11月22日に日経新聞21日大機小機掲載の「現預金200兆円あまり」の記事についてその数字が正しい前提で「200兆円もあるからいかにも無駄に保有しているかのように・・ひいては内部留保課税が正しいかのようなイメージを振りまくのは不合理な意見であるという意見を22〜23日に連載して一旦終わりにしていました。
ところが驚いたことに、17年11月25日の日経朝刊3P「最高益の実相」欄には、「投資抑制で山に積み上がった手元資金だ。直近で過去最高の117兆円と00年度に比べて8割増えた。総資産の増加率(4割)より多い)」と書いています。
24日から日本の雇用形態がどうなっていくべきかのテーマで連載中ですが、ここで大きな数字の違いが昨日の新聞で出てきたので内部留保→流動性資金について改めて見直す必要を感じたので本日は流動性資金等について急遽再論・追記の割り込みをすることにしました。
25日の記事も21日の記事同様で、企業がせっかくの好業績によって得た資金を再投資しないで死蔵しているのでもっと投資させるべき・・そのためには内部留保課税で事実上投資を誘導する方向性を議論すべきだというイメージ植え付け方向では同じですが、日経新聞が11月21日に「日本企業の現預金200兆円あまり」と書き、その4日後に手元資金が過去最高の117兆円と、約半分あまりの数字に引き下げて議論を進めていることの違和感です。
大きな数字変化の意味はなんでしょうか?
手元資金と現預金の表現差にどのような違いがあるのでしょうか?
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/account/acc210.htmlによると以下の通りです。
金融経済用語
手元資金は、貸借対照表の現預金(現金、預金)と短期保有の有価証券を合わせたものをいいます。これは、企業が比較的自由に使える資産と位置づけられ、その額が有利子負債を上回っている場合を「実質無借金」と言い、そのような状況の企業を「実質無借金企業」と言います。
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※2008年-2009年の金融危機では、日本の企業は資金調達が難しくなった経験から、手元資金の重要性を認識させられ、その後、自己防衛として手元資金を積み上げるようになった。
上記によると11月21日の大機小機記載の「現預金」の単語と25日記載の「手元資金」との違いは企業保有の短期有価証券等を含めるかどうかの違いらしいです。
そうとすると、もしもこの間の基礎数字の激変がない限り・・あるいは同時期であれば手元資金の方が、現預金合計よりも大きいはずです。
16年度末(3月末?)からわずか(直近とは10月末?)6〜7ヶ月経過で現預金だけではなく、好業績発表の続いている経済状況下で有価証券保有を含めても4割も減ったとは想定できません。
しかも同記事には「過去最高」とも書いていますので、その間に減ったとは考えられないのでどちらかが間違っていることになりそうです。
21〜23日に書いていた時には新聞記事の事実記載についてはこれを信用して200兆円が正しい前提で「意見」相違を書いていたのですが、同一新聞社の記事にこれほど矛盾がある?大幅に違っていると議論の前提である200兆円の数字が誤りなのか、それとも「現預金」の熟語表記があやまりなのかを明らかにする必要があります。
そこで前提数字自体を見てみる必要を感じて検索してみると以下の資料が出てきました。http://www.murc.jp/thinktank/economy/overall/japan_reg/watch_1703.pdfによると以下の通りです。
三菱UFJリサーチ&コンサルテイング2017年3月17日
上記は出所も計算方法も明記していて信用性の高そうなものですが、これによると16年度末200兆円という数字自体は大方あっていてこれを現預金ではなく手元流動資金と分類していますが、21日新聞記事では、この数字を「現預金」と表記したことが間違っていた可能性があります。
不思議なことに25日記事では手元資金が117兆円という表示ですが、これは逆に現預金のこととすれば上記グラフと辻褄が合いますが、25日の記事で用語訂正のつもりであれば、25日記事で「現預金117兆円」とすべきだったように思えます。
そうすれば「あゝ21日の現預金の表示が間違っていたと気づいたのかな?」と素直に理解可能ですが、25日表記が逆に「手元資金117兆円」(双方の用語利用が正しいものとして理解するには、「手元資金の方が現預金より少ない」と読まないと混乱します)と書いているのが不思議です。
上記金融経済用語の解説が間違っているのでしょうか?
念のために別の用語解説ものぞいて見ました。
https://kotobank.jp/word/%E6%89%8B%E5%85%83%E8%B3%87%E9%87%91-668563
デジタル大辞泉の解説
てもと‐しきん【手元資金】
代金の支払いなどにいつでも使用できる、流動性の高い資金の総称。現金や普通預金が代表的だが、満期が3か月以内の有価証券・定期預金等を加える場合もある。手元資金を潤沢に保有することで不測の事態に対処しやすくなるが、利子がほぼ付かないため、必要以上の確保は資金効率の面で望ましくないとされる。
上記によっても手元資金の方が現預金よりよりも大きいことが明らかで、日経新聞が独自の用語利用していることがわかります。