報道の正確性の問題ですが
「小学生と中学生の比較です」あるいは受験者の年齢等を伏せたままテスト結果の数字だけ報道されると誤解がおきます。
あるいはテスト時間を一方だけ1時間で他方は15分間と限定した場合にも、あるいは一方にだけ事前にテスト問題を教えていた場合などその他条件が違う場合には、同学年のテストでも結果が違ってきます。
同じ内容のテストをした結果であることが虚偽ではないとしても、受験条件が共通という前提で合否判定会議が開かれるのが一般的であるとすれば、ある受験者だけテスト問題を知らせていたという事実を示さないまま会議資料として提出するのは全体としてフェイクになるでしょう。
最近文科省汚職に絡んで問題になっている東京医科大入試で得点操作していた問題も根本は同様です。
民法では、詐欺取り消しをできる場合の一種として「動機の錯誤」があります。
https://www.minpou-matome.com
(3) 詐欺と意思表示の因果関係
欺罔行為によって表意者が錯誤に陥り、その錯誤によって意思表示をしたという因果関係が必要である。欺罔行為が意思表示の内容に影響を与えなかったときは、詐欺は成立しない。
〔考察〕詐欺と錯誤の関係
詐欺の被害者は錯誤に陥っている。この錯誤は動機の錯誤であるが、要素の錯誤(法律行為の重要な部分の錯誤)に限定されていないので、95条の錯誤とは異なる。しかし、動機の錯誤も要素の錯誤となりうるとする判例・通説の立場にたつと、詐欺による錯誤も要素の錯誤になる場合がありうる。その場合に詐欺取消と錯誤無効との両方が要件を充足して競合することになるが、両者の効果の関係をどのように考えるかが問題となる(二重効の問題)。いずれも主張しうるものと解されている。
上記説明では学問的すぎて分かりにくいですが、以下の説明は具体的で分かり良いでしょう。
http://lantana.parfe.jp/keiyaku02-1.html
動機とは内心的効果意思を形成する以前の段階で発生して来る表意者の意欲です。
・・本物のエルメスと誤信して欲しいと思ったことが動機です。
そして、実際にはエセブランド
なのにそうとは認識していないのですから動機の錯誤があったことになります。
判例によれば、動機に錯誤があった場合、動機が表示されており動機が要素に関するもので
ある場合に限り意思表示は無効とされます。
その結果、動機の錯誤に関してはなかなか無効とはされない傾向にあります。
しかし、消費者契約の場面では業者の勧誘行為が消費者の動機形成段階から関与して来ることが
多く、情報・交渉力の圧倒的な格差が埋められぬまま不当なセールストークによって購買動機が形成
された場合には動機の錯誤により無効を認めてもリスク分配の公平には反しないのではないか。
つまり、消費者契約法や特定商取引法では契約締結過程の情報・交渉力の格差の是正こそが契約トラブルの予防になるとして、業者に情報提供義務を課しています。
業者が情報提供義務に違反し、それが消費者の動機形成に影響し消費者の認識と実際の表示との間に食違いが生じている場合には、消費者が動機を表示していなくても業者には動機が表示されている(認識されている)と扱っても不合理ではないはずです。
ここまで噛み砕いてくれると分かりよくなります。
ジャーナリズムなどの著名人・評論家・・情報発信を職業にしている人が業務として行う発言発信は、情報供給業者であり、視聴者・読者は消費者です。
※私の場合、繰り返し書いているようにこのコラムで直接間接に何の収入も得ていないし、このコラムを読んでいる依頼者もいないようですし、これを読んで気に入ったからといって(具体的事件処理に役立つ意見ではないので)相談に来た人もいませんし、弁護士業務に何の関係もありません。
このコラムでの政治的意見が弁護士会内で何らかの影響力も持ってもいません(誰も読まない以上あたり前ですが・・)・・年長者という程度で表向き大事にしてもらっている?
・・・我々法律家の世界では理論が中心ですから議論について行けてない・理解力の劣る高齢者が口出しすると議論が停滞して迷惑に感じるだけでないでしょうか?
大人になりきれていない結果、今でもよくわからないのですが、年長者に面と向かって「間違ってますよ・・」と言ってはイケナイ暗黙のルールがあるようで、その分年長者は早めに引退するか、滅多に余計な意見を言わない習慣にならざるを得ません。
話題を戻しますと、デパートなどでエルメスという商品名で売る以上は、ブランド品と消費者が思うのが普通です。
不動産取引では動機の錯誤の極小化のために宅建業者に対しては取り引き前に重要事項の説明義務が法定されています。
宅建業法(昭和二十七年法律第百七十六号)
(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
以下省略
プロが、素人相手に発信するときには、物件に関する都市計画等の間接的情報も開示する必要がある・・眺望抜群のマンションを売る場合には数年後に眺望を遮る施設が出来るの知っていた場合には重要情報ですから説明義務がある・・、というのが現在社会の基本ルールでしょう。
25日から紹介している辛氏の朝日新聞記載の意見はウイキペデイアに出ている限りで見れば、「何と何を比較するかもはっきりさせず」に「来日外国人」などという一般的でない言語をいかにも同質集団間の比較対象のように持ち出して、多くの人が誤った印象を持ってしまうのを意図したような文章に見えます。
最近ニュース女子事件のBPO決定を連載したばかりですが、ニュース女子報道はDHC持ち込み形式だったとしてもMXに校正チェック責任がないかが問題になっていたはずです。
朝日新聞は投稿その他の記事を載せるにあたって「論理にごまかしがないか」その他裏付けの有無を問題にしないのでしょうか?
朝日新聞は慰安婦報道では吉田調書の裏づけ調査しないで、大規模報道していた点が問題になったはずですが・・?
自社意見が先にあって、これに合致する意見は裏を取らずに事実のように報道する体質があるのでしょうか?
「誰それがこう言った」という直接事実はその通りでしょうが・・。
今の時代、直接事実に嘘がなくともその前提たる間接事実に虚偽があれば、全体としてみれば、フェイクニュースと評価されるべきでしょう。