航行の自由と日本の生命線  

ここ4〜5年の我が国自衛の大きなテーマは,中国による尖閣諸島侵略意図の明白化による沖縄周辺の自衛問題と中国が南シナ海に敷設している軍事基地=日本の通商路確保・・閉鎖阻止のために自衛隊がそこまで出掛けて行って守れない・・公海航行の自由を米軍に頼るしかない現実・・コソ議論の対象であったことが分ります。
米国はこの航路が閉鎖されても痛くも痒くもない・・この閉鎖に直接的利害を持つのは韓国台湾と日本だけです。
米国の南沙諸島周辺パトロールその他行為は、主として日本の頼みに応じてやっていることですし,日本自身憲法上直ぐに自衛官出動するは無理があるので、フィリッピンやベトナムに艦艇供与したり国際会議がある都度名指しせずに航行の自由に対する懸念の表明を求めるなどして間接的に航路維持のために必死に取り組んでいる最中です。
フィリッピンやベトナムは島と言えるかどうかの領土問題・漁業保障プラスアルファさえして貰えば損得なしですが,(フィリッピン大統領はすぐに飲みました)日本はここを封鎖されると死活問題・・漁業保障どころの話ではありません。
中国は個別交渉を望むのはそれぞれ個別撃破して行ける自信があるからです。
日本の場合,中国支配を認めて通行料を払うと次から徐々に要求が拡大されて行く・・・・高度技術移転その他どんな無茶でも要求されると従うしかない・要は中国の属国化を認めるのかの瀬戸際です。
個別交渉に最後まで応じられないのは、多分日本だけしょうから,(韓国は南シナ海問題では,全く同調しない・・オバマとの会談でも南シナ海問題を話題にすることすら応じなかったことが当時報道されていた記憶です・・裏で通行保障を得ているからでしょう)日本はこの通商路を実力で確保をするしかない立場ですが自力では憲法上の縛りがあってすぐに自衛隊が出て行けない・・今のところそのためには米軍に頼るしかないのが現実です。
そこで米軍が日本の要請に応じて出っ張ってくれている現状ですから、米軍の公海パトロール中に緊急事態が起きたときに日本が頼んでおいて「日本は知りませんとは言えません。
・・米軍の戦争に巻き込まれると言うより米軍が日本のために紛争に巻き込まれているのに日本が知らん顔出来るのかと言う方が正しい政治選択・・議論です。
このときに米軍救援に駆けつけたくないと言うのでは、アメリカは・南シナ海の通商路確保に動かなくなってしまうのが当たり前・・日本は通商路確保する気持ちがないと言う意思表示になってしまうでしょう。
昨年夏頃の集団自衛権騒動でマスコミが宣伝していたのは、60年安保の主要テーマ・・「非武装中立平和論を基礎にした・・米ソの戦争に巻き込まれるのがイヤだ」と言うテーマの焼き直し・・ソ連がなくなったので今度は(中国)「アメリカの戦争にどこまで協力するか」だったのですが、条約条文や国際情勢を見直してみると,安全保障に関するここ4〜5年のテーマは60年安保で決まっていた共同防衛の範囲を日本領土外に広げるべきかどうかこそが国家の命運を左右する大きなテーマであったことが分ります。
本来のテーマを隠して「集団自衛権」のテーマに集約してマスコミが騒いでいたのは,60年安保で大騒動に発展した成功体験の「夢よもう一度!」と言う仕掛けだった可能性があります。
そういう目で見れば,マスコミ・左翼系の発表では何の関係もないのに安倍総理が岸元総理の孫だからとか60年安保と比較する論調が多かった印象です。
ただ防衛概念は相対的なものですから,止めどなく拡張し相手領土を先制攻撃するのは危険なことは確かですが,公海上で自国商船が攻撃された場合に何も反撃出来ないかは別問題です。
60年安保当時はアメリカの軍事力は絶大で,日本の通商路の確保など問題になっていませんでしたが,今では中国が南沙諸島に軍事基地を置くようになると中東原油や東南アジアとの通商路が一瞬にして封鎖されるリスクが起きて来ました。
元々尖閣諸島の確保は通商路確保・切断リスクの問題であると言う意見を大分前に書いたことがあります。
中国はレア−スの禁輸では失敗しましたが,今度は通商路封鎖で日本の鼻を明かそうとする魂胆です。
ソマリア沖海賊退治のために国際的共同行為がされているように、公海の通商路を海賊であれクニであれ,妨害している場合これを掃討するのは「通商路自衛」のために国際的に許された自衛行為です。
昨年の騒動は,日本は平和国家としてどのような対処をすべきかコソをみんなで考えるべきであったことになりますが,マスコミはテーマ憲法論などにテーマを矮小化してまともな議論させない方向へ誘導していたように思われます。
重要なのは憲法違反かだけはなく,日本の安全確保のためにどこまでどうあるべきか・・その上で憲法がどうあるべきか・・民族維持のために不都合ならば改正するか?だったのですから議論の建て方が本末転倒です。
幕末・開国の必要性・・応じないとどうなるかどのようにして植民地化から免れるかの議論をすべきときに「祖法」である鎖国政策違反か否かばかり議論して政府の足を引っ張っていた尊王攘夷・倒幕派の立場と同じです。
集団自衛権絶対反対勢力の本音は「通商路確保のために中国とコトを構えるな」・・「日本は封鎖されても海外出兵出来ない」その結果「中国の言いなりになるしかない」・・追い求めて来た好機到来・・中国支配下に日本民族を追い込むための反対運動だったのでしょうか?
隙さえあれば日本の独立を奪い他民族の支配下に置きたいと狙っている勢力が日本人の中にいるとすれば不思議です。
Nov 13, 2016「民主主義2の基礎・信頼関係」〜Nov 22, 2016「民主主義の基礎10(産業構造の変化)」まで書いて来ましたが,民主主義・・話し合い解決社会になるには,お互いに郷土を愛する気持ちがないと成り立ちません。

新旧日米安保条約と日本の防衛3

トランプ氏は一方で基地経費発言していることからすると,世界での役割は別としてアジアに関しては,「基地経費負担するならばその地域の警察官をやっても良い」と言う意思表示に読めます。
完全にやめるのではなくコスト次第と言う一見自分勝手に見えるものの、商売人らしいしたたかな?分り易い計算がみえます。
いわゆる「雇い兵」ですが、日本政府の直接の雇い兵ではなく飽くまでアメリカに指揮権のある基地利用を条件とする「いいとこ取り」ですが、これを如何にしたたかに交渉して日本に取り込んで行くか・・米軍縮小に合わせた日本軍強化・の手腕が日本に問われています。
幕末ペリーの強引な手法に日本の上層部は驚きましたが,粗暴な人間は一見相手を驚かしますが時間の経過で粗暴な方が手玉でにとられるのが普通です。
商売人の腰が低いのは、長期的には腰の低い方に有利に働くことを知っているからです。
これを日頃から強引にやっているつもりが、「結果的にやられっぱなしになっている現状にストレスが溜まりカンシャクを起こしたのがアメリカのピープルでありこれの支持を受けているトランプ旋風である」と言う見立てで書いてきました。
今後の日米関係がどうあるべきかは,アメリカのプレゼンス縮小の移行期間に合わせて暗黙のうちに当然決まって行くことですから、(民進党は日本が困るのを期待しているのでしょうが実は)日本古代からの交渉実力から言ってそれほどの心配はありません。
日本にとってアメリカ軍の後ろ盾が控えていることが一定期間(この間に中国共産党政権が自壊して平和国家に変身してくれる期待もあります)重要でしょう。
トランプ氏も巨大な米軍設備・軍需産業・将兵をイキナリ本土防衛に必要なだけに縮小することは国内雇用問題だけとしても不可能ですし,まして国外にも既存の複雑な利害構築していた関係の整理がありますから、すぐには無茶を出来ません。
上記移行交渉には長期間を要することは間違いがありません。
多角交渉だと腕力による優位性が利かないのが面白くないので、今後はアメリカが強い立場を利用して一対一の2国間交渉を求めるのがトランプ氏の基本戦略のようですが,1対1の交渉でしかも粘り強い交渉になれば,日本の方が格段に交渉力が上です。
長期細かな交渉過程があれば、結果的に日本の立場を守れる・・徐々に米軍に引き上げてもらうのに比例して日本防衛力をアップして行く関係になることは、過去の交渉実績が示しています。
この関係が続いている限り中国は簡単に日本に手を出せないし,その間に日本の自衛力が強化されて行きます・・逆に時間をかければ,中国がつぶれそうな気配ですから時間が日本に味方するでしょう。
イギリスとEUの離脱交渉も複雑ですから,老かいなイギリスがどのような交渉能力を発揮するかの関心で,見物する方には面白い展開になるでしょう。
日本としてはトランプ氏を敵に回さずに(おだてながら)同氏がうまく政治を出来るように軟着陸させることに協力して行くしかありません。
今までも日本はアメリカの補完勢力として,陰日向なく協力して来た実績があるので、今後もアメリカの補完勢力に徹することが重要です。
トランプ氏の強引な手法では却って女房役の取りなしが必要になりますので,日本の役割が減じることがありません。
日本の国際役割・補完性機能に付いては2016/02/28/「覇道の限界と日本の補完性7」前後で連載中で途中になっていますが,動乱期にこそ再び脚光を浴びるべきでしょう。
16年2月に書いて来た補完機能は,アメリカは世界中でうまく行かなくなって来て日本の助けを必要としている現状を書いたものでした・・。
日本の助けを借りて漸く運営する・・オバマがあちこちでオタオタしているのに我慢出来なくなった国民がちゃぶ台返しをして「世界から引き上げろ」と言うヒステリーを起こしたのが今回大統領選「アメリカ第一」のスローガンの基礎です。
そうなると今後の日本のアメリカに対する補完機能の発露の方法を修正して行く必要がありますが,複雑になればなるほどうまくやれる能力の人が日本には一杯いますから心配はいりません。
話題が変わりますが,何千年も話し合いで解決して来た成熟した我が国で戦後イキナリ話し合い解決機能が何故なくなってしまったかの関心でこの数日60年安保条約騒動を例にして書いてきました。
サンフランシスコ平和条約が中ソ・共産系除外で成立した後遺症・・当時中ソの立場に固執する・・西側軍事力低下を最大目標とする中ソ系マスコミや外国資金で動く勢力は、日本の利益よりも中ソ系利益を優先する思想ですから、何を言っても受入れる余地がなかった・・話し合い解決の成立余地がなかったことに原因がありその後遺症を今に引きずっているのではないかと言う関心です。
数日前まで書いて来たようにこの延長上で60年安保騒動が起きたように見えます。
60年安保はサンフランすすこ平和条約による独立時に同時成立していた日本に極端に不利な条約の改訂・・日本に有利な改訂ですから、完全な対等条約を勝ち取るにはまだ無理があるにしても少しでも良くすることに反対する理由がなかった反対運動であったことを書いて来ました。
合理的理由があるとしたら米軍不利な改訂を阻止したい米軍スジの意向と,西側陣営に組み入れられている条約自体に反対するものであった・・西側陣営参加のサンフランシスコ平和条約反対運動・・要は日本独立を阻止したい勢力の蒸し返しでしょう。
アメリカ系の資金流入の有無は分りませんが(・・アメリカはソ連のようにまだつぶれていないにので・・)60年安保はソ連の資金と人的応援で行なわれていたことがソ連崩壊後分って来ました。
しかも昨年の集団自衛権論争は既に60年安保条約で(日本施政権内限定ですが)認められていたことが、12月2日に紹介した条文で分りました。
昨年マスコミ報道だけで,安保の条文をよく見ていませんでしたが,既存条文を見ると相互防衛義務負担が新たに生じるのではなく,共同防衛義務の範囲が広がることに対する反対だったのに集団自衛権ばかり(か分りませんが印象としては)氾濫していたように思えますが・・・。
たとえば、朝日の報道で見ると以下のとおりです。http://www.asahi.com/topics/word/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9.htmlからの記事です。
集団的自衛権(2015年05月12日 朝刊)
同盟国などが攻撃されたとき、自国への攻撃と見なし、反撃できる権利。国連憲章など国際法で認められている。日本の歴代内閣は「保有しているが、憲法9条との関係で行使できない」との解釈を示していたが、安倍内閣は昨年7月の閣議決定で、解釈を変更。(1)日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態(存立危機事態)(2)我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使——の新たな3要件を満たせば、集団的自衛権による武力行使を憲法上可能とした。
上記のとおり集団自衛権行使が憲法違反かどうかばかりが朝日新聞に限らず大規模報道されていましたし、昨日の日経新聞でも「安倍政権のこの一年の成果として「集団自衛権がどうの・・」と言う記事がでていす。
集団自衛権・・共同対処は既に60年安保に規定されていてこれが国会通過していたのですから,何故いまごろ再び大騒ぎし直したか疑問です。
ここ4〜5年来の国防上の大きなテーマは、60安保条約の限界・・日本施政権下範囲を日本施政権外に共同防衛行為をする範囲拡大が許されるか?だったことなります。

新旧日米安保条約と日本の防衛2

旧安保条約はポツダム宣言同様に一方的に押し付けたモノで,日本の権利・アメリカの義務が全くない・・条約とは言えない代物であった上に条約期限もない無期限条約でしたので,これをパーフェクトに対等でないまでもその当時の日本の国力相応に少しでも有利に改訂し,10年後に更に見直し可能な条約の盛り込んだのは日本にとって格段に有利な結果でした。
そうすると60年安保騒動が何故起きたのか?・・・政治活動には相応の到達目標がある筈ですから,どこの利益を図るための騒動だったのか,今になると不思議な現象でした。
新球場分を見比べると疑問の余地なく日本に利益になる改訂でしたが,ニッポン民族が有利になると困る勢力が運動を煽っていたとすれば,「パーフェクトでないと行けない」と言い張って結果的に交渉決裂を目指していたと解釈すれば合理的理解可能です。
日本独立に反対する勢力が西側陣営だけとの講和条約反対→独立反対を唱えていたのと同じ構図です。
今になって記録を見ると60年安保は当時のマスコミ報道とは全く違って,(私の独自解釈ですが・・)全面講和論で日本の独立に反対した勢力の蒸し返し運動と折角有利な条約を改定したくないアメリカの意を裏で受けた勢力の合作騒動だった印象です。
その頃のスローガンでは,(高校生の頃で良く覚えていませんが・・)日本が米ソ戦争に巻き込まれると言うだけの運動だった印象です。
3日に紹介したとおり日本が共同防衛義務を負うのは「日本施政権下」=国内の戦争に関してだけです。
ソ連(に限らず外国)が日本国内に攻め込んで来たときに守ってくれる米軍と一緒に戦うと言う米軍協力義務の明記すると、日本が米ソの戦争に巻き込まれるという主張は無理があり過ぎます。
これを誤摩化すために?マスコミは,日本に基地があると一緒に攻撃を受けるとか,米軍の展開する極東の範囲が問題だとしきり宣伝し社会党もこれを煽っていました。
しかし,上記のとおり改訂しなければ旧条約のママであり,旧条約締結(1951年9月八日のトキには米軍は駐留していて朝鮮戦争を戦っていましたし,極東と言う意味不明の地域で軍事活動していましたから,(無期限条約なので)改訂を拒否すれば旧条約がそのままですから,米軍がいなくなる訳ではありません・・。
ウイキペデイアによると以下のとおりです。
  朝鮮戦争(ちょうせんせんそう、1950年6月25日 – 1953年7月27日休戦)
旧条約は独立のとき1951年9月8日ですから,米軍は日本の基地から出撃を繰り返している最中でした。
マスコミ報道は反対論を煽るためのものばかりで,条約改訂によって危険になるものではない不安を煽っていたことが分ります。
旧条約締結時には問答無用的関係・・独立を認めてもらう弱い立場だったので日本がいろいろな注文をつけられなかったのに比べて新条約では,条約交渉プロセスの経緯が記録に残るので・・高官同士のやり取りから米軍の自由度が逆に狭まっただけのことです。
何故これに国民が憤激したのか意味不明ですが,ソ連の意を受けたマスコミの脚色報道が原因だったのではないでしょうか?
上記米ソ戦争に巻き込まれると言う宣伝も論理的でない主張の1つですが,でも激化に大きな影響を与えた樺美智子さんの死因に関しても以下のとおりであることが分って来ました。
http://yabusaka.moo.jp/60anpo.htmによる樺美智子さんの死因に関する報道と事実の違いは以下のとおりです。
※樺美智子の死因と報道・・・・樺美智子の遺体は慶応病院法医学教室で解剖され、「内臓器圧迫による出血のための急死。致命傷となる外傷はない」という結果が出た。ところが、解剖に立ち会った社会党参議院議員と代々木病院副院長は「扼殺の疑いが強い」と異なる発表をした。さらに社会党弾圧対策委員会は殺人罪で告発。「樺美智子さんは警棒で殴られたうえ、踏まれて死亡したのではないか」という報道も加勢した。しかし後日、東京地検は現場写真や参加者の証言などからその説を否定している。」
樺美智子さんの死は私も知っている程当時の国民に大ショックを与えただいショッキング報道でしたが,その原因は客観事実に反した社会党の発表や虚偽報道にる煽動行為に原因があったことが今になると分ります。
マスコミは客観事実さえ報道しないのですから,その他報道姿勢の偏り方が半端でなかったことが分ります。
その後の経過は以下のとおりです。
 17日、樺美智子の死に抗議した約7,000人が、再び国会前に集まった。
 新聞社7社は、「暴力を排し、議会政治を守れ」との「7社共同宣言」を発表。
 同じ日、国会では社会党・河上丈太郎代議士刺傷事件が起こる。
 18日午前11時、東京・日比谷で樺美智子を慎む全学連総決起大会開催。午後には東 大で合同慰霊祭が開催される。
 強行採決からちょうど1ヶ月後の19日午前0時、前夜からでも隊33万人が国会を取り 巻くなか、新安保条約が自然承認される。新条約は内乱鎮圧条約や、 第三国への軍事的便益提供禁止などは削除され、条約存続期間は10年とされた。
 23日午前10時20分、新安保条約は東京・白金の外相公邸で批准書の交換が行なわれ、すべての手続きを終えた。そして岸内閣は「人心一新「政局転換を理 由に、この政治的混乱の責任をとって総辞職を発表。
 7月14日に池田勇人が党総裁に選出され、19日に池田政権が発足。 
 そして7月の3つの県知事選では、社会党系候補は全敗、自民党系候補が当選した。自民党は11月の総選挙でも前回より9議席増やした。」
上記によれば、運動エネルギーに大きな影響を与えた樺美智子さんの死因についても社会党やマスコミは明白に虚偽発表・報道をして国民を誤った方向へ煽っていたことになります。
声なき声・・国民の多くは、マスコミの煽動に乗らずに事実をよく見ていたコトがその後の選挙結果・社会党の敗北)で分ります。
大規模デモ隊と言っても国民の0、1%にもなるかならないか程度が普通ですから,(デモ参加者が13万人でも一億数千万の人口比で、0,1%しかいません)感情を煽る一方の非論理的なマスコミ意見に成熟しない高校生や大学生等の若者中心に反応してしまっただけのことだったと見るべきでしょう。
マスコミは感情を煽るのではなく,中立の立場で客間的な経過説明をして国民の冷静な判断のチャンスを与えるべきでしょう。
この反対運動によって,条約改訂がもしも出来なかったならば、日本はアメリカ軍の占領支配を跳ね返すチャンスを失い半永久的に支配を受け続けるしかなかったことになります。
話題が飛びましたが,アメリカは元々日本防衛のために駐留していたものではない・・・今もアジア全域のために出動しているだけで日本防衛には寄与していません・・精々基地があるから・・おつきあい程度に防衛協力しましょうと言うだけです。
アメリカ自身に危険が及ぶような相手・・日本にとって最も危険な相手ですが・肝腎の防衛が必要になれば尻ゴミするに決まっている・・核の傘は実は大して当てにならないことは昔から誰でも知っていることです。
日本が独立を守るためには,いつかは自前の防衛力整備が必須であることを知っているからこそ,警察予備隊の時代からニッポン民族独立に反対の勢力・・反日勢力は必死になって防衛力強化に反対し妨害してきました。
アメリカも日本の防衛をしたくないものの日本軍事力が強化されるの防ぐために守ってやると言うしかなかった面もあるでしょう。
その意味では守る気もないのに日本の核武装を阻止して来た歴代政権より、「日本を守ってやらないから日本は自分で核武装すべきだ」と言うトランプ氏の方が正直です。
政治献金や講演料名目でマネーロンダリングしている?ヒラリー氏よりも、12月2日に米国企業キャリーを脅して?メキシコへの工場進出を中止させたことに関連して書きましたが,ズバリ企業やクニを脅して落とし前を取って行くことになりそうなトランプ氏の方が分り良い面があります。

新旧日米安保条約と日本の防衛1

岸政権の60年安保改訂交渉は、米軍の意思次第でいつでも軍が日本人を鎮圧出動出来る権利を認めた第一条削除を筆頭に占領軍としての米軍を(今もアメリカの支配下にあると言う実質は別として)法形式上全面否定した・・形式的にも日本独立後約10年経過でようやく軍事的独立を果たした大成果でした。
占領軍の本質を前提とした旧条約では,法律上も駐留軍は肝腎の日本防衛義務を全く負わない仕組みでした。
アメリカとしては日本を占領支配するだけで何の義務も負わなかった占領軍の本質が、独立前の竹島占領や北方領土占領を黙認した基礎に繋がっているのです・・。
昨日紹介した旧条約の条文によると共同防衛義務が全く記載されませんが,元々米軍は占領軍でしかないからアメリカとしては日本の独立を認める代わりに占領軍が従来と何ら権限が変わることなく継続さえ出来れば良いのであって、日本を防衛する義務など想定すら出来なかったからでしょう。
アメリカ軍支配を侵す勢力があれば、アメリカ軍の支配地(縄張り)を守るために?撃退する関心があっただけです。
強盗が折角の略奪品を奪われそうになればこれを撃退するのと同じで,被害者を次の泥棒や強盗から守る義務などに関心がありません。
「占領支配の沽券にかかわるかどうか」だけの関心であったから、北方領土でも李承晩ライン・竹島(要は漁業権の争いですからアメリカの軍事関心「沽券」には関係がなかったのでしょう)もスキなようにさせていたことが今の日露,日韓のしこりになって残っている原因です。
最早占領軍ではないと言う意味を明らかにするために60年安保では防衛義務を新条約第5条で明記させたのですが,相手の防衛義務を明記する以上は日本も相互負担するのは当然です。
日本で大騒動になった60年安保のテーマを見ておきましょう。
11月30日現在のhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E9%97%98%E4%BA%89の記事からです。
「1951年(昭和26年)に締結された安保条約は、1958年(昭和33年)頃から自由民主党の岸信介内閣によって改定の交渉が行われ、1960年(昭和35年)1月に岸首相以下全権団が訪米、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領と会談し、新安保条約の調印と同大統領の訪日で合意。1月19日に新条約が調印された。
新安保条約は、
内乱に関する条項の削除
日米共同防衛の明文化(日本をアメリカ軍が守る代わりに、在日米軍への攻撃に対しても自衛隊と在日米軍が共同で防衛行動を行う)※アメリカ軍の防衛の明文化はされていないとの反論が多数されている。
在日米軍の配置・装備に対する両国政府の事前協議制度の設置
など、安保条約を単にアメリカ軍に基地を提供するための条約から、日米共同防衛を義務づけたより平等な条約に改正するものであった(※より平等でないとの意見もあり)。」
独立時の条約は独立を認める代わりの既得権として,(沖縄返還時の基地既得権自我条件だったのと同じです)基地無償使用権をそのまま維持するものでしたが,今度は日本に基地を置く以上は,日本の要請があれば日本防衛義務を分担する外、軍や設備の配置も米軍が勝手に出来ず日本との「事前協議」のタガを嵌めると言う当たり前の条約に改訂しようとするものでした。
「日本に基地を置きながら日本防衛に協力しないならば何のための条約だ!」となります・・まさに旧条約はアメリカが占領を続けたいだけの条約だったことが分ります。
昨日紹介した旧条約には、期限がない・・・破棄・・一方的なけんか腰の破棄をする以外には,やめらない条約でしたが,この改訂で10年間に限定されました。
もしも改訂が出来なければ、日本がアメリカと喧嘩するほどの関係にならない限り(今でもびくびくして付き合っていますが・・)アメリカは従来どおり植民地支配軍として「半永久的」に居座っていられる関係だったことが分ります。
ウイキペデイアの記事は当てにならないと言う批判がありますので,外務省の公式記録による60年安保条約そのものを見ておきましょう。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
第一条
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。
第三条
 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。
第四条
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。
 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
 千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
日本国のために
 岸信介
 藤山愛一郎
 石井光次郎
 足立正
 朝海浩一郎
アメリカ合衆国のために
 クリスチャン・A・ハーター
 ダグラス・マックアーサー二世
 J・グレイアム・パースンズ
上記を見ると,旧条約第一条の内乱条項がなくなり米軍が国内で勝手に軍事力行使出来ない・・当たり前の条約になっています。
代わりに第5条で日本施政権下の米軍に対する攻撃に対する共同防衛義務が明記されましたが,これは米軍日本防衛にあたることになった以上,日本防衛のために出動した多米軍と共同軍事行動するのは当然のことであって仮に明記されなくとも米軍と一体化して戦うベキは解釈上でも出て来ることです。
友人に引っ越しや大掃除をの手伝いを頼めば,頼んだ本人がテレビを見て遊んでいる訳には行きません・・喩えば、日本上陸作戦をしている侵略軍と戦ってくれているアメリカ軍に弾薬や食糧を届けたり見張り報告程度の協力をするのは当たり前のことです。
何故これが60年安保で大問題になったのか意味不明です。
以下に紹介するとおり,60年安保のときに極東の範囲を問題にしてソ連が,「歯舞色丹を返すのをやめた」と通告して来たこともありますが,旧条約で元々書いてあった上に,60年安保でも米軍の防衛義務は日本施政権範囲内だけですから,日本の施政権外での協同防衛義務はありませんから、何も変わっていないのです。
新安保条約でもソ連が日本の政権下の地域へ侵略しない限り共同軍事行動がないのですから,この条項をソ連敵視とソ連が怒るのは(ソ連を刺激すると反対する国内運動家も),日本侵略意図があると言う意思表示だったのでしょうか?
一方で極東の範囲が不明だと言うのも大きな反対理由になっていたようですが,この条文は元々旧条約に入っていたのですから,新安保で変わったことではないのに、何故国内で大反対理由になるのか?も不思議です(無期限条約でしたから,改訂しない限り旧条約のママです)し、ましてソ連が日ソ共同宣言を何故破棄出来る理由にするのか不明です。
日ソ不可侵条約破棄→満州から日本人大量に拉致したのと同様に、国際合意を守る気持ちが元々もない・・・相手が(国内デモストライキ等で)弱れば,何をしても言っても,しても良い・・力関係次第と言う信用出来ない体質が再び出ただけのことです。
こんな国相手に先行協力すると,(中国も韓国も日本の世話になるだけ世話になって今になると如何に日本をやっつけるかに智恵を絞るクニですが・・)取るものだけ取ってから「破棄する」と言うドンデン返しがいつあるか知れません。

二国間交渉2(北方領土と自衛力)

経済関係についてのトランプ氏のアメリカ第一主義の実行は難しいとしても、アメリカ第一→国際政治関係から大胆に手を引く方向性は,アメリカの国力相対化の実態から見て正しい方向性ですから、実現して行くでしょう。
撤退縮小・・ある地域からデパートを撤退すると言う発表同様でその実行はそれほど難しいことではありません。
直ちに完全実行出来ないとしてもロシアに対する経済制裁関連は次第に緩むと見て(ロシアの国際孤立脱却の道が見えて日本利用メリットが減ったので)すぐに反応したのはプーチンで、時間をおかずに北方領土に関して対日融和路線を修正した印象の発言をしています。
トランプ氏の路線がそのまま実現出来るかどうかは別として地域大国の自由度(積み重ねて来た国際合意を踏みにじる権利・・横暴)を高めようとするものであり、アメリカ自身も出来れば無茶をやる仲間入りしたいと言うものですから、経済制裁解除〜緩和にも繋がるし既存ルール破りをしているロシアや中国に有利な展開です。
12月2日の日経夕刊一面には,トランプ氏が空調大手キャリアとメキシコへの工場移転中止合意したことを受けて同社工場を訪問して?海外に出て行く企業には高関税を掛けると演説した様子が出ています。
こんな脅しを露骨に受けた企業はスクムでしょうし・・こういう脅しがまかり通るようになると,中国で「共産党幹部にらまれたらおしまい」と言うことで裏で賄賂がはびこるのと同じ光景が始まるでしょう。
トランプ氏経営するいろんな傘下企業から,中国で大量の特許申請がていてみんな却下されていたそうですが,当選するとすぐに再審査されて,全ての?特許が通過したとの噂です。
このような動きが直ぐ出て来るでしょう。
アメリカは賄賂を厳しく取り締まっていますが,(ヒラリーは巨額献金していないと面会出来ないと言うシステムだったらしいですから・要は洗練されているかどうかだけで,既にアメリカは腐りかけているのです)名指して非難するのは・中国のように政敵だけ取り締まるようになるのと似た結果になりますから,余程国民がしっかりしないと一種の独裁・恐怖政治に移行して行きます。

中ロやエルドアン等の世界の独裁者にとっては、アメリカのトランプ氏が自分たちと同じ仲間に入ってくれると従来型欧米の批判が緩くなる期待で喜んでいることになります。
私の持論ですが、ロシアが謝って熨斗(長年の違法行為に対する詫び料)を付けて返して来るなら別ですが,そうでなければ北方領土返還にこだわる必要がない思います。
故郷は大事ですが、日本国内の他の過疎地同様で,実際にはふる里を捨てて都会に出るしかないのが現実・・ソモソモ元の住民が本当に帰島を求めているかさえ明らかでないのに、北方領土解決のためにどんな条件でも飲むような馬鹿げた返還実現にこだわる必要がないでしょう。
誰も戻りたくないとは表向き言わないでしょうが,北海道中で実際には過疎地を棄てて札幌等への移住が進んでいるのに、北方領土に限って逆に戻りたい人がいるとすれば,建前・政治的意図によるものでしょう。
過疎の島のために、返還後も沖縄のように膨大な補助金の垂れ流しになる上に、その後も不満ばかり言われるのでは御免です・・と言う本音をみんな言えないだけではないでしょうか?
不法占領を許せないと言うことで押して行くべきであって,頭を下げてお土産を出して返してもらうための運動が何故必要かの疑問です。
日本はソ連の条約違反の責任を明らかにしない限り戦争状態のママ・・受け取れない・・喧嘩状態で結構ですと言うべきでしょう。
韓国人に盗まれたお寺の仏像を返してもらうために,経済援助したり頭を下げてお願い行く必要があるかと言うのと同じです。
泥棒が盗んだ品を返すときには,返す方が「済みませんでした」と謝罪し示談金をプラスするのが普通の道義でしょう。
何故被害者がお金を積まなくてはならないのか理解不能と言うか,それでは犯罪者・侵略者が増える一方です。
隙さえあれば泥棒や強盗に入るチャンスを窺っているロシアと仲良くする必要をもともと感じません・・。
ロシアに返還の気がなくなったとすれば、もっけの幸いではないでしょうか?
ただし、トランプ氏の政策方向性による地域大国の違法行為誘発危険性・自由度が高まっていることは事実です。
ロシアの強気の変化で分るように,トランプ氏登場による実際に起こる大変化・・日本が国力不相応に最も弱い状態に置かれている軍事挑戦に対する備えコソが必要です。
アメリカ駐留軍は元々日本を防衛する気持ちはありません。
日米安保条約は占領軍の名称を変えただけであって,元々占領・植民地支配のための軍の性質はそのままでした。
独立国に「占領軍の性質剥き出しのママで居坐っているのははおかしい」と言う岸政権の努力でアメリカは仕方なし防衛条約に格上げ同意したに過ぎません。
物事の理解には由来が重要です。
仕方なしに「施政権の及ぶ範囲」の防衛義務を書いただけですから,本気で日本を守る気持ちは根っからありません。
ここで念のために日米安保条約の歴史(内容変遷)を見て置きましょう。
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/docs/19520228.T1J.html東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室
[文書名] 日米安全保障条約(旧)(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約)によると以下のとおりです。
前文
 日本国及びアメリカ合衆国は、千九百五十一年九月八日に、日本国内及びその附近における合衆国の陸軍、空軍及び海軍の配備に関する規定を有する安全保障条約に署名したので、
 また、同条約第三条は、合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は両政府間の行政協定で決定すると述べているので、
 また、日本国及びアメリカ合衆国は、安全保障条約に基く各自の義務を具体化し、且つ、両国民間の相互の利益及び敬意の緊密なきずなを強化する実際的な行政取極を締結することを希望するので、
 よつて、日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。
第一条
 平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じよう{前3文字強調}を鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。
第二条
 第一条に掲げる権利が行使される間は、日本国は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に関する権利、権力若しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。
第三条
 アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。
第四条
 この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。
第五条
 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国によつて批准されなければならない。この条約は、批准書が両国によつてワシントンで交換された時に効力を生ずる。
 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。」

上記旧安保条約第一条はいわゆる内乱条項ですが,これを見ると日本の要請がなくとも米軍はアメリカに都合の悪い運動があれば,独自に鎮圧のために自由に出動出来ることになっていました・・マサに植民地支配軍そのものでした。
第一条は西欧諸国が植民地独立を認めるにあたって施行していた絶対的に譲れない条文(・・フィリッピンでも独立を認めるときにこの条文が入っているとのことです)です。
独立後の条約でありながら,日米安保条約は(日本独立認める条件として)占領軍の性質そのままの地位継続を保障する条約が(当然アメリカは日本の要請で駐留すると言う仕組みにしていますが・・異民族に占領を続けて欲しいとお願いする・・こんな酷い条約を望む国はあり得ませんから,)憲法の交戦権法放棄条項同様に事実上強制されていたことが分ります。
占領軍が好き勝手に国内鎮圧出来る条文がある限り、独立国とは名実共に言えません。
そこで、日本は独立後粘り強くこの条項の撤廃を求めていて漸く成功しかけたのですが,これが国会で批准しないと効力が出ない・・すなわち日本占領が続く仕組みでしたから,これに反対する勢力は日本が従来どおりアメリカ占領下にいた方が良いと言う主張をして大騒動を起こていたことになります。
日本の独立第一歩になる条約改訂を妨害して元の占領条約に引き戻そうとしていたのがいわゆる60年安保騒動だったことになります・当然アメリカが裏で糸を引いていたでしょうから,騒動が大きくなればなるほど良い・・鎮圧のための軍を出動しません。
(世界中の政変の多くはCIAの仕掛けだと言う陰謀論が普通に言われています・・日本では,戦後初めてアメリカ離れを画策した田中総理の追い落とし策として日本人を利用した「金脈人脈」の発表で退陣に追い込み,ロッキード事件はイキナリアメリカから証拠が出て来た不思議なもので,田中氏のとどめを刺すためだったことが知られていますし、ソ連崩壊儀日本が無用になった途端に日本叩きを受けている真っ最中に「アメリカ財務省証券の売却も出来る」のだと発言した橋本総理の急激な失脚もアメリカの意趣返しが言われています。)

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