アメリカ式移民モデルの破綻4

過去に異民族大量流入によって、うまく行った社会があるでしょうか?
今のギリシャ、イタリア人は古代ギリシャ、ローマ人と関係がないと言われますし、古代エジプトやメソポタミや地方の現在居住者もメソポタミア文明の担い手と関係がないと言われています。
アメリカが、元々自分たちが元の住民を追い出して住み着いた移民である原住のインデイアン社会を壊滅させてしまったから、移民の害を知らない・知りたくないだけです。
アメリカインデアンや中南米の原住民達も、西欧の移民が入った後の方がずっと過酷な生活を強いられている・・西欧から移民が来る前の方が電化製品がなかったとしても心豊かな生活が出来ていたことは確かでしょう。
最初に漂流に近いような形で流れ着いた西欧人に親切に水を与え食糧を与えてやったことが、その後民族根絶やしになるほどの迫害を受ける元になっているのです。
中国も絶え間なく辺境の地・異民族を吸収して言わば権力的に異民族吸収・・同化によって人口を増やして来たから今の民度になっているのです。
アメリカで移民社会・・低レベル化進行の負の資産を何とか見えなくして来たのは、巨大資源や広大な農地、牧場の存在だったでしょう。
世界でモノ不足の時代には、粗放農業による農産物でも世界中が喜んで受入れ感謝しました。
クルマもブリキを組み立てたようないわゆる「アメ車」でもクルマのな足りない世界では(安い方が良いので)有り難く受入れてきました。
アメリカが流れ作業によって未熟連動者でも参加出来る方式を考案して大量生産による大雑把なクルマを安さを武器に大量に作って世界市場を席巻していたのです。
日本の例で言えば、戦後食糧難の時代にアメリカから届いた粉ミルクの学校給食を喜んで飲んだものです。
高校時代にワシントンハイツ(今の代々木公園)にあったアメリカ軍将校のアパートに招かれて行ったときに、ビフテキをごちそうになって多いに感激したものです。
今時アメリカ産の牛ステーキを喜んで食べる人は滅多にいないでしょう。
クルマも日本で作るようになって来ると、粗雑なアメリカ車は全く売れなくなりました。
粗放生産品・・汎用品は後進国で作れる=低賃金化が進み従事者は高度な生活を維持出来ません。
この状態でなお大量生産にこだわって移民を受入れて中国の人件費に負けないと豪語してもどうなるものでもありません。
汎用品・・量で勝負する限り、後進国並みの収益しかありません。
汎用品生産用の人口が増えれば増えるほど実力以上の生活費を補填すべき人数が増えるマイナスが増えるだけです。
アメリカンドリーム・・個人の大成功に社会みんながぶら下がるのは無理があります。
ましてやアップルの例を見ても分るように次々と新製品企画が当たる保障がありません。
アメリカンドリームは自分もそうなれるかも?と言う期待感でみんなが前向きになれる時代精神ですが、汎用品工場やストアーで働き夜はフードスタンプに並ぶのでは精神が屈折します。
民族一体感のない国では成功した方は自分の働きを高率の税でフードスタンプ資金に取られてしまうのは面白くない・・海外逃避したくなりますし、他方で庶民から見ると金融商品の転がし・・トレーダーがぼろ儲けしている場合、どこか胡散臭いイメージ・・制度に問題があるんじゃないかと言う不満が出て来ます。
金融規制強化論が唱えられ、タックスヘイブンが槍玉に挙がるのは、こうした不満の結果です。
日本の場合成功者とは部品を夜も昼もなしに磨きに磨いてナノ単位の精密製品を作り上げるような人(ノーベル賞を受賞した田中氏もそのような一人です)が中心ですから、企業で大事にされてもだれも不満を言いません。
2ヶ月程前まで日経新聞に連載していた京都大学の類人猿の研究生活をしていた松沢氏の連載を見ても「えらいなあ!」「良い人生を送っているな!」と感嘆するばかりで、うらやましいとかの不満を抱く人はいないでしょう。
EPS細胞の中山教授に関しても同じです。
我が国はそのような価値観の国ですから、こう言う人が報われるのは別におかしなことではありません。
成功した本人も皆様の御陰で・・と感謝し、法外な報酬を欲しがらない・・民族全体の利益になれば良いのが普通です。
日本は民族全体のために努力する意識の社会なのに、縁もゆかりもない人が勝手に入って来て(移民)同じ率で分配を要求されるようになると成功者も自分独り占めしたくなるし、努力する気持ちが失せてしまいます。
日本人は日本人のためにみんなで力を合わせて頑張って来た縄文時代からの歴史があります。
今は国際化時代ですから相応の国際負担は必要ですが、これは個人で言えば近所付き合いとして町内会費を払い公共負担するのと同じであって、親しく交際することと他人が自宅にズカズカ入って来るだけではなく更に長期間同居を容認する義務があるかとは別次元です。
日本国内に入って来たばかりの人に何世代も前から環境保護に協力して来た人と同じように分け前を(晩ご飯を一緒に食べる権利)要求されるほどのものではありません。
会社のために努力して収益が上がり、この成果を全社で享受する・・同僚の給与がアップし会社の将来の備えも図れるのは嬉しいですが、その儲けを関係ない人にも平等に払うしかない制度だと努力する意欲がわかなくなり,稼ぐと隠したくなる・・タックスヘイブンが流行する所以です。

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