日本では、日本に対する煮え湯を飲まされるようなアメリカの悪行しか知られていませんが、西欧諸国に対しても資源獲得競争など日本に関係のなかった競合分野では、かなり悪どいことをして来たことが何となく分ってきました。
スエズ運河の国有化に象徴されるように英仏が徐々に中東の利権を失い、変わってアメリカが浸透して行きました。
アジアでも仏領インドシナと言われた地域そっくりアメリカと入れ替わってアメリカがベトナム戦争などを戦うようになって行きました。
地位が入れ替わって行くには、それぞれに固有の理由・名分があるでしょうが、結果的に追い払われたことに変わりがありません。
合理的な理由・相手の品質が良くて負けたならば仕方がないですが、資源力による非合理な値引きその他の強引な手法によって敗退したような場合には面白くないでしょう。
中国による爆買いをちらつかせて公共工事などを横から奪い取るやり方や無茶なダンピングによる市場席巻なども同じです。
日本から見れば欧米と一括りに見ているので分り難いですが、外部から見れば、親族の紐帯は堅いようでも「骨肉の争い」は熾烈なものです。
戦前戦後を通じて西欧が植民地支配を通じて確保して来た利権をアメリカが(今の中国の爆買いのように・・札ビラ・軍事力で強引に相手を押しのけるやり方でしょう)腕力に任せて強引に蚕食し続けて来たモノと思われます。
20世紀に入ってから約1世紀わたってアメリカに押しまくられて来た西欧にとっては、悲願としてのEU設立にこぎ着けて他方で中国と言う対抗馬が出て来たので出来れば中国支持に舵を切りたい気持ちになっていてもおかしくありません。
現在社会の力は生産力よりは市場購買力であると書いてきましたが、西欧にとっては有望で大きな市場は中国であり、アメリカはもはや棄てた市場と思っている可能性があります。
ワーゲンのアメリカ市場での売り上げ比率を6月8日に紹介しましたが、今や僅か1、8%ですから驚きです。
14日の日経新聞8pにはドイツのメルケル首相の中国訪問記事として「中国との蜜月関係に【変化」と言う中見出しで出ています。
従来と違い、鉄鋼などのダンピング輸出に苦言を呈し,南シナ海問題に言及するなど、さすがに甘い顔ばかり出来なくなったと言う報道ですが、そこには中国訪問が就任後九回目と言う事実が出ています。
この訪問回数の多さ(アメリカでのワーゲンの市場占有率が1.8%しかない現実・・)から見ても、ドイツの中国傾斜ぶりが分ると言うものです。
日米枢軸?と言っても安倍総理のアメリカ訪問は何回もないでしょう。
中国訪問に至っては、第二次安倍政権になって1回もないように思いますが・・。
中独の蜜月ぶりを下敷きにすると、中韓が頻りに「独逸を見習え」(アウシュビッツの記念館のようなもの・・【慰安婦記念館」【南京」虐殺記念館」を日本に作って反省の意志を示せと言うことでしょうが・・)と言う理由も分ります。
アメリカの出身母体で本来絶対的与国であるべき西欧諸国や豪州が、米中対立に関して何かにつけて中国寄りに軸足を変えて来たので、アメリカにとって今や安心出来る有力与国は世界で日本しかいなくなってしまったのが現実です。
これまでのように日本に対して裏で最大のイヤガラセをしながら、白人ではないが【名誉白人」として欧米クラブの「仲間に入れてやるから・・」「これ以上苛めないから・・」と言うだけでは間に合わなくなって来ました。
バレバレの陰での嫌がらせを少しは反省するフリを示すしかなくなって来たのが現状で、「今まで酷いことをして来たね!と反省の姿勢を、戦時中の各種書類公開解禁等によって、(政府関与の証拠がないと言う慰安婦報告もその一環ですが・・)徐々に示すようになってきました。
日本人は韓国のように相手が非を認めると居丈高に謝罪や賠償をトコトン要求する国民性でないことを良く知っていることも関係します。
日本人は、アメリカに散々煮え湯を飲まされてもそれはそれとして簡単に主従関係を変えない犬みたいな習性があります。
昨年の安倍総理のアメリカ議会演説を皮切りに戦時中の日本兵が如何に勇敢であったか、武士道的だったかなどの報道がじわじわと流れ出るようになり、他方でルーズベルトが如何に日本に対して酷いことをしていたかのアメリカ報道が増えた・・「戦争責任を謝るべきはアメリカの方じゃないか?」の報道が増えて来たのは、政府が公式に謝らない代わりの懐柔策と見るべきでしょう。
その中間締めくくりが、今回の広島訪問になったと見ることが出来ます。
日本人は「謝って欲しいと言いません」が、自然にそう言う流れになって来た・・高騰戦略の勝利です。
この辺の変化は「覇道の限界と日本の補完性7」 February 28, 2016 まで書きました。