一般人の生活水準3(韓国)

貧乏人が(高金利等で)生活に苦しくなると満期で預けた保証金が帰って来る資金に手を着けざるを得なくなって全部をそのまま次の契約に流用できなくなります。
次は何分の1または半金程度で済む「ウォルセ」形式に流れます。
その次に満期になって戻って来た半金ほどの「ウォルセ」・保証金を生活苦のためにまた手を付けるとそのまま流用できなくなるので、更に劣悪な条件に流れて行きます。
この繰り返しの結果、最後に殆ど保証金を作れなくなるとスラム街に流れて行く社会システムになっているので、韓国では多くの庶民が最後に行き着くべき受け皿としてスラム街が形成されている原因でしょう。
韓国政府は公営住宅整備をしてスラム街をなくそうと言う意識・・必要性の意見があるようです。
高齢者自殺問題は、年金積み立てが殆どない・・制度整備が遅れているだけではなく、住居その他全般的に最低保障をするための社会資本整備が遅れていることによります。
韓国では社会保険や年金等の(労働者の自己負担も)企業負担率が日本などに比べて低いと言われています。
船舶沈没事故対のお粗末さも含めて安全コストその他、目先の儲けにならない分野へのコスト・時間をかけない・・低負担低保障社会です。
中韓共に環境保護や社会保障整備よりは、追いつき追い越せの背伸びばかりして来たツケが漸く回って来たのです。
アパートの高額保証金の慣行が韓国庶民を苦しめている・・貧困連鎖の原因になっているのですが、これをなくすには、公営住宅普及ばかりではなく、高利でまわせばぼろ儲け出来る仕組み・・高金利社会をなくすことが先決でしょう。
高金利社会とは資金不足社会ですから、結局は自己資本不足=外資によって社会が成り立っている国家の基本を改めない限り解決できないことになります。
韓国も将来我が国のように低金利社会になれば、大家が高額保証金を預かっても大して儲けられない・・せいぜい家賃滞納に対する保障と言う純粋な意味しかなくなる・・そうなれば我が国のように家賃保証会社の保証制度などへ移行する・・合理化が進むと思われます。
収入と金融資産保有関係に戻ります。
毎月1000万円単位の収入のある人は、月収20万円の人の貯蓄率より高くなるなど、収入と貯蓄率は比例しません。
この結果、セーフテイネットの貧弱な韓国では、豊かな人は更に豊かになり、貧しい人はギリギリの生活・・トキには高利で借金せざるを得なくなる人が多いから、高利貸しが大量に存在できる社会になっていますので、この返済に追われながらの生活をしている人が大量にいることになります。
個人金融資産を階層別に見れば、1%の富裕層がその半分以上を占めていてもおかしくありません。
韓国の資本収入・・配当益の内大株主への配当が80%一般人への配当が20%に過ぎないと言われています。
(勝又寿良氏のい7月24日付きブログ)
大株主とは財閥系オーナーや外資等でしょうから、企業収益の2割しか一般国民に恩恵が及んでいないことになります。
ある国の国民一般の豊かさを見るには、個人金融資産保有者の分布を見る必要がありますが、この種の統計はネットではなかなか見つかりません。
金融資産の合計は各金融機関(保険や証券など各種業界)の個人名義の集計で簡単にできるでしょうが、金融資産保有者の属性を分類するのは容易ではないでしょうから無理があるでしょう。
国民総背番号制(マイナンバー法)は、既に成立しましたが今はまだ施行準備段階ですが、完全施行によって、名寄せできるようになれば簡単でしょう。
マイナンバー法は情報漏洩が心配ですが、この点のリスクを除けば、いろんなデータの加工によって国内のいろんな研究調査ひいては政策決定の基礎資料となります。
千葉市でもマイナンバー法施行に備えた準備が始まります。
まさにビッグデータですが、最近ではベネッセの情報漏洩で世間を騒がせたばかりですが、ビッグデータの活用が始まるとこれに比例して漏洩リスクも高まります。
車は便利だが事故をゼロにすることは不可能であるから車の利用を禁止すると言う意見はないように、リスクを皆無に出来ない以上はこれを利用すべきではないと言う反対論理は合理的でありません。
有用性が高い場合、リスクを如何に最小限にする工夫をするかに智恵を尽くすべきでしょう。
ところで、名寄せ出来るにしても、どこの誰がその種のデータにアクセスして調査研究できるのか、誰が許可するのかなどいろいろなルール整備が必要になります。

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