中国のバブル崩壊14

政治の世界で言えば、民意を無視出来る独裁制の場合急激な変化でポッキリ折れるのと同じで、民主制の利点はコマメに民意を反映出来る点にあることをJuly 14, 2013〜「民意に基づく政治4(大統領制と議院内閣制3)」July 16, 2013等で以前書きました。
韓国等の任期制大統領制は、選任するときだけ民意反映ですから、(任期中は民意を反映しなくても政権が保障されているので、その分退任時に不満が大きくなっていることも書きました。
(韓国の総理は朴大統領就任後すでに5人目の引責?辞任になっていますが、大統領の地位は法的に保障されていることを2015-5-1「覇道支配の終焉2」で書きました)
中韓は後発新興国のように金利引き揚げまでは必要がない・・それなりに体力があるので、金利を下げることが出来ていますが、日米のように思い切ったゼロ金利にするには体力的に無理があることが分ります。
日本の巨額スワップ保障を利用して格安為替操作して来たと推測されますが、日本の後ろ盾がなくなって今は出来なくなったのです。
中国の場合バブル崩壊で大変な状態になっているのに、5月8日に紹介したように中央銀行金利では5.35%もの高利(銀行金利になるとそのまた何%も上です)でしか借りられない状態です。
タマタマ今朝の日経朝刊第1面と7ページでは、不景気の進行に中国が堪らず?昨年11月から三回目の金利引き下げ決定したと報道されています。
マスコミは中国贔屓ですから、景気下降を止めるためとは言わずに(高度成長から)「安定成長へ決意」したと大見出しです。
一般的に安定成長路線へ舵を切ったと言えば、高度成長・・景気過熱を引き締める場合に使う用語ではないでしょうか?
実質は(本当はバブル退治のために金融気締めが必要なのに)景気底割れしそうでどうにもならないので、これを防いで何とか「安定成長期待へ」と言うべき内容ですから、噓ではありませんがこう言う小細工をするのが日本マスコミです。
今朝の日経朝刊によると、日本の公定歩合・基準金利にあたる金利を0.25%さげて5.1%、日銀預け入れ金利にあたる準備金金利が2.25です。
中国のバブルの規模・深さは先送りし続けて来た分に比例して半端はありません。
しかし引き締めするのが怖くて未だに公定歩合が5%台と言うのですから市中銀行の貸し出し金利の高さが想像がつくと思います。
公式統計に出ませんが、実際にはインフレ亢進中・だから国際競争力を無視した大幅賃上げも進むのでしょうが、ブラジル同様に大変な事態がじわじわと進行していることが分ります。
5月6日の日経新聞朝刊第1面には中国の自動車市場では、5000万台の製造能力があって、2500万台分も過剰設備・・5割しか操業出来ない状態で、値引き競争激化が紹介されています。
不動産バブルは2年ほど前に実際には崩壊していると言われていましたが、これによる景気底割れを防ぐために2戸目のマンション購入を認めるようにしたり(投機目的購入を政府が奨励するのですから、政府の矜持・理念も何もあったものはありません)需要のない鉄道建設に邁進して世界一の線路延長を自慢していましたが、(マスコミは中国の困った事情を一切報道しませんが)ネット報道では空席だらけの中国版高速鉄道が走っていると言われています。
こんな無理は、いくら民意無関係の独裁制でも長く続く訳がありません。
粗鋼生産量が国力基準になると知ると、需要無視して大規模な高炉建設を続けて採算割れ・野積みされた鉄鋼品を海外輸出をして世界価格を暴落させていました。
5月8日の日経新聞朝刊7ページには採算度外視の鉄鋼製品がアメリカに輸出されていて、アメリカ業界が困っている状態が報道されていました・・。
14年には13年比38%も輸入が増えたこと、主に中国からの安値鋼板が輸入されているために国内価格が13年に比べて14年には3割も下がってることなどが報じられています。
中国のバブル崩壊に関しては、May 16, 2014「中国のバブル崩壊14と虚偽宣伝の破綻6」まで連載しましたので、今回はそのその続きになります。
石化製品その他いろんな分野で需要無視の設備投資しては、赤字輸出で価格破壊をしていました。

民意を反映する政治(任期の短さ)

我が国は古代から季節の微妙な移ろいに感じては歌を詠み、(たとえば「秋来ぬと目にはサヤカに見えねども、風の音にぞ驚かれぬる」中高校生時代のうろ覚えの記憶ですので間違いがあるも知れません)日々の温度差によって衣類(色柄までも)や食事内容を変えて行く、日々調整している社会ですからコマメな変化に対応する文化が根付いています。
フランス革命を自慢すること自体民意無視政治が長過ぎた・恥ずかしいことだと言う意見をこのコラムで書いてきましたが、日本では気配り社会ですから革命が起きるほど民意の不満が蓄積するまで放置することはありません。
赤ちゃんが泣く前におむつを取り替えたりミルクをやったりするのが日本の母親です。
ボトムアップ社会ですから、指導者が引っ張る必要もないし、無理に引っ張れば不満が出ます・・ヒーローも必要がありません。
松平定信の改革が国民の不満が強く短期間でお役御免になったり、天保の改革の水野忠邦も同様でした。
民主主義と言う大げさな観念のない徳川時代でも、実際の政権担当者・老中(若年寄りも合議に参加すること以前紹介しました)構成員・今の内閣に似た合議体ですが、概ね数年前後で順次変わって行く社会でした。
歴史上有名な、新井白石(正徳の治・・1710年の正徳元年〜1716年吉宗就任まで)や田沼(明和4年(1767年)から天明6年(1786年)まで20年間・寛政改革の松平定信(1787年から1793年)や天保改革の水野忠邦(1841年(天保12年〜14年)政権時代と言っても、そんなに長くありません。
田沼政権は家柄出身(紀州徳川家足軽出身)でもないのに、20年も長期政権を維持出来たのは、出自の故に?気配りが利いて民心の機微を察知してその都度軌道修正する柔軟性があったからかも知れません。
田沼の失脚は(将軍死亡で失脚ですが実態は)天明の大飢饉等気象状態悪化によるものでしたが、凶作対策は一朝一夕の政策変更でどうなるものでもないので、(たとえば寒冷化に強い稲の品種改良等には長期間を要します)彼の失脚を狙う勢力に負けてしまったと言えます。
次の改革者松平定信は、自分の領内で飢饉用に食糧備蓄していた功績を買われたもので、現在の財務官僚好みなので、歴史教育ではこれを大きく取り上げて、積極政策をして来た田沼の悪口ばかりですが、定信のやったことは結局、倹約・・財務官僚やIMF官僚の好きな緊縮政策だけです。
質素倹約を訴えるだけなら誰でも出来ます。
庶民生活が発達している我が国では、彼の緊縮一点張り政策は庶民生活窮屈さ(派手な衣類からお歌舞伎や書籍出版まであらゆる分野で禁止して・戯作者を手鎖の刑にした)や経済不振に直結しますので、民意の支持を失ってすぐに失脚しました・田沼のような軽輩出身ではない将軍家の血筋そのものであっても無理が出来ない社会・・民意重視社会であったことが分ります。
※「白河の清きに魚は住みかねてむかし濁れる田沼恋しき」とか「世の中に蚊ほどうるさきものはなし、文武文武(ブンブブンブ)と夜も寝られず」などの政権批判が多く出たのは彼のときです。
以前から秀才にはロクなものがいないと言うのが私の持論(私自身秀才でないのでやっかみもあります)であちこちに書いてきましたが、定信は超エリートの田安家出身で若いころから秀才の誉れ高いホープでしたが、秀才は書籍で得た知識中心ですから、財務官僚好みの「贅沢は敵」程度の簡単ロジックを深く学んだ程度の能力はあるでしょうが、自己創造性の必要な政治家向きではないことが分ります。
政治家の任期に戻りますと、田沼時代を除けば、戦後の最長不倒政権と言われる佐藤栄作で8年、中曽根、小泉政権でもせいぜい5〜6年前後しかないのと似ています。
マスコミや文化人から(暗黒の)非民主時代と非難されている明治憲法下・・戦前の内閣ではもっと政権は短命でした。
以下歴代内各年表を見ておきましょう。
http://www.pat.hi-ho.ne.jp/hirosilk/naikaku.htmからのコピーですが、ふりがなその他の主な出来事に付いては一部省略しています。
第1代  伊藤 博文   1885-1888   内閣制度発足
第2代  黒田 清隆   1888-1889   大日本帝国憲法発布
第3代  山県 有朋   1899-1891  
第4代  松方 正義   1891-1892  
第5代  伊藤 博文   1892-1896  第2次
第6代  松方 正義   1896-1898  第2次
第7代  伊藤 博文   1898-1898  第3次
第8代  大隈 重信  1898-1898  第1次
第9代  山県 有朋  1898-1900  第2次
第10代  伊藤 博文   1900-1901  第4次
第11代  桂 太郎   1901-1906   第1次
第12代  西園寺公望    1906-1908   第1次
第13代  桂 太郎      1908-1911 第2次
第14代  西園寺公望   1911-1912  第2次
第15代  桂 太郎     1912-1913  第3次  
第16代  山本権兵衛   1913-1914  
第17代  大隈 重信      1914-1916  第2次
第18代  寺内 正毅    1916-1918
第19代  原 敬       1918-1921
第20代  高橋 是清    1921-1922  
第21代  加藤 友三郎  1922-1923
第22代   山本 権兵衛    1923-1924 第2次
第23代   清浦 奎吾    1924-1924
第24代  加藤 高明     1924-1926
第25代  若槻 礼次郎   1926-1927 第1次
第26代   田中 義一    1927-1929
第27代  浜口 雄幸     1929-1931
第28代  若槻 礼次郎      1931-1931 第2次
第29代  犬養 毅      1931-1932
第30代  斎藤 実      1932-1934
第31代  岡田 啓介     1934-1936
第32代   広田 弘毅    1936-1937
第33代  林 銑十郎      1937-1937
第34代 近衞 文麿    1937-1939 第1次
第35代  平沼 騏一郎    1939-1939
第36代  阿部 信行    1939-1940
第37代  米内 光政    1940-1940
第38代  近衞 文麿    1940-1941 第2次
第39代   近衞 文麿     1940-1941 第3次
第40代   東條 英機     1941-1944
第41代   小磯 国昭     1944-1945
第42代   鈴木 貫太郎  1945-1945
第43代   東久邇宮 稔彦王  1945-1945 降伏調印

第44代 幣原 喜重郎   1945-1946
第45代 吉田 茂      1946-1947 第1次 日本国憲法の公布
第46代 片山 哲    1947-1948
第47代 芦田 均    1948-1948
第48代 吉田 茂   1948-1949
第49代 吉田 茂   1949-1952   第3次
第50代 吉田 茂   1952-1953  第4次
第51代 吉田 茂    1953-1954 第5次
第52代 鳩山 一郎  1954-1955   第1次
第53代 鳩山 一郎  1955-1955  第2次
第54代 鳩山 一郎  1955-1956 第3次
第55代 石橋 湛山  1956-1957
第56代 岸 信介  1957-1958  第1次
第57代 岸 信介  1958-1960  第2次
第58代 池田 勇人 1960-1960 第1次
第59代 池田 勇人 1960-1963 第2次
第60代 池田 勇人   1963-1964  第3次
第61代 佐藤 栄作 1964-1967 第1次
第62代 佐藤 栄作   1967-1970 第2次
第63代 佐藤 栄作   1970-1972 第3次
第64代 田中 角栄 1972-1972 第1次
第65代 田中 角栄 1972-1974 第2次
第66代 三木 武夫 1974-1976
第67代 福田 赳夫    1976-1978
第68代 大平 正芳 1978-1979 第1次
第69代 大平 正芳  1979-1980 第2次
第70代 鈴木 善幸 1980-1982
第71代 中曽根 康弘 1982-1983 第1次
第72代 中曽根 康弘 1983-1986 第2次
第73代 中曽根 康弘 1986-1987 第3次
第74代 竹下 登 1987-1989
第75代 宇野 宗佑 1989-1989
第76代 海部 俊樹 1989-1990 第1次
第77代 海部 俊樹 1990-1991 第2次
第78代 宮澤 喜一 1991-1993
第79代 細川 護煕 1993-1994
第80代 羽田 孜 1994-1994
第81代 村山 富市 1994-1996
第82代 橋本 龍太郎 1996-1996 第1次
第83代 橋本 龍太郎 1996-1998 第2次
第84代 小渕 恵三 1998-2000
第85代 森 喜朗 2000-2000 第1次
第86代 森 喜朗 2000-2001 第2次
第87代 小泉 純一郎 2001-2003 第1次
第88代 小泉 純一郎 2003-2005 第2次
第89代 小泉 純一郎 2005-2006 第3次
第90代 安倍 晋三 2006-2007 第1次
第91代 福田 康夫 2007-2008
第92代 麻生 太郎 2008-2009
第93代 鳩山由紀夫 2009-2010
第94代 菅 直人 2010-2011
第95代 野田 佳彦 2011-2012
第96代 安倍 晋三 2012-2014 第2次
第97代 安倍 晋三 2014~ 第3次

歴史上有名な道長のような長期政権を除いては、古代から2〜3年で入れ替わって行くのが我が国での原則的形態です。
江戸時代老中の在職期間表もありますが、これを引用すると膨大過ぎるので省略しますが、関心のある方は以下のデータをクリックしてご覧下さい。
http://www.nagai-bunko.com/shuushien/rekidai/rouju.htm
老中は今の国務大臣みたいなものですから、在職年数が仮に10年あってもその間ずっと首座(指導権)にあったことにはなりません。
老中は概ね4〜5人で構成していて、首座は先任者がなるので、結局は2〜3年交代であったと思われます。

経済不振国の高金利(緊縮政策)

ブラジル(インドネシア)などは、もの凄い景気減速→急激な通貨安に見舞われてしまい、景気減速下での金利引き揚げしかないジレンマに襲われています。
8日に紹介したようにブラジルは景気減速下で11、75%〜12、25%に引き揚げるしかないのですから無茶苦茶・・経済活動が窒息しそうな金利です。
通貨安は貿易上有利ですが、一定限度を超えると純債務国では、ドル建て負債の支払が膨らみ過ぎて支払不能になるリスクがあります。
経済弱小国では、大幅景気悪化になると、金利を下げるどころか逆に金利を上げて通貨防衛するしかない状態です。
(一般商取引では、資金繰りが苦しくなれば、金利を下げて欲しいのですが、逆に金融機関の提示する高利でも借りるしかありません。
国単位になると通貨主権があるとは言うものの、弱小国では不景気になっても低金利にして国民を助けるどころか、自主的に高利を設定して外資を呼び込むしかない点は経営不振に陥った商人と同じです。
この辺は伝統的な経済セオリー・・不景気になれば金利を下げて過熱すれば金利を上げると言う金融政策はグローバル化時代には、時代遅れになっていることが分ります。
日本の場合、純債権国であり所得収支黒字国ですから、円安になると貿易収支が有利になる外に収益金や返済される金額が増える仕組みです。
・・・例えばアメリカに投資したり貸した収益が100億ドルで同じ状態でも、円換算の日本での受取金額が1ドル80円台のときと120円では大きな差がでます。
(800万円の返済予定額が1200万円になります)
債務国で通貨が半値になると輸出には有利ですが、同じ1億ドルの借金返済で言えば自国通貨では2倍の負担になってしまいますが、輸出がイキナリ2倍に増えないのでデフォルトになってしまいます。
純債権国では円高になると貿易収支が悪化する外に、海外資産の円評価減や海外収益の円換算手取りが減るので3重苦になりますが、円安は3重の恩恵です。
純債務国ではこの逆回転になります・・1〜2%ずつ通貨安になると貿易収支の有利さが上回りますが、急激な通貨安だと付いて行けなくなるのが普通です。
人事で言えば、徐々に地位が上がれば対応出来ますがイキナリ何段階も飛び越して地位が上がると準備・適応能力不足で大失敗してしまう・・政敵になりそうな有望若手を早めに潰すために行なういわゆる「官打ち」効果と同じです。
財務省と学者の主張する「財政赤字のままだと大変なことになる」と言う意見は、純債務国に通用する議論を純債権国の日本に当てはめているので、多くの人が感覚的にピントと来ないのです。
貿易赤字が続くと通貨変動による競争力修正作用によって徐々に物価高になって購買行動が手控えられて行くと輸入が減って輸出が増えるので貿易収支が均衡しますが、南欧諸国はユーロ域内にあって独自通貨を持たないので通貨安による国際競争力修正機能が働かない以上は、際限ない赤字を溜め込んで行きこの赤字穴埋めに国債発行・財政赤字を続けて行くと結果的に国債の信用性がなくなってデフォルト危機に陥ってしまいました。(一種の固定相場制の無理が出たのです)
この解決のために緊縮政策の実行をECBから求められていますが、為替変動による事実上の修正作用と違って権力的緊縮政策は政治的には無理があります。
この辺については、日本の地方交付金のような再分配政治が必要であることをJuly 10, 2014「国内生産過剰9(人口縮小策3)」に書きました。
ドイツ等北部諸国は南欧等の弱い国をバスケットにすることで、自国の競争力からすれば(マルクのトキにはマルク高になっている筈のところ)ユーロが割安通貨になって、輸出好調でも通貨が上がらないで得をしているのですから、その分域内で再分配をするのが公平です。
この辺の配慮が足りないドイツ等の言い分ばかりでは、本当の解決にはならないでしょう。
ブラジルは独立国ですから、ギリシャのように外国から強制されませんが、通貨暴落→国民生活大混乱を避けるためには、結果的に金利を上げて国民に痛みを強いるしかない状態に陥っています。
為替の急落が大騒ぎになる・・急激過ぎる変化が危険・・コマメな変化・・早めの修正適応が重要なことが分ります。
健康管理を怠ると大病するようなものです。
政権に不都合だからとコマメな変化対応を怠っていると、あるときにダムが決壊するような大打撃を受けるしかありません。

主要国金利差と国力差2

弱い国や民族や集団は合法的(多くは支配権力層の都合で作った法制度)競争で負け続ける不満がたまると、テロや暴動等の非合法手段に訴えるしかないのは古来から同じです。
アメリカでは時々黒人差別に対する暴動(ボルチモアの騒動では黒人層だけではなく白人も参加しているようですから、底流に現状に対する不満が溜まっていることが分ります)が起きています。
アメリカ流の洗練された暴動形式である裁判を利用出来るのは支配権力をバックに持っている集団だけですし、トヨタパッシング等で利益を受けるのは、競合業界だけで個々人には及びません・・中国の官製デモや政府主導のパッシングも同様です。
個人が化粧品や食品被害などで天文学的懲罰賠償を求めて大企業パッシングをしても、関係ない人が多く貧困層の日常的不満解消には役立ちません。
国内強者・・国際競争力では弱者が権力バックのパッシングを出来ますが、社会内弱者の不満解消には、中国でも、アメリカでも何かの切っ掛けを求めて国内非合法暴動・略奪しかないことが分ります。
日本は政治がうまく回っている・・国民の鬱屈度が低いので、東北大震災のような権力空白があっても略奪が発生せずに逆に助け合いの気持ちが顕在化します。
アメリカは戦後世界最強経済を誇っていましたが、次第に日本が追いついて来て弱い特定分野が生まれて来ると一種の非合法手段を多用してきました。
(日本製車をハンマーでぶちこわすテレビ報道を記憶している方が多いでしょう)
弱い分野が増えて来た→弱い分野の方が多くなって来て強いのは今では資源だけ→資源国・弱い国の仲間にはいってきたにも拘らず、武力で無理を通そうとする覇道支配・・正義に基づかないアメリカの都合に合わせたルール変更が多くなるとセカイ中・・不満がたまります。
フランス企業が昨年1兆円規模の罰金をアメリカに払わされたと報道されていましたが、同じパターンです。
日本ではこう言う大事件以外にはあまり知られていませんが、フランス(に限らず欧州諸国)もこういうことの繰り返しを受けていると、トキにはアメリカの鼻を明かしてやりたいと言う不満がたまっているでしょう・・これが欧州諸国のAIIB参加の基礎心情です。
前置きが長くなってしまいました。
ブラジルは不景気進行中にも関わらず大幅金利上げを余儀なくされています・・その他の金利を見ると経済力との比例関係が一目瞭然です。
主要国金利差を見ましょう。
以下はhttp://www.e-sumaisagashi.com/new_page_49.htm
(更新日 2015/02/10)
からのコピペです。

日  本 日本銀行(BOJ) 無担保コール翌日物金利 0.0~0.10% 2010/10/05
公定歩合(基準割引率および基準貸付利率) 0.30% 2008/12/19
短期プライムレート 1.475% 2009/01/13
長期プライムレート 1.15%  2015/02/10

米  国      FRB(連邦準備制度理事会) 公定歩合 0.75% 2010/02/19
FF金利     0.0~0.25% 2008/12/16
EC(欧州連合) ECB(欧州中央銀行) 短期オペ最低応札金利 0.05% 2014/09/10
イギリス     BOE(イングランド銀行) オフィシャル・バンクレート 0.50% 2009/03/05
オーストラリア RBA(オーストラリア準備銀行) オフィシャル・キャッシュレート 2.25% 2015/02/04
※日本の「短プラ」「長プラ」いずれも、みずほ銀行のデータです。  

<日本および主要国の政策金利 変更内容の主な履歴>  (更新日 2015/03/01)

2015/03/01 中 国 中国人民銀行が金融機関の貸出金利を0.25%、預金金利も0.25%引き下げる。その結果、1年物の貸出金利は5.35%、1年物預金金利は2.50%となった。
2015/02/04 豪 州 RBAがオフィシャル・キャッシュレートを2.50% → 2.25%へ引き下る。最低水準を更新。
2014/12/16 ロシア ロシア中央銀行が政策金利を10.5% → 17.0%へと大幅に引き上げる。自国通貨ルーブルの下落を阻止する狙い。
2014/11/22 中 国 中国人民銀行が金融機関の貸出金利を0.4%、預金金利を0.25%引き下げる。その結果、1年物の貸出金利は5.60%、1年物預金金利は2.75%となった。引き下げは2年4カ月ぶり。
2014/10/15 韓 国 韓国銀行が政策金利を2.25% → 2.00%へと引き下げる。過去最低の水準となった。」

以下は、5月6日現在http://www.fxstreet.jp/economic-calendar/interest-rates-table/の引用です。
中央銀行金利?とは、銀行貸し出し金利のことかも知れませんが念のために紹介しておきます。

「世界金利表は、世界の主要国の中央銀行が設定した現在の金利を記しています。
「金利により、その国の経済の健全性を評価することが出来ます。
中央銀行は景気が拡大している場合、物価上昇率を押し上げるために利上げを実施する傾向があります。」
主要中央銀行
Central Banks     現行の金利 次回の金融政策発表予定日 前回の変更日
オーストラリア準備銀行   2.000 %  7-7-2015 – 04:30:00 5-5-2015 – 04:30:00
連邦準備制度理事会    0.250 %  17-6-2015 – 18:00:00 29-4-2015 – 18:00:00
スイス国立銀行     -0.750 %  18-6-2015 – 07:30:00 19-3-2015 – 08:30:00
欧州中央銀行       0.050 %    3-6-2015 – 11:45:00 15-4-2015 – 11:45:00
日本銀行        0.100 % 30-4-2015 – 04:05:34
ニュージーランド準備銀行 3.500 % 10-6-2015 – 21:00:00   29-4-2015 – 21:00:00
カナダ銀行       0.750 %  2-12-2015 – 15:00:00   15-4-2015 – 14:00:00
イングランド銀行     0.500 %  4-6-2015 – 11:00:00   9-4-2015 – 11:00:00

中華人民共和国      5.350 % 5.600 % 28-2-2015 – 10:00:00
オーストラリア     2.000 % 2.250 % 5-5-2015 – 04:30:00
インド        7.500 % 7.500 % 7-4-2015 – 05:30:00
香港特別自治区     0.500 % 1.500 % 17-12-2008 – 02:00:00
大韓民国        1.750 % 1.750 % 9-4-2015 – 01:00:00
ブラジル       12.750 % 12.250 % 4-3-2015 – 17:00:00

以下はhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H2W_U4A201C1EAF000からの引用です。
ブラジル中銀が連続利上げ 政策金利11.75%
2014/12/4 9:36
 【モンテビデオ=宮本英威】ブラジル中央銀行は3日の通貨政策委員会で、政策金利の基準金利を0.5%引き上げ年11.75%にすると発表した。利上げは2会合連続。景気低迷が続くなかで消費者物価の上昇率は中銀目標の上限(6.5%)を上回る。引き締め加速でインフレ封じ込めへの姿勢を鮮明にした。
 利上げにより、経済がさらに停滞する懸念は強い。7~9月の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比で0.2%減だった。前年同期比でのマイナスは2四半期連続。通貨レアルは対ドルで下落しているが、鉱工業生産は戻っていない。

 ブラジル中銀は2013年4月から9会合連続で利上げしていたが、景気の停滞感が強まり、今年5月の会合で据え置きに転じた。その後はインフレ圧力が強まったため再び利上げを始めた。」

主要国の金利差と国力差

明日以降になりますが、主要国の金利差を比較すれば体力のある順に金利が低いこと・・弱い国が強い国よりも金利を低く出来ないことが分りますし、経済実態で世界でどこが信用されているかも分ります。
(この種の意見はApril 24, 2013「外貨準備の内実1(中韓政策金利の推移)」で書いていますが、今回は主要国とブラジルを含めた具体的金利差を見ておきましょう。
日本が世界で最低金利水準を長く続けていますが、これが出来るのは基礎体力が世界で一番強いことの現れです。
財政赤字と世界の信用とは関係がないことを繰り返し書いてきました。
日本が金利をアメリカよりも高くすれば、アメリカは更に引き上げるしかない・・アメリカは国内経済だけ見て金利を自由に決めることが出来ない状態・・言わば金利決定権を日本が握っている状態です。
日本はこういうことを自慢しないで、逆にアメリカの動向を見ないと日本は引き上げることすら出来ないと言う逆の意見になります。
マスコミはアメリカ国内雇用水準だけで金融緩和をやめるかどうかをアメリカが決めるかのような報道が中心・・日本金利との比較を全く書きません。
アベノミクス以来日本の円安が進んでいて、アメリカ企業の輸出競争力阻害が話題に上っているにも拘らず、アメリカがこれにケチをつけない点をいぶかしむ論説が多く見られます。
これを政治に結びつけて国際政治情勢による日米蜜月しかないから日本叩き出来ないと言うのが普通の発想ですが、政治状況はそのとおりですが、政治は実体経済を無視してはホンの短期間しか成り立ちません。
日本の円安は低金利によるところが大きい・・即ち日本の低金利政策をやめさせるにはアメリカも金利を上げる体力がない限り、日本に金利引き上げ強制出来ない点にあると見るべきです。
経済論理上ではそうなるしかない・・円高強制出来ないとすれば、ゲリラ的に1兆円規模の罰金をとったり数年前のトヨタ標的騒動や・・昨年来のエアバッグ騒動のような個別パッシングを繰り返して日本企業に大損させるしかないかもしれません。
江戸時代に商人からの徴税方法がなかったことから、時々豪商の取り潰しや冥加金徴収によって、幕府が大金をせしめていたのと同じやり方です。
早くからスポーツ分野では日本選手が圧倒的に強くなると競技ルールを変えることが目立っていましたが・・・・アメリカは自分の定立した自由貿易競争に負けるようになると腕力にもの言わせて、日米繊維交渉等に始まって、業界別に無茶な要求をして次々と半導体など日本の世界独走業種を潰してきました。
個別業種潰しがうまく行かなくなるとプラザ合意以来円高強制で根こそぎ日本の競争力を奪って来たのですが、世界情勢変化で日本を敵視ししていられなくなったことと、国力比の関係で自国より日本金利が高くなると困るので、金利安=円安政策を許容するしかなくなりました。
こうなると再び通商法の出番ですが、これも上記のとおり、国際政治力学上日本を標的にすることは不可能ですから、出来ることは中東諸国並みのゲリラ・テロ行為しかありません。
中東諸国では政府自身がアメリカの価値で法を作っているので、その国の法でもテロは違法ですが、アメリカの場合なお世界1の強国ですから自分勝手な法律を作ってセカイに守らせる力を持っています。
(これをこのコラムでは覇道支配と書いています)
スーパー通商法と言う法律を作ったり、何兆円払えと言う無茶苦茶な裁判をして嫌がらせをするのは、一種のテロ・暴動・略奪ですがアメリカ国内では合法として守られていますし、どこの国も抗えません。
現在も武田薬品が大型裁判をされていて薬害の根拠がないが、長期の訴訟費用負担に耐えられず何千億円の和解をすることになった・・この結果損失引当金の必要→赤字決算になると言う報道です。
後進国・・経済競争で負けている国では自国産業保護のためには、(4〜5十年以上前の記憶ですが・・)インドネシアの例で言えば、時々反華僑暴動・焼き討ちなど起こすしかありませんでした。
中国で官製の反日暴動が発生したのは記憶に新しいところですが、これに対する世界批判に懲りた中国では、昨年来方針を変えて特定セカイ企業のブラック性を集中報道したり、(アップルを手はじめに次々です)あるいは独占禁止法違反や贈収賄疑惑の取り調べなどして結果的にその企業に大打撃を与える手法・・アメリカ式に変化してきました。
アメリカは自分がやっている方法ですから、これに文句を言えません。
今でもアメリカあるいは中国に進出している限り(政府やマスコミのバックを受けて)標的にされる企業は千億円単位の損害リスクにいつも備えておく必要がありますが、TPPが成立するとアメリカ式巨額賠償請求をされても参加国が今のように陰で「酷い社会だ」とは言えなくなる「これで良いと約束したでしょう」となる点・・お墨付きを与える点が大きな違いになります。
それどころか、今まではアメリカで商売さえしていなければアメリカで訴えられる心配がなかったのですが、(中国がイヤなら行かなければ良いと言うのと同じです)TPPが発効すると日本国内での行為でもアメリカ企業が損をしたとアメリカで裁判出来るのですから(取り決め交渉中すから実際に合意内容がどうなるかはまだ決まっていません)、無茶苦茶裁判→略奪される対象がもの凄く広がります。

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