原発停止の国民世論

原発停止と代替燃料の関係を見てきましたが、原発事故後の国民世論を見ておきましょう。
大地震以降衆議院選挙だけでも3回も経ていますので、(その間に参議院選挙や都知事選挙3回を含む各地方選)国民の総合的意見が収斂されて来たと思われています。
そして現在即時停止論(と言っても判決のような即時停止ではなくできるだけ早くという程度であることを「脱原発と即時停止の違い」で20日頃に書きました)の野党は合計15%前後の議席しか得ていません。

18年5月2日現在のウイキペデイアによる会派数です。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm

会派名及び会派別所属議員数
平成30年1月10日現在

      会派名             会派略称      所属議員数 (女性)
自由民主党            自民        283   (22)
立憲民主党・市民クラブ      立憲        54    (13)
希望の党・無所属クラブ      希望         51    (2)
公明党              公明        29    (4)
無所属の会            無会        14    (2)
日本共産党            共産         12    (3)
日本維新の会           維新        11    (1)
自由党              自由         2    (0)
社会民主党・市民連合       社民         2     (0)
無所属              無          7     (0)
欠員                     0
計                      465   (47)

特に原発廃止をテーマに都知事選に出馬した元首相らグループが1100万弱の有権者中95万票しか取れなかったのは象徴的です。
5月17日引用した元総理らが脱原発を掲げて挑んだ都知事選挙結果に対する各社の論評を再掲します。

手堅さを選んだ都民               朝日新聞
原発論戦今後に生かせ 首都の安全網に全力を  毎日新聞
・無責任な「原発ゼロ」信任されず – 読売新聞
・「脱原発」ムードの敗北だ 五輪や福祉への対応を急げ – 産経新聞

無責任な「原発ゼロ」信任されず」の論評がはっきりしていますが、きっちりした道筋を示さずに、(放射能が怖いと煽るだけ)ムードだけ煽って反対している方法が支持されなかったということでしょう。

貿易収支にそれましたが、原発停止は、(再開予定と違って判決で命じると永久的になくなるしかありません)雇用や納入業者や周辺旅館や飲食店に始まる地元経済に直結するばかりか、巨額貿易赤字になって国力の衰退に直結します。
森かけやハニトラも同じですが、思わせぶりなムードだけ煽る手法は、国民のレベルがメデイアよりもあがっているので、逆効果になっているのがまだわからないようです。
しかも現段階では、代替エネルギー開発が本当に可能かどうかの議論さえ煮詰まっていません。
野党が責任のある議論せずにムードを煽るだけで、きちっとした議論を避けているからまともな議論・代替エネルギーがどうなっているかの議論が進まなかった原因です。
日本は西欧のように強い偏西風がないのと、手付かずの広大な原野、荒野など滅多にないので用地取得が容易でないので風力の代替性が弱いことがわかってきたし、(日本列島は独仏と違い南北に長いので北海道や南西諸島で適地があっても東京大阪など大消費地に送電するコストに無理がある)太陽光発電も補助金漬けで→電力料金個人負担アップに耐えられるか?などが現実化して見通しも立っていない状態です。
原発停止時期に関する民意を知るための選挙結果を紹介してきましたが、これらによれば、民意は即時操業禁止を支持していない・・代替エネルギーの準備が進んでいるとは考えていないことがあきらかです。

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