金融政策の限界5(韓国のミニバブル1)

まだ中国韓国人には、近代的モラル・ルールが国民の心の芯に定着し切れていないことを7月28日に書きましたが、人民の価値観にとっては金利が安いならば今のうちに借りられるだけ借りてしまおう・・最後に払い切れなくなれば、踏み倒せば良いと言う魂胆でしょうか。
7月28日に書いたように中国や韓国では、借りたら返す必要があると言う近代法意識が未成熟(・・韓国では何回も借金棒引き令が行なわれて来たと言われています)だから1昨日紹介したような野放図な金融緩和政策が大手を振っていられると思われます。
現在中国の野放図な借金拡大傾向については、ちょっと日付が遡りますが勝又氏経済時評5月9日からの引用です。
「「フィナンシャル・タイムズ』(4月28日付)は、社説で「経済改革に苦闘」と題して、次のように論じた。・・・
(2)「巨額の債務がもたらすリスクは明らかだ。負債総額は国内総生産(GDP)の約240%に相当し、大半の新興国の比率をはるかに上回る。赤字の国有企業がかなりの債務を抱えているため、この数字が長期的に持続可能であるはずがない。さらに懸念されるのは債務増加の速度である。もっとも、現在では深刻な金融危機のリスクは限定的だろう。閉ざされた資本市場、高い家計貯蓄率、潜在的経済成長力を考えると、中国の全体的な負債水準は警戒レベルを下回るだろう。また、政府には企業債務(実際には国有企業や地方政府関連が多い)を国庫のバランスシートに移し替える余裕がある。政府の財務内容は依然、巨額の公的準備に裏付けられ、健全である」。
以下は勝又氏の意見です。
「中国の抱える債務総額は、この記事では対GDP比で240%としている。だが、マッキンゼー国際研究所の調べでは、282%(昨年4~6月現在)である。その後の債務増加を勘案すれば、300%超えも間近であろう。決して、安心できる水準ではない。「政府には企業債務(実際には国有企業や地方政府関連が多い)を国庫のバランスシートに移し替える余裕がある」と指摘しているが本当だろうか。」
(3)「不良債権処理の包括計画をまとめないうちは、問題の先送りにすぎない。国際通貨基金(IMF)が警告したように、政治的に微妙な分野を含めて産業の再編に取り組まなければ、(債務の株式化や証券化を通じて処理する)現政府案は逆効果ともなりかねない。中国経済のリバランス(消費主導型への再均衡化)は極めて難題で、当局は予見しうる将来、刺激策を続けなければなるまい。これまではゾンビ企業にあまりにも肩入れしてきた。重要なことは保健、教育、都市の住宅、輸送、大規模な環境浄化など、より社会的に有益な分野に支出することだ。最も衝撃の小さいシナリオでも、債務負担の軽減にまだ10年近くはかかるだろう。その間、世界各国は中国の改革の遅れのあおりを覚悟することになる」。
この勝又氏の引用するリポートによって債務の合理的再編に取り組んでも(先送りをしていればもっとかかります・・)今では、中国の病人状態脱出には、10年以上かかると言うのが常識になっているようです。
まして中国の場合、統計さえ正確な発表が出来ない・・不正確な状態ですから文字どおり合理的対応出来る筈がない・・その場しのぎになるのは目に見えています。
今年2月26日のG20で鉄鋼石炭などの過剰生産を整理すると発言したのに、その直ぐに金融緩和した結果、休止したばかりの設備が再稼働始めたりマンションバブルが再発生している状態です。
上記記事では、「債務の株式化を図る」となっていますが、要は(株式化すれば返済義務がないから)返済を免れようとする方向へすり替えて行く魂胆であることが明らかです。
その後の経過はを見れば合理的再編・起業淘汰を計るどころか1昨日紹介したとおり、ゾンビ企業延命のために社会融資総量の激増になっているのですから大変です。
韓国も、ここ数年の成長率鈍化打開のための金融緩和が模索され少しずつ実行されていますが、金融緩和すると国民の反応が良過ぎて?債務が増え過ぎる・将来へのリスク拡大が心配される状態・・日本の国民のように金融緩和しても返す当てもないのにお金を借りない自律性が低い点が懸念されています・・中国同様に借りられるなら借りておこうとする点では同じ体質でしょう。
以下は、http://www.data-max.co.jp/280218_ry02からの引用です。
  日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「日本のようにローンを組むことによって金融機関の審査を通るのではなく、契約金だけを用意できれば、まず住宅購入ができるようになっているため、これが後で負債として負担になるケースも多い。現代は、昔のように一斉に不動産が上がるような時代ではなくなったので、値上がりを見込んで無理して購入した住宅が値下がりし、融資残額にも満たないことでハウスプアになったりしている。
 とくに現在の朴謹恵大統領時代になって、不動産を活性化させて、内需活性化の呼び水にしようという狙いで金利を下げ、不動産の規制を緩和したところ、政府の予想を上回る急激な不動産過熱が発生し、その期間中に家計負債は急増してしまった。政府では「お金を借りてでも住宅を買いなさい」と奨励した覚えはないと否定しているが、いずれにせよ、家計負債が膨大に膨らんだことは紛れもない事実である。」
政府が煽ったかどうかは別として国民が簡単に借金に飛びつく体質である点では日本との大違いです。
国民をたぶらかして大儲けする中韓の企業や政府と国民の方がしたたかな日本社会との違いでしょうか?
日本のバブル崩壊を大騒ぎしていますが、急上昇した高値で売り抜けた農民や旧地主が不動産屋等が大幅値下がりで損をしたのと同額を儲けている・・国内での資金移動に過ぎないとう意見を連載したことがあります。
中国の場合企業家(日本からの投資家を含めて)から地方政府(共産党幹部)に所得移転したことになります。

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