現在マイナンバー法の施行に向けた準備や、国保資料・医療情報・・ビッグデータ利用による研究を許容するかに関する議論が行なわれていますが、プライバシー情報流出が困る点では保守革新を問わず同じです。
医療情報を利用した研究が進んで医学・薬品の発展があれば国民に利益があることも一致しています。
要はどうやって情報漏洩から守れるか・・リスクの最小化を図れるかの議論であって、労働者代表も市民代表も出身階層による図式的利害の対立事項ではありません。
国民の福利増進のためには一定の情報利用が必要ですが、それとプライバシー漏洩リスク拡大の兼ね合いをどう考えるかですが、プライバシーをどの程度守りたいかについては、国民に温度差がありますが、労使の対立軸とは関係がありません。
労働者も消費者も経営者も自分のプライバシーを守りたい点は同じですから、階層・所属による違いは本来ないのです。
防犯カメラ設置について反対論のシンポジューム等を熱心に開いているのが革新?系ですが、(日弁連は反対声明までは出していないと思いますが・・九州弁連では反対論者を招いたシンポジュームを開いていることを「証拠法則と科学技術3(自白重視3)」Published December 7, 2014で紹介しました)犯罪防止のためでも自分の公道での行動が知られるのがイヤか、その程度は安全社会化のために我慢するかの括りが合理的であって、労組や人権団体なら防犯カメラに反対しなくてはならないと言う括りはあり得ません。
もっと大きな括りで言えば、日本社会を便利で、しかも安全にしたい意欲の強さとプライバシー侵害の心配との天秤をどこに置くかの違いでしょう。
自分の医療履歴を隣近所や知り合いに知られたくはないでしょうが、自分と個人的に関係のない研究者が研究のために見ていても普通の人はプライバシー侵害で困るとは思わないのではないでしょうか?
これが薬品製造研究者〜生産会社〜販売業者に広がったらいけないか、どこまで広がったら困るかと言う広がりをどこまで許容するかの個人差の問題です。
身近な人に知られたくないのが本来の中核プライバシーですが、災害時にはむしろ身近な人が知っていないと救助に駆けつけられません。
このように一律に言えない時代になっているのが現在社会です。
「ベネッセ漏洩事件で大変なことになったじゃないか」と鬼のクビでもとったかのようにいう人が多いのですが、この場合も業者が営業上困る・・信用をなくしてしまうリスクの大きさと被害者の損害・保護必要性と混同している・・敢えて言えばすり替えて大騒ぎしているキライがあります。
漏洩された個人がどう言う被害があったと言う具体的情報は一切出ていません。
今までせいぜいあったとしても知らないところから、ダイレクトメールがきたと言うくらいが関の山でしょう。
情報漏洩の結果「誘拐されたら困るじゃないか」「◯◯したら・・」と言う仮定の、しかも滅多に考えられない」議論ばかりです。
(法的に言えば具体的危険ではなく、抽象的危険とすら言えません)
ちいさな子がいることは、子供は毎日家から出入りしているので、誰でもその気になれば直ぐ分ることで名簿を入手して初めて分ることではありません。
誘拐するのに8歳10ヶ月か9歳3ヶ月かの細かい情報までは要りません。
塾の行き帰りが心配と言っても、その気になればその子の日常パターンはすぐに分るものです・・ちょっと分りやすくなる程度でしょう。
実際の犯行は名簿情報から犯行を計画するのではなく、目にした子供を誘拐するようになるのが普通ですから、誘拐しようと計画している犯人がいた場合、念のためチェックしやすくなる程度ではないでしょうか?
それでも不安だと言う人がいてもおかしくないですが、そんなことを言い出したらグーグルの地図情報の方が(空き巣その他各種犯行に)もっと犯行に便利なツールと言えるでしょうが、利便性重視で文句を言っていません。
そもそもベネッセ等の大量情報は購入資金を上回る大量利用の便益があるから購入するのであって、個別犯行のためにこれらを計画的に購入する人がいるとは殆ど考えられません。
情報を売る方は、それ自体犯罪行為と知ってやっているとは言え、相手が業務用に使う程度と言う意識で加担し、ホンのちょっとの報酬欲しさでやっているのであって、誘拐その他の重大犯行目的と知っている場合、めったに売らないでしょう。