違法収集証拠の証拠能力(違法性の程度)2

具体的な違法行為をしていないのに、憲法文言を類推して拡張解釈し、令状なしの捜査をしただけで違法収集と認定し、しかも証拠能力まで結果的に否定したことになります。
一般的に法制定が必要とか憲法改正が必要と言う論法は、何でも反対・・思考停止を求める勢力が多用する方法です。
たとえば、集団・共同防衛が本当に必要と言うならば民意で決めるべき・・必要ならば、憲法を変えてからにすべきだと言うのにも似ています。
現状維持勢力の基本的主張です。
しかし自衛の範囲に同行者・相互防衛関係にあるものが襲われた場合にそのときに反撃に加わるのが共同防衛・・自衛の範囲に含まれるかの緻密な議論を先ずすべきですが、敢えてこの議論を飛ばして短絡的に憲法問題にしているマスコミの姿勢と似ています。
国会や民意に委ねろと言うのは一見正論ですが、物事には法制定に馴染まない分野も一杯あります
たとえば、・・違法収集証拠の排除問題は違法態様にもいろんなバリエーションがあるので、事例集積を図ってどの程度の法違反があれば証拠作用されないかの基準が形成されて行くべき分野・・事前の画一的法制定には向いていません。
最高裁自体も令状なし捜査が許されないとしながらも、どのような令状捜査が可能かは非常に難しいことを書いています・・日進月歩の先端技術開発が進んでいる現在予め具体的に決めて行くのは無理がありそうです。
ソモソモ令状主義が出来た時代には、容疑者が令状を示されたときには取り囲まれていて逃げられない・・あるいは逮捕されてから身体検査令状を示されて逃げられない・家宅捜索や身体検査の場合、証拠隠滅しきれないのが原則だったことを前提に成り立っています。
GPS装着前に令状を示すなどしていたら捜査の実効性がないことは明らかですから、最判が令状なしの捜査が違法と言うのは不可能な要求している・・ 結局GPS捜査禁止と同じ効果があります。
あとは立法の問題として司法権が立法に丸投げすると立法作業期間中捜査の空白が生じてしまいます。
その程度のことはプライバシイ侵害可能性と比較して、仕方がないという価値判断でしょうか?
犯人の受けるプライバシー被害があるとしても(最高裁は「あり得る」と言うだけでどう言うプライバシイ侵害があったかを認定していません・・・可能性だけです)この程度の被害は許容されるかどうかをもっと緻密に掘り下げて議論すべきだったように思われます。
防犯カメラもプライバシイ侵害可能性がありますが・公道に限らずトイレなど・・それでも必要性との兼ね合いで(九州弁連で反対のシンポジュームらしいものを開いていたことを以前紹介しましたが・・)社会的認知を受けています。
防犯カメラは民間が行なう点で捜査とは違うし、不特定多数相手で特定事件があってからチェックするだけで事件がなければ自動消去してく仕組み・特定者を継続的監視する仕組みではないのに対して、GPSは特定のクルマを継続監視する点が違います。
そのうえ利用者は承知の上でトイレ利用するから隠密裏に行なうGPS捜査と大きな違いがあると言うのでしょうが、急にトイレに駆け込みたい場合選択の余地がない点・・一般のスーパー等でも防犯カメラのないトイレを選べないように思いますが・・をどう評価するのでしょうか?
ところで捜査か民間かあるいは事前承諾の有無の判断と侵害の程度判断とは次元が違います。
被害の程度判断過程に承諾の有無や捜査か否かを持ち込むのは議論を混乱させることになります。
先ずそれぞれの次元・・プライバシー侵害程度についてはその次元で判断すべきでしょう。
最判判旨の一部をもう一度引用しますと「個人の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴うから,個人のプライバシーを侵害し得るもの・・」となっています。
しかし、GPSクルマ装着の場合個人の洋服につけるのとは違い、実際に誰が乗っていたかも直接的には不明、(・・本件では犯罪集団の内偵でしたが、犯罪集団が利用している場合所有名義人が乗っていることの方が少ない)クルマの移動経路時間帯が分るだけですから、「個人の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴う」と言う最判は事実認定が甘過ぎる印象です。
他の情報と合わせると偶然分ることがあるかも知れませんが、GPSから「必然的」に分るものではないでしょう。
4〜50km走った場合、途中の幹線道路設置したところだけで切れ切れに写っている防犯カメラの映像の組み合わせで(窃盗現場が住宅街が普通とすればかなり距離があります)運転する個人が特定出来ることがあると言うならば、その他の情報(傷害犯行現場写真のシャツの端っこの映像で)も「偶然」手に入れたいろんな情報の組み合わせで分る点は同じです。
しかも判決書きによれば私的領域に幅広く侵入・・と言うのですが、私の知っている限りでは(捜査の場合もっと精度が高いかも知れませんが・・)、GPSは50メートル前後しか特定できないことになっているので、ただちに私的領域・誰とデートしているか何をしているかが分るものではありません。
顔写真には周辺景色も写るので1メートル単位の一特定が可能ですが、プライバシー性の濃密さで言えば、プライバシー侵害の深刻度は防犯カメラに比べて低いと言う見方も成り立つでしょう。
防犯カメラには通行人の暗黙の同意があると言っても、防犯カメラは公道や広場等では全て設置されているわけではない・設置されていない場所の方が多いので・・(私の事務所近くの道路などを考えても)具体的にどこにあるかも知らないし、防犯カメラに自分が写っているかを知っている人の方が少ないと思われます。
警察が知りたいのは主に停止時間帯と近隣窃盗被害との関連性程度・・犯行を直接証明出来るわけがないので捜査の端緒にしたい程度ですが、この程度の関連性があるだけ証拠価値ゼロにしなければならないほどのプライバシー侵害になるかについてはもっと掘り下げた議論が必要です。
これをしていないままアンチョコ(最高裁大法廷の認定を一介の市井の弁護士がこのように言うのはおこがましいですが・・)に令状の必要性を認定している印象です。
ところで令状必要性に関する判断も今後の実務を拘束する点で重大な判断であるにも関わらずアンチョコすぎる印象です。
この部分をもう一度引用します。
「(2)憲法35条は,「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ,この規定の保障対象には,「住居,書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。」
「そうすると・・令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。」
憲法35条二項が判文に出ていないのでついでに35条全部を紹介します。
第三十五条  何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」
35条に該当すれば、令状がなければ出来ないことになります。
冒頭に書いたとおり、「令状主義」は当時の捜査対象との関係で決まって来た歴史がありますから、令状を要する保護対象をどこまで広げる必要があるかの重要な論点を「侵害しうる」と言う粗雑な認定であっさり決めてしまった判旨はこれを無視しているか気づいていないように見えます。
何回も書くように私は憲法のプロではないので憲法のプロの間では幾多の議論の経緯があって、それを踏まえた判決かも知れませんが・・。

違法収集証拠の証拠能力(違法性の程度)1

違法手段で収集した証拠を排除すべき基準は、違法によって生じた損害の大きさとの利益衡量関係ではないでしょうか?
この辺は刑事訴訟法学者の研究論文が一杯あるのでしょうが、このコラムを書くまで気にしていなかったのでその方向から読んだことがありません。
ですから繰り返しお断りしているとおり素人の思いつき意見です。
GPS装着によって想定される実質的被害があるとしても、拷問禁止のように何が何でも禁止しなければならないような普遍原理と言うべき権利を侵害しているとは言えないように思えます・・。
以下最高裁判決文の一部です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86600
平成28(あ)442
事件名 窃盗,建造物侵入,傷害被告事件
裁判年月日 平成29年3月15日法廷名 最高裁判所大法廷
「・・このような捜査手法は,個人の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴うから,個人のプライバシーを侵害し得るものであり,また,そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において,公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり,公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。
(2)憲法35条は,「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ,この規定の保障対象には,「住居,書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。」
「そうすると,前記のとおり,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は,個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして,刑訴法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たる(最高裁昭和50年(あ)第146号同51年3月16日第三小法廷決定・刑集30巻2号187頁参照)とともに,一般的令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。」
(3)・・GPS捜査は・・・,裁判官による令状請求の審査を要することとされている趣旨を満たすことができないおそれがある。さらに,GPS捜査は,被疑者らに知られず秘かに行うのでなければ意味がなく,事前の令状呈示を行うことは想定できない。刑訴法上の各種強制の処分については,手続の公正の担保の趣旨から原則として事前の令状呈示が求められており(同法222条1項,110条),他の手段で同趣旨が図られ得るのであれば事前の令状呈示が絶対的な要請であるとは解されないとしても,これに代わる公正の担保の手段が仕組みとして確保されていないのでは,適正手続の保障という観点から問題が残る。・・・・」
「・・一般的には,実施可能期間の限定第三者の立会い,事後の通知等様々なものが考えられるところ,捜査の実効性にも配慮しつつどのような手段を選択するかは,刑訴法197条1項ただし書の趣旨に照らし,第一次的には立法府に委ねられていると解される。」
最高裁の判断は令状なしの装着が違法・・手続不備と言うだけのことですが、これによれば、手続さえ践めばあるいは立法さえ出来ればGPS利用の捜査自体が許されている・・拷問のように何が何でも禁止しなければならない捜査手法ではないことを前提にしています。
手続不備の違法を理由に無罪にして来た判例・・違法収集証拠排除の法理も元はと言えば、政策目的・拷問根絶と言う高度な人権保護思想が背景にあるのですから、どんな軽い違法でもあれば無罪にすると言う法理として形式的適用をするのは(私見によれば)間違いです。
国家が違法行為をして良いのかと言う理論付けも有りますが、矢張り程度問題でしょう。
最高裁はこの点具体的な侵害の有無に触れずに「個人のプライバシーを侵害し得るものであり・・」と侵害可能性を認定するだけで続いて憲法35条の令状主義の精神に反しているので違法=証拠採用出来ないと結論を出しています。
この点では原審・・高裁判断の方が、違法性の程度も検討している点で合理的な感じがします。
(最高裁は高裁が余計な利益衡量をしていると言う立場ですが・・)
最判は法律実務家らしい具体的議論をすべきなのに、これをしないであちこちで粗雑な論理を展開して(憲法論に疎い素人の意見ですのでご容赦下さい)立法論に放り投げてしまった印象です。
(憲法論に素人の私のレベルでは)ワケの分らないプライバシー保護の理念の強調から折角証拠のそろっている犯罪者を無罪にしなければならないほど優先する人権か・・違法性がそんなに高いかの丁寧な議論が必須と思われます。
「立法的措置・・が望ましい」と書いていてそれなりに行き届いた判決のように見えますが・・。
しかし、上記判決文のとおり「侵害しうる」と言うだけで具体的侵害の認定もしないままで、憲法に明文のない「プライバシー侵害があり得る」d家得35条該当・令状主義を持ち出して・令状がないから違法な捜査であると言うだけで違法の程度を詰めないで証拠不採用にしてしまう・もしかして無罪になるのか?の疑問です。
遠くのビルから望遠カメラで室内の様子を探っていたら偶然殺人行為や違法行為を撮影した場合、遠くの高層ビルからの無断撮影はプライバシー侵害の可能性があるが、望遠鏡で覗いても良いとする法がないから違法・無罪にすべきだとなるのでしょうか。
民間人が趣味で覗いていたならば証拠になるが、捜査目的=35条違反・ダメと言う論理が分り難いのです。
内密にやるのと権力による強制的住居への押し入りその他の侵害とは本質的に違う・・違法性が緩い・・その点について緻密な議論が必要だったように思われます。
こっそり盗むのと強制的に金をとるのと犯情が明らかに違うでしょう。
憲法で令状を要求されているの文言カラ明らかなように実力で制圧して行なう「強制」捜査です・・これをはっきり言えば断るに決まっているから強制だと言うのは言葉のすり替えです。
刑法レベルで見れば(住居侵入を伴わない)入浴中の浴室などを覗き見るなどは、軽犯罪法違反程度ですが・・これもはっきり見せろと言えば断る決まっているから強制して女性の裸体を見たのと犯情が同じと言うのでしょうか?
最判は「そのような捜査手法を許容する法がない以上証拠に出来ない」と言う趣旨ですから、GPSによる捜査を認める必要があるならば民意に基づいて立法すれば良い筈・「立法化していない以上は、その間はGPS装着によってえた証拠は証拠として採用出来なくても仕方がない」と言うと一見罪刑法定主義の応用みたいな印象を与えます。
処罰するには予め法で開示しておく・・罪刑法定主義ですが、捜査方法は社会の進歩に従った日進月歩の必要性があるものですから予め捜査方法を法で決めた方法による捜査しか許さない・決めていない方法による捜査は違法となる性質のものではありません。
従ってそもそも前もって法で許可する方法に捜査を限定する性質のものではありません。
罪刑法定主義とは根本が違う・手続を犯罪行為前に決めておかねばならないものではありません。
特に本件では何かの法に反することを積極的にしたのかと言うと最高裁の事件は「プライバシーを侵害しうる」と言うだけですから、多分住居侵入のような具体的違法行為を認定出来なかったように推定されます。

指標操作2と国際信用破壊(片面的ルール適用)

専制支配社会・・中国では相手が自分より強いか弱いかの基準しかなく正義・道徳の規準がないクニですから、対日国内宣伝拡大のみならず、国内言論統制の延長で周辺国が弱いとなれば属国扱いして専制支配を広げようと始めているのが、この4〜5年の中国の態度です。
ところが、中国政府のやり過ぎがあれば、今の国民は一応国外に逃げられるし周辺諸外国も古代社会のように中国だけを相手にする必要がありません。
対中貿易が25%も占めている韓国でさえも、今回の激しい嫌がらせを受けてさすがに古代からの属国気分が薄らいで来たようです。
反日暴動以来「投資先をアジア諸国に分散している日本に習うべし」という論調が広がり早速ベトナム等へ投資先の変更を始めています。
先進諸外国は閉鎖されていた中国が解放すれば、どの程度まで生産性が上がるかを楽しみにして・・将来性を買って投資していたのですが、習近平氏が「中華の栄光復活」を掲げることに象徴されるように近代化に進めるよりは古代社会意識の復活・・折角近代化の入り口に入った途端に生産性向上よりは思想統制が主目的に先祖帰りするのでは、将来性が限定されます。
次々と中国に煮え湯を飲まされるようなクニが増えて来ると、対中国投資は減る一方でしょう。
中国にとっては十分先進技術を取り込んだので後は追い出したいと言うことでしょうが、改革開放政策は先進技術を取り入れるための目くらまし・・韜晦戦術でしかなかったことが分って来ました。
近代社会・・市場経済は商品情報・・財務諸表その他の情報の透明化を前提にしていますので、古代同様の思想・情報統制・・虚偽情報(偽ブランド)であればあるほど権力の威信が高まる自己満足社会を前提にした社会と整合しません。
虚偽を強制出来ることに喜びを感じる社会・・商品性能や産地・数量の虚偽表示を羞じるどころか、これを押し付ける力があることを自慢するような社会では、市場価格と言っても裏で価格統制・操作があっては、(自由な)市場と言う名に値しません。
この矛盾を表しているのが、中国が強弁するところの「社会主義的市場経済」と言うまやかしです。
社会主義市場経済に関する4月2日現在のウイキペデイアの記事からです。
「・・社会主義市場経済として、同年秋の第14回中国共産党党大会に報告された後、1993年に中華人民共和国憲法を改憲した際に盛り込まれ、中国の経済政策における基本方針と位置づけられた。政治的には社会主義、経済的には市場経済」という建前を示すものであるとされる。政治的には一党独裁を堅持しつつ、経済的には市場原理を導入する、という方針は現在に至るまで続いている」
1党独裁=思想の自由がない=思想統制=情報統制=情報は正しくないと言う図式になることについて昨日書いたところです。
正しくない・加工された情報を前提に市場を開いても「市場の声が正しい」ことにはなりません。
思想統制政治は新興国のキャッチアップ中の移行期間として一定期間仕方がないとして、一定の経済発展に応じて徐々に思想統制を緩めて行くことを世界が期待していたのですが、習近平政権になって逆回転が始まりました。
自国民だけの締め付けならばまだしも、外資に対しても恣意的規制をするようなると(グーグルはこの要求を拒否して撤退しました)これではトランプ氏の主張するとおり、世界の自由市場を自国に都合良く利用しながら、相手には自国に対する資本進出や言論の自由等の自由を認めない・・これでは公平なゲームになりません。
小義で言えば相手の持ちコマを開示させて自分の持ちコマを開示しない・一方的ルールを強制しているのが中国です。
中国訪問中の日本人もときどき拘束されて行方不明・・大分経ってからスパイ容疑で拘束中と明らかになることが多くなりました。
自分だけいくら反則しても良いようなやり方・・以前テロの原理を書いたことがありますが、テロリストは体制のちょっとしたミスでも大げさにマスコミを通じて突つき回す・それでいて自分たちは何のルールも守らないでテロを実行するのですから、マトモな勝負にならないやり方です。
中国の権力者は自分はルールなきやり方・・汚職でも何でもやり放題・・国民に対して気に入らない者には汚職等での罪名で好きなように検挙する一方的な関係ですが、これを諸外国にも片面的に押し付けているのです。
相手国の内外平等政策や人権主義を利用しながら、自国ではルールなき外資規制するこの身勝手さにトランプ氏が怒り出したのは当然です。
ところで、最近令状なしにGPSを内密につけていたのは違法とする最高裁判決が出たと報道されていましたが・・。
窃盗集団は自分が違法行為をしていることを棚に上げて、捜査の手法がちょっとでも許されないとその違法を強調して自分の犯した犯罪を免れようとするのは中国のやり方に似ていてどこか変です。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/16/news074.html「GPS捜査、令状なしは違法」最高裁判決全文Web公開
「判決では、GPS捜査は「個人のプライバシーを侵害し得る」と指摘し、令状なしだと違法との初判断を示した。ただ、現行法の令状で対応することには「疑義がある」とし、今後GPS捜査を行う場合は「立法的な措置が講じられることが望ましい」としている。」
ニュースでは令状なしの装着は違法と言う見出しですが、最高裁判決を読むとソモソモ令状発布自体が簡単に出せない筈と言う意見も書いていますから、事実上GPS利用捜査は全面的にダメと言わんばかりです。
結果的にGPS装着違法の有無で有罪無罪が決まると言う弁護側の主張はその他有罪証拠がそろっていても無罪にしろと主張しているように見えます。
民主国家においては人権保障の必要性も分りますが、実際にどのような人権が「具体的に」侵害されたのかよく分りません。
何か政府施策に反対するための意見では常に出て来る概念ですが、防犯カメラ反対その他プライバシー権の具体的内容がよく分りません・・要は何かと秘密にしたい権利ですが、犯罪組織の行動把握がどう言うプライバシイを侵害したと言うのかが判決分にも出て来ません。
アメリカで発達した違法収集証拠排除の理論はそれなりに意味がありました。
例えば拷問によって泥を吐いた結果犯罪の証拠が発見出来た場合など、いくら結果が正しくともそれを証拠採用していると拷問がなくならないので、拷問廃絶の政策的配慮のために、結果が正しいかどうかに関わらず違法収集だから証拠に出来ないと言うルールが発達したのはそれなりの歴史的意味があります。
例えば女性や黒人の地位向上を自然の動きに待っているといつまでたっても平等化を実現出来るか不明のために、いろんな分野で社会的弱者優先のクオーター制が発達したのですが、何十年後に実質対等化が実現した場合・・喩えば、黒人と言うだけで優遇するのは逆差別になるでしょう。
このように判例法理も一定の必要があって生まれたものであって、どのように軽微な違法であっても違法である限り証拠に出来ないと言うのは行き過ぎのような感じがします。

中国の指標操作と思想統制は表裏一体1

ある指標がCDP発表と合わないことが問題になるとすぐこれをいじる・・次々と指標をいじって行くと・噓の上塗りと言いますが・・何かやればやるほど中国の経済状態は混沌・ワケの分らないクニと言う評価が定着するだけです。
中国の政策は政府発表に合わない不都合な指標があると指摘される都度指標操作の連続ですが、中国政府の指標操作目的は不都合な経済状態が分ると外資が入って来ない、あるいは威信に傷がつくことにあるとすれば、次から次へと指標をいじって本当にワケが分らなくするのに成功すると投資する方から見ると危な過ぎるクニとなって外資が逃げてしまう大局観がないことです。
それでも国内的には言論統制が聞いているので、事実に合わせてGDPを小さく修正すると格好がつかないし、(国民が政府発表を信用していなくとも)修正しなければ威信が保てるから虚偽を事実と強弁する方を選んでいるのでしょう。
この辺は北朝鮮等専制支配国共通の政治原理・・歴史に反した虚偽でも無視して反日国民教育するなど(虚偽と知っている人がいても構わない・大っぴらに言えない限り多くの大衆を誤摩化せるメリットがあります)共通です。
自己主張を通すためにフィリッピンのバナナ輸入を妨害したり韓国に嫌がらせする・・その一つ1つが仮に成功しても、却って「何をするか分らないクニ」と言うマイナス効果よりも国内的威信を保つ方が優先です。
張り子のトラならぬ張り子の空母まがいのものを作って周辺国相手にデモンストレーションして、周辺国に警戒心を起こすマイナスを気にしないで悦に入っているのも同様の価値観によると思われます。
いつも書きますが中国地域で歴代王朝が一旦支配権を握ればどんな残虐なことをしても・何をしても良い専制支配が成り立っていたのは、その地域全体を包括支配出来た地理的条件によります。
難民とは着の身着のままが原則・・屈強な男だけではなく足腰の弱い一族を連れて逃げるとなれば・・食糧を持って出ても数日〜1週間間分が限界ですから、その気で受入れてくれる当てがないと国外逃亡は不可能です。
何らのあてもなく西に逃げるには何千kの砂漠を越えて行かねばならない・・南・・チベット族はヒマラヤを越えねばならない・ダライラマは逃げましたが・・・・東は海・・その先に日本があるにしても古代には遠過ぎます。
北はシベリアですから逃げる先として向いていません。
(今でも西欧への難民を見ても分るように難民送り出しのブローカーに頼まないと個人でイキナリ船を漕ぎ出し歩き出すのは無理でしょう・・まして権力からの逃亡となれば中心部から国境近くに行くまでに捕まってしまうのが普通です。)
古代から何千年も地理的にほぼ・・閉鎖社会であったからですが、こう言う社会では権力に逆らえばどんなに酷い目に遭うかの刷り込みこそが、効率的な支配道具と信じられて来ました。
ルールを作ると権力者も縛られるのに対して、ルールなき専制支配だと専制=気分次第の恣意的政治ですから、一旦優位に立つと下位の者をいつもびくびくさせておける・・ピラミッド型官僚機構の上位者の権力欲が満足させられる点で配下の高官〜次官も順位地位相応のメリット(賄賂をとれる構造)があります。
中国・朝鮮民族では日本の武士団や西洋のような周辺独立国・・対等関係の存在を歴史上経験したことがありません。
世界が開かれた時代に入っている現在でも古代からの中国・朝鮮地域だけの流儀・相手が逃げられない前提で未だに専制的強要・・恐怖支配が成り立つと信じ込んでいる・身体にしみ込んだ体質でしょう。
簡単に逃げられない国民相手に膨大なエネルギーを使ってネット空間でさえ大量のアルバイトを雇って政府に不都合な書き込みがあると直ぐに抹消する体制を構築して・・統制しているのはその延長です。
4月2日現在のウイキペデイアの記事からです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E6%A4%9C%E9%96%B2「政府は、インスタントメッセージングサービス、チャット、テキストメッセージを使った反日、反汚職、反不正に関する意見を抑圧しようとしている。インターネットポリスは30,000人以上だと見積もられており[3]、インターネットフォーラムやブログ、Sohu(捜狐)やSina.com(新浪)といったポータルサイトにおいて、政府や政治家に不都合な批判が現れると、通常は数分で削除する。
中国のインターネット抑圧の装置は他の国よりも大規模で高度であると考えられている。政府はウェブサイトへのアクセスを妨げるだけでなく、個人のインターネットアクセスも監視する。」
思想強制は国内に留まりません。
習近平政権になってからはアメリカに逃げた政敵をどこまでも追いつめて拉致するようなことをドンドンやっていることについて、アメリカが主権侵害と怒っていると言われますし、つい最近では北朝鮮が遂にマレーシアで金正男の殺害に成功しています。
日本では韓国が金大中を拉致して韓国へ連れ去ったことが有名です。
最近では政府批判する香港の有名人がしょっ中行方不明になることが知られています。
アメリカやタイその他諸外国からでも政敵を捜し出しては拉致し続けている中国にとっては、1国2制度の約束があるとは言え支配下にある香港から拉致することなど何とも思っていないでしょう。
今では海外逃亡が簡単ですが、それでも飽くまで追及するDNAは中朝両民族にとっては健在です。
以上のように政府は国民に対する情報統制に躍起ですが、今は国民が年間何千万と国外へ出入りしている時代ですが、日々の情報さえ遮断すれば大丈夫と言う思想でしょうか?
中朝にとっては国民が噓の情報を信じているかなどは問題ではない・権力が噓でもどんな残虐なことでも強制出来ることに醍醐味を感じるのでしょう。
この辺は、秦の趙高が周囲に対して自己の権勢を確認するために馬を鹿と強制して言わせた故事(バカの語源)が有名です。
日本人から見れば子供染みた自己顕示欲ですが、シロを黒と敢えて言わせる・・強制される方が噓を言ったり人道に反することをしたくないと思っていればいるほど、却ってそれを強制出来る自分の威力を確認出来る快感がたまらない民族のようです。
噓のデータを国民が知っても、「噓だと言わせないこと」が権力の強さの証明・・満足感となるので、外国から指摘されて国民が知っていても政府は困りません。
この情報化時代に厳しい統制が機能している不思議の理由がここにあります。
国民も政府の噓を百も承知・知っていてもそれはそれとして気にしない・・検挙されないように公言しなければ良いのでしょう・・「下に政策あり」の国民性です。
韓国の歴史捏造を「マ、そう言うクニだから」と日本が放っておいたら、「相手が弱いから何も言えないのだ」と誤解したのか?さらに国際展開するようになったので放置出来なくなって慰安婦騒動に発展したものですが、中国も韓国のように良い気になって南京事件の捏造宣伝を国内宣伝に留まらず国際展開し始めました。(ユネスコでのこ世界遺産登録実現がその一歩です)
日本が「大人げないと黙認していると弱いから何も言えないのだ」誤解する体質ですから譲ればいくらでも踏み込んで来ると理解しておくしかありません。
尖閣諸島問題も民主党政権が大人げないと思ったのか?体当たりして来た犯罪者・船長を釈放してやったら日本は弱いと思ったらしく余計踏み込んで来たのと同じです。
中韓相手には、一々苦情を言うのは大人げないと大人の対応をすると、相手が弱いと誤解するしか能がない民族性ですから、断固拒否する姿勢が必要でしょう。
オバマ大統領の自制は中国には弱腰としか理解出来なかったのです。

金融駆け引きと為替相場

資本規制を厳しくする一方では、結果的に人民元の外為市場が成り立たなくなる・・自分で仲間外れにして貰っているよう・・国際取引が出来なくなって行きます。
日経新聞は大手メデイアらしく・・「代金の送金を禁止していない」と言う中国政府の言い分を乗せていますが、このニュースですぐにアサヒホールデングスに払ったかも知れませんが・・。
アメリカ金利上げ発表が今年の3月15日ですからまだ二週間あまりしかたっていませんが、米利上げは昨年末から織り込み済みとは言え、中国がこの金利差にどの程度持ちこたえられるかが世界の大関心事でしょう。
中国は景気下支えのために14〜15〜16年と金利を徐々に下げて来たことをこのあとで紹介しますが、米利上げがあると金利差が縮まり過ぎる→人民元下落圧力が増すので、これ以上下げるどころか上げるしかなくなります。
人民元下落を防止するには負けずに金利を上げるしかありませんが、そうなると政府主導の不動産バブルその他に急ブレーキがかかってしまいます。
とは言え仕方がないので昨年末から、年明け予定の米利上げ影響緩和のために年末から国内金利に直接関係のない香港オフショア市場で短期金利操作をして人民元投機売りを防ぎながら、国内景気対策上過剰なマネーサプライを少ししか減らさない政策を採用している様子です。
 http://seisakukinri.nekokuro.jp/543の引用です
中国の政策金利の推移(2010年~2019年)です。(10月分までしかデータがありません)
 1月  2月  3月  4月   5月   6月  7月   8月   9月   10月  11月  12月
2016年
4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35
2015年
5.6  5.6  5.35  5.35  5.1  4.85  4.85  4.6 4  4.6 4 4.35  4.35  4.35
2014年  6   6   6   6   6    6     6    6    6    6   5.6
上記のとおり14年には原則6%の金利でしたが、不景気進行に応じて15年からは5%台に下げ16年には4%台に下げていました。
ところが今年に入って様変わりです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL16HPT_W6A211C1000000/
中国にも「利上げ」の予感 進む人民元安、短期金利は急上昇           2016/12/17 0:05 日本経済新聞 電子版
NQN香港=大谷篤】米国が1年ぶりに利上げを決めたが、もう一方の経済大国、中国でも「利上げ」の雰囲気が漂い始めている。物価は上昇し、国債利回りはうなぎ登り。短期金融市場では資金逼迫の心配さえ出てきた。
 中国の金融市場では人民元安と債券安が続き、短期金利の上昇が止まらない。オンショア(中国本土)の人民元の対ドル相場は1ドル=6.94元台と8年7カ月ぶりの水準に下落。秋ごろまで過去最低の2.6%台に…」
今年1月のニュースでは以下のとおりです。
http://jp.wsj.com/articles/SB108523985882373536098045825828313247289662017 年 1 月 27 日 10:48 JST 更新
 中国人民銀行(中央銀行)が24日に金融機関に対する主要貸出金利を引き上げたことを受け、中国の国債利回りが急伸している。
 指標となる10年物国債利回りは25日、前日の3.296%から3.336%に上昇し、12月半ばにつけた直近の高水準である3.387%に近づいた。」
上記のとおり昨年末から1月に掛けて中国の金利が上昇局面に入っている様子が出ています。
それどころか以下のとおり香港オフショア市場では当局の意図的操作?によって短期金利が急騰しました。
年1回の外貨両替枠更新が1月にあるので、昨年末の外貨準備減少を見て「年間両替枠を年初に使い切ってしまおう」としてドル買いが殺到する懸念があったので、その出ばなをくじく奇襲作戦のように見えます。
以下は http://blogos.com/article/204865の意見です
 久保田博幸  2017年01月07日 11:28
中国の短期金利が一時100%となった原因
介入を行うと外貨準備が減少するが、外貨準備の減少は元安要因ともなりかねない。このため、中国政府は年が変わってから介入ではない手段を講じてきたようである。それは短期金利の操作で、いわゆる短期金利の高め誘導を行ってきた。
 比較的、元を自由売買できる香港短期金融市場で、オフショア人民元の流動性をひっ迫させ、香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物が前日の16.9%から38.3%へと約1年ぶりの水準に上昇し、午後には100%を超える取引も成立したようである。ちなみに昨年1月にも香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったことでHIBORが急騰し、翌日物HIBORは12日には60%台に急上昇するという場面もあった。
今回は外国為替市場での大規模な元買いドル売り介入は見送られているようで、中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったための短期金利の急騰とされる(日経電子版の記事より一部引用)。年が変わると年間外貨両替枠が更新されて、中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていたことへの対処でもあったとみられる。 HIBORの上昇をみて、ヘッジファンドなど元を売っていた投機筋などが、コストの増加を嫌気して外為市場では元の買い戻しの動きを強めることとなった。人民元が急反発し、その余波で上昇し続けていたBitcoinが急落するなどした。
 ただし、インターバンク市場の流動性ひっ迫は、銀行に深刻な影響を与えかねない。企業や市場などにも影響を与えることで、昨年のような景気減速そのものへの警戒が強まることもありうる。さすがに昨年の二の舞はないと思われるものの、当面の中国人民元の行方も注意する必要がありそうである。」
上記のように(国内市場に直結しない)オフショア市場の資金供給をイキナリ絞ることで、短期金利急上昇(100%?)を演出して外国人短期投資家に金利負担をさせて売りポジション解消に成功した様子で・・一種の綱渡りです。
その他政府・人民銀行自身がデリバテイヴ取引に参加して人民元を高値誘導している様子もあるようですが、先物は安くなっているからこの先どうなるか?と言う意見もあります。
中国はアメリカ留学経験者を動員して高度技術駆使しているようですが、サイバーテロ等は技術だけアレバ出来る・社会経験や政治能力不要でしょうが、市場対策は金融工学どおりに行くわけがない・・市場との対話能力不足が1昨年夏の株暴落や昨年1月初めのサーキットブレーカー作動による大失敗等々です。
ゾンビ企業への追い貸しの結果中国の民間債務が巨額にのぼっている・GDPの伸び率を大幅に超える貸付金の増加が追い貸し分に当たると言う・・ことが従来論じられていましたが、国際批判を気にしたのか?今朝の日経新聞6pではこの多くを株式化したので4代銀行の不良債権比率が急激に縮小していると書いています。
ゾンビ企業に対する不良債権を株式に書き換えてもそんな企業の株式は価値がない筈ですから本来意味がないのですが、この裏には中国の特殊性があります。
1昨年の株式暴落以降株式市場は大口売買が禁止されたままと思われます・・その後報道がないのでどうなったかな?貸し付け債権の増減はデータ次第ですので国際的に注目されて来たのですが、株式相場ならばいくらでもサジ加減出来ると言う社会主義市場経済の妙味?を発揮出来るからでしょう。
実体経済と乖離した小手先の技術で誤摩化せるのは一時的ですから、次々といじるしかないでしょう。
留学帰りの秀才が活躍出来ることは間違いないですが・・。

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