NHK台湾原住民名誉毀損訴訟

NHK台湾原住民名誉毀損訴訟

NHKの台湾報道事件は結局、「報道の仕方に問題がない訳ではないが「表現の自由・」の重要さを考えて不問にするというのが高裁判決のようです。
ここまで書くには、ニュースだけでは心細いので2月5日には「台湾訴訟」であんちょこ検索では出なかったのですが、その時に日引用したニュースから高裁判決日を手がかりに判例情報で検索すると最高裁判決そのものが出てきました。
最高裁判決は簡潔で1昨日紹介引用の通りでそれ以上のことはありません。
今日の関心は、高裁判決の・「編集権がある」という趣旨で負けてしまったと一般に言われている?理解が正確かどうかの関心です。
最高裁判決の裁判情報で出てきたので原審事件番号も「東京高等裁判所原審事件番号平成25(ネ)666原審裁判年月日 平成25年11月28日」までのデータが出たので、高裁判決を見たくて検索してみましたが、判例集に搭載されていないらしく該当なしでした。
裁判所の生のデータではありませんが、色々当たって漸く以下が見つかりました。
http://www.ch-sakura.jp/sakura/NHKappealcourtdecision.pdf
上記には高裁判決が全文出ていますが、pdfなので部分引用に馴染みません。
高許月妹に対する名誉毀損については詳細認定されていてかなり説得力がありますが、これがあっさりと上告で否定されたのが不思議ですが、ここでのテーマでないので割愛しました。
以下の通り高裁判決は1審変更箇所の部分挿入・・補充修正なので原判決(1審判決書)と比較しないと正確には読みとれませんが、1審判決文を探して高裁判決と比較して読み見込むには私自身の時間がないのと引用が長くなりすぎるので割愛します。
ここでは高裁判決の一部のみ引用しておきますので1審判決と読み比べたい方はご自分で探してお読みください。
原告らと言うか、応援団は、NHKの偏向報道是正という触れ込みですが、直接名誉毀損されていない一般日本国民や高士村の人達にとってはどういう損害・法律構成だったのか?興味のあるところでしたが、あたり前のことですが「偏向」かどうかの司法判断を求めるのは憲法上無理がある(思想の優劣を裁く事はできない)ので、以下判決理由を見ると「知る権利」を侵害されたという(漠然とした?主張)「苦肉の策」であったよう(控訴人らの主張自体にあたっていませんが、高裁の整理が正しいとすれば・・)に読めます。
応援団(チャンネル桜)は、偏向報道を正すと銘打って大騒ぎしていましたが、法律論が「知る権利」の攻め方ではこの種事件には素人弁護士(私は市井の一般事件しかやっていません・いわば100%フリー弁護士)の私の目から見ても無理筋の訴訟であったことが分かります。
勝訴目的というよりは、話題性・政治影響狙いの訴訟だったのでしょうか?
その意味では在特会の京都の朝鮮人学校に対する過激行動同様に国民へのアッピールに成功し、政治目的をある程度達成したことになります。
以下判決文の1部コピペです。

メデイアに出ている編集権尊重の趣旨については上記の通り「憲法によって認められている表現の自由は・・・」と一応出ていますが、判決の言いたいことはその結論部分「・・個々の具体的な権利を侵害するものでない限りいわばマナー違反にとどまるべき・・・」ということでしょう。
「知る権利」などという抽象論では裁判にならない以上、ほんの付け足しでしょう。
このリーズで繰り返し書いているように、「平和を守れ」とか「憲法を守れ」という観念論では物事のカタがつかない社会であるというシリーズ中ですが、・・我が国訴訟制度は具体的事実に即した主張に対する判断をする制度であって、観念だけの当否を決める仕組みではありません。
訴訟には、具体的被害・・具体的争訟が必要な社会であることについては、この後に独仏などの憲法裁判所制度との比較で書く予定です。

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