共謀罪反対論に戻ります。
賛否の立場を離れて考えると、条約は出来てしまっているし、これに反対する意味・・論理構成が分かりません。
10月23日のコラムで日弁連は今後条約自体に(「近代刑法の精神違反と?)反対しないで、我が国には、銃刀法所持禁止等の準備行為段階の処罰規定があるので、国内法整備不要論を展開して行くと書いていることを紹介しました。
一旦署名した条約自体を、反古にするのは無理と判断したのでしょう。
署名した条約に今更反対出来ない以上、後は国内法を整備するか、しないかだけですが、条約履行のための法整備反対も条約結果実現反対と同じですから、法理論的に無理があります。
国内法で言えば、法律が出来てしまったのに、施行のための規則制定作業をサボタージュしろと言うのと同じレベルの問題です。
これをやっていると条約反対と同じですから、日本の国際信用をなくしてしまい、国際孤立が待っているでしょう。
たとえばTTP交渉は特定産業が有利になり、関税で守られている特定産業が不利ですから、それぞれの政治目的・擁護する利益集団が明確です。
犯罪の共謀自体を処罰すると、どの集団が損をするのか、どの集団利益を守ろうとしているのか不明です。
まさかテロ予備軍の利益を守ろうとしているとは思えません・・・。
そもそも共謀罪に関する国際条約は、日本をターゲットにした日本だけが不利益を被るような不平等条約ではありませんから、日本だけが条約履行しないことによって、国際社会でどのような地位を得ようとしているのか?どのような国益に寄与するための反対か理解不明です。
共謀罪や秘密保護法が出来たら人権を守れる訳がないと言いますが、日本の人権だけではなく世界中の多くの国がこの条約を履行しているのです。
世界に通用しない理屈で開き直るよりは、秘密保護法で言えば、秘密指定の決め方・・ルール策定に参加して秘密指定が野方図に広がるのを阻止したり、共謀罪の運用手続法や証拠法則の合理化等を主張提言して人権擁護努力すべきが実務家・専門家の仕事ではないでしょうか?
法律専門家集団としての地道な役割を放棄して、政治で決まった結果そのものの不当性(本当に不当としてもそれは政治が解決することです)を政治面で飽くまでも主張して行くのは専門技術集団の役割ではありません。
意見の合う人たちで日弁連ではない別の政治集団を結成するならば、政治運動する権利があることを否定するものではありません。
ところで、政治運動と言うものは必ず何らかの現世的結果をもたらすことを目的にしているもの・・何らかの利害・結果を求めてやっているものです。
共謀罪法制化反対の政治運動するについては、その集団が何らかの利害の代弁していると見るべきですが、目指す現世的結果・・実現したい集団利益は何でしょうか?
世界中で共謀段階で規制する必要があると認めて立法化が進んでいる現在、(10月22日に紹介したように「2013年6月現在、署名国は147、締約国は176」)事前段階の処罰や摘発を日本だけが野放しにすべきだと言う結果を求めていることになりますが、これが国際的にどう言う利害結果を目指しているのでしょうか?
この段階で日本だけテロ集団の共謀を野放しにしておくべきだと言う主張が国際的に通用するかと言う疑問です。
(制定反対し続ければ、制定までの間、そう言う結果を我が国にもたらすことになります)
国内政治と違い、国際政治は、反対運動していれば遠慮してくれる仕組みではありません。
国際社会では、相手にされないか、その何倍もの仕返しが待っています。
共謀罪制定反対論者は、国際条約の履行に反対して国内法整備をいつまでも日本がしない場合・・出来ない場合の、国際社会における日本の利害損失をどう考えているのでしょうか?
まさか日本民族を世界で窮地に陥らせるため・・反日のための政治運動をしているとは思えませんが、その運動目的が理解出来ません。
朝日新聞が何故か日本を国際的に窮地に陥らせるための報道を世界中で継続していたことが分りましたが、日弁連にも共通の基礎土壌があると思われないか心配です。
朝日新聞や社会党等の日本批判が勢いを失ったときにこそ、「ここに◯◯あり!」と旗を立てて応援しなくっちゃ・・と言う意識で頑張っているとすれば仕方のないことですが・・。