自治体の拒否権8(許認可権1)

選挙権と居住期間に戻りますと、仮に本当に5年間在住していても文化は3代と言いますし、3代目で初めて江戸っ子とかパリジャンを名乗れると言うように、長期的テーマに関する場合、3代目以降でないと選挙権がないと言う長期スパーンに法を変えないと本当の解決が出来ないでしょう。
ただし誤解なきようにして頂きたいのは、現状でも長期的影響のある事項の投票権者は最低3代以上居住者にすべきと言うだけであって、本来は国防・原発・ロケット基地など国家的プロジェクトについては、投票権者の居住期間に関わらず地方に事実上でも拒否権を認めるべきではないと言うのが私の意見です。
自治体が国策に対する事実上の拒否権行使に利用している制度の多くは土地利用や開発許可・水道給水や建築許可・保健衛生・清掃・廃棄物処理など地元で処理するのに適したその他の許認可権限です。
元はと言えば国家権限の行使に付いて、民主主義国家であろうと、専制国家・封建制や独裁であろうと組織が大規模化すれば下部に権限分散・委譲して行くのは組織の共通の原理です。
何もかもトップが出来ないことから部下に権限分掌させるしかないことと、多くの部下に直截接する機会の多い直属の部下にある程度委ねる→更にその部下が自分の部下に委ねるなど順次下位組織におろして行く方式・・がどこの組織・団体でも行なわれています。
これを地域的に見れば、首都の政府がいくら人像が多くても直截見るのは無理があるので、実情に詳しい地方に委ねた方が効率的・合理的と言うことから地方への権限移管が行なわれて来ました。 
どこの企業でも同じ原理です。
上記の場合中央やトップが自分で出来ないから、自分がする代わりに部下や下部組織に委ねているだけですから部下や下部組織の行為の間違いを上位機関が正して取り消したり自分でやり直し出来るのが原則です。
地方自治とは、組織である限りどこにでもある権限分掌の仕組みをそのまま利用しながら、上位機関による是正権限を出来るだけ弱めようとする考え方と言えます。
下位組織に自治権を与える・本来は、中央からの授権によるだけなので、地元決定に不都合があれば上位機関で修正出来るのが普通の関係ですが、企業の場合は原則数字で表すのでそのパターンで書けば・・数字で言えば1億円までは支店長決裁1億以上は地域本部決裁、10億以上は本社決裁と言うような・・裁量範囲の問題です。
企業では一応の基準を決めているだけで多くは、臨機応変に上位と相談の上で決めるとか、一旦決めたことでもイザとなれば上位機関が介入し事業投資決断を注視して撤退したりする権限を残しているのが普通です。
元々100%の主権国が、条約によって主権が一部制限されるに過ぎない連合国の構成国関係と、元々上命下服関係に始まる中央・地方の関係とは始まりの方向が違っています。
アメリカは元々1つの国が大き過ぎて分権したのではなく、元々主権国家の連合です。
ステートの連合ーUNITED STATEですから、連邦憲法とは言わば連合契約・・条約であって、これに違反した法が制定されても、州は条約外のことには従う義務が元々ありません。
これがアメリカで違憲立法審査権が重きをなしている基本的性格です。
日本では、米兵の違法行為があると日米安保条約でどうなっているかが先ず議論されるのと同じです。
イギリスの連合王国やロシア連邦なども自治ではなく、元々別々の独立国が形式的(実際はロシア民族の圧倒的力関係であり、UNもブリテンの指導力によります)に対等な連合を組んだ関係です。
連合国構成国や連合でない単一国家内で日本のような(国家意思の統一性を阻害出来るほど)強大な自治権を有する民族があるのかと言う疑問で?このシリーズを書いています。
ドイツも元々主権国の連合体・・ドイツ連邦ですし、フランスの中央集権性の強さが知られていますが、フランク王国建国の始まりから単一国できた歴史があるからです。
このように元々の主権国家内の意思統一が必須であることは論を俟ちません・・一人の人間が矛盾した行動指令を身体に命ずると「精神分裂」状態になります。
有名なところでは、1国2制度を国際条約で決められている香港・マカオくらいではないでしょうか?
中国がこの条約を守らずに立候補資格を制限して大騒ぎになっていることでも分るように、国家意思貫徹と自主権の完全実施は「股裂き状態」で無理があります。
単一国家の日本を連合国家のように分断するのは、一人の人間を手足と胴体その他を別々の命令系統で動くようにさせるようなものですから、現憲法は根本的に無理があります。
日本は独立国家が連合して出来た国ではないのに連合体と同じように分解するのは、言わば企業の支店を独立させたようなもの・財閥解体の地域分割版日本を47の小さな国に分断させようとしたことになります。
地域分割ならばまだ小さくなるだけですが、企業で言えば支店や事業分野ごとの分割ではなく、本社ビルの4階フロアーと5階フロアーの場所的分割だと、各フロアーごとの企業体を作れと言われても生き残れません。
小さなリスやイノシシが動き回っているからと言って、大きな熊を馬をリスやイノシシの大きさに分断すれば、熊や馬は死んでしまいます。
自治体警察が規模が小さ過ぎて機能出来なかったので、県単位に拡大するしかなかったことをこのシリーズの冒頭で紹介しましたが、物事には必要な単位があります。
アメリカの占領政策の基本は、小規模分裂させて日本を弱体化させ、半永久的に競争相手として再浮上させないのが目的(工業生産さえ禁止し工場の生産設備・機械を解体させてアジア職へ搬出強制していたことをかなり前に引用して紹介しました)でしたので、日本の国家としての統一意思形成の妨害を図っていたと言う深読み?邪推しているのが私の基本思考です。
日本敗戦に乗じて日本民族の驚異的団結力を如何にして破壊するか・・この手始めに精神力の源泉である神道精神破壊を真っ先に行ない、この支持母体の破壊→思想界の変更・・教育界マスコミ支配を行なって数十年単位での思想入れ替えを図るとともに、この物理的装置として地域分断を狙ったのが自治制度の創設だったのではないか?と言うのがこのシリーズでのテーマ・主張です。

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