西欧の長期的衰退6と中国接近8(排日の起源2)

創業時の資金調達は自己の貯蓄や親族友人の援助等で始めるとしても軌道に乗って上場出来るようになれば、社債等市場調達力が出ます。
上場直前新興企業でも成長性のある最先端企業がサラなる発展投資するためにウーバーに対するトヨタの出資のように、成長の芽に敏感な大手が放っておきません。新規投資内容さえ合理的であれば、老舗大手企業の場合社債発行など自己資本調達力があります。
シャ−プなど大手が社債発行等による市場調達が出来ず資本参加を求める場合には、市場調達出来ない原因がある・・競争力がない場合です。
ウーバー等の成長企業系と違い老舗企業が被買収企業になる場合には、手持ちまたは開発予定技術の時代不適合による赤字累積の結果市場で資金調達出来ず買収されたのですから、その企業の経営不振は技術不適合の結果資本不足になったものですから、当面の決済のために資本注入が必要としても本当に必要としているのは競争力回復に必要な新技術開発です。
これをしないで人件費削減策に頼っても→優秀な人材から順に逃げて行くので技術劣化が進行し国際競争力が低下する一方ですし、得意の人件費削減も思うようには行きません。
上記の結果買収した企業経営権を維持するためには絶えず資金(技術移転料?)をつぎ込むしかありません。
経営不振企業の買収は、金融的側面で見ればいわゆるゾンビ企業救済融資と結果が同じですが、後進企業による資本注入の場合金融的回収を目的にしていない・・なお使える技術入手に着目しているので、言わば解体予定の中古車を買って2〜3年使いながらその間に部品取りするようなものです。
古過ぎるクルマの場合修理・車検コストや見栄え等で新車に買い替えるのですが、修理屋が買う場合には、部品取りその他特別な技術があるからこれを買うのです。
新興国資本買収側にとっては自国で成功した低賃金モデルは通用しないので、買収企業の赤字が続き吸収すべき技術がなくなったら、これ以上資金をつぎ込む理由がないので、手放したくなるのは当然です。
買収された企業は再び経営危機になりますが、(タタ製鐵の例で言えば)8〜9年前の買収時以降技術流出ばかりであれば7〜8年前よりも技術がもっと劣化しているので、(中古車を使い尽くしてもう一度売り出すようなものですから、)その技術が欲しくて資本再投下する後進国企業は滅多にありません。
この段階に来ているのがイギリスの製鉄所を買収したタタ製鉄が7〜8年前に買収した製鉄所再売却先探し難航の現状ですし、5月31日紹介した再売却段階に来ているフランスの工場閉鎖続出・防止のために政府が出資するしかなくなって来た現状です。
移民労働力の雇用維持のために政府が出資して(税金で)工場維持を強制するのってゾンビ企業温存そののものですし、ネイテイブフランス人にとってどう言う意味があるの?となりませんか?
かと言って移民労働者を失業の危機に曝してしておくと社会不安・・テロの温床になってしまいます。
移民さえ入れれば低賃金で勝負出来ると言う西欧式解決法は無理が証明されてきました。
マスコミ報道では、金融市場運営(人民元取扱に意欲・・中国の御機嫌取りの原因になっている)に「国運」を賭けているのは一見イギリスだけのように見えますが、欧州勢は早くから物造りで世界市場で敗退を続けているのではないかの関心で書いています。
西欧製造業ではドイツだけが一見良いようですが、内容を見るとEUの防壁・・域内貿易で独占的地位を得ている内弁慶に過ぎず、域外で市場競争力があるか?となると疑問があります。
リーマンショック後既に8年も経過しているのに、未だに南欧諸国で危機が頻発するのは、相対的に強いドイツが弱い部分にしわ寄せしている矛盾がときどき表面化しているに過ぎないと見るべきであり、欧州全体として基礎体力の長期低落傾向は否めません。
細かな各種産業の統計まで見ている余裕がないので、クルマ産業を参考代表指標として見る・・アメリカ市場でのクルマ販売比率で見るとドイツ・フランスその他欧州系自動車の存在感がもの凄く低くなっています。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2016をみると16年4月販売で見ると日米系(ただしクライスラーを米系にカウントしました)の合計約81%を占めていて、韓国系が約8%ですからその他全部を欧州系としても約10%しかない・・欧州の物造り能力凋落ぶりは明らかです。
企業別詳細は上記に直截おあたり下さい。
5月30日冒頭に書いたように欧米は自己を筋肉質にする努力を怠ったことが原因です。
対日政策として円高誘導やブロック化で競争制限策に出たところ、日本は東南アジアや米国内に工場進出してこれをクリアーしてしまいました。

西欧の長期的衰退5と中国接近7

企業・スポーツ団体・組織でも自分より優秀な人を排斥してレベルの低い人ばかり優遇していれば自分の地位が脅かされず安泰ですが、組織全体は劣化します。
競馬界ではイギリスが本来名門ですが、世界の名馬になったディープインパクトの西欧デビュー先から外されてフランス凱旋門賞へのデビューとなりました。
イギリスやアイルランド競馬界に修行に行った日本人が散々辛酸をなめさせられた逸話があった関係でイギリス行きの声が出なかった可能性があります。
イタリアへ料理修行に行くともの凄い嫌がらせが続くことが有名ですし、フランスもディープに対して相応のイヤガラセをしたようですがイギリスの嫌がらせよりマシだったと言う程度です。
競馬後進国日本の名馬が西欧を下に見て世界で活躍するなど許しがたい点では、第一次世界大戦後アジア人のくせに台頭した日本を許せなかった意識で日本潰しのために団結するようになったのと同じ・・職人等の庶民は国の政策本音をそのまま露骨に出すので分りよいだけです。
イギリスはこれを露骨に出し過ぎたので、以後世界の名馬デビュー先として凱旋門賞出馬の流れが出来てしまい賞金もアップするなどイギリス競馬界は傍流に追いやられてしまっています。
日本外しの先例・効果の1つです。
中国は昨年の経済変調以降日本企業再誘致に必死ですが、日本企業は反日デモの教訓を得たので慎重姿勢を崩しません。
態度の大きい国・・小心過ぎて謝る度量もない点は韓国同様で、更に強迫したら日本が謝って来たと言う形式をとりたいらしく、未だに天安門事件などないことを反日教育したり、領海侵犯を更に酷く繰り返している状態です。
こんな状態では・・ソモソモ日本人の中国に対する怒りが収まっていませんので企業もこっそり協力するしかない状態でしょう。
新興国側は旧宗主国への憧れ等ないまぜにした感情で、(応仁の乱や明治維新で落ちぶれた旧家の姫様を妻に迎え入れるような感覚です)憧れの企業を買収するのですから元々経済合理性がありません。
新興国・技術下位の企業なのに資本がある・・その多くが低賃金を武器にして発展した企業です。
こうした場合、買収側の経営人は低賃金活用による成功体験しかないので、資本家が口出しするとすれば(技術部門は学ぶ方ですから)人件費関係しかないのですが、先進国では賃下げが不能なので自国等人脈のある国の低賃金労働者の利用・・移民に頼る経営指導になり勝ちです。
上記が中韓など新興国資本中心で資本を入れて来た西欧が,数十年にわたって低賃金の東欧諸国EU加盟促進や移民受け入れ政策にシフトして来た遠因です。
アジア新興国資本と一緒にアラブ・アフリカの低賃金労働者(マスコミにはトルコ人労働者しか出ませんが、フランスに25年ほど前に行ったときに中国人タクシー運転手その他一杯いました)も引き入れたことになります。
日本を含めて先進国では外国人だからと賃金差別できませんので、外国人を入れることによる人口ボーナス期待は百年単位の長期的期待であって、20〜30年程度では、民族宥和の困難さなど負の影響が先に出てしまいます。
移民受入れ政策をマスコミは折に触れてそれとなく誘導しますが、中短期的な競争力復活に影響しません・・裏から言えば基礎能力の低い移民の失業率が高いので・・ちょっとでも景気減速すると先ず移民にしわ寄せが行く問題があります。
この辺は自国民でも弱者・老人や身障者等に同じ給与を払え,あるいは産休中の生活保障しろと企業に強制すると却って弱者の就職先が減るのと原理が同じです。
女性や老人でも役に立てば仕事がある・・要は彼らの働ける仕事を作ることが重要です。
腕力の必要だった土方やトラック運転仕事が機械化で女性でも操作できるようになる・・ちょっとした工事現場でも必ずトイレ設備を設置するようになったり長距離移動中でもコンビニにトイレがあるなどのインフラとの兼ね合いが重要であって、人権屋が平等待遇ばかり叫んでいても解決しません。
移民に対する能力相応の低賃金であれば、不景気耐性が強い→能力の割に賃金の高い白人下層労働者が不景気で先に削減されますので、白人の失業防止目的で「人権」と称して同一賃金を要求することによって、白人底辺層の意民受入れ反発を防止してるのかも知れません。
白人底辺層と移民とは相容れない関係ですから、白人底辺不満を宥和する=移民に困難を強いる関係→テロ予備軍に追いやるジレンマがあります。
能力に応じた賃金体系・・市場原理を取り入れない=労働能力の低い移民や2〜3世に対して地元フランス人などと同じ賃金だと彼らの賃金が割高になってしまって、結果的に余程景気がいいとき以外には就職困難にしてしまい、ちょっとでも不景気なると失職リスクが高まる・・テロ組織の勧誘を受け易くしています。
日本人でも身障者や移民等に市場原理に反した最低賃金支払を企業に強制せずに最低賃金以下の人には差額に応じた医療費割引き・運賃割引や生活保護・・産休基幹の生活保障も個々の企業負担でなく、失業保険の適用などの別の工夫が良いでしょう。
先進国の人件費が高いのは、相応の訓練(学歴や専門学校)を受けていて高い賃金に見合う生産性があるのですから、・・訓練を受けていない技術力の低い後進国からの移民に同じ給与を与えるべきとする人権?理念自体に無理があります。
移民2世は、両親の言葉や文化蓄積が違うので移民先の教育・職業訓練にうまく馴染めず、元々の居住者に比べて地元教育への適応困難になるのが原則で、2世の多くは移民先の学校での不良予備軍・元々のクラス最底辺層の更に下層に沈み,物心ついたときから学校や遊びの場で孤立していると屈折して育つので成人するとテロの温床に(2〜3世で一番リスクが多く)なります。
移民1世は元々違い・・苦労を知って来ているのでそれなりの覚悟があってそれほど不満がないことをこのコラムで書いたことがあります。
移民の場合、この外に教育(バイリンガル・治安コスト)や社会宥和を含めた能力アップ・・これには、何世代にもわたる時間と金がかかる・・コストから考えて「移民受入れ反対」と言うのが私の持論で、古くは01/04/02「外国人労働力の移入 1」以下その他で繰り返し書いてきました。

西欧の長期的衰退4と中国接近6(排日の起源)

イギリスやフランスが技術競争に負けている日本等に受注させれば最先端技術で施行するので現場職人も最先端技術を学べますが、何故これをしないで中国等の資本参入に頼るのでしょうか?
台湾企業だったのでシャープ買収に寛容であったのでないかと昨日冒頭に書いた国民感情が参考になります。
欧米の基本が何故反日(ミッテラン仏大統領の日本キライは有名ですが、彼に限らずEU全体の風潮として何かと対日輸入規制に熱心で中韓に優しいその結果、日本の対EU貿易額は相互経済力の割に低くなっている)かですが、遡れば第二次世界大戦の原因・・第一次世界大戦後日本の人種平等主張が欧米優位の基礎を崩す危険があって、その逆鱗に触れたことに行き着きます。
(アメリカは日本の人種差別批判に対応してすぐに【オレンジ計画」と言う対日戦想定訓練を始めています)
欧米世界支配の経済基礎は植民地支配による富みの収奪ですが、これを合理化するために白人の優越性思想が基礎にあって、劣った民族を保護してやっていると言う思想刷り込みがありました。
アジア人は西欧人に劣っていて到底対抗出来ないと言う思想教育を植民地では徹底し,他方でこの教育に反抗するものを人道的に想像を絶するような拷問・酷い牢獄も用意していました。
この教育の結果、「生まれつき自分たちは白人には叶わないと思い込んでいたのを破壊してくれたのが日本軍の進攻であった」とシンガポール創設者リークアンユー氏が【私の履歴書」に詳しく書かれています。
アジア人である日本の台頭だけでも苦々しいところへ日本が人種差別を厳しく批判し始めたので、これを放置すると欧米の世界支配を突き崩す原因になるのが早くから分っていたので、欧米が日本潰しの必要性で一致していたのです。
多勢に無勢の関係ですから、何かとイチャモンをつけて我慢出来なくなった日本を国連脱退に持ち込み、国際孤立させてから孤立を良いことにいじめ抜いて最後に死ぬ買い切る下と言うところまで追い込めで、自ら飛び出すのを待ち構えて【奇襲攻撃」と非難した上で完膚なきまで叩きのめしたのが太平洋戦争の真相です。
日米開戦前にABCD包囲網が結成されなければ日本は決死の戦争に突き進む必要がなかった・・日米戦争ではなく対欧米戦争だったのです。
欧米諸国はせっかく邪魔な日本を叩き潰したのに戦後再び台頭して来たことが、如何に腹立たしかったか・・この認識が必要です。
欧州が背後で期待する米国の占領政策は、日本の工業生産を認めず、農業国にしてしまうこと・・このために続々と工場機械を梱包して中国へ搬出していたことをOctober 27, 2013,「アメリカの神道敵視政策5(日本人奴隷化1)」のコラムで以下の記事を引用しながら紹介しました。
「1946年11月、ポーレーは最終報告として「我々は日本の真珠湾攻撃を決して忘れない」と報復的性格を前文で明言し、「日本に対する許容工業力は、日本による被侵略国の生活水準以下を維持するに足るものとする。右水準以上の施設は撤去して有権国側に移す」とした。軍需産業と指定されたすべてと平和産業の約 30%が賠償施設に指定され、戦災をかろうじて免れた工業設備をも、中間賠償としてアジアへ次々と強制移転させた。」
植民地支配に反対する日本を叩きのめして普通の植民地より酷い目に遭わせたいというのが、欧米の対日戦争の目的だったのです。
今後続々と対日開戦に向けた準備資料が出て来るでしょうが、欧米が結託して如何にして日本を奴隷国家に落としてしまうかについて綿密に計算して日本を戦争に引きずり込んだことがもうすぐ全容とまで行かないまでもかなり分る時代が近づいています。
日本にとって幸いなことに、偶然起きた朝鮮戦争によって米軍が日本を利用するために補給基地としての役割・・工業生産を認めるしかなくなったのは運命の皮肉でした。
この結果【永久に」再軍備も禁止されて千年単位で奴隷的に支配される予定だった日本が再び欧米に対する挑戦者になって生き帰って来たのですから西欧に取っては許せない状態です。
オランダでは、未だにオランダの植民地支配を崩壊させた日本軍を恨んでいる人が多いと良く言われましたが、西欧は衰退進行を免れないとしてもその原因を作った日本だけには資本参入させたくない感情論が強固であるからでしょう。
日本を潰すために(後白河が源氏を牽制するのに平家を利用したように)アジア人の中韓を利用するのは、(現地人同士を憎しみ合わせるのは欧米植民地支配の常套手段です)先の大戦時にまず張作霖等の軍閥や蒋介石を利用して中国て泥沼戦に引きずり込んだのと同様の戦略ですし、欧米の走狗となるのに何の痛みも感じない彼らの気質も当時と変わりません。
それに後進国による買収の場合、(インド等旧被支配民族にとっては、旧宗主国の仰ぎ見るような存在だった大手企業買収には特別な思い入れもあったでしょう)技術入手目的の買収ですから、レストランであれ葡萄園などの農園であれ、何であれ技術上位の職人が「教えてやる」と威張れる・優位に立てるので白人優位の誇りに傷つかなかったのでしょう。

西欧の長期的衰退3と中国接近5

ちなみにホンハイの買収資金は日本の銀行が出すと言う報道でした。
シャープに貸していた日本の銀行業界が若干の債権放棄して損を出す代わりに残り何割かをホンハイに借り換えてもらった結果です。
シャープ経営危機騒動をもしも放置すれば、大幅赤字→倒産・・その結果は、金融資本家の大損+解雇・・雇用不安が一般的ですが、実際には能力のある技術者を同業他社が虎視眈々と狙っているので給料分働ける人の雇用不安は起きません。
この段階で給料分働いていなかった労働者が再選別されるだけのことで、社会のスクラップ&ビルド・・活性化に資するから整理淘汰は速やかにした方が良いと言うのが私の持論です。
この辺の理は10/19/02(2002年)「会社更生法と日本経済 1(大手ゼネコン倒産の場合)」10/21/02「会社更生法と日本経済3(金融機関の倒産 2)」01/28/09「公的資金投入と自国産業保護1」に書いたことがあります。
シャープを放っておけば、金融界や資本を出した人は損をしたでしょうが、有能な技術者は遠慮なく他社に移籍出来るので、まとまった技術流出がほとんどなかったことになりますので国益としてどちらが良かったかの吟味が必要です。
(相手が友好「国」?である台湾なので国民は問題視していませんが、これが韓国・中国企業が買収に名乗りを上げていたらどう言う反応になっていたかを考えれば・金融資本救済と技術流出のどちらを選択すべきだったかの本質が分ります・・ホンハイはダミーで裏に中国企業がいるのでないかの憶測もあります)
ただし、シャープ買収が決まると日立などで早速7000人とかの大量募集を始めたので、シャープから優秀な技術者の流出が予定されますので、ホンハイは他所に逃げられないクズだけを確保する結果(ただし設備.研究のやり方などシステムをセットで入手出来るメリットは大きいでしょう)になり兼ねません。
ロンドン金融界も原発受注に対して中国企業には融資出来るが、自国企業には融資出来ないと言うことでしょうから同じ構図です。
中国は外貨準備枯渇進行(手元不如意)にも拘らず、世界中での企業買収やイギリスでの原発工事など猛烈な攻勢をかけていますが、買収資金は市場原理に合う限り国際金融市場等で調達出来るので(ユダヤ系を中心とする金融界は国益よりも取引拡大は大歓迎ですし)外貨準備が流出する訳ではない・・懐具合に影響がありません。
政治力発揮のための不採算工事受注=工事代金全額を中国政府が貸し付けたり長期採算保証する場合、国内で不採算鉄道などを無茶に施工してきたのと同じ発想です。
受注金額が相場よりバカ安くても・・新幹線の損失が出ても全部中国が負担する契約、中国が貸す金・・回収不能を見越した援助の場合・貸す額面が減るだけで実質お金の動きが変わりません・・赤字受注企業には別の補助金で補填すれば同じですから鉄鋼製品ダンピング輸出と同じ原理でやっているのですから日本がインフラ輸出競争では勝てません。
ただし赤字受注・・インドネシア,中米・アフリカ等での政治目的の無理な赤字受注は、元々市場で資金調達を予定していない→中国の自己資金を予定しますので国外の場合紙幣をすればいいのではなく、外貨準備の制約があり、外貨準備枯渇進行で自己資金をこれ以上出せなくなっていろんなところで中断しています。
自己資金で政治目的の無茶な受注が出来なくなったので、他人の金利用なのに自己資金による政治思惑投資と同じ影響力維持を狙って・・都合が良過ぎます・・始めたのがAIIB設立です。
自己資金でない以上は、誰が出すの?市場の信認がないと誰も出資しませんので、結局ポシャったままですが・・。
成長途上の先端企業買収の場合、世界市場で資金調達できるので世界先端企業を買収して先端技術がただ(他人の金で)で手に入ります。
どんなに巨額買収資金を掛けてもどうせ他国の金ですから、・・自国外貨準備が損なわれる心配がないし、技術さえ入手してしまえばその後その企業をデフォルトさせても入手した技術を返したり差押さえられる心配がないので中国に取っては技術の取り得です。
ここまではどこが最後に損しようとも金融業者にとっては仕事が増えてうれしいばかりですが、こう言うのって国益・民族益に合っているかの疑問が起きて来たのが最近世界のうねりです。
西欧で民族主義的主張が増えて来たのは、あまりにも最近のグローバル化の動き・・裏で動いている金融資本家の動きによって民族利益が損なわれ過ぎていないかの疑問が基礎ですし、アメリカ大統領選のトランプ旋風や・反ウオール街気分の盛り上がり→パナマ文書公開などグローバル資本の動きに対する反発の原因です。
いずれにせよ中期的に見れば、バブル崩壊を先送りするためにゾンビ企業の債務を無制約に拡大し、債権者を世界に広げて移し替えて行く(AIIBはその嚆矢です)中国の動きはその内行き詰まるでしょうから、誰が中国負債を引き受けて最後のババを引くかの関心になります。

西欧の長期的衰退2と中国接近4

EUを作り域内への日米企業の浸透を防いでも競争力が低下するばかり・・この後でアメリカ国内のクルマ販売シェアーを紹介しますが、西欧系はまとめて10%あるかないかまで縮小しています。
マスコミはプラザ合意直前の経済比を前提に未だに「日米欧」と表現していますが、EU全体で経済比率(19〜20世紀は粗鉱生産量や造船力でしたが今はクルマが指標指数でしょう)は1割しかなくなっています。
プラザ合意前には日本と欧州全体の生産力が拮抗していたので、日米欧の呼称が妥当でしたが、今や日米欧経済の1割に下がってしまった経済体が・・IMFその他主要国際システム・・伊勢志摩サミットで言えば首脳9人中6人を占めているのが象徴的ですが、実態とあまりにも乖離し過ぎています。
中国はこの乖離を利用して欧州諸国を各個懐柔して国際舞台で有利な地位を占めるべく努力しある程度(AIMFで日米の反対を押しきって昨秋SDR採用決定を勝ち取りました)成功していることになります。
西側諸国の主要決定会議はホンライ日米欧3者会談で良い筈ですが、何故6人も出て来るか?
欧州が実態以上に力があるかのようにみえますが、実際には、一人で出席してEU全体を代表する能力がない・首脳一人にまとめる能力がないから議長やら何やらぞろぞろ出て来る必要があるに過ぎない・・まとめる力さえないことの現れです。
日本では言えば沖縄知事が(勝手に?)アメリカに行って訴えたりしていますが、2人も代表を送れるほど国力があると言うよりは日本世論が統一出来ていない弱体化の表現になるのと同じです。
この後で書きますが日本の台頭・追い越しに焦った米欧結託による日本潰し・・プラザ合意による超円高誘導と日本の足を引っ張るための中韓優遇政策+輸入障壁構築→EU成立になったものですが、実力低下が進んでいる以上は、これを補修しないとこのような「画策」だけで防げるのでありません。
冒頭にクルマのシェアー低下で書いたように西欧全体の競争力低下が進むと・・旧植民地やアメリカへの輸出前提の19〜20世紀型企業規模・組織に無理が出る→規模縮小・施設廃棄・人員削減しないと赤字操業→資金不足の結果が現れます。
この解決のために先端技術を受け入れるのが(明治維新の日本のように)合理的ですが、沽券に関わる?とばかりに飽くまで拒み続けた挙げ句に、中国やインド、タイなど後進国からの資本受入れで凌いで来た様子が昨日紹介したネット記事からカイマ見えます。
資本不足は衰退・赤字継続の結果であって原因ではありません。
雇用や設備を守るために後進国から資本を受入れて日本との競争で負けている劣った技術・設備を維持していても、競争力が回復出来ず赤字が累積する一方になります。
後進国(比喩的に言えば技術5流)から見れば日本に負けていても(技術2〜3流の)西欧の技術はなお格段に優れているから、その技術入手のために資金投入するメリットがあり、当然虎の子の技術者に逃げられたら困るので解雇や設備廃棄どころではない・・大事にされる・・雇用が維持され遅れた機械を廃棄しないで済むのでお互いにウインウインの関係で一見合理的です。
しかし、後進国に買収してもらうのでは、競争に負けている赤字の原因を解決(最新技術導入)出来ず結果的に技術が流出し劣化して行きます。
ただ中国、インド資本等新興国企業の強みは低賃金ですから、買収資本の事業モデルを取り入れれた西欧ではこの数十年低賃金移民導入策が唯一の競争力維持政策になっていたように見えます。
シャープ買収もホンハイはシャープの技術入手目的で資本を出すのですから、買収後シャープの技術は劣化することはあってもアップすることはない・・4〜5〜8年もすれば、もっと状況が悪くなってタタ製鐵によって7〜8年前に買収されたイギリス製鉄所再売却同様の結果になるでしょう・・。
雇用を守ると言う意味は、技術者を一人一人引き抜かないでまとめて抱え込む意味・・まとめて技術流出と資金投入の引き換え取引を前提にしています。
今回中国によるイギリスの原発受注も同じで、中国はイギリスの原発製作技術が欲しくて資金を出すのであって中国が進んだ技術を提供する目的ではあり得ませんから、イギリス人技術者が中国企業の原発製造に関わっても何か学べることはありません。
資金援助を餌に受注した中国の方が一緒に仕事をすることによって技術修得するチャンスを得る目的ですから、研修生引き受け料を出してもらうような関係です。
イギリス原発製造技術に国際競争力がないならば、競争力のある上位企業・・日立や東芝・ウエスチングハウスなどに発注すれば下請けに入る現地従業員のレベルが上がり国際競争について行けますが、きちんと代金を払えないので、安値受注する中国になびくしかなかったのです。
資金援助を餌に受注した中国の方が一緒に仕事をすることによって技術修得するチャンスを得る目的ですから、研修生引き受け料を出すつもりでその分安く受注してもペイする関係ですから当然先進国よりも安く受注出来ます。
安く発注すれば、その代わり技術流出するばかりで学ぶものがなくレベルが下がる一方の関係ですから、トータルでイギリスが安く発注出来たか(安物買いの銭失いになるか)分りません。
EUの経営不振企業が後進国から資本注入してきたやり方は、「安物買いの銭失い」の傾向があるように見えます。
明治維新で日本は安く仕入れて競争せずに逆に西洋から高級技術を高く購入して競争力強化に努めたことと比較しても良いでしょう。

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