中国資金不足3

7月21日の中段から我が国と諸外国の賄賂習慣の違いに話題が流れてしまいましたが、再び中国の経済困難に戻ります。
社債(借金)の場合、企業が儲けてなくとも期限が来れば返済義務がありますが、倒産的状況になるほどの業績不振でない限り、借換債を発行すれば何とかなります。
社債の場合、低金利で借金しておけば途中で高金利時代が来ても支払金利を上げる必要がないし、返済期限前に強制的に返せと言われることもありません。
株式の場合経営不振でなくとも(儲かっていても)利益が減ったりその見込みだけで株が売られますし、途中で高金利時代が来ても配当率が低金利時代のママですと、(投資家は同じ金利ならば国債を買ったり銀行に預けている方がマシですから、(借金のように期限がないので)いつでも売り逃げが出来て、(みんながそうなれば)株の暴落になりますので経営者にとっては株主は怖い存在です。
この結果大手企業では同じ100億円調達するならば、新株発行よりは金利のつく社債の方が気楽だとなることを21日まで書いてきました。
昨日(24日)の日経新聞朝刊2ページには大きな紙面を使って、ゼロ金利を利用した転換社債発行して得た資金での自社株買いが進んでいる状況が大きく出ています。
新株発行によって資金を得るよりも社債での資金手当の方が良いとなれば、それで満足せずに進んで既存発行株を社債で得た資金で消却してしまおうとする方向へ一歩踏み出している状況です。
新聞の関心は転換社債に頼るのは無理があると言う意識で書いていますが、私がここで言いたいのは借金と違って返さなくて良い株式の方が経営者にとって煙たい・怖いと言うスタンスが実証されていることです。
中国や韓国など後進国が先進国からの外資導入に頼っている場合、借金と違って法的返済義務はない代わりに投資資金引き上げには期限がないことからいつでも売り逃げできる・・外資が流出を始めるとこれを止める方法がなくなるリスクです。
外資がドンドン流出を始めて国家経済が成り立たなくなると、政治リスクに影響する点では、株主の動きが気になる経営者と同じでしょう。
日本企業等が外資による本国への収益送金額を上回る新たな外資投資を(なりふり構わずに)次々と呼び込むしかない・・外資の流失が始まってデフォルトの噂が流れると大変ですから、これを放置できないのが、中国経済です。
(借金していた企業が金利支払のために追い貸しを受けるしかない状態・・・。)
社会全体でみると、土地を売った資金・・投資で贅沢していた場合でも、金利同様の適正な収益還元が必要な点から見れば、借金して贅沢していた人・・国が自転車操業的に追い貸しを受けないとやっていけない状態になっているのと国家経済的には同じです。
中国は1〜2年前から、低賃金競争が出来なくなって新規投資が止まった、または縮小したと言う巷の噂に踊らされて、一人っ子政策をやめる方向へ舵を切ろうとしています。
賃金が上がって競争力が失われたのではなく、バングラデッシュ、ミャンマー等でも大量労働者の必要なローエンド製品工場が造れるようになったことが大きいのです。
中国が今更人口を増やしても、バングラデッシュやミャンマーより人件費を安くは出来ないでしょうし、そもそも中国の場合、人口減による市場相場で人件費が上がったのではありません・・。
市場相場と関係なく、国内格差不満を抑えるための最低賃金引き上げを権力で断行したのですから、人口を増やして人件費を安く抑える政策採用は矛盾しています。
今の中国はバブル退治のために引き締めてみたりハードランデングしそうになると出所不明の資金を出して救済してみたり・・理解不能・・矛盾した政策をあちこちで行なっています。
土地錬金術が破綻しかけている・あちこちゴーストタウンだらけ・あるいはマンション値下がりが各地で始まったので、これ以上需要のない建設投資によるGDP嵩上げに頼れなくなってきました。
民需用建設投資は、完成在庫が増えて値下がりが始まるなど、需給がすぐに明らかになる状況ですから、これ以上の新規建設着工増を図るのは経済活性化のためとは言え、いくら独裁国家でも無理があります。

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