資源+生産力から消費力アップへ1

世界が無視出来ない購買力は人口×一人当たり消費力ですが、アメリカの一人当たり消費力がジリ貧になって来ると、アメリカの発言力が中国並みに人口数で勝負するしかなくなります・・そうなると中国、インドとどう違うかです。
コクミンのための政府であるならば、コクミン一人当たり購買力を増やす・・基礎的能力・所得アップが本来ですが、それが困難なので安直に出来る移民受入れ=逆に基礎的能力低下政策・人口増で対応して来たのが欧米諸国政府です。
日本はニッポン民族のためにあるのですから、移民・貧しいコクミンを増やして基礎的能力低下を見ないことにして購買力を武器に海外で威張る・・中国や欧米の真似をするのに私は一貫して批判してきました。
西欧諸国は移民受け入れによる消費人口を増やす政策→所得不足分を貸し付ける・金融政策でやってきましたが、その咎めが出て来たのが昨今のテロ増加現象ですし、アメリカの格差拡大現象もその根っこは共通です。
アメリカが資源+工業力ミックスの成果を享受出来たのは第二次世界大戦前後がピークで、その後は勢いだけで戦後70年も持ちこたえて来たのは、消費人人口増加政策=移民受入れ政策によるところが大きかったと思います。
私が世界情勢に関心を持った中学時代(1950年代初頭)の記憶ではアメリカの人口は約1億5000万人でしたから、約3億の最近の人口は約2倍です。
1980年以降しか出ていませんが、以下はhttp://ecodb.net/country/US/imf_persons.html世界経済ネタ帳からの引用です。

年 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989
    227.62 229.92 232.13 234.25 236.31 238.42 240.59 242.75 244.97 247.29
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999
    250.05 253.39 256.78 260.15 263.33 266.46 269.58 272.82 276.02 279.20
年 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
     282.30 285.22 288.02 290.73 293.39 296.12 298.93 301.90 304.72 307.37
年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
     309.76 312.07 314.39 316.70 319.13 321.60 324.33
単位: 100万人
※数値はIMFによる2016年4月時点の推計

先進国に限らず韓国や中国上海でも、中所得以上になると出生率低下に悩むのが共通ですから、アメリカに限って人口が減るどころか増えているのは若者で且つ低所得層中心の移民によるものと考えられます。(いわゆるワスプの人口比率は急減している筈です)
この間、一人当たり国民所得がそれほど下がった訳ではありません・・国家全体では石油メジャーや金融資本家の所得が多いのですが、資本所得は一般コクミンに還元されないから中国など底賃金国との競争で、工場労働者等の賃金が下がる一方で多数を占める庶民の購買力が下がる一方になります。
一人当たり購買力が半分になっても人口倍増になれば合計が同じですから、アメリカは工業力の空洞化(中産層の没落)所得減→購買力減の穴埋めに貧乏人でも・・人口増で対応して来たことが分ります。
この場合格差拡大→庶民の購買力が下がり続けるので、福祉(失業保険やフードスタンプ等)社会保障関連の財政支出増+消費者金融による購買力下支えシステムが併用されます。
社会保障政策だけでは財政が持たないので、消費者金融による穴埋めが盛んになり・・この頂点が(我が国ではサラ金地獄が社会問題になりました)サブプライムローンでした。
サラ金問題最盛期の03/24/09「消費者信用と社会福祉1」以下でサラ金問題は社会保障不備の問題であると書いたことがあります。
他方財政赤字に関して言えば、クロヨンと言われるようにサラリーマンに対する徴税は簡単ですが、資本所得の徴税はタックスヘイブンなどがあって難しいので、財政支出増加に直面しているのに逆に主な徴税対象であった中間層の激減は国家財政には脅威です。
これが国家経済的にはアメリカでは1980年代以降長年、双子の赤字が議論されて来た基礎状況でしょう。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC