高度成長期以降の地価高騰で潤った千葉の近郊農家の結果を見ると(全部を知っているわけではありません知っている人だけのことです)多くの農家では一時的に羽振りが良かっただけで元の木阿弥になっている印象です・・。
地方に大手工場などが進出した場合、その中で技術を磨いて地元で創業出来る人がいるかと言うとなかなかそうは行きません。
とは言え、日本のゴールドラッシュ時代の安土桃山時代・・今考えると金の大流出・・貿易大赤字時代があってこそ、絢爛豪華な時代の幕が開いたのですが、みんながみんな等伯や永徳、宗達のような芸術家になったのではなく、裾野が広がった結果とすれば、傑物はひと握りで良いのです。
消費生活向上・・遊びの中から、工夫や新しい芸術や新製品が生まれる関連があることは確かでしょう。
日本の現在の世界的評価は、安土桃山の後を受けた江戸時代に庶民の消費生活が世界に先駆けて充実していた結果によると思われます。
消費経験が将来の民度にどう言う影響が出るかは別として、(私なりに最大限中国寄りの意見を書くとすれば)兎も角外貨準備が底をつくまで歯を食いしばってでも人民に消費経験させない限り前に進まないと覚悟を決めたのが中国ではないでしょうか?
雄安新区建設の新バブル構想が今朝の日経新聞にも出るようになりましたが、箱物や土木工事で貴重な資金を使い、人民も金儲け・投機的売買にうつつを抜かしていて健全な消費者が育つかの疑問がありますが、日本でも豪壮な城郭建築が豪華なふすま絵を誘発した例があります。
ところで北京に関しては私は元々北方民族・・女真族が南下したときに侵入した入口に当たる場所・北京を首都としたのは合理的だったでしょう。(北条氏が関東へ進出したときに入口の小田原を本拠地にしたのと同じ)
しかも清朝の支配は、遠くの異民族が服属意思表明していただけで直截支配していなかったので全体の端っこに首都があっても間に合っていました・・。
対外経済中心時代で且つ直截支配下に置く現在国家の首都としては、北京は地理的に偏り過ぎている外、国際交易にも不便・・このママでは無理があると言う意見を元々持っていました。
習近平は鄧小平の深圳特区・江沢民の上海特区の向こうを張って、これに負けないレガシーを残すために雄安親区を計画したもので、(ネット報道だけではなく日経新聞がが報道するようになった以上は)早速権力に媚びる多くの関係者が動き出した模様です。
深圳特区や上海開発は相応の地の利を踏まえて開放政策にマッチしたので成功したものですが、新首都?雄安親区は北京から更に内陸に入っていますから、経済原理からして・・今時可能なの?と言う第一印象を抱くのは私だけでしょうか?
この種の意見は、これまでネットでも出ていませんし、日経新聞にも出ていません・・当面世界的な関心は新バブル創出がうまく行くのか?そんなことばかりで中国経済の先行きがどうなるのか?ひいては世界経済に与える影響に関心であって、外野にとっては「地の利がどうの・・」と言う先のことまで心配してやる必要のないことはそのとおりです。
話題を外貨準備減少に戻しますと、日本のゴールドラッシュのような蓄積がないのが中国の苦しいところで、そのために気前よく使い切れない・・その間の人民元防衛策に必死ですが、内需拡大→貿易赤字ですから、人民元は下がるしかない・防衛するのは元々無理があります。
貿易黒字とは何か?ですが、難しい説明は専門家に御任せするとして、あっさり言えば、国内利用以上のもの生産している国と言うことでしょう。
これを売るのに忙しく折角作ったものを自分が充分に消費出来ていない社会とも言えます。
アメリカの場合巨額貿易赤字を続けて来た・・働くより消費優先だからこそアップルその他新しいものが生まれているとも言えるでしょう。
医者の不養生といいますが、他人の医療に忙しくて自分の健康管理する暇がない状態です。
植民地支配経済・・宗主国向け生産をさせるが植民地下の奴隷的労働階層は自分の作っている物を消費する権利がない・・解放当初の中国は日本の植民地ではないのに日本向け輸出製品専用工場を誘致していました。
多くの後進国政府が外資進出許可するときに、「先進国企業が国内市場を席巻してしまうと困る」と言う理由で国内販売を許可しないか、許可するときには外資の比率を半分以下の合弁しか認めないなどと制限して民族資本が学ぶ機会を与えろと言う条件付きで許可しています。
リーマンショック後の中国の内需拡大政策は、今後は自分が作っているものを自分も消費したいと言う意欲表明とすれば合理的です。
中国が内需拡大に舵を切った以上は、黒字が縮小し外貨準備・蓄えが減って行くのは仕方ないと言うか自分で選択したことです。
内需拡大をやめて経済パフォーマンスを良くしない限り奇策や規制では一時しのぎでしかない・・基礎にある人民元安の流れを止めない限り資本流出圧力をいつまでも塞き止めることは出来ません。
ところで以前出血輸出の構造を書いたとおり、出血輸出をるのは仕入れ資源輸入代金を払うしかないので、付加価値をつけた人民の労賃を減らすしかないので出血輸出などしていられません・・内需拡大=人民に豊かな消費をさせる以上は、貿易黒字が減るのは当然の帰結です。
外貨準備の続く間に消費生活を充実させて消費材を作れる民度に引き上げる・・民度レベルアップ・・これが間に合うかのテスト中と言うところでしょうか?
この覚悟をすれば中国の外貨準備急減を騒ぐことではありません。
転売目的のマンションや鉄道ばかり作っていて民度が上がるかの心配があるでしょうが、この後で書くようにこの数年で中国消費者の消費レベルが上がり・・日本国内製品でないと信用出来ない・・と言う選好が増えて来たことから見ると、短期間に民度アップ出来る可能性がないわけではありません。
この間の食いつなぎ・・外貨準備のうちで(ベネズエラ債?のように売るに売れないものが多いので)市場で売れるものから売って換金するしかないと言う姿勢ではないでしょうか?
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20170107/Recordchina_20170107010.html
2017年1月4日、韓国金融監督院が発表した統計から、2016年1~11月末に中国人投資家が韓国の株式市場で売却した株式の総額が1兆5000万ウォン(約1500億円)に上ることが明らかになった。環球網が伝えた。」
表向き韓国のサード配備に対する嫌がらせっぽいですが、韓国には義理を欠いても失うものが少ない・・(韓国の中レベル技術移転はほぼマスターした・今後は韓国企業は競争相手でしかないと言うゲンキンな読みで)と言う切り捨て対象にしただけ・5月6日に書いた北朝鮮切り捨て政策と同じ文脈で見るべきでしょう。
中国は民度レベルアップ→内需拡大による貿易黒字減少は仕方がない・この間のつなぎとしては、換金可能で今後技術移転の旨味のない国の外貨から順に売れるものから売りたいだけではないでしょうか。