中国は成長停滞に直面しても赤字企業倒産・失業増大を避けるために3月23日に書いたとおり労賃と生産を下げらないので、原材料費+管理費+労賃+利潤=販売価格の内、資本還元の抑制(外資新規投資抑制作用・資本流出)・金融費用と利潤を犠牲にしたダンピング輸出・国内製造継続を選択して来ました。
体力任せのダンピング輸出継続は、世界経済破壊の大きなマイナス作用を及ぼすので世界不満の限界が迫るし、国内企業も疲弊し、その穴埋めの輸血・金融追加(追い貸し)による赤字製造輸出は原資となる外貨準備流用の限界が迫って来ます。
輸出が困難になると外需から内需に転換するしかないのは経済の原則ですが、賃金上げの結果による輸出不振である以上・・購買力も相応についている筈ですので内需拡大に方向転換するしかないのは言わば順当な政策変更です。
人件費上昇分相応の国内消費力がついていたので、これを内需に向けて税収を上げようと言うのも説明としては一理あります。
地力がついて来たので、連動して商店・新商品等が発達するならば順当ですが、政治主導で内需景気を盛り上げようとすると着実な需要が追いつかない無理が出てバブル化するのが普通です。
庶民が巨額宝くじに当たると量を食べたり量を買うしかないのと同じで、シックな高級品を愛でる能力に達するには数世代以上かかる・・精々海外に出掛けて爆買いから始めるしかないのが普通です。
中国ではリーマンショック以降無理な内需投資・・客もないのに高速列車をドンドン作るなどの無益な公共工事が知られていますが、民間ではマンション投機など実需と関係のない投機の過熱・バブルが起こっています。
この結果ここ数年では中国では、負債のGDP比が跳ね上がる一方になっています。
http://www.thutmosev.com/archives/62816023.html
2016年07月04日17:00
中国が金持ちなのは、借金で浪費しているから
引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/01/23dcdfc0b0626d898c05b15014589251.jpg
以下はhttp://www.thutmosev.com/archives/59975279.htmlの引用です。
2016年05月14日11:31
「イギリスの経済誌エコノミストによると、2008年以降中国の債務はGDPの2倍のペースで増え続けています。
それも中国国家統計局が発表しているGDPが正しい場合で、残念だが正しい可能性はゼロです。
最大限好意的に考えて本当の成長率は3分の2で、悪ければゼロ以下なので、債務伸び率はGDP伸び率の3倍か10倍に達している。」
以下は銀行系報道です。
http://www.smtb.jp/others/report/economy/52_2.pdf
三井住友信託銀行 調査月報 2016年 8月号
経済の動き ~ 中国を中心に高まる新興国民間債務リスク
要旨
新興国では近年、企業債務を中心に民間債務のGDP比が顕著に上昇している。
特に懸念すべきは中国である。同国の民間債務対GDP比は2015年末時点で210%に達
し、かつ上昇の勢いも増している。その他、アジアの高・中所得国も増勢が著しい。
新興国の企業部門は、2020年末までに2.4兆ドル規模の債務償還に直面する。
その一方で、不良債権拡大懸念などを背景に、銀行部門の貸出態度は厳しさを強めつつあることから、新興国では中期的に企業部門の債務借り換えリスクの上昇が警戒される。」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/economics/express_economy/pdf/R422-0055-XF-0105.pdf
– 1 -2016年4月19日みずほ銀行(中国)有限公司中国業務部
2 トピックス~民間債務のGDP比急上昇も、政府債務の低さで対応可能
・民間債務のGDP比は205%に拡大・欧米日に比べて低い政府部門の債務比率」
昨年までのデータしか出て来ませんが、今では280%くらいになっているとどこかで読んだようなウロ覚えの記憶があります。
政府部門比率が低かったのは(経済対策も公害対策も福祉何もしなかった・人件費に使っていただけ?)過去のことで、この比率が急上昇しています。
これが一定限度まで上がるとどうなるかです。
以下はhttp://ecodb.net/country/CN/imf_ggxwd.htmlからのデータです。
000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
22.81 24.38 25.71 26.57 26.17 26.10 25.38 29.04 27.00 34.35
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
33.74 33.64 34.27 37.00 39.92 42.61 46.23 49.31
単位: %
※数値はIMFによる2017年4月時点の推計
上記によると2000年には22%台だったのが、リーマンショック以降急激に上昇し続けて17年予測は49%超になっています。
この勢いはこれからドンドンと加速度がつくしかないでしょう。
4月25日の報道では(朝日新聞報道を引用シテ)今年の1〜3月の3ヶ月間だけで、22年ぶりに中国財政赤字2兆5000億円突破の発表がネットで議論されています。
ところで、財政赤字論はコップの中の嵐・その社会全体で対外債務がどれだけあるかが重要であって、特定部門だけ取り出して赤字か否かの議論は意味がないと書いて来ましたが、対外純債権債務の程度や外貨準備を無視して政府部門だけ黒字維持してもどうにもなりません。
政府対国民2項対立社会しか知らない前提の中国では、IMF・日本財務官僚同様に、政府赤字は怖いが政府さえ黒字なら何でも出来ると思って来たようですが、対外純資産が問題と気が付いたのでしょう。