中国のバブル処理3(過大投資の調整2)

中国の経済不振がスパイラル化して行くと、局部的バブル崩壊と言うよりは需給の巨大不均衡・・一種の大恐慌を招来することになります。
ですから中国の場合は局部膨張・破裂現象を意味するバブル崩壊ではなく、経済大崩壊と言うべきです。
局部的手術では済まない分、中国はバブル崩壊とは桁違いに深刻なダメージを受けていますが、マスコミはこれを過小評価するためにバブル崩壊と名付けていると想定されます。
ただし、政府による国威発揚宣伝を信じて止めどない経済拡大を前提に再拡大投資・投機に参加していた国民の心理状況を、バブルっぽいと表現すること自体は正しいでしょう。
戦前アメリカで起きた大恐慌と世界経済に与える影響の違いは、中国経済は・・経済連鎖の下流に属しているので中国の変調は、上流部門では直接影響受けない・・精々資源国からの爆買いが落ち込む程度→資源関連業界や資源で儲かっていた人が高級品を買わなくなると言う循環的変化に留まっていることとの違いでないでしょうか?
ここ数年以上の中国の実質マイナス成長によって、(マスコミは中国政府の代弁で年7%以上の成長を強調していましたが)資源価格が下がって資源国が参ってるのはその客観的結果です。
今朝の日経新聞22pにも鉄鋼原料(合金鉄製品)が過剰生産した中国から押し寄せて9〜18%前後相場が下がっていると書いています・・このように中国のマイナス成長は個別資源軽取引分野からも国際的に明らかで隠し切れなくなっています。
私がマスコミ姿勢を問題にしているのは、政府発表がない限り政府発表の矛盾をマスコミが一切報道しない姿勢・・政府発表がなくとも業界別に港湾に山積みになっている輸入鉱石など矛盾データ(政府発表ではないですが関連業界情報として)があらゆる分野で出ていたのに、最近までマスコミ報道していなかったことで、ネットジャーナリストだけが問題視していました・・これでは何のための表現の自由か?中立を守っていないのではないかと言う疑念を書いています。
中立を装ったマスコミが中韓政府の意向どおり・アジアで孤立するなどの政治状況も含めて報道するのでは、ネットアクセス出来ない国民はマスコミこそ客観報道かと誤解してしまいます。
私もネット報道を知るまでは、戦後約70年間もマスコミ報道を丸々信用して洗脳されていました。
このコラムは開始の始めっから、マスコミや文化人の主流意見批判で(例えば開始後約1年目ですが、01/04/03「外国人労働力の移入 1」での外国人移入反対論に始まって)一貫していましたが、それでも情報源はマスコミや文化人の書いたものを前提に自分の直感に反することに対する批判しか出来なかったのです。
中国政府も実需の縮小・マイナス成長を認めざるを得なくなったらしく、昨日紹介したように個別統計を部分的に発表するようになっています。
中国の輸出産業が駄目になって資源輸入が減り中国の大規模出血輸出がここ数年始まった結果、世界経済は短期的には混乱しますが、その代わりインドネシアやバングラデッシュやベトナム等新興国が輸出商品生産するために資源輸入を補完して行きますし、これらの国民所得が上がって世界全体では購買力が上がりますので、長期的な世界経済に大した影響がない筈です。
原油価格が下がったアラブ農様の需要が減ってもその代わり、燃料費下落の恩恵を受けた大幅需要創出効果が起きます。
普通ならば、出血輸出や赤字受注は一定期間経過でなくなりますが、中国の場合国有企業中心・・しかも不透明な共産党幹部の私利私欲で動く傾向がありますから、市場原理が働き難い・大規模且つ長期化する点が異質で世界経済撹乱が長引きます。
5月17日から書いているとおり、中国は新興国型経済=インフラ投資・大規模工場新設その他あらゆる分野で自国内の需要を無視して、新興=雨後の筍のように同時に大量に作り過ぎた・これが見た目には高度成長になりました。
何もないからこそ、一斉工事が必要でしたが、道路・港湾・工業団地造成・・関連諸工事が一段落すると開発工事の必要がなくなるのは当たり前のことです。
新興国の外資導入直後の高度成長は期間が10年以上に及ぶので、無限に続くかのように錯覚しますが(地震がホンの100年もないとこの辺は安心だと思い込むのと似ています)消費税増税前の駆け込み需要→反動減や、昔の年末の忙しさは、正月明けの不需要期を意味していたのと同じでちょっと期間が長いだけです。

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