新興国の限界(民度)4

中国は虎の子の外貨準備がなくなるまで景気下支え・失業増大防止のためにゾンビ企業へ追い貸しを続けているのは、人民を大切にすると言うよりは、目先の利益・お金で釣るしかないからです。
(お金はイザと言うときに使うためにあるモノですから・喩えば、治る見込みのない父母に医療費をつぎ込むのも子供の勝手・・それ自体良いことです・ゾンビ企業の延命策も似たようなものでしょう。)
「中国の場合政権正統性がないから、経済原理に反することをするのだ」と頻りにいろんな評論家が批判しますが、そうとは限りません。
IMF官僚の言うとおりにしてうまく行ったためしがない・・ギリシャ等南欧諸国が抵抗するのが正しいと言う意見もあるでしょう。
日本でも不景気が来ると倒産・失業を減らすために・・中小企業向け信用保証枠拡大して延命を助けるのが普通です。
ちょっと不景気が来ると行き詰まるような企業は、元々企業体質が業界最低レベルが普通ですから、4〜5年後に返済期限が来てもやはり返せない・・結局倒産するのが多いようですが、好景気になって人手で不足で困っている頃に倒産してくれた方が社会的に好都合です。
雇用助成金を配布して社内失業温存を進めるなどの緩和政策をし、あるいは商品券をバラまいたり(財政赤字に関係なく)財政出動をしたがるのと中国の四苦八苦とは本質的な差がありません。
むしろ専制君主制・・1党独裁の中国の方が、景気の直撃を受けない性質を持っています。
元々専制君主制王朝〜共産党政権の正統性は、前王朝末期の混乱・リーグ戦を制した・・政敵を倒して勝ち残った・・最強事実の証明だけで足りたのであって、財政運営能力の巧拙で政権を獲得したわけではありません。
最強事実・専制支配とは権力に刃向かえばどのような不利益があるかも知れないと言う恐怖政治?力が本質で、この力さえ示せれば充分ですから、本来に戻って習近平政権は汚職に名を借りた粛清にこれ努めているのです。
中国の場合、政権正統性の基本が最強権力・恐怖政治を出来るかどうか=治安維持が必須ですから、王朝末期に反乱続発で容易に鎮められなくなると権威・処罰力が落ちて足下を見られて大混乱になります。
中国歴代王朝末期の大混乱は、反乱続発・治安悪化・・野盗集団の略奪が起きる→善良な農民が蓄えをなくす・食えなくなって農民の流民化が起きる・・ある程度食糧を持って出たとしても当てにするほどの行く先がある訳がないので食糧がその内に尽きるし、こう言う場合には治安が悪いので途中野盗に襲われ身内を殺され着の身着のままになる可能性が大です。
いろいろな結果、流民化が始まるとこの1〜2ヶ月マトモに食べていない・・家族も死に絶えて後4〜5日もすれば飢え死にするしかないような極限状態化に陥った人間がゴロゴロいるようになると、何でも出来る・・「政権に睨まれると怖い」と言う恐怖政治の威力がこのときに消えてなくなる・・目先食わせてくれれば、それが野盗集団であれ何であれ身を投じるのが分り易い原理で、これが拡大再生産過程に入ると収拾がつかなくなります。
歴代王朝末期の大混乱再来を期待するネット意見が多く出ていますが、歴史をある程度知っているかも知れませんが、現在を見ない意見に過ぎません。
今は命がけで反乱を起こすような人民はいません。
現在ではその前にボートピープルになって逃げる・・外国脱出が簡単ですから(シリア難民を見れば分るでしょう・・中国が苦しいときには蛇頭と言うブローカーを通じて大量密入国者が日本へ押し寄せていました)今日明日の命も分らないほどの事態になる前に逃げてしまいますし、際限ない略奪や殺戮が起きる前に国連なんとか軍が介入しますから、歴代王朝末期のような命知らずの暴動が起き難い・王朝末期型政権崩壊は想定できません。
http://forbesjapan.com/articles/detail/15173
「旅行業界の調査企業COTRI (China Outbound Tourism Research Institute)によると、2016年の中国人の海外旅行者数は1億3,680万人。前年比伸び率は2.7%と、低い数値になった。」
今ではボートピープルになる前に簡単に海外旅行だけではなく、留学や出張出来る時代ですから思想信条程度で命がけ抵抗するバカはいないでしょう。
シリア・イラクのIS戦士と言っても現地で絶望して戦士になっているのではなく、(現地人は続々と西欧への移民を目指していることは周知のとおりです)世界中から送り込まれるプロ?戦死です。
一定率の社会不適合者がどこにもいて従来孤立していたのが、ネットの発達で世界的にどこか居場所を探して団結する構図になって来たのがコトの本質でしょう。
上記のとおりで民意無視を徹底すれば現在の政権の方が、実は外国へ簡単に逃げられなかった近代以前よりも(民意無視の北朝鮮も含めて強権支配の方が、)政権基盤が強靭です。
元気のある順に不満分子が出て行くばかりになると、・・「批判意見を包摂出来ない社会は弱い」と言うPC的意見によれば、長期的には国民レベルが下がって行き国際競争力が低下する現実があるかも知れないと言うだけです。
(たまにはマトモな批判もあるが・・そう言う人はけんか腰でなく温和に自己主張する能力を持っている筈・・テロみたいなことをせずにいられないのは基本的に表現力、協調性がなく精神的におかしな人が多い・相手の意見を聞いてきちんと議論出来ない人と言う意見もあるでしょうから、そう言う人は企業その他の組織から自分で出て行ってくれた方が良いと言う逆の意見もあるでしょう)
政府国民の2項対立社会では、国家・社会の長期的命運よりは、政権維持の方が優先事項でしょう・・これをどこまでやれるか実験しているのが、北朝鮮でありシリアです。
恐怖政治=権力的計画経済ではどうにもならなくなって、自由主義経済=消費者主権=民意に従うようになると世界標準・民意を基準に運営するしかなくなる・・政権正統性の価値基準が変質してしまいます。
「経済活動を自由にしながら計画経済・・民意無視では一貫しないので、早晩民主化するしかないだろう」と言うのが中国の解放時に於ける自由主義社会大方の見通しでした。
国際競争を勝ち抜くためには自由な発想を大事にするしかない・・無視出来ない・・しかし政治意見表明の自由は与えない・・この無理・・天安門事件に象徴される民主化拒否を通すためには、国民に対する現世利益の大判振る舞いでアメを配るしかなかったことになります。
昨日の日経新聞4月26日朝刊8pでは、FT特約「大学に思想工作要求」の見出しで「腐敗監察だけはなく政治的規律」民主主義や西欧的価値観等の浸透も監察の対象になると出ています。
政権正統性がないと言うよりは、思想統制と経済活性化の矛盾糊塗のために経済界に対する大判振る舞いのおこぼれとしての民衆懐柔・・党幹部や官僚への応用篇・・官僚制に必要な給与支給の代わりに賄賂同様に、特権的地位保障や巨額賄賂横行黙認政治になってしまったのでした。
日本で言えば、政治家供給源を経済界の資産家に頼らない(・・昔の豪族でない)以上は、金権体質を防ぐには国費の支給体制・・政党交付金や歳費アップが必要と言うシステム整備問題と同じです。

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