IMF・西欧の中国接近(貧すれば鈍する)1

5月20日に紹介したようにフォルクスワーゲンが、この半年あまりの販売増に気を良くして?増産投資に走るのはどう言う理解でしょうか?
経済失速する前にシエアー拡大しておきたいのかも知れませんが、失速が見えているならば規模拡大をセーブして体力を温存しておく方が合理的です。
例えば出店拡大→有能セールスマンや料理人を散らばせて各店舗の能力を手薄にしてからの業界規模縮小になるよりは店舗数を減らして精鋭で固めておけば不況耐性が高まります。
中国の不況対策・国内投資政策への協力を求められて(当然相応の見返りが約束されているでしょうが・・)断れないだけも知れません。
無駄な投資をしてしまうと市場原理では維持出来ないので政府のご機嫌次第になる・・言うことを聞くしかなくなるようにするのが中国の狙いでしょう。
中国のこけ脅しに眩惑されて内部では早くも衰退が始まっていたのに気付くのが遅かったのは、西欧諸国は地理的に遠いせいと言う印象をマスコミが報道してきたのでそのまま自分の意見のように思っている人が多いでしょうが、実際は違うでしょう。
利害関係が少ない結果、フリージャーナリストなどの個別調査報道が少なくなるの必然ですが、日本人の私でも中国へ最近行っていないし身近に行った人もいません・・、中国の衰退予測は統計情報とこの信頼性に関する情報の総合判断によるのが普通です。
情報量では西洋も日本も大差ない筈・・IMF理事も英国の財務相も皆同じ・・情報分析によるとすれば、素人の私よりプロには早く正確な実態情報がはいっている筈です。
まして、中国発の資源購入激減による資源価格暴落が始まって長期間経過しているにも拘らず、中国の無礼を許し大歓迎する意図・・僅か数ヶ月後に外貨準備急減が常識化するまで情報のプロが知らなかったとは言えません・・敢えて知らないフリをして歓迎したい西欧諸国の裏事情があったと言うべきでしょう。
中国得意の裏からの個人攻勢・・ハニートラップ等が幅広く汚染していたと言う勘ぐりも現実味がありますが、リーマンショック以降ジリ貧傾向が顕著な西欧にとっては中国を当て馬にして対日米交渉力アップに賭けているし、中国もアジアでの横暴批判されて孤立している点で同じ思惑・・相互利用関係になっていると見るべきでしょう。
そのうえ西欧にとっては、中国によるアジアでの領海侵犯や横暴行為には何の利害もない気楽さがあって中国の嫌がることの仲間入りしたくない姿勢になっているように見えます。
香港での民主制を中国本土並みに抑圧しようとする中国政府の介入に対する市民の抗議行動・・雨傘運動だったか?の高まり・・従来ならば西欧諸国が重大な関心を抱くテーマでしたが、だんまりのままでした。
その後香港の書店主や中国批判して来た人が香港や出先のタイなどで行方不明になり、大騒ぎになってからいきなり中国国内で現れて自分の意志で行っていたと発表する奇怪な事件が相次ぎましたが、日本の人権団体は元々中国の人権侵害には関心がありませんが、西欧の人権団体も何の反応もありません。
結果的に香港の人権運動は収束?本土の支配強化の浸透で終わった状態です。
中国本土の直接的支配になって来ると本来は英国との1国2制度を保障した返還協定違反ですが、この騒ぎのときに当事国である英国は何らの意思表示も出来ませんでした。
西欧諸国の中国への接近・遠慮は露骨ですが、この辺はウクライナ問題で孤立しているロシアが中国を頼りにするしかなく、接近しているのと同様の事情でしょう。
ロシアは中国の軍事パレードに参加しましたが、西欧諸国はそこまでは接近出来ない・一線を越えられない違いが出た・・まだ日米勢力に留まるが交渉力を補強するための中国カード利用程度と言う意思表示です。
この意味では軍事パレードに出席までしたパク大統領の突出ぶりは異様・・国際政治の機微が分っていないか、余程中国に(反日暴動で日本を閉め出したようにパレード参加しないと韓国企業を中国から閉め出すことなど簡単だと)脅かされていたかのどちらかでしょう。
従来人権侵害等のカドで、世界で孤立した北朝鮮やベトナム、ミャンマー、キューバ、アフリカの独裁・大量虐殺国家等孤立化した国のみが中国とよしみを通じていたのですが、韓国は孤立していないのに自分から日米の制止を振り切って中国陣営に積極的に参加して行ったのは、反日の後を埋めて進出した結果対中貿易比率25%・貿易黒字が628億ドルにも達していた・中国の優遇によって搦め捕れてしまった・・市場追い出しの強迫に負けたからとしか言いようがありません。
強迫に負けて日米への義理に反してでも、恥も外聞もなしに中国べったりになっていたものの結果的に対中貿易黒字が12%もの激減になってしまった韓国が急拠アメリカのマースの配備を認めるなど米国陣営回帰を決め,日韓合意を成立させました。
中国は自国企業と競合するようになった韓国企業優遇を続ける余裕がなくなったからです。
この辺はアジア・アフリカ諸国その他に対する援助約束の実行資金枯渇に比例して中国離れが起きているのと根が共通です。

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