国内外で警察・・秩序維持が必要と言うことはネット空間利用のルールや知財剽窃やサイバーテロ行為等に関するルール造り・処罰の方法・裁判手続の合意が前提として必要となります。
その意味では中国外しかどうかは別にしてこれから必要な知財等紛争処理のルール(裁判手続まで)を決めたTPP合意成立は(批准出来るかどうかは別として)重要な一里塚になったでしょう。
高度な貿易・資本自由化や知財処理手続の合意では、中国にはレベルが高過ぎる(まだ完全自由化には無理がある)から中国には参加不可能→中国外しのシステム構築と言われています。
もっと自由に泥棒を続けたい者がその取締対策会議に参加してそれを守る約束をするのはイヤ・・意味がないのは当然です。
元々中国のレベルがまだ低過ぎてTPPレベルの規制は意味がないことは、承知の上でTPP交渉が始まっていました。
例えば東大の合格ラインを5点引き上げてもっと高度な大学を作ろうと言う場合、もともと4〜5流の私立大にも合格出来そうもない受験生には関係がないのと同じです。
TPPが成立すると、資本自由化の徹底その他知財等の高度なルールを守る気のない中国が除け者・・国際社会の落第生のイメージが明からさまになってメンツ丸つぶれになるので、TPPの成立をいやがっている中国を気にして韓国は不参加を表明していたのは当然と言えば当然です。
オバマの「世界の警察官をやれない」と言う意味は、国内だけルールがあれば良い、対外関係は弱肉強食で勝った方が相手を支配し奴隷化しても良いと言う西欧近代のやって来たルールに戻すべきと言うのでしょうか?
しかし、今やアメリカ企業も海外取り引きをしないで引きこもり・自国市場だけではやって行けません。
海外取引に際して相手のルール違反行為、あるいは海外からのサイバー攻撃で企業秘密を盗む勢力に対して国外の犯罪は関係ないと言い切れる時代ではありません。
モンロー主義時代のように太平洋や大西洋を隔てた遠くの大陸と言う特別な関係はありません。
結局は自国・アメリカ企業を守るためにも,1国主義は無理・・国際ルール造り・その裁定基盤(司法機関設置)が不可欠です。
国際ルールを作る以上は、これを守るようにする仕組みが欠かせません。
TPPが発効すると知財や資本規制関係の損害賠償事件はアメリカの裁判所に握られてしまうと言う反対論が多いですが、ルールを作る以上司法基盤のそろっているどこかで裁判して決着付けるしかない(・・今もいろんな国際司法決着はスイスやオランダなど欧州に集中しているのは基盤が充実しているからです)のは当然です。
この決着ルールがないから、アメリカが(国際合意手続を経ない)国内法を作って(・・最近では、対日関係では、不公正為替操作指定国認定の脅しが始まっています)イラクなど気に入らない国を指定して資金凍結したりするしかない・・乱暴なやり方になっている・・他方で中国の場合いくら違法行為をしていても相手が大き過ぎて全面資金凍結などの制裁を中国には出来ない・・中国がやりたい放題になっているのです。
TPP発効で個別案件ごとに賠償請求して行く・・これのやり方をデュープロセス・・国際合意に乗せるのは良いことです・・アメリカも独善的と言う国際批判に対する緩和材料になります。
警察官をやれないと言う意味は軍事力と切り離した警察力・司法機関不要までは意味しないし、警察や裁判制度維持資金を一人で出せないと言う程度の意味でしかありません。
アメリカは軍事力を背景にある程度強引なことをやって来たのですが、実はこう言うやり方は総合収支で見ると損をしているのが普通です。
だからこそ資金力のある期間(小さな同業組合の場合事務局を自企業の事務所で無償運営するなど)しか、昔からヘゲモニーを握れません。
いろんな同業組織の会長企業も、情報が早く入るなど少しは良い面もありますがトータルでは事務局負担など持ち出しが普通です。
ムラの有力者もお祭りで良い席に座れるものの、それ以上に多くの寄付をしたり会合場所を貸したりするのが普通です。
あるいは有力者が1つの方向を決めて組織を引っ張って行こうとする場合、先ず自ら(損な役回りを引き受けて)率先実行するしかないのが普通です。
日本で言えば、大平総理の急死の後を受けて鈴木善幸氏が総理になったとトキに、国鉄の赤字累積の解決が大騒ぎになっていて赤字の元凶である過疎地路線の切り離しが対症療法として俎上に登っていました。
鈴木善幸氏が自分の地盤である三陸鉄道だったか民営化・第三セクター化を率先して引き受けたことがあります。
蜥蜴のしっぽ切りでは間に合わないことから、次の中曽根総理のときに国鉄本体の民営化が断行されたのですが・・。
日本では世話役が先ず損な役割引き受けられるほどの度量と言うか力・(不利な役割を引き受けても地元が文句を言わない程度の信頼力)余裕を持っていないと前に進みません。
幕末会津藩も、幕末に京へ2000人規模の兵を進駐していたのですからもの凄い財政負担でしたが、それでも領民が一揆を起こさない信頼関係があったことが重要です。
佐倉藩堀田家は代々老中を出す家柄であった関係で田沼時代などに印旛沼干拓など幕府・公共事業を次々と引っ張り出すことに成功しています・・どれも洪水などで失敗に終わりましたが・・他方で佐倉宗吾郎の一揆事件が起きたのは、代々幕府役職に就くことによる自己負担が大き過ぎた割に・・領地替えがあったなどで地盤培養関係が弱かったことに遠因があります。
中国は自分がAIIBで主役を張りながら、自分の持ち出し以上に我田引水しようとするから無理があるのです。
トランプ氏の選挙スローガンは出すものを出さないで自分の言い分だけ通したいと言う子供のような主張・・こう言う主張は大衆受けし易いのは確かかも知れません。
資金分担が減って行けばそれに比例して発言力が下がりますから、それで良いかの覚悟がいるでしょう。
覚悟があろうとなかろうと金ドル交換停止のニクソンショック以降のアメリカは客観的に何でも気前よく自己資金を出せる状態でなくなっていることは確かです。
その意味では、トランプ氏が【現実を見よ!」と国民にその覚悟を問うているのかも知れません。
巨大な軍事力も、借金ではないけれども防衛してやると言う名目で?駐留先に一定の負担をさせて自国経済力で維持出来る以上の軍事力を維持出来て来た点では根本が同じです。
25年も前の湾岸戦争で日本が巨額出資を求められたように、アメリカは国際紛争解決のための資金(軍事力だけではなく警察・裁判システム維持)を自分だけで出し切れなくなって来ていることは確かです。
以下6月18日現在のウイキペデイアの「湾岸戦争」の記事からの引用です。
「湾岸戦争(わんがんせんそう、アラビア語: حرب الخليج الثانية)は、1990年8月2日にイラクのクウェート侵攻をきっかけに、国際連合が多国籍軍(連合軍)の派遣を決定し、1991年1月17日にイラクを空爆して始まった戦争である。
アメリカ合衆国議会の計算によると、アメリカ合衆国はこの戦争に611億ドルを費やした[42]。その内約520億ドルは他の諸国より支払われ、クウェート、サウジアラビアを含むペルシア湾岸諸国が360億ドル、日本が130億ドル(紛争周辺3か国に対する20億ドルの経済援助を含む)[43]、ドイツが70億ドルを支払った。サウジアラビアの出資のうち25%は、食糧や輸送といった軍へ用務という形で物納により支払われた[42] 。多国籍軍のうちアメリカ軍部隊はその74%を占め、包括的な出費はより大きくなされた。日本の戦費供出も、当時の自国防衛予算の約3割にあたる多額の支出が行われた。」