内需拡大には買い物するだけの資金蓄積(輸出よりも輸入を増やす・・貿易赤字の覚悟が必要ですが・・真水の外貨準備が少ない?)これがないので資金不足対策として昨年秋から毎月のように金利引き下げその他金融緩和してきましたが、どうにもならなくなって来たようにみえます。
このギャップに苦しむ現政権は、長期的視点による政治をする余裕がなくなって、国威発揚(中華帝国の栄光復活)を宣言したり・・反日暴動や海外向けに軍事強迫したり、資金対策として次々とAIIBやブリックス銀行・中央アジア何とかなど国際機関を設立しては外資導入をはかっていましたがうまく行かず、最後は人民元引き下げによる開き直り策の併用しかなかったのでしょう。
苦しくなると一致団結する社会・・信頼で成り立っている日本とは違い・・国民同士と国民と国家間で信頼のない中国・・強権社会の弱みです。
通貨の切り下げによって輸出を増やしても、経済減速の緩和程度がやっとで成長までは期待出来ない・・比喩的に言えば1000万人失業発生を900万人に押さえる程度?・・で、他方で結果的に国民全般が輸入物価高に困る状態に陥る可能性があります。
輸入物価上昇・・購入を手控えて生活水準低下に終わる・・クルマもスマホも買えない階層が増える(・・・4月以降実際大幅販売減少になっています)結果になるだけかも知れませんが、それが実力ならば、悪あがきしないで大人しく受入れるしかないでしょう。
不満のはけ口として中華帝国の栄光を宣伝するのは逆効果・・国民に「自分たちの実力はこんなものだ」と実態を素直に理解してもらう努力の方が必要です。
ただし、プロの間では中国の将来性がないとしてジリジリと資本流出が続いていた・・人民元実勢相場は下がっていたのですから、どうせ実勢を反映してジリジリと資本流出が続いているなら、「この際思い切って、公式レートを実勢に合わせた方が輸出が増えて徳だから!」と言う読みで公式レーを連日下げ決定の理由なのかも知れませんが・・。
あまりにも今回の切り下げは世界的ショックが大きく=巨額資本流出に繋がったので(すぐには分りませんが大分後になって、この1週間でどれだけの資本流出があったか明らかになるトキが来るでしょう)驚いて3日で中止するしかなかったと推測されます。
今回株価暴落と通貨切り下げ騒動の教訓は、「市場のことは、市場に任せた方が合理的だ」と自己証明した結果になります。
以前からネット上で危険と言っている人はミニコミでしかなく、マスコミは中国礼賛一色でしたが、今度こそはマスコミも「窮余の策」とかの表現で中国の苦しみを正面から報道するしかなくなったようです。
マスコミ報道を信じている人の方が多いのですから、株式暴落と人民元切り下げショックは中国に対する世界的評価の切り替えエポックになった筈です。
アメリカの信認が下がった金ドル交換停止のニクソンショック〜変動相場制移行のスミソニアン合意みたいな効果があったでしょう。
今回の切り下げ騒動で8月14日には、早速原油相場が大幅下落に転じています。
即ち中国の経済活動と原油相場は、見事に連動して来たのですが、(この辺の意見は11日に書きました)為替を露骨に切り下げるしかないほど国内が追いつめられている・・経済実態が悪いと世界的に認識された結果、原油需要も相当下がる見通しになって来たことによります。
欧米的・・自由主義経済政策に対する中国独特の政策ドクトリン(社会主義市場経済と言う1党独裁下の市場)があると強弁していましたが、今回の株価暴落と通貨切り下げ騒動はその敗北を証明することになります。
私には、権力者が勝手にやりたい・・専制王朝を共産党の1党独裁・集団指導体制に変えただけのように見えていましたが、中国礼賛論者は・・ブリックス銀行設立や中央アジアなんとか機構〜AIIB設立など全て、欧米的価値観への挑戦として賞讃していました。)
勿論合理的視点・中国政府の名分で言えば、為替相場実行レートに合わせた・・国際経済ルールに合わせただけで何が悪いの?・・遂に中国の限界が来たと騒ぐのは中国キライの悪乗りが過ぎると言うことでしょう。
しかし実効レートに合わせたと言うならば政府が好きなトキに決めるのではなく、それこそ自由な市場取引に任せるべきです。
日本等先進国が行なっているような変動相場制を基本にし、急激な相場騰落に臨時にブレーキをかける程度にすべきです。
独裁政権も専制君主も絶対王制や戦国大名も長期的には民意無視することが出来ないことは歴史が証明していますが、だからこれも民主主義制度だとは言いません。