言論政治活動の自由 2(テロ計画も自由か?2)

法人犯罪(不正経理や贈収賄や談合など)やヤクザなど一定組織で原則連座制にすれば、共犯認定が不要になり訴訟も簡単です。
証拠収集が不可能に近い時代には、一定範囲の親族や隣組等の連座制が発達した所以です。
連座制の問題点は個人責任の原理に反する・本当に事件に関係ない人までで牢獄に繋がれる団体責任論につながりますから、文字通り近代法の原理に反します。
そこで刑事罰には簡単に使えないので、現在では資格制限等に使っているのですが、元はといえば証拠認定の困難さに由来するものです。
このように見ると共謀罪法は、証拠がなくとも責任を問われる連座制に比べれば、共謀の証拠認定がいる点で近代法そのものです。
この法律では証拠認定の必要性がこれまでと何ら変わらないので、捜査機関の証拠収集能力(科学技術の発達)のアップがない限り実際には法ができても運用実績が挙がらないはずです。
連座制のように事実認定なしに実質的に共犯とみなしてしまうのとは異なり、証拠が必要とされる点では近代法理・犯罪の認定は証拠によるという近代法の法理に反していません。
法律が出来ても証拠がない限り検挙もできませんから法を作る意味がないのですが、今はデジタル技術に始まって多様な証拠が生まれつつあることに応じられる法律になった・・テクノロジーの利用によってテロ等の企画段階で情報入手していてもテロ行為を起こすまで待っていなけばならない・事前に制止できない不都合は防げるようになったでしょう。
てもそれだけに反抗を企画して実行に加わらない「免れて恥なき徒」にとっては一歩進んだ脅威になるのでしょう。
大分ズレましたが、政治資金規制法に戻します。
規制対象も一般人まで広げるといろんな事情がありうるので、政治資金の取得先に限定しただけであり、政治家でなくとも外国政府から報酬をもらっていることを隠して中立的意見を言っても国民が納得しない点は同じです。
ただし、外国の立派な人と会位、一定期間修行して薫陶を受ける・・あるいは外国の優れた制度やシステムを学んで自国に導入しようと努力することは自国発展に望ましい事ですから、これを否定的に見るべきではありません。
本当に自国発展のためにグローバリズム(TPP)を推奨しているのか、国際資本の(戦前のコミンテルンによる世界共産主義化運動も20年ほど前から流行った新自由主義も)の手先として運動しているのかなどの判定基準がない(今のところ考案できない)ので、たまたま資金移動で区別するのが外形上わかり良い・外形的標識によって規制が容易であるという便宜によっているにすぎません。
国民主権国家においては、民意による政治=国民の意思による国民のための政治に最大価値を置く以上は、政治家は民意=国民の代表者であるべきで、外国人のための政治をするのは実質的憲法違反行為です。
ただ日本では、政治資金規正法程度しかない・その他は原則として野放しになっているように見えるのが不思議です。
ところで、アメリカで昨年の大統領選挙に関してトランプ陣営がロシアの助力を得ていたのではないか?ロシアが行なっていたとされるクリントン候補に対する大量のネガテイブキャンペイン等にトランプ陣営が関与していなかったかのテーマで、特別検察官まで任命され既に幾人ものトランプ政権中枢人物の辞任騒ぎになっている・・いわゆるロシアゲート疑惑で揺れているのはこうした価値観の表面化です。
1月24日にも特別検察官が司法長官の聴取(取り調べ?)まで行っていたことの外、大統領取り調べま?で予定されていることが報道されています。
http://www.sankei.com/world/news/180124/wor1801240019-n1.html

コミー氏解任めぐりトランプ氏から聴取か 米メディア、「司法妨害」に関心【ワシントン=加納宏幸】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は23日、ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査するモラー特別検察官のチームが数週間以内に、トランプ大統領からフリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の辞任やコミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任について聴取する意向だと伝えた。モラー氏は、トランプ氏に捜査を妨害する意図があったかに関心があるという。
モラー氏側は先週、セッションズ司法長官から聴取したことが明らかになっている。閣僚からの聴取は初めてとみられる。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は23日、モラー氏側が昨年12月、コミー氏から聴取したと報じた。

一般的には政治の帰趨がきになるから大きなニュースになっているのでしょうが、私の関心は外国の意向に左右されてはならないと言う基本的思想がアメリカでもひどく強いと言うことと、日本のように資金が動かない限り問題にしないと言う形式処理の社会ではない・・・外国勢力との繋がりに対する外形的規制法が自由主義の本場アメリカで制定されているのか?の点にあります。
単なる政治責任問題ではなくFBIが捜査に乗り出し特別検察官が選任されたということは、なんらかの刑事処罰制度があるからでしょうが、何の犯罪に対する刑事捜査なのかメデイアははっきり報道しません。
トランプ政権がロシアによるハッカー攻撃に関わったとすれば、ハッカー関連規制法(日本語でいえば刑法の「電磁的記録不正作出及び供用罪」の変形版みたいなもの?)違反の共犯にすぎないかもしれません。
これだけ日本でも大きく報道しているにも関わらず、何の法令違反で捜査が始まっているのかの紹介が全くありません。
単に仮称サイバーテロ防止法違反行為に加担しただけなのか、外国勢力と一定条件下(大統領候補者になった者が)で接触して一定の行為をした場合に、法で処罰対象になっているのか・そんな規制は滅多にないかを知りたいものです。
資本主義、自由経済主義の本家でこれを守るために独占禁止法が制定されているように、思想表現の自由を守る本家アメリカで逆に外国との通謀に対する規制があったとすれば、(単にサイバーテロの共犯程度か?)驚く日本人が多いでしょう。
このコラムでは車の例をよく出しますが、車がより気持ちよく走り回るにはスピード制限や歩車道の区別をつけたり道路状況に応じた各種規制が必要なように、「自由その他の人権を守るにはかえって人権を行使するに際してのきめ細かな規制やルールが必要」というあたり前の原理がわが国では無視されているように思われます。
選挙が重要だから「勝手にやらせろ」と言うのではなく相応のきめ細かな規制が必要ですし、思想表現の自由に関してもこれが尊重され有用であればあるほど、乱用的利用者が増えるので過剰な表現に対する規制(誇大広告規制等がありますが)の必要が生じます。
物事は発達すればするほど交通法規や証券取引金融商品のように規制も増えて行く必要がある・・その方向に向けた具体論が発達するのが普通です。
ところがわが国では、表現の自由論や平和主義が喧伝されているわりに、アメリカでの表現そのものを取り締まる違憲判例ばかり麗々しく紹介され、表現の自由行使に関する交通ルールみたいな外形規制をどのように工夫しているかの方向では、全く紹介されていないのが不思議です。
(私が勉強不足なだけでしょうが、それにしても勉強不足の弁護士には届かない程度のマイナーな紹介論文しかないのでしょう)

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