ダイジェスト報道5と正確(中立)性担保4

政府判断の裏付け資料などの高度な議論内容をキチンと理解出来るレベルの人材がマスコミに必要と思いますが、人材の切磋琢磨や公正中立と言う精神論だけに頼るのは無理があるので、合理的な競争が必要です。
マスコミが難解・複雑な議論過程を理解出来ないで、焦点からずれた紹介をしたり、(または意図的に?)間違っていても誰も知ることすら出来ずこれを批判出来ないのでは国民の不幸です。
・・「きちんと資料や議論経過を見てないのじゃないか」「ミスリードではないか?」と言うマスコミ批判を出来る別のシステム構築が必要です。
2月4日の日経新聞19p「大機小機」には池田勇人氏が通産大臣を不信任決議されたときの「失言?」の正確な文言と当時同大臣発言を批判していたマスコミ報道とはかなりかけ離れていたことが紹介されています。
約半世紀も経過した今頃紹介しても、そのときの政治決定(一定勢力)を導くために虚偽報道で応援していたことになりませんか?
中立を装ったマスコミが気に入った意見や事件・テーマしか報道しないので、国民は報道された範囲しか分らないので、マスコミによって無視された事象を知ることが出来ないし、事実を知らない以上は議論することすら出来ませんので、マスコミの報道独占は国民の自由な判断権を奪っています。
エコノミストや◯◯文化人と言うのは言わばマスコミの関係者・・言わばスポーツ担当記者をレベルアップした分野ごとの記者のような役割ですから、経済現象で言えば、エコノミストが理解出来る限度とその(マスコミが期待する偏った?)立場で採用された限度しか書いていません。
スポーツでも芸能分野でも担当記者の基礎知識不足や思い込み(偏った立場)によって誤った記事がその道の人に言わせれば結構ありますが、政治や経済と違って複雑性が低いのですぐに分ることがある上に,影響が特定個人や企業の損失でしかありません。
政治・経済に関しては政府発表を正確に理解出来ないで、(あるいは政府と意を通じて敢えて)間違って報道しているかどうかすら読んだ人にはすぐには分らない・・その上、慰安婦騒動を見ても分るように誤っていると結果が重大です。
膨大なデータ付きの各種白書・・審議会や調査会の議論経過などを国民が或る程度直截ネットでアクセス出来る時代が来ているとしても、何時間も掛けて読む暇がないし、各分野ごとの専門用語を理解し切れない(あるいは慣れていないので時間がかかる)のでダイジェスト版としてのマスコミ発表の影響が甚大です。
マスコミが詳細記録そのまま100%発表することが出来ないのは当然ですが、国民の知る権利を保障するには、そのダイジェスト版作成能力にかかっています。
マスコミの中立性のテーマで10年ほど前に書いたことがありますが、中立などと言う訳の分らない無理な要求をするから却って不明朗・中立っぽく一定方向への誘導が起きるのであって、中立以前のマスコミ人・・周辺人材・・エコミストや文化人の能力不足によるミス報道でさえ、誰も訂正要求することが出来ない点に問題があります。
現在は政府機関紙や政府放送局がないので、政府記録は、ナマの会議録などがそのまま発表されっ放しになる・・国民は自分で知りたければ詳細な開示記録に直截あたるしかないのが却って不便です。
上記のとおり何もかも政府によって開示されると却って詳細過ぎて、専門家でもそのテーマを仕事にして担当している人以外には、(法改正で言えばこう言う改正の動きがあるらしい」程度の理解がやっとで何十〜何百時間も掛けている審議会のやり取りを読む暇はありません)読む時間がない・・まして素人には殆ど手に負えないのが普通です。
中立などあり得ないことを求めないで、マスコミは一方の立場を明らかにして,その立場によればこうなると言うそれぞれの主張を明らかにして報道して貰い、国民が、双方のダイジェスト版を見比べてどちらが正確か、争いになっている点だけ公的機関のホームページ等で確認すれば良いので合理的です。
ただ、マスコミは殆どの場合一致して一方の立場の報道している場合が多いことを昨日まで書きました・・、殆どの場合、マスコミ間の市場競争がありません。
このシリーズはこれでおしまいにするつもりでしたが、新たなマスコミによる言論批判事件が発生したので、市場競争がないことについて昨日発生の新鮮素材ですので、追加版として今日から明日以降書いておきます。
福島原発事故に関して年間許容基準策定は、科学根拠のない政治決定基準に過ぎないと客観事実を発言した環境大臣が「つるしあげに」あって昨日陳謝に追い込まれました。
過去何十年も慰安婦否定発言や、植民地支配に関するマスコミ界で流布している意見に対する異論を政治家が述べると,その度にマスコミ界はこぞって「妄言・失言」と称して大臣罷免を要求してきました。
実際に罷免されたか辞任に追い込まれた大臣もいますので、以下マスコミによる「失言」追及について書いて行きます。

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