消費者信用の拡大政策8と格差縮小?

NHKや東京、朝日の期待する?方向性とは逆に日本では個人金融資産が膨れ上がる一方です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC17H0N_X10C17A3EAF000/
家計金融資産、最高を更新 16年末1800兆円
2017/3/17 10:41
このようにしてみると、プラスマイナスの比率が気になるのが普通の疑問でしょう。
孫正義氏が世界的大富豪とはいうものの、負債額もこれに匹敵するほど大きいと言われるように要はバランスの問題です。
個人金融資産がいくら世界一になっても破産予備軍とは交わらない・・持っている人と持っていない人との格差が大きいだけで関係がないかも知れませんが、個人金融資産合計が減る一方で破産者や倒産も増える一方では、その社会の将来性が暗くなります。
少なくとも個人金融資産が増え続けていることは明るい話題でしょう。
もしも、個人金融資産が増え続けているにも関わらず一方で破産者が増えつづけている場合、格差が問題です(ただしこの後に書くように仮には算数が増えてもそれだけでは一概に拡大とは言えません)が、昨日紹介した通りNHK宣伝に関わらず全体の消費信用が減っているようですからそれは当たらないでしょう。
それに所得格差があるとすれば所得再分配と(いくら再分配しても無駄遣いする人には)消費教育の問題でしょう。
ただし、消費信用には資産家から無産層への実質所得移転をしている意味があることを7月14日に書きました。
もしも毎年一定率のデフォルトが起きるとその分資産家層からの貸金が消滅するのですから所得再分配そのものです。
生活保護で所得移転するよりは消費信用供与による移転の方が、消費者が頑張って返そうと言う意欲がある点で健全です。
最近生活保護現場でも、若くて元気のいいものに・労務賃を払ってくれないで逃げられたような相談・彼らには失業保険もありません・・でdは、まずは生活資金の貸付から始めるような事例が出てきました。(債務整理相談で福祉事務所が債権者に登場している事例です)
その頑張り力の補助エンジン供給に当たるのが超低金利政策であり、借り易さの仕組みづくり・・友達に借金して買いものするのは恥ずかしいがクレジットなら恥ずかしくないという意識づくりです。
超低金利そのものがすでに資産蓄積している階層から蓄積のない階層への膨大な所得移転(世代的に見れば大胸高齢層から若年層)ですが、運悪く?戦い敗れて破綻(白旗を掲げて降伏)した時には、気持ちよく免除してやる・・その時に100%の所得移転になります。
所得再分配に逸れますが、フローの収入格差を基準にするジニ係数重視論をこれまで繰り返し批判してきましたが、保育所や学校制度に始まり、成人にまで就労支援その他多種多様な公的支援・公的学習環境・公費負担による各種美術館博物館、図書館等の教育設備、医療負担が整備されるなど公的設備・インフラ整備は、全て所得再分配の一環をなしています。
可処分所得の価値についても、日本のように高額医療費を自己負担しなくてよい国と自己負担が大きい国とでは大きな違いです。
鉄道未整備の国・・広大な原野が広がる地域では車保有資金がないと自分で自由な移動ができません・アメリカでは運転できない子供は自転車区域を超えた移動の自由がありません)が、地下鉄網や路線バスの整備されている都内では数百円もあれば簡単に23区の端から端まで簡単に移動できますしお付きの人がなくとも小学生でも一人で電車通学しています。
アメリカでは子供だけにすると検挙されることがあるとすら言われてますが、安全がただ意識の日本ではびっくりする話です。
報道イメージだけしか知りませんので真偽不明ですが、例えば以下の通りです。
https://matome.naver.jp/odai/2140517995024474901
日本と同じ感覚でいるとすぐに逮捕されてしまうかも。
アメリカでは一般に13歳になって初めてティーンエイジャーとして認められ、行動の責任が自分にあるようになります。それまでは常に親が保護する義務があるのだそうです。このため、13歳未満の子供だけで街を歩いていれば子供達は保護され、その親達にはペナルティーが課せられます。
出典アメリカ育児事情〜子どもの安全管理〜
日本では貧乏人も金持ちもみんな冷暖房の効いた電車で移動でき、大方の駅にはエレベーター等があって、足腰の弱った老人や車椅子の人でも世話係の下男下女を伴わなくとも単独で移動できるし、警備のお供もいらない・身の安全は自衛できるお金持ちだけでなく庶民まで恩恵を受ける社会です。
数字的に見れば、総支出のうち9割が公的インフラで賄われている場合、残りの1割の支出額が、2対1であっても生活水準格差は10%しか違っていません。
可処分所得が10万円と20万では2倍の格差のように見えますが、インフラ次第で国によって大きな差があるのですから直接的収入額だけで比較しても実態を表していません。
このように消費拡大政策は庶民の生活水準底上げに寄与していること・消費水準格差縮小機能を果たしてきたことは確かでしょう。
ところで、どんなに政治がうまく行っても、好景気でも商売に失敗する人が皆無になりませんし、インフラも利用が増えれば一定の比率で事故が生じます。
消費信用拡大も失敗を怖がって何も挑戦しない社会よりは、再挑戦機会保証でどんどん挑戦/失敗できる社会の方が健全です。
社会からの失敗・落伍者をゼロにするのは不可能でしょうから、再挑戦可能社会にする方が合理的です。
輸出用国内生産増は無理があるので、内需拡大しか国内生産をふやせない→購入資金のある人だけをターゲットにするのではなく、消費信用(借金)拡大によって消費拡大を図る場合、借金の意味が変わってきます。
それまでは借金するのは非常に恥ずかしいことという意識で、質屋も裏通りにあり、こそこそと裏口から入っていったものですが、その後若もの世代ではカードで買い物できるのが格好良いという意識に変わってきました。

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