サイレントマジョリティ20(投票率9)

昔から「鼓腹撃壌」を理想社会と言うように、争点があって百万人単位のデモ行動が連日のように起きて、大騒ぎになっている社会で投票率90%になるような政治・社会は実は理想ではありません・・みんなが自分の選んだ代表を信用しているから、お任せと言うのが平和で良い社会です。
左翼が勢力を伸ばすと対抗的に右翼が台頭するのが普通で、「対立が激化すればするほど政治意識の高い優れた社会だ」と賞讃するのは◯◯カブレの「知識人」だけです。
何事にも対立が激しく・・その結果政治関心が高まって投票率の高い社会は、逆に政治がうまく行っていない社会です。
重要なことは、多くの人がいつでも参加したければ大した負担なしに出来るように、投票制度が開かれていることかどうかです。
そのためには投票することが負担にならないように、休日に設定するとか、出先・・どこでも出来るようにする・・いろんな障壁をなくして行く必要がありますが、簡単な電子投票制度が普及すれば、(病人も足腰の悪い人も簡単投票出来ます)棄権率がかなり減るでしょうし、それでも棄権する人は分らないか、関心がないのだから政治は関心のある人で運営すればいいとも言えます。
要は関心を持った人が簡単に参加出来るシステムかどうかです。
開かれた社会を前提にすると投票率が下がる程、関心事項の多くない社会はもめ事の少ない安心社会・住みよい社会になります。
普通のゴミ保管場所に大した関心がないのに、放射性廃棄物の保管場所だから千葉に来るのはイヤとなるのであって、・・関心の高い事項と言うのは、あまり有り難くないことが多いのです。
関心があれば参加率が上がることを前提に、株主総会や取締役会、マンション管理組合その他殆どの組織での決議要件は、原則として株主や構成会員の何%を基準にするのではなく、何割以上の定足数や出席者の過半数による決議とか、何割以上と決めているのが普通です。
マンション建て替えや、旭化成による杭打ち不正によるテーマなどになれば、そのマンション住民の集会参加率が上がるでしょうし、何もないありきたりの決算報告集会程度になると(監査法人などプロのチェックに任せておいて良い)殆どの人が欠席してしまいます。
国民や会員はそのときどきのテーマの重要性に応じて出欠態度を決めているのですから、一律に投票率や出席率が低いと・・政治意識が低いと言うものではありません。
もしも全株主の過半数の賛成決議がないとすべて無効(不信任)と言い出したら、どこの会社も運営出来なくなります。
これは日本特有の決議要件ではなく、世界標準です。
有権者の数に関係なく、得票数の多い方を当選者とする現行選挙法は、現在世界中の組織運営の原理から言えば、出席しない人は出席者の多数意見に一任する意思表示と解釈するのが合理的であると言う国民あるいは世界中の合意を前提にしていると解すべきです。
選挙に参加した人の中で多くの信任を得た人が投票しなかった国民を含めた信任を得たことになるのは不思議でも何でもありません・・合理的制度です。
これを逆に(関心があればいつでも参加出来る組織の場合)不信任と評価するのは世界のあらゆる組織運営原理を根本から否定するものであって、余程合理的実証研究の結果でないと、学者としての公式発表で軽々しく言うべきではありません。
繰り返しお断りしているように仕事外で、個人的思いつきを書いているこのコラムとは、訳が違います。
ただし、反対運動に反対することが出来ない閉鎖的集団の各種反対運動の場合は参加者の数が重要です。
ゴミ処分場その他公聴会に熱心に参加するのは反対派の人だけであって、どうでも良い・・・あるいは自宅の近くに来るのはイヤだが、だからと言ってどこかで引き受けるしかないとすれば、反対していいのかよく分らない人などお任せ系の人は元々参加しません。
(へりくだって?)分らないと言うと「バカ」扱いして「遅れているから教育してやる」と言うのが左翼系文化人の発想ですが、簡単に意思表示しない人こそ思慮深い態度と言うべきでしょう。
・・・杉並ゴミ戦争の例を見れば分るように「エゴ」ばかり主張する人が進んだ?立派な人ではありません・・。

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