため、訴えられた本人だけでなく、訴えられることを恐れ、被告以外の市民・被害者やメディアの言論や行動等の委縮、さらには被害者の泣き寝入りを誘発すること、証人の確保さえ難しくなる。したがって原告は、仮に敗訴してもスラップの主目的たる嫌がらせを容易に達成できる。

上記はまさに、私が「ネット炎上とスラップ訴訟・言論封じ2」で16年4月26日に具体的な想定例を挙げた通りの内容です。

・・・アメリカ合衆国カリフォルニア州では、「反SLAPP法」という州法に基づき、被告側が原告側の提訴をスラップであると反論して認められれば公訴は棄却され、訴訟費用の負担義務は原告側に課される[3]。
日本では反スラップ法はありませんが、上記ウイキペでイアでは以下の事例が紹介されています。
スラップであると報じられた実例。
日本
幸福の科学事件[5][6][7]
2011年6月、甘利明が週刊ニュース新書に対し取材記者、キャスター、プロデューサーを名誉毀損で提訴した[8]。
オリコン・烏賀陽裁判
2012年、明治大学教授野中郁江の学術論文などに対し、関連投資ファンドの経営陣が5500万円の損害賠償を求めた名誉毀損訴訟[9]。
弁護士澤藤統一郎からブログで批判されたことに対し、DHCと会長吉田嘉明が名誉毀損であるとして、損害賠償を求めて提訴したが、請求を棄却した事例[10]。
2012年、大渕愛子対My News Japan記事削除仮処分申請事件。原告が訴訟を、被告が記事をそれぞれ取り下げたことで和解が成立した[11]。
ユニクロ(ファーストリテイリング)がユニクロの過酷な労働環境を告発した文藝春秋社『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)に対し、2億2千万円の損害賠償、出版差し止め、発行済み書籍の回収を求めた裁判[12][13]。一審、二審、最高裁全て「真実」「真実相当性がある」としてユニクロの全面敗訴。
読売新聞が押し紙の問題を載せた週刊新潮とジャーナリストに対して行った訴訟[14]。
NHK受信料支払い拒否問題に関連して、日本放送協会に対して裁判を起こすようアドバイスした「NHKから国民を守る党」に対して日本放送協会が起こした訴訟[15

日本では革新系によって、政治で負けたことの蒸し返しのための訴訟提起の頻発・・司法が政治に介入しすぎないかの不満・イメージが増幅されてきました。
しかし、厳密に言えば、国会や市議会等で政治で決めたことの蒸し返しではなく、議会等で決めたルール違反を指摘する・司法はその有無を認定しているに過ぎないのであって左翼系に対する批判が当たりません。
(ネット等では司法・法律家の左傾化などを煽っていますが、非合理な感情的批判をあおっているにすぎないように見えます。)
例えば、原発の運転再開訴訟その他では多くが政治決定に不満な勢力中心に粗探し的に訴訟提起する印象ですので、結果からみると政治決定に司法が介入しているような印象ですが、訴訟テーマは政治で決めた運転基準に違反していないかのチェック訴訟です。
イラク派兵問題では国会で決まったことの蒸し返しではなく、特措法の適用範囲であったかどうか・・戦闘地域であったかどうか・現地実態はどうであったかの事後検証審議のための日誌の開示を国会で問題にしていたにすぎません。
沖縄基地の政府と県との訴訟は、埋め立て許可基準に合致しているかどうかの争いです。
結果だけ見ると、左翼系による訴訟戦術で政策実現妨害を受けているイメージが強いので、不満を持つようになった右翼系がイメージだけ学んで「それならば!」とばかりに追いかけ的訴訟提起することがこの数年多くなっていますが、(NHK訴訟など多くの事件が敗訴になっているようですが、)訴訟に馴染むものとなじまないものがあるというあたり前のことに気をつける必要があります。
日本の左翼系も政府施策に反対するために同じように何でも訴訟する傾向があるように思い込んでいる人が多い(ネットでは不満が溢れていますが・・)のですが、(長崎の諫早水門開門訴訟や、原発運転停止や空港騒音による運行差し止め・・沖縄基地移転などなど政治問題の多くが国会で決めるのではなく?裁判闘争に訴えるのが普通です)ここ数年では、日本民族系も逆に訴訟に訴える戦術を取り始めました。
ところが、アメリカ社会や日本の左翼系は長年の訴訟経験で訴訟戦術に長けているので、訴訟経験のない右翼・民族系がモノマネ的訴訟をすると却って返り討ちにあうリスクが高まります。
粗暴な相手があまり暴力を振るうので、日頃やられっぱなしの柔弱な男が殴り返したら半殺しに遭うようなものです。
相手のやり方で対抗するならば、相応の鍛錬が必要です。
素人が鍛錬しても意味がないので、、やはりアメリカ式の訴訟ルールに日本法律家も習熟していく必要があるでしょう。
17年10月5日「言論の自由(国家民族や集団のため1)」で自由主義・人権保障や金融資本の本家アメリカで、独占禁止法違反や不正競争違反あるいは金融規制など、権利行使の限界に対する規制が厳しくなっていると紹介しましたが、なんとなく日本では訴訟天国と言われているアメリカでは、逆にそれだからこそ訴訟の分野でも「乱用は許さない」という厳しい運用・・スラップ訴訟法理が発達していることがわかります。
3権分立の原理もどちらかというと形式的理解ではなく、「政治分野に司法は介入しない」という厳格な運用を垣間見ることができます。
トランプ氏の移民規制は、大統領令であって議会意思を反映したものではないから単純な司法審査に馴染んでしまった可能性があります。

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