トルコが自立したいのは当然ですが、これを表面化した手始めは難民急増に対する取り扱いに関するEUとの対等な(強気)交渉でした。
以下は日経新聞記事です。
http://www.nikkei.com/article/DG 2016/4/4 21:39
「2015年にシリアなどからトルコを経由してギリシャに渡った難民・移民の数は85万人に達する。最大経由地のトルコとEUは、今年3月、トルコが ギリシャに渡った難民・移民の送還に応じる一方、EU各国がトルコ国内の難民キャンプからシリア難民を直接受け入れることで合意した。
送還に応じる見返りに、EUはトルコに対する資金支援を60億ユーロ(約7600億円)に倍増させるほか、トルコ国民がEUに渡航する際の査証(ビザ)免除措置の導入を6月へ前倒しし、トルコのEU加盟交渉も加速させることを決めた。」
大手新聞はなおトルコのEU加盟希望に脈があるかのように書いています・・大手はうっかりしたことを書けないのは仕方がないですが・・、トルコの本音が変わって来たと読むべきでしょう。
ましてイギリスの離脱方向が出た今となっては、無理してEUに入れてもらう必要性が減じたことは確かです。
トルコはクリミヤ戦争で西欧列強の応援を受けて以来西欧列強に従属しっぱなしの屈辱の歴史でしたが、ここに来て正面の敵であるロシアとの関係修復・・ロシアの背後にいて日露戦争で勝ったことのある大国日本との関係強化など、中東の混迷もあって、地域大国としての復活・・独立志向が明白化してきました。
ロシアも国内のトルコ系民族の不服従(勇猛で知られるチェチェンその他中央アジアに広がる少数民族はトルコ系です)に苦しんでいるので、トルコとの修復は望むところです。
この動きに面白くない国々による、歴史的仇敵であるロシアとの仲違いを引き起こす陰謀(・・ロシア軍機の撃墜事件は何故起きたか闇の中でしたが、賢明にも双方感情的にならずにうまく修復してしまいました)だけでなく周辺国からも引き放す陰謀画策が激しくなり、昨年からイキナリトルコ国内でテロが頻発し、エルドアン大統領批判が大きく報道されるようになって来た原因とも言われます。
唆しがあれば直ぐに乗る中韓とは違い・・ロシアもトルコも冷静なので、欧米の陰謀や唆しに簡単に乗らないので、今のところトルコ、ロシアの関係悪化は見られません。
応酬の一致団結による対外政治力発揮効果を見てみると、確かにサミット7カ国首脳会議に西欧から、6人も出席出来るので数の上で有利になっていますが、加入者にとって見るとメリットがあるかと言う視点が必要です。
加入国が27カ国の場合、自国意見は27分の1しか反映しない上に小国は国力比例してもっと発言力が低く・・言わば独仏の官僚主導になってしまいます。
その代わり小国・・生活水準の低い中東欧やバルカン等諸国にとっては、文化度の高い英仏独に自由に出入り出来るメリットは大きなモノがありますので、自分の意見があまりとおらなくとも不満はそれほど大きくはありません。
日本にアジア諸国の人が出稼ぎに来るのは、政治意見を言えず言葉が不自由でもそれ以上のメリットがあるからです。
イギリスにとっては独仏とは対等者間であるのに文化基盤の違う(大陸と海洋民族の大きな生活習慣のが違い・・独仏とポーランドとの違いより大きいでしょう)独仏主導で自国の生活ルールの端々まで口出しされる不愉快と引き換えに独仏と自由に往来出来ることによる生活水準向上メリットは多くありません。
イギリスの発言力は大国なので27分の1ではなく2〜3倍の27分の3あったとしても独仏連合に多数決で負ける点は同じです。
イギリス以外は皆大陸諸国・・大陸的画一的処理方式が海洋国イギリスの生活方式にあわないのに、いつも多数で押しきられてしまう・・この状況にイギリス人の不満がたまっていたと見られます。
イギリス国民投票の結果は、トルコの加盟意欲にも大きな影響を与え・・EUの拡張主義・画一処理が曲がり角に来たことを世界に示した大事件であるからこそEU・・マスコミが焦っているのでしょう。
EUの設立理念が自由貿易促進ならば、・・・「民族の個性を残したまま関税さえ下げて行けば良いのでないか?」と言うのが、イギリス国民の思考方式でしょうから、何故何もかも1つの国になる・・民族移動の自由まで認める必要があるのか?と言う疑問です。
この辺が大陸の観念論・・中央集権的的画一処理優先発想とイギリスの経験論・・必要が生じてから(つぎはぎ的に?)考えて行けば良いという意識・・私たちも海洋民族として共感出来るところです。